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第217話 死力を尽くして戦え!


「ぬううううううん!!!!」



 鬼は腰だめの構えから凄まじい威圧感を発し、辺りの地面を揺らす! そして龍の顎のように合わせた手の中央部には全てを破壊し尽くしかねない強烈なエネルギーを収束させている!



極凄螺旋獄(きょくせいらせんごく)!!!」


「き、来たっ!?」



 最初に見た暗黒球の3倍くらいはありそうな暗黒の破壊球が俺達二人を飲み込まんとして、こちらに向かってきた! あの時も薺月八刃を使わないと相殺出来なかったわけだが……これはそれ以上の力を以て迎え撃たないと、相殺しきれそうにない!



「天破陽烈八刃斬!!!」


「うぬの持ちうる最大の奥義か!」



 これ以外に選択肢はなかった。生半可な技ではどうにもならないと直感したので、出し惜しみせず最高奥義を繰り出した! 俺の技、陽光の斬撃は暗黒球を真っ二つに切り裂き、消滅させた。なんとか凌いだ。なんとか……だが。



「我の螺旋獄をも相殺したか。だが……、」


「くっ……はうっ!?」


「全力の一撃、それ故に体が持たぬようだな。だが、我にはまだ余力がある。最大の奥義ではないからな。」



 つまりはそういう事だった。あくまで天破陽烈八刃斬は決めの技、これを最後の一撃にしなければ、次が持たない! 俺も体力には自身があるが、流石に全力の一撃を使った後となるとしばらくはまともに動けない。


 こんなんじゃ、アイツを倒すことが出来ない。当たれば倒すことは出来るだろうが、容易には当てさせてくれないだろう。さっきの無我夢中で放った一撃のおかげで相手は警戒しているようだ!



「これが我とうぬの差よ。戦における余力は自らの生死を左右する。特に我のように独力で覇を目指すものにとっては当然の心得よ!」



 たった一人で戦線を張るわけだから、体力、戦闘力を極限まで高め、過剰とも言えるほどの鍛錬を施しているのだろう。どのような戦いでも相手には常に底を見せない立ち回りをする必要があるに違いない。一人で戦うとはそういうことなのだろう。



「フン! 所詮ゴミだな! あのようなことだけで萎れるとはだらしのないやつよ!」


「フハハ、我に怯えて竦み、失禁をするに至った男が言うことか?」


「黙れぇ!!!」



 俺が動けないのを見てティンロンが代わりに鬼との戦いを継続する。俺を罵ってはいるが、遥かに恥ずかしいやらかしをしたのはアイツの方だ。鬼にさえそれを指摘されている。


 だが、奴の動きは俺と戦った時と比べて洗練されているような気がする。妙に自身に満ちていると言うか、変に力んだ感じがなくなったように思える。コイツは見下す相手がいて自尊心が保てる状態なら本領を発揮できるのかもしれない。



「少しは実力を発揮できるようになったか、刀覇の小僧? 我を存分に楽しませてみよ!」


「貴様のような外道に負けるわけにはいかんのだ! ゴミの前では醜態を晒すわけにはいかんのだからな!」



 技の精度や速さだけなら、俺よりティンロンの方が上。その証拠にわずかずつだが鬼にダメージを与えている。このままアイツに押さえてもらって、体力を回復させた後に俺が加勢すればなんとかなるかもしれない。あの一撃を入れることだって夢ではない!



「戦技一❍八計が一つ、”朧月透刃(ろうげつとうじん)”!!」



 剣技における”空隙の刃”に相当する技だ! 受けのカウンター技である”空隙の刃”とは違い、こちらは攻めの技になっている! まるで幻のようなフェイント駆使した斬撃を浴びせる技、大抵、一撃目はフェイントで、二撃目に本命を入れる構成になっている。またはその裏を書き一撃目を本命とする場合もある。二刀流なら更に幻惑効果が高い、非常にやっかいな技なのだ!



「夢幻の中で死に行くが良い!」


「ふんぬ! このようなまやかしが割れに通ずるとでも思うたか!」



 一撃目はフェイント、その裏から忍ばせた反対側の刀で本命の一撃を狙った! しかし、それは難なく防がれ、二撃目に移行し、攻撃を入れるが防がれる! 左手側の刀の二撃目を入れるが……それを空振りすると見せかけ、刀を放り投げた! 落月鳳旋に移行したのか!



「愚かな! その技は我に通じぬと知っておるはず! 無駄なことよ!」


「オレの様な天才は二度も同じ過ちはしない!」



 投げた刀を待つ間もティンロンは激しい攻勢を緩めなかった。鬼の減らず口を塞ぐかのようにとめどなく攻撃を仕掛けている! その間に俺も少し回復した。加勢するなら今だ! 鬼とはいえ、同時に三方向からの攻撃は苦しいはず!



「落鳳破!!」


「そのようなそよ風同然の攻撃など!」



 俺が牽制代わりに放った斬撃は鬼の渾身の正拳突きでかき消されてしまった。だがその隙をティンロンは見逃さなかった。刀を低く構えつつ鬼に突進していく! これはあの技の体勢に違いない!



龍髭撫摸(りゅうぜん・ぶも)!!!」



 完全に入ったと思いきや、鬼は上体を後ろにありえないほど反らせて回避する形を取った! こんなの人間に出来る動きではない! あの体勢で立っていられるはずはないんだから! ありえない体勢に気を取られているところへ鬼は元の体勢へ戻る勢いを利用してティンロンへ頭突きをかました。ティンロンは頭を強烈に打ち付けられ昏倒し祖運いなっている。そこへすかさず俺が鬼に斬りかかる。



「この化け物めぇ!!」


「我が身を悪鬼羅刹と化してこその修羅道よ! 全ては戦いを制してこそ、初めて覇を唱えることが出来るのだ!」


「ちょっとなにいってんのかわかんない! 頭おかしいよ、アンタは!!」



 無我夢中で連続的に攻撃を加える!立ち止まる隙きを与えないように続けざまに攻撃を重ねる。その先に勝利があることを信じて! その間にティンロンも再び加勢し始めた!


「破竹撃!!!」


「落葉割旋!!!」



 同時に技を放つが俺達の攻撃は防がれた! どちらも手で刃を掴まれ阻止された。そう…躱していない。鬼の動きはそこで完全に停止した!



「バーカ! 完全に俺達の策にハマりやがったな!!」


(ドスッ!!!)

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