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【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第257話 ”頭痛が痛い”みたいな名前!?


「なんだぁ、こいつは!? 海の主か!?」



 海に沈んだと思われた大洋騎士。それを咥えて現れたのが謎の巨大生物。蛇のような長い体に大きく牙のぎっしり並んだ縦に長い口。蛇に近い容姿をしていると形容するしかないが、東洋独自の幻獣”龍”に酷似してもいる。絵画とか壁画、あるいは壺とかにも描かれていたりする、俺の祖国では馴染み深い存在。でも、こんな西の国で見かけるとは思わなかった。



「コイツはアレですぜ! 塔の四天獣の一つに違いないでさぁ!」


「塔の四天獣? ナニソレ? 塔を牛耳ってるボスみたいなもんか?」


「その通り、コイツは”海の王シー・ソルト”ですぜ!」



 うん? 今なんて言った? シーにソルト? 海と塩……? おいおい、なにそのやっつけで名付けたみたいなやけくそなオモシロネームは! なんか魔王マオとか勇者ユウ・シャアみたいな名前をつけるな! 適当にも程があるぞ!



「うぬらに問う。この鎧男を見捨てたのはうぬらか?」


「え? 見捨てたというか、助け損ねただけなんだけど? どんどん一人で海に入っていっちゃうから……。」


「それとも、こちらの銀の鎧男か? 金の鎧男か?」



 俺の言い分を無視して海の王は他の選択肢を出してきた。大洋騎士ホエールをホエッと吐き出し、続いて姿格好がそっくりで色違いの金と銀の騎士を続けて吐き出した。なんか意味のわからない光景が立て続けに発生し、思わずツッコミのタイミングを見失ってしまった。



「いやあ、当然その金ピカだろう。なあ、旦那? 旦那もそう思うだろ?」


「は? いや、お前、何言って……、」


「旦那ぁ、察しが悪いですぜ? 最初からアイツは金色だった。それで間違いないっすよね?」


「な、お前、まさか……、」



 コイツ、初対面からガメツイ奴だとは思っていたが、ここまで外道だとは思わなかった。仲間を見捨ててまで利益を優先する行動をとるとは! しかも大洋騎士の鎧の色が金になりそうな色に変わっただけでコレである! 後で身ぐるみ剥いで装備を売り飛ばすなんて企んでいるんだろうか? そんなん、ただの野盗じゃないか!



「ではこの金の鎧男がうぬらの仲間と申すのだな? では、うぬらに返してやるとしよう。もう、見捨てるではないぞ。さらばだ!」


(ばっしゃああああああん!!!!!!!)


「あれ? 帰っちゃった。」



 金の鎧男だけを残して、大洋騎士と銀の騎士を飲み込み、海の王は海に帰っていった。ウソなのに信じてあっさりと帰っていってしまった。いいんだろうか? その間に少し思い出したんだが、これと似た話があったような? 泉に斧を落としたみたいな話が……。


(チーン!)


「わっ!? なんだ!?」



 また、あの音だ! 塔に入る直前に聞こえたあの鐘のような鈴のような音! 恐る恐る手袋を外し、左手の甲を見てみると数字が”1”から”2”に変化していた。これは何を意味しているのか? 何がカウントされたのだろう?



「ハイハイ、ノルマ達成ですぜ。次に行きやしょう。」


「意味わかんねえよ! アイツはどうするんだ? ホエールのことは放って行くのかよ?」


「旦那? 意味のわからないことを言ってはいけやせんぜ? 大洋騎士は金色になった。それいいじゃないですかい?」


「吾輩は金曜の騎士フライデール! ザワツク金曜日! 金曜ロードショー! 金曜日バンザイ!」



 ノリは似ているが全然別人だ。アレだけ大洋・海を力で推していた、あの男が今度は金曜日の回しもんみたいになっている。しかも言ってる単語は意味不明で更にキャラがおかしくなっているぞ!



「ちょっと待てよ! コイツ、ノリは似てるけど別人じゃねえかよ!」


「細かいことは気にしない約束ですぜ、旦那?」



 パッチラーノは俺の抗議に耳を貸さずに塔の中に戻ろうとしている。それに金曜の騎士、アカがついていくような感じだ。アカも何も言わずに淡々と従っている。戦いのときはアレだけ行き急ぐように捨て身で戦っていたというのに! この件には全く口出しすらしていない。なんなんだ、コイツラは!



(ばっしゃああああああっ!!!!!!!)


「おとなしくうぬらを見逃すとでも思ったかぁ!!!」


「うわあ!? やっぱりウソついたのバレてるじゃないか!!」



 海の王再び! 見過ごしたと見せかけて、しばらく様子見してから再度登場した。やっぱ、あの有名な小話と同じで、人の正直さを計っていたようだ! 本当のことを言えばこんなことにならなかったはずでは? あの話ではそうだったし。



「やれやれ。旦那がモタモタしてるからですぜ? どーんと構えていれば、こんなトラブルも回避出来たはずなのにねぇ。」



 パッチラーノは肩をすくませ、俺の言動、行動を避難する。文句を言わずにおとなしく速やかに塔に戻っていればやり過ごせた、とでも言いたげだ。そもそも、ウソさえつかなければ、こんなことにはならかなったはずでは……。



「うおおおおっ!! 魔物、殺す! 喰って力を奪い取る!!」


「吾輩も加勢しますぞ!!」



 アカと金曜騎士は海の王に向かっていく。海の王もそれに負けじと応戦の姿勢を見せた。激しい戦いが始まり、砂と海水を周囲にぶちまける! 下手に近寄っただけでも怪我をしてしまいそうな勢いである。



「旦那はこの塔での生き方をわかっちゃいない。そんなことじゃあ、一生、塔のテッペンには辿り着けませんぜ。」



 パッチラーノは俺に呆れた素振りを見せながら、アカと金曜騎士のために加勢しに向かった。その手には長槍と大きな盾を持っている。言いたいことは色々とあるが……先に海の王をなんとかしないといけない。続きはそれからだ。


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