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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第258話 結局、戦うのかよ……。


「ぎしゃあああああっ!!!!!」


「うおおおおおおおっ!!!」



 海の王とアカが雄叫びを上げながら壮絶な戦いを繰り広げている。海の王の方はともかく、アカは人間(?)だというのに王の体格に負けない迫力で戦っている。手にした斧のみならず、蹴りとかの体術を駆使してもいる。塔の中で倒してきた魔物から得た力を発揮しているからだろうか。



「ヤバイな。下手に加勢したら、アカ本人に当たりかねないくらいに二人だけの戦いになってやがる!」


「吾輩のターンが巡ってこない! まるで週一だけの出番みたいになっている!」


 俺と金曜騎士は攻撃を差し込む隙を見いだせないでいた。俺はともかく金曜騎士は早い段階から戦いに加わっているのにである。行こうとしては引っ込め、振り下ろそうとしてアカに当たりそうになるから寸止め、という行動を繰り返している。アカの

「他のやつには手を出させない!」という意思が伝わってくるようだ。



「もうなんか、獲物は独り占めっていうアピールが半端ないんだけど?」


「こういうときはやる気のある奴に任せとけばいいんでさぁ。ミスったり、負けそうになったら手を貸すくらいが丁度いいんですぜ。」



 ハゲは手を出さなくてもいいと言い張る。とかなんとか言いつつも、たまに槍でツンツンと隙を見てやりを刺している。やってもやらなくてもいいように見えるくらい攻撃が浅い。ちょっとプツッと刺し傷を与えるくらいだ。要領がいいというか、なんというか抜け目のないヤツめ!



「スプラッシュ・ブレス!!!!」


(ばっしゃああああああっ!!!!!!!)



 海の王は大量の海水を吐き出した! とんでもない量の水流にアカも耐えきれず押し流され、吹き飛ばされる! そのまま塔の外壁に叩きつけられアカは気を失いグッタリとしてしまった。互角とも言えた戦いは、たった一撃で形勢が一気に覆された。



「クソッ、残念だが、俺達の出番が来たみたいだ!」


「うおおおっ!! 金曜バンザイ! フライ・デー!!」



 アカの代わりに俺と金曜騎士は海の王に突っ込んでいった! その間にも奴は海水放出の準備をしているようだった。このままでは俺達の誰かが、もしくは二人共、水流に吹き飛ばされてしまうかもしれない。



「フハハ、無駄よ。うぬらはこの水流には勝つことは出来ん! そんなちっぽけな体ではな! くらえ、スプラッシュ・ブレス!!」



 水流という圧倒的な力には人間の力・体格では耐えきることは不可能、とでも言いたいのだろう。水流は容赦なく俺達のもとに放たれ、反応が遅れた金曜騎士は吹き飛ばされてしまった。海の王は次は俺を攻撃するために水流をこちらに向けようとしていた。



「体格が小さければ耐えられないなんてのはただの思い込みだぜ!」



 向かい来る水流に対抗する手段を俺は持っている。それは黃ジイから教わった技を使えばいいのだ。本来は水流に対抗する技ではないが、着想自体はそれに近いものから得たと本人は言っていた。



「天破奥義、鯉躍龍門りやくりゅうもん!!」



 向かってくる激しい水流! そこへ敢えて飛び込み、逆流して相手の懐に向かって泳ぎ進む! 鯉の滝登りを参考にした技で、黃ジイが披露したときはラヴァンのスター・バーストをすり抜けるのに使用したという。



「たまげたぜ! 旦那が水流ブレスを泳いで遡ってら!」



 ハゲが呑気に俺の戦いぶりを眺めているようだ。それに構わず俺は順調に水流を遡り、一気に海の王の口に飛び込む! もちろんただ飛び込むだけでなく、”虎穴獲虎衝”の体勢で剣を突き出しながら突っ込んだ!



(ドブッ!! ばっしゃあああああっ!!!!)



 海の王の口から入り込みそのまま、奴の後頭部から突き抜ける。こうなればいくらでかかかろうと生きてはいられない。突き抜けた後、俺が着水したと同時に海の王は崩れ落ち海の浅瀬に倒れ込んだ。



「一撃必殺か! 最初から旦那が本気出してりゃ、瞬時に解決だったんじゃないですかい?」


「そんな簡単に行くかよ! アレは追い詰められた状態だったから、とっさの判断で窮地を脱しただけだ。こんなうまく行くとは思わなかったよ!」



 それを使えば簡単に……なんて安易に言ってくれるが、ある程度味方がやられた姿を見たことと、以前に似たような戦法を使ったという経験が大きく影響している。そのどちらでも欠けていれば、今頃俺も壁に叩きつけられていただろう。



「これで先に進めるんだな? 邪魔する奴はいなくなったし?」


「旦那、勘違いしてやいませんか? あっしは言ったはずですぜ。ノルマは既に達成していやしたよ。」


「……?」



 確かに、大洋騎士と金曜騎士が入れ替わった時にそんなことを言っていたし、塔に戻ろうとしていた。先に進むための封印を解く条件は四天獣とかいう奴らを倒す、ということではないとでも言いたげだ。



「その前にノルマってなんだ? お前、何か知ってるのか?」


「さあて、どうでしょうね? あっしからは何も言えませんぜ。ただの口からのでまかせかもしれやせんぜ?」


(チーン!!!)



 俺がパッチラーノを怪しんでいたら、またあの謎の音がなった。となればアレも……案の定変わっていた! 今度は手の甲の数字が”2”から”5”に変化している! 一体何が起きたというんだ?



「旦那、先に進むには犠牲ってモンが避けられないんでさぁ。逃げれば一つ、薦めば二つってどこかの誰かが言ってましたぜ。」



 犠牲? 何の話をしているんだ? 言葉の意味はわからんが、他の仲間のいる所で異変が起きていた。アカが金曜騎士の元に駆け寄り、引き起こそうとしているが奴はグッタリとしたまま。そして、海の王の体から出てきたのか大洋騎士と銀色騎士の体が砂浜に横たわっている。両者共に動かないままだ。まさか、3人共……死んでしまったのでは?

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