第262話 日常がエンドレス!?
「なあ、オレ達、いつまでこんな事を続けないといけないんだろうな?」
「さ、さあ? 卒業するまででヤンスかね?」
授業の合間の休み時間、あっしらは普段どおりの世間話をしているでヤンス。この生活が始まって、かれこれ一月と半分くらいが経過したような気がするでヤンしゅ。毎日毎日、勉強して、セクハラして、お仕置きされ、筋トレという名の拷問を受けてたらあっという間でヤンしたね。時間も湯水のように消費された結果、今があるんでヤンス。
「卒業っていつまでやるんだよ? オレ達は面妖な物の怪風情を成敗するために塔に入ったのではないのか? 訳のわからない隔離空間で時間だけを無駄に経過させているだけではないか!」
「脱出方法がわからんので、探りながら生活するしかないんでヤンスよ。時間に関しては異空間と現実では時間の流れが違うらしいでヤンスから、気にしてもしょうがないでヤンス。」
前にアニキとかサヨ姐さんが言ってたでヤンス。魔法で作ったマボロシの世界は時間の流れがおかしくて、現実に戻ってくると、ちょっとしか時間が経ってないっていうのはよくある話らしいでヤンス。
確かにこっちでの時間経過は何か物事が一瞬で終わるときがあるんでヤンス。実際の出来事は省略されたみたいな? だから記憶に残ってない部分も多いんでヤンしゅ。でも、筋トレとかシンドイのは時間が長く感じるんでヤンスよ! 理不尽でヤンしゅ!
「お前、ぱらめーた、とやらはどうなってる?」
「ああ、コレでヤンしゅね? 相変わらず筋力が上昇する一方でヤンスよ。非モテ力はそのまでヤンスのに……。」
「フッ、それは良かった。そうであればオレは安泰だ。」
「ヒドイでヤンしゅ! あっしら、二人共非モテ度はトントン、どんぐりの背比べでヤンス! ワーストのあっしと1か2くらいの差しかないでヤンスのに!」
「その差が命取りよ! 最早、オレとお前の間とでは超えられない壁が存在しているのだ! それが人間様と野良犬風情の差よ!」
この人、コトあるごとに、あっしに対してすぐマウント取ってくるでヤンしゅ。大差ないお仲間でヤンスのに、優位に立とうとするヤンス。それがアニキと大きな違いでヤンス。なんだか心が狭い小悪党みたいな人でヤンスな。
「その犬と1,2の差しかないのは逆にヤバくないでヤンしゅか?」
「う、うるさい、黙れ! そんな重箱の隅を突くようなマネをしおって!」
「ハハッ、底辺がしょうもない小競り合いしてら! ホント、ダサくてみっともないね!」
あっしらが話していると、ミャーコちゃんが茶々を入れてきたでヤンス。その後ろには気だるそうな感じのエピオン君までいるでヤンしゅ! 相変わらず毎日がデートみたいでウラヤマけしからんでヤンス!
「底辺だなんて言っても、このクソ犬だけが該当していること。オレはあくまで上流階級出身の運のない男なだけですよ!」
「へ〜? その割には”非モテ”なんてパラメータがなんで存在するのかな?」
「いやいや、高かろうが低かろうが誰にでも存在しているはず!」
「ないんだけど? そんな底辺専用パラメータがウチらにあるわけ無いじゃん?」
「はひ? 馬鹿な!? ”モテ力”なんて物が存在している?」
ミャーコちゃんは自分の学生証をあっしらにバーンと見せつけてきたでヤンしゅ! 控えおろう、この紋所が目に入らぬか、という感じで! 確かにあっしらのパラメータ表示にある”非モテ力”が無いぃ! 代わりに”モテ力”が書いてあるでヤンしゅ!
「アンタ達は魔王からも”非モテ力”認定されてんだよ! くそみそ底辺め、恥を知れ!」
「ぎょボーーーん!! しょわばおーーーーん!!」
「こんなところで差が付いているなんて! 差別されているなんて屈辱だ! チクショー、物の怪風情がぁ! 出てこい、その性根を叩き直してくれるわ!」
あまりにも衝撃的で絶望的でビーフステーキな事実に目眩がするでヤンス! なんでヤンスか? 敵からも塩対応、ソース無しで備え付けの塩でお召し上がり下さい的な対応されたでヤンス! ガリバタ、またはレモンバター的なソースでまったり対応を求めるでヤンス!
「お前らのショックなんぞ、犬の餌ほどにも役に立たん。それよりもオレ達はそろそろ脱出への活動を開始する。役立たずのお前たちでも盾ぐらいには使ってやる。せいぜい底辺は底辺らしくしていることだな。」
「なんだ、お前は? 失礼な事を言いおって! オレを誰だと思っている!」
「クソ陰気なメガネ野郎だろ? それ以外に考えられないね。」
「チクショー、ミヤコちゃんのお気に入りだからって調子に乗りやがって!」
脱出作戦が始動してるんでヤンスか? 確かにエピオン君は事あるごとに授業を抜け出して、何かしていたみたいでヤンス。そのせいか、たまに建物内にゴリラの死体が転がっていた事もあったでヤンしゅ。多分犯人はエピオン君でヤンスよ。
「オイ! ここにエピオンとかいうガキはいるか?」
ややっ! なんか怖そうなゴリラみたいな声と思ったら、別の人? なんかイカツそうな感じの人たち数人が教室に入ってきたでヤンス! 名札を見たら……3年生なのが発覚したでヤンス! コレは波乱の予感……。