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第222話 は〜いるのか、は〜いらへんのか、どっちやね〜ん?


「うへへ〜! いいではないか! 減るもんじゃないし!!」


「物理的には消耗しなくても、そのようにベタベタされては、私の精神は確実にすり減りますわ!」


「だったら白状するんやで? その義手の入手経路を白状しなしゃい! 仲良くなってすり減った精神を埋め合わせてあげようじゃないか?」



 プリメーラさんはヘイゼルさんにまとわりつき、執拗に義手のことを羨ましそうに撫でている!まるでその様は男性が女性を口説き落とそうとしている風に見え、両方とも女性のはずなのに錯覚でそう見えてしまう。



「だから……これは特別なもので、売り物ではありませんの! 私とおじさまの絆の証なんですの!」


「絆? だったら私とも絆を作って絆を共有して……義手も共有したらキャッキャウフフな生活をエンジョイできるんちゃうの? それでええんやないかい?」


「絆は共有できるものじゃありません! さっきからなんですの? キャラが崩壊して男性の変質者みたいになってますわよ!」


「今は大人気アイドル改め、かわいい子スカウトしまくりおじさんになってるんじゃい!! まくりまくってめくるミク?」


(バサッ!!!)


「きゃーーーっ!? 何をするんですの!!」



 ああ、プリメーラさんがヘイゼルさんにスカートめくりを! もう完全にセクハラをするおじさんのようになってしまっている! 口調まで10代の少女とは思えないくらいに下品な感じに……。この前、女性化したファルさんに対して男性みたいな性格に豹変してセクハラしていたときとおんなじだ。



「は〜いるのか、は〜いらへんのか、どっちやね〜ん?」


「だから、アナタの勧誘には乗りません! しつこいんですの!」


「そんな事言うてても、ホントは入りたいんやろ? 目がそういう風に言うとる。ワシには手にとるようにわかるんやで?」


「だから! なんで口調がオーク族みたいになってるんですの!!」


「ワシ、じつは正体、オークやってん! 美少女の皮を被ったおっさんなんやで?」


「見え透いたウソを!!」



 プリメーラさんの暴走は留まることを知らなかった。突然の正体がおじさん宣言まで始めてしまう始末。彼女は職業の都合上、色んな人になり切る技能を持っているとは思うけれど、悪い所がでてしまうとこんなたちの悪いノリで暴走してしまうリスクがある。



「あ〜なるほど。馬鹿になるとあんな残念な思考になるんだね。あんなのと張り合おうとしてた、自分が恥ずかしくなってきたよ。」


お嬢さん(フロイライン)? それはあんまりな言い方ではありませんか? あの方、お友達なんですよね?」


「違う! 断じて違う! あんなのとは無関係だ。今までの記憶は消去しよう!」


「えぇ……。」



 ミヤコさんにまで敬遠され、絶交宣言されてしまった。友達……とはいかないまでも、知り合いのおかしな行動を見てしまったら引いてしまうのかもしれない。私の身近な人で例えるとしたら……タニちゃん? でも、子供の時からの仲だから、私は絶交まではしないけど……。


「おおっ!? なんや、姉ちゃん、結構エエ乳してるやないかい!?」


「ちょ、コラ、おやめなさい! ドコを触ってるんですの! いい加減にしないと訴えますわよ!!」


「ええやん、エエやん! 減るもんじゃないし!」


「だーかーらー! そういう事をされると精神がすり減りますの!!」


「減った分は補えばいいんじゃい! というか、ワシにもちょっと分けんかい! 余分に付きすぎなんちゃうか? まな板みたいなワシの胸にちょっと分けるくらいがちょうどいいんじゃあぁ!!」


「きゃあああっ!? たああすけてぇーーーっ!?」



 プリメーラさんのセクハラは激しさを増す一方! でもちょっとだけ素の性別に戻っている。胸のサイズにコンプレックスを刺激されて少し戻ってしまったみたいね。と、その時突風が吹いたと思うと、彼女の背後に長身の男性が現れた!



「いい加減にしろよ、ガキども? お前らが馬鹿やってる間に何人か死にそうになってるんだぞ?」


「ふぁ、ふぁ、ふぁ、ファルしゃまぁ!? どうしてこんな所にぃ!?」


「た、助かった……。」



 一陣の風と共に現れたのはファルさんだった。プリメーラさんの暴走が極限にまで達したところで止めに来てくれた。良かった。これ以上続いていたら、街の衛兵さんに捕まってしまっていたかもしれないから……。



「何をしてたんだ、お前は? 知らない人間相手にバカ騒ぎを繰り広げてた理由は何だ?」



「あ、あの、コレはですね……ちょっとした勧誘行為を……。新メンバーのスカウトを行っていたわけですよ、ハイ!」


「あぁ? お前の勧誘はセクハラが伴うのか? それだったら職権乱用した役人のオッサンと対して変わらんぞ?」


「いやいや、セクハラでは無くてですね、一定のスキンシップを交えた方がいいかと思いまして……。」



 ファルさんの怒涛の尋問が始まった。クルセイダーズの騎士団の間ではある意味名物となっている新人教育がと同じ流れだ。私も何回か、その風景を見たことがある。


 ちょっとおいたをした新人さんがファルさんに問い詰められているところを。そのため、クルセイダーズでは鬼教官として恐れられている。流石のプリメーラさんも恐縮して、違法行為を影で働き暴露されたお役人さんみたいな感じになってしまっている。



「お、お許しくだしゃい! お代官様!!」


「誰がお代官様だ! お前のことはとことん絞ってやるから覚悟しろよ!!」


「いや……絞らないで! 私のは絞るほどお胸がないんですぅ! 所詮、まな板風情なんで!」


「馬鹿野郎、誰がお前みたいなセクハラをすると言った!!」


「ぴえーん! ちょっと期待したのに!」


「だから、お前とは違うと言っただろうが!!」


「ひーん! あっしが悪かったでヤンスぅ!!」



 ああ、これで一見落着になって良かった。でも……ファルさんが少し怪我をしているのが気になる。何があったんだろう? それに加えて、勇者さんやタニちゃんの姿が見えない。知らないところで大変な事が起きていたのかもしれない……。

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