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第21話 犬の魔王の実体とは?


「で、どうなんだ? 犬の魔王の実体は?」



 お祭りも無事終了し、ゆったりとくつろげる時間が取れるようになった。とはいえ、今回の事件で色々気になる点はあったのでファルに質問しているところだ。特に犬の魔王のこと。



「ハッキリ言って、今までの情報はアテにならない。」


「なんだよ? そんなに謎めいた魔王なのか?けっこう謎要素なさそうな魔王なのに?」



 クルセイダーズと言えば対魔王軍対策もしっかりした組織だ。それだけにありとあらゆる情報、記録が世界中から集めているようだ。魔王の行動傾向、能力、勢力圏などの情報も豊富なのだ。にも関わらず、黒犬を一目で魔王と見なせなかったのは何故なのか? 虎や猿、羊の情報は割とあるのにな?



「今回の事件までは犬の魔王ってのは死んだことになっていた。」


「何ぃ!? いたじゃん、現実に! 俺と交戦、共闘したじゃん!」


「お前は犬の魔王の実体を知らなすぎるから、そんな事が言えるんだ。」


「どういうこと?」


「犬の魔王は襲名制なんだよ。ある意味、勇者と同じシステムを使ってるらしいんだ。」



 勇者と同じシステムを使っているだと! 魔王側もそんなことをしてるのか? でも、デーモン・コアってアイツらにとっては心臓みたいな物なのでは? イマイチ頭の理解が追いつかない!



「あくまでその可能性が高いってことさ。魔王自身が言ってたわけじゃない。過去の記録から推察した結果がそれだ。時代ごとで容姿や性格が大きく異なるんだ。」



 時期によって違いがあると? なるほどそれなら勇者と同じだ。どうやってコアを引き継いでるのかは知らんが。もしかして、猿の魔王のコアみたいに直接体からぶっこ抜くのだろうか? あれは羊の魔王が強奪したようなもんだから実際は違うんだろうけど。



「先代の犬の魔王は法王庁によって討伐された。方法とか討ち取った人間に関しての情報は騎士団側には公開されていない。少なくとも三年程前に死んだことは確認されている。」


「三年前に死んでたのか!?」


「そこから今までの間、出現は確認されていなかった。ガセ情報は多数あった。黒いコボルトが現れたってな。俺としては今回もニセモンだろうと高をくくっていた。」



 先代が法王庁によって倒されていた。しかも、情報は非公開。何か匂うな? それ以降は偽物騒動が多数あったわけだ。毛皮が黒いだけのコボルトくらいいくらでもいそうだし、見分けるのは難しいのかもな。先代が敢えて偽物を多数作っていた可能性もあるし。



「今回はホンモノだった。お前は見ていなかっただろうが、魔王の一撃を使ったのは間違いない。闇の魔力を質量に変換した圧倒的な一撃だった。それこそ不死身のバケモノを再生云々物ともせず、押し潰していた。シンプルだが恐ろしい攻撃だったのは間違いない。」


「ヒェッ……!?」



 血の気の引く話だった。現場に残された、あの黒い染みはそういう過程で発生した物だったのだ。魔族による魔族に対しての攻撃というのはこうも苛烈なのか、と思ったのは事実である。普通にやり合ってたら、決着が付かなくなるから、そういう発想になったのだろう。



「性格や外見は異なるが、知識や経験は時代を追う毎に蓄積されていっている可能性はある。それこそ勇者の額冠と同じだ。コアにもその機能があるんだろうな。」


「成長する魔王か……。」


「それを裏付けるように、昔は最弱クラスの魔王だったが、どんどん序列が上がってきている。現在は序列八位。これはあくまで先代の時の順位だからな。今後、更新される可能性はある。」



 魔王はあと八人いる。虎と牛は俺の手で消滅させ、猿は目の前で殺された。猪もいつの間にかドラゴンズ・ヘヴンによって倒されていたようだし。コアがエピオンの特殊鎧の動力源にされていたのだから驚いた。確かにヴァルなら魔王ぐらい簡単に倒せてしまいそうな気はする。この前もその圧倒的な力を目の当たりにしたところだ。それは疑いようがない。



「それよりも羊の魔王だ。お前のところにスパイを送りつけてきてやがったのか?」


「ああ……。まさか、アイツがスパイとは思わなかった。魔王ってのは大胆なマネをするもんだとは思った。」


「お前の性格を知った上での犯行だろうな。ヤツは用意周到でしれっと恐ろしいマネをしてくる曲者だ。残りの魔王も今までお前が倒してきた魔王よりも狡猾で強力なヤツばかりだ。気を付けろよ。」



 まだまだ魔王軍との戦いは始まったばかりだ。今後どんな形で出くわすかわからない。わかりやすく戦場で出会えればいいが、蛇や羊の様に俺の身内にひっそりと近付いてくるヤツもいる。それでもまだ序列は真ん中くらい。上位のヤツらはどんなに恐ろしいのだろう? 怖くて夜も眠れそうにない……。

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