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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第276話 それってあなたの感想ですよね?


「あの〜、これって必ず選ばないといけないヤツなんですかね?」


「選択の可否よりも、これはあなたが落とした物なのではありませんか?」


「いや、別に落としたワケではないんで……。」



 次々と起こった意味不明な事態に俺は戸惑っている。これはおそらく、牛の持っていた罠のお札が3枚分一辺に効果が発動した結果なんだろうけど。目の前の現象は果たして罠なんだろうか?



「いえいえ、あなたが落とした物ですよね?」


「だから、落としてないですってば!」


「じゃあ誰が落としたんですか?」


「”落とした”というよりは”落ちてた”の間違いじゃないっすか?」


「いえいえ、状況証拠的にあなた以外に考えられません。私の推理は間違っていないはずです。真実はいつも一つ! これは鉄則なんですよ!」


「鉄則とか言われてもねえ……。」



 目の前の女神様は意地でも落とし主を俺に設定したいらしい。推理とかして俺がその場にいたからという理由で持ち主だと判断したようだ。確かに俺と牛しかいなかったからそういう風に見えるようだけど、違うものは違うからね。


 あ、そういえば罠扱いの通路に埋まった巨人もいたか。といういかそれ以前に人(?)を物扱いするのもどうかと思うんですが? あのときの大洋騎士もそうだったけど。



「あなたが意味もなくあの場所にいたはずがありません。迷宮に二人きり。コレは何かを暗示していると思うんです。あなたは無情にも捨てようと画策していたに違いありません!」


「捨てるとかそういうのじゃなくて、俺はアイツを追いかけていただけなんで。アイツを倒すのが目的だったから。」


「ここで新事実が発覚! ここからが本題です!!」



 どこぞの考察マニアのような口上を出してきた。推理の次は考察という方法で俺を落とし主にでっち上げようとし始めている。もうコレはコジツケとか強引な手法で言いくるめてくるに違いない。



「いや、本題と言うかそれが全てなんですけどね?」


「倒す、すなわちコレを言い換えると、斬る⇢斬り捨てる⇢捨てる、という解釈が出来るのではないでしょうか? ついに私はとんでもない事実を導き出してしまったようです!!」



 なんかとんでもない超理論が展開されているような気がするんだが? 目の前の女神様は興奮気味にドヤりながら俺に対して暴いた真実を叩きつけてきた。斬って、捨てるとはよく言ったものだが、まだその行為に及んでいないのでそれは成り立たないんじゃないですかね?



「では、改めてお聞きします。あなたが落としたのはこの金の牛ですか、銀の牛ですか?」


「いやだから、落としてないんですよ?」


「落としていない……? 少なくとも金と銀の牛ではないということですね? あなたは正直者ですね!!」



 ああ、そういう風に解釈しちゃうんだ? まあいいいや。これでやっと落としていないという結論に至ったというわけだ。これでやっと開放されるのか。しかし、この場所から元に戻るにはどうすればいいのか?



「正直なあなたには金と銀の牛を両方差し上げましょう! じゃ!!」


「じゃ、じゃねーよ!!」



 なんか強引に金と銀の牛を押し付け、女神は泉に戻っていった。俊敏にフェードアウトしていきやがったのだ! どうあっても牛を押し付けたかったらしい。確かにいらんわな。こんなデカイだけの牛の魔王なんて誰トクなんだという気がしなくもない。



「さあ、勇者よ、決着をつけようではないか!」


「逃げも隠れもせん。正々堂々と戦おう!」


「お、おう……。」



 なんか金と銀の牛は元々の牛より正々堂々としていた。なんか見た目だけじゃなくて中身までキレイになっているようだ。これではまるで魔王感がゼロではないか! 完全に別人なので戦う気がしない。



(ザバァァァァァァッ!!!)


「こらぁーーーーっ!! なんで本当のことを言ったぁ!! そこは敢えて、金か銀を選ぶところだろぉ!!!」


 さあ、戦うかと思っていた所、泉から凄まじい水しぶきを上げて牛が出てきた。キッタナイ方のヤツが。出てくるなり、ブチ切れている。俺の選択が気に入らなかったらしい。ん? 何か間違えたかな?



「こういう展開のテンプレというものがあるだろうが!! 正直に答える奴がドコにいるんだ!!!」


「目の前にいるでしょうが。ていうか、俺は答えてもいないぞ? 勝手に解釈した女神さんサイドにも問題がある。」


「こんの、th1yryh2rbjr82j!!!!!!」

※聞き苦しいとは存じますがオリジナルの音声でお届けしています。


「ちょっと何言ってるかわかんない?」


「もういい!! 解除だ、解除!!!」



 牛はさんざんブチ切れた後、解除宣言をした。おそらくこの罠(?)のこの解除を宣言したようだ。目の前の光景が一旦真っ白になり、再びまっ暗闇に包まれた。あくまで解除したのは謎の泉空間だけのようである。ヤツの気配はするが何も見えないのは相変わらずだ。



「なんだこれは!! 真っ暗じゃないか!! コレでは何も見えん!! 罠に嵌めやがったな!!!」


「コレはアンタの使ったお札の効果なんじゃないの? 俺はこんなの使えないから。」


「くそお!! こんな俺の知らん所で発動していたとは!! 夢の泉といい、なんで勝手に発動しているんだ!! 解除ぉ!!!」



 どうやら目が回ってぶっ倒れていた間に色々発動していたことに気付いていなかったらしい。どうしようもない馬鹿だな。そしてまた自ら解除をしたようだが、真っ暗なのはそのままだった。



「おのれ!! なんで解除できないんだ!! 俺の言うことを聞け!! ……ハッ!? もしや、残りの札が一度に発動したということは……?」



 残りの一枚とやらに秘密があるらしい。どうやら、また下手をこいてしまったようである。何度目だよ? ここまで間抜けな相手は初めてかもしれない。罠の不都合だけで終わってしまう展開なんて今まで聞いたことがない。やれやれ。

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