表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~  作者: Bonzaebon
第4章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
256/406

第256話 喰うか喰われるか


「あれ? でも、なんかおかしいぞ?」



 アカ・シャッセの驚くべき能力、その種族特性を見たり聞いたりした俺は驚きを隠せなかった。傷が早く治ったり、相手の能力を取り込んだりするのは理解できる。でも、その上で、ある疑問も浮上してきた。



「なあ、アイツって体の一部が怪我してなくなったから、義手とか義足とかになってたよね? 魔物を喰ったら新しく手足が再生したりとかしないの?」


「おっ、流石に脳天気な旦那もそれに気付きやしたね? 確かに普通に手足を失っただけなら再生するでしょうぜ。でも、コレには特殊な事情があるんでさぁ。」


「特殊な事情とは?」



 素朴な疑問をぶつけ、能天気とか言われてちょっとムカついたが、パッチラーノは事情を知っているようだった。やはり普通なら手足がもげようが元に戻るらしいことはわかった。たしか……アカが手足や目を失った理由は敵にやられたからだと言っていた様な気がする。それが関係してるんだろうか?



「やっぱ、敵が影響してるのか?」


「その通り。意外と冴えてるな旦那。ありゃあ、アイツの敵の特殊能力”ライフ・リーチ”による影響でさぁ。相手の体の一部を奪い取り、自らの物にすることが出来るエグい能力なんですぜ。」


「奪い取る……ってそれをソイツは一体どうしてるんだよ?」


「そのままの意味でさぁ。あとは自分で想像してくだせぇ。単純なイメージそのままでさぁ。」



 なんか、コイツ、俺を薄っすら小馬鹿にしてくるな。腹立つ。奪った手足をそのまま使っている……それを想像すると、手足が余分に付いているということになる。ただの化け物じゃないか。ていうか、そいつのデフォルトの姿が人と同じとも限らないんだが。考えれば考えるほどおかしな生き物だというのがわかってくる。この世界は色々とイカれている。



「皆さん、怪しげな扉を見つけましたぞ!」



 俺らがアカ・シャッセの事で話し合っている間に大洋騎士が何かを発見したようだ。奴のところへ行ってみると、大きな扉があった。この塔の入口、一階にあった扉と同じくらいの大きさがある。大体は上に通じる階段ばかりだったことを考えると、何らかの節目であることを示しているのかもしれない。



「中には何が……?」


「ああ、やっぱり、この塔の要所要所に封印が施されてるって話は本当みたいですぜ。あそこにある階段は塞がれてるから、そういうことなんでしょうぜ。」



 扉のことを話そうとしたらいきなり、封印がどうとか言い出した。最初入る時も4人で入るという制約があった。それのことを言っているのか? 上に行くには何らかの制約を乗り越えないといけないのだろうか? 



「封印ってどんな? そこまで色々知ってたら、それの知識もあるんだろう?」


「さあ、わかりやせん。とりあえず扉の中に入ってみましょうや。」



 ここまで色んな情報を喋っておきながら、都合よくソコだけ知らないとはどういうことなのか? 問いただしても、揉めるだけなので、俺はおとなしくパッチラーノの方針に従った。他の二人も扉の中が気になっているようだし……。



「扉オープンでござい!」


(ギギギーーーッ!!!!)



 パッチラーノは大きな扉をゆっくりと開け放った。長いこと閉めっぱなしになっていたためか、盛大に軋む音が塔の内部に木霊する。その先の光景は……果てしなく続く青い色だった。



「う、海……海だーーーーッ!!??」



 何が青いのかと思ったら、海の青色だったのだ。こうなると当然、大洋の騎士は黙ってはいない。気付いた瞬間に大興奮の様子である。ヤツが探し求めていたものが早くも見つかってしまったのである。じゃあ、目的達成ってことなん?



「やはり、海はいいな! 原子力の海よ! ああ……見ているだけで滾ってくる! 生命の海、フォーエバー! 大洋、バンザイ!!」


「おい、おい! 落ち着け! そんなはしゃいでもいいことなんて何もないぞ!」


「まるでガキそのものでさぁ。もう誰にもヤツを止められやせんぜ。」


「でも、止めないとやばいぞ! アイツ、鎧を着たまま突っ込もうとしてる! このままだと確実に溺れるじゃないか!」


「今までの戦闘が十分に準備運動になってまさぁ。止めるこたぁないですぜ。」


「そんなのが準備運動になるかぁ! というかそういうの関係なしに鎧着たままだと沈むだろ!」



 鎧のまま海に突入しようとしているのを止めずに、適当なことを言って見ている、おしゃべりハゲ野郎。仲間を失う可能性があるというのになぜか能天気に構えている。俺は急いで大洋騎士を止めるために駆け寄るが、中々追いつけない。もうすでに奴は着水し、腰のところまで海水が到達していた。



「原子力の海よ! 大洋バンザイ! 我に力を……ガボガボ!」



 大洋騎士はどんどん深いところへ入っていくが全く止まろうとしない。それどころか完全に浸かってしまい、息すら出来ない状態に陥った。このままでは確実に溺れ死ぬ。助けに行きたいが、俺も中に入ったら沈んでしまう。



「へへ、やっこさん、海の一部と化してしまいやしたね。」


「言ってる場合か! 仲間が大変なことになってるんだぞ!」


(ばっしゃああああああっ!!!!!!!)



 俺がハゲ野郎に講義をしている最中、大洋騎士が沈んだ辺りで巨大な水柱が立った! 水柱の中から現れたのは、巨大な蛇のような怪物だった! その口には大洋騎士が咥えられている。一体何なんだ、この世界は? コイツの正体は何者なんだ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ