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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第271話 アンタら、ちよっと頭弱くない?


「俺は雲の王クラウド・タイガー様だ!」



 俺達の旅は順調に進み、次の封印を守っている雲の王の所まで辿り着いた。海の王の時と同じく、塔の途中の階層にある別世界に通じる扉経由でやって来たわけだ。陸地らしい陸地が雲しかない世界で、まわり一面が空! 陸地代わりに雲が存在している。なんだか天界とか神の世界を思わせる様な光景である。



「あの〜、どこかでお会いしませんでしたっけ?」



 そんな世界観の中に荘厳な宮殿が建っていたので、その中に入り、だだっ広い宮殿内を歩き回った結果、主がいる玉座の間に到着したわけだ。しかし、主は白い虎の獣人だった。しかも、どこかで見覚えがあるような……?

「な、何を言っているのだ! そんなはずはない! 貴様らとは初対面のはずだ!!」



 虎男は半ギレで抗議している。無いとは言っているが、俺には見覚えがある。色違いだがソックリなのを倒したことがある。そう……虎の魔王だ。奴は俺が初めて倒した魔王であり、まだ自分用の剣が完成していなかった頃に出くわしたので、苦戦した思い出のある相手だ。

 

 だからこそ印象深い。見間違えるはずがない。だって色が違うだけなんだから。イメチェンのために脱色したとか、ストレスで毛が白髪になったと言われたら余裕で信じてしまいそうなくらいだ。



「またまた〜? そんな真っ白になって引退したつもりで隠居しててもわかるんだぜ? 俺とアンタの間柄じゃん?」


「へぇ? 旦那、この大将と知り合いだったんですかい?」


「違う! 断じて違う! 俺は虎の魔王ではない! 勇者などと知り合いなわけがあるかぁー!!」


「おろ? ”魔王”とか”勇者”ってワードは一言も発していないんですけどねぇ?」


「ハッ!? しまった! 俺様としたことが!?」



 なんか引っ掛けるつもりとかもなく、普通に暴いてやろうとしたら相手の方があっけなくボロを出した。なんなんだろう? この嘘を隠すのが致命的なまでに下手くそな魔王は?



「やっぱ、魔王の中で一、二を争うほどのオツムの弱さってのは本当だったんだな? クルセイダーズの中でも語種になっているらしいぞ。ヤツらは脳筋だってな。」


「誰がオツムが弱いだぁ? もっぺん言ってみろ!!」


「そうだぁ! 俺達を馬鹿にするやつは許さん!!」



 おやおや? 今度は「オツムが弱い」というワードに釣られて、隠れていたと思われる相方まで出てきてしまった。言うまでもなく正体は”牛”である。しかも赤い! まっかっか! もともとの体色なのか、怒りによってそうなったのかは判別がつかない。



「なんだ。おそろいだったんじゃないか? 魔王最弱コンビ。」


「誰が最弱だ! パワーだけなら他には負けんぞ!」


「同じく、怒りのエネルギーなら他の連中には引けをとらん!」


「ていうか、おたくらソレぐらいしか強みが無いんでしょう? そら、羊の魔王の罠の一部に取り込まれるはずだわ。」


「ち、違う! 俺達は決してハリスなんぞの使い魔になったわけではない!」



 羊の魔王によって蘇った虎と牛の魔王。といっても本当に蘇ったかどうかは疑わしい。どちらも俺が”八刃”で跡形もなく消し去ったはずなんだ。ここは羊の魔王が作り出したと思われる仮想空間。現実ではないからこそ、コイツラは蘇ったのかもしれない。



「もうバレてしまったのなら仕方ない。貴様に復習する機会がやってきたのだ! この恨み晴らしてくれようぞ!」


「お前とは直接会ったことはないが、相棒を倒し、俺のコアの破片を壊してくれた礼はさせてもらうぞ!!」



 虎は直接対決したが、牛と直接会うのは初めてだな。倒したのは先々代の勇者シャルル・アバンテだ。先代勇者カレルの師匠でもある。だから、直接恨まれるのはいまいちピンと来ない。だけど、俺には恨む理由はあるけどな。



「うるさいぞ、牛! お前は特に念入りに倒してやるからな! お前のせいで苦しんだ女性が二人もいるんだからな!」


「な、何のことだ? 殺した人間、特に女なんていくらでもいるから、どこの誰だかわからんな?」


「忘れたとは言わせねー! お前が死の間際に苦し紛れの一撃をシャルルに食らわせただろ!」


「ん? あれか……? あの攻撃は邪魔されたんだよ、あの女に! あの女のせいで勇者を道連れにし損ねたんだよ! 腹が立つぜ! 思い出しただけでも苛ついてきたぞ!」



 シャルルをかばった女性の名前までは憶えていないようだ。エルのお母さん、エルフリーデさんの名前を。随分前に亡くなったから生前の彼女には出会えていないが、本人が残していた遺言の様な記憶の世界を通して会うことが出来た。そういう意味もあって、牛の魔王への制裁を加えてやれる機会がやって来たのは、ある意味で願いがかなったとも言える。



「なんだかよくわかりやせんが、あの牛と因縁があるんスね、旦那は?」


「ああ、そういうこった。虎はともかく牛は俺が必ず倒す! 手は出さないでくれよ。」


「いいじゃないか。アタイもその気持ちはよく分かるよ。その復讐サポートしてあげるよ!」



 仲間二人も事情を察してくれたみたいだ。とはいえ虎の魔王は俺に恨みを持っているから、容易には事が運ばないかもしれない。だが、このチャンスは必ずものにしてみせる!

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