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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第275話 厄介なトラップのオンパレード!


「ぐ、回る!? 回っている!?」



 俺の視界は一点に定まらず、右回りに周囲の景色が変わっていく。コレは明らかに俺の立っている地点が回転している。自分で回転した場合はこれほどスムーズには回れないはず。速度が不規則になるはずだし、一定のスピードで回転している。コレは床が回転しているとしか思えない。No.5の罠の効果に違いないだろう。



「どうだ、驚いたか? これぞ”回転床の舞踏場サタデーナイト・フィーバー”だ!!」


「なにがサタデーだ! どうせなら、イチゴ・サンデーでも出しやがれ!!」


「飛んで、飛んで、飛んで、回って、回って、回ってしまえ!」



 よくわからんが踊るように回され続ける罠らしいことは理解した。回ると言っているのに、「飛ぶ(※円〇〇)」というキーワードが出てきたのはどういうことだろう? この罠を使うときの常套句みたいなモンなんだろうか? 若干、歌っているようにも聞こえるのがムカつくポイントだ。さっさととっちめて、パフェでもサンデーでも驕らさせてやりたい。



「ぐはぁ!? し、姿勢が保てない! 目が回る!!」


「フハハ、とうとう目がまわり始めたな? そのまま立つことさえままならないまま、止めを刺されてしまうがよいわ!!」



 くそ、流石に三半規管を責められたら防ぎようがない! いくら体を鍛えようとも、関節技を防げないのと同じで、生理現象だけは食らってしまったら防ぐことが出来ない。眠りとか、窒息とか生き物としての弱点を責められたらひとたまりもない。これだけは武術とか身体能力とかでどうにかなるものじゃない。そういう意味ではうまいところをついてきたと言える。どうせ、アイツ自身もそこまで考えてはいないと思うが、効果覿面なのは間違いない。



「今度こそ角で貫いて、じわじわといたぶり殺してくれようぞ!」



 倒れている間に牛は近づいてきた。でも途中から、奴の動く軌道がおかしくなっているのに気付いた。なんだ? 余裕ぶってわざとおかしな歩き方をしているんだろうか? というか、まさか……?



「お、おおう!? しまったぞ! 俺までクルクル回ってしまうではないか!!」



 やっぱ、馬鹿だった。自らの罠に嵌ってしまっている。そのまま遠くから攻撃すればいいものを近づいてとどめを刺そうとしたのが裏目に出てしまったようだ。自分さえも罠に巻き込まれることを想定してなかったらしい。ここまでお馬鹿だとは……想定外の事態だ!



「ほぇぇぇぇっ!? き、気持ち悪ぅ! 目が回る! 足がもつれるぅ!!」


(ドタァァァン!!!!!)



 しまいには豪快な音を立てて牛はその場にぶっ倒れた! しかも目を回して吐いた自分の吐瀉物の上にである! 汚え! 「策士、策に溺れる」とはこのことか? いや……こんなヤツは策士とは呼べないのかもしれない。「生兵法は怪我のもと」のほうが正しい表現かな?



「おのれぇ!? よくもやってくれたな! 卑怯者め!!」


「お前が馬鹿なだけだろ! それは自分がはった罠だろ!!」


「嘘つけ! お前がそうするように仕向けたのがいけないんだぞぉ!!」


「仕向けるか、ボケ! お前が持ってる罠の内容まで知ってないと成立しないじゃないか! そんなことはどうでもいいから早く罠を解除しろ!!」



 無限に回転し続ける床はようやく停止した。自ら使った罠なら自分で解除すればよかったものを、こちらが指摘してようやく気付いたようだ。コレ、後からやって来た人が見たら、とんでもない死闘の後に見えるんだろうな。ろくに戦闘すらしていないのに双方がぐったりしているというなんともシュールな光景である。



「く、くっそう! ここまで俺を追い詰めるとはやってくれるな!!」


「はあはあ、お前自身の失態でこうなっただけだろ? 人のせいにするんじゃない。」



 元のコンディションに戻るまで時間がかかりそうだが、こちらが先に復帰できそうな気配ではある。相手はまだぶっ倒れたままで目を回している。チャンスの到来である。今の内に倒してしまおう。



「遠慮なくこのまま倒させてもらうぜ。俺はこの先に早く進まないといけないからな!」


「ぐうぅ! 卑怯だぞ! ぐふぇっ!?」



 復帰できないままで気分を害している牛だったが、その時むせこんだ勢いで偶然にも残りのお札、計3枚が懐からこぼれ落ちた。しかも、お札が発光している! まさか、トラップカードは発動してしまったのか?



「ええい、くそ! 発動し切る前に倒してやる!」



 と、急いで必殺の一撃を食らわせようとした。しかし剣を構える間に、視界が一瞬にして真っ暗(※ダークゾーン)になってしまった! 見えなくとも気配で探って斬ってしまえば問題ないかと思いきや、その気配すら消失した。異変はそれだけでは留まらず、急に体がフワッと浮くような感覚を感じた。



「はっ!? あ、あれ?」



 まっ暗闇から急に明るい空間に切り替わった。しかもまわりの風景が今までと違う! なんか森の中の泉の前にいた。突然の出来事に戸惑っていると、目の前の泉に異変が起きた! 何かが浮上してくる!



(ザバァァァァァァッ!!!)



 中から出てきたのはキレイな女性だった。昔話に出てくるような女神みたいな格好をしている。なんか神々しさすら感じる。何者なんだ? それよりも牛はドコへ消えてしまったのだろう?



「あなたが落としたのは、この金の牛と銀の牛のどちらですか?」



 女性の両脇に金色と銀色の牛の魔王が浮上してきた。こんな展開、前にも見たような気が……。大洋の騎士が海に入って溺れた時と同じ展開である。なにこのテンプレ的な展開は? なんか選ばないといけないのか、コレ?

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