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第186話 1200万ぱぅわぁの新必殺技!


「な、なんか、騒ぎが起きてるみたいでヤンスね……。」



 アニキ達と離れた後、門前広場がざわざわとした雰囲気になってるでヤンス。やっぱり、ファル兄さんのジェスチャーは気のせいではなかったんでヤンスね。あの時、あっしに対して「この場から離れろ」と言わんばかりに、目線で合図を送ってきてたでヤンス。確かに怖そうな目線を感じてたから助かったでヤンス。一体、正体は何なんでヤンしょ?



「え〜っと、市場は?」



 あっしも買い物をしないといけないので急ぐ必要があるでヤンス。ミスター珍から仕入れた情報によれば市場に目的の店があるらしいんでヤンス。この街の隠れ名物というヤツの!



「さすが、隠れ名物! 中々見つからんでヤンス!」



 市場に入って見渡してみてもよくわからんでヤンス! 珍は簡単に見つけられるって言ってヤンしたけど、土地勘がないと何もわからんでヤンしゅ! あの人は知ってる前提で話してたでヤンスから、あんまり参考になってないでヤンス!



「おう、姉ちゃん、どうしてくれるんや?」


「ごごごご! ごめんなさいっ!」



 おやぁ? 何か怖そうなオジサン達に絡まれてる人がいるでヤンス? ゴツい山賊みたいな3人組のオジサンがブチ切れてるでヤンス! 真ん中にいるオジサンの手には茶色いコーン、足元には色とりどりの虹色の物体が落ちてるでヤンス! 見ると、少し溶けてるみたいなので、多分あれはアイスクリームでヤンス!



「これ、数量限定のフレーバー、”レインボーミックス・ろっくあっぷ”、やねんぞ!」


「これ買うためにどれだけの時間並んでたと思うんじゃい!」


「ひいぃ!? ゴメンナサイ! 弁償しますぅ!!」



 絡まれてる女の子の声……オジサン達の姿に隠れてよく見えないでヤンスけど、随分と可愛い声でヤンス! あっし好みの萌え声でヤンしゅ! どんな顔をしてるのか気になるでヤンス。助けられるなら助けたいでヤンしゅ!



「どれどれ……ほうぁ!?」



 ど、どきーん! ま・さ・かの同種族! コボルトの女の子でヤンしゅう! 小柄で茶褐色の毛に耳の周りと目の周りが黒いのが特徴的でヤンス! あれは伝説の固有種族、タヌンナキ族に間違いないでヤンしゅ! か、か、か、かわいい! ぜひとも、お近づきになりたいでヤンしゅう!



「弁償て、払えんのか、姉ちゃん?」


「それよりも、金で解決出来るわけじゃないんやぞ? 数量限定やから、もう今日は買えないし、次帰るのは一年先なんやで!」


「はわわわっ!? あ、あたしはなんて事をしちゃったの……。」



 よく見たらこのオジサンの一人に見覚えがあるでヤンス? あれは確か、プリメちゃんと初めて会った店にいたような……? 大食い大会で……あっ! 思い出したでヤンス! あの人確か、スイーツ親分とかいう人だったはずでヤンしゅ!



「こういうときはどうなるかわかってるか? 金がないなら体で払ってもらうやで?」


「姉ちゃんは見世物小屋に高く売れそうな気がするんやで?」


「ヒィィィぃ!? それだけはご勘弁を!」


「ちょっと待ったでヤンちゅ!!」



 し、しまったでヤンしゅ! 肝心な時にセリフを噛んでしまったでヤヤンスぅ! かっこよく颯爽に登場するつもりが「ヤンちゅ!」なんて赤ちゃん言葉みたいになっちゃったでヤンスよ! ここはダッシュで割り込みっしゅう!



「あぁ? なんでぇ、犬が来やがったぞ?」


「犬が同族を助けに来やがったのか?」


「い、犬ではないでヤンス! コボルトでヤンス!」



 なんとか割り込みに成功したでヤンしゅ! でも、間近で見るとオジサン達が怖いでヤンス! 怖すぎて恐ろシッコ、になる一歩手前でこらえるでヤンっしゅよ! 可愛い娘の前で大惨事になるのは避けたいでヤンしゅ!



「あん? お前、どっかで見たことあるな?」


「兄貴、この犬、知ってるんで?」


「アレか? ミスターXと一緒にいた奴だろ! 珍しい見た目のコボルトだったから覚えてた! お前、アイツの一味だな?」


「やっぱりスイーツ親分さんでヤンスね! あっしは確かにプリメちゃんの友達でヤンス!」



 間違いなかったでヤンしゅ! ドデカイプリン早食い対決でホイップ追加した後に自爆して居眠りしちゃった人でヤンス! 今回もスイーツ絡みでヘンな事してるんでヤンスね? あっしが成敗してやるでヤンしゅ!



「畜生め! もしかして黒幕はお前か! 俺が甘い物食べようとしたところを邪魔しやがってぇ!!」


「なるほど! ミスターX一味の嫌がらせ、営業妨害行為ってことっすね!」


「ソイツは許せんですぜ! コテンパンにしてやらないと!」



 こ、コテンパンに! ヤバイでヤンス! なんとか対抗手段を思いつかないと! しょおだっ! こういう時はあの必殺技をっ! こういう時のために特訓しておいたとっておきを!



「しゃ、しゃきーん!!」


「お? やんのか、コラ?」


「武器抜いたら、血を見るまで戦いは終わらんぜ?」


「ヤンスかぁ! ヤンスか、コラァ!!」



 あっしのフレイルが火を吹くぜぇ! 抜いたからには血を吸わない限りは収まらんでヤンス! いっくぞ〜! フレイルに二倍の加速を付けて振り回した上で、自分でも回転をして更に2倍の回転力を与えて、3倍の速度で目を回して……、



「ひいいっさつぅ! 1200万回転、タニシアン・デッドリー・ドライブぅ!!!」


(ギュルルルルルルッ!!!!!)


「なんか回ってやすぜぇ!?」


「技の原理はよくわからんが、とにかくスゴイ自信だぁ!?」


(ギュルルル…ドフッ!!!)


「ハウっ!? はうまっちっ!!??」



 股間に激しい痛みが……。誤って自分の股間に誤爆してしまったでヤンしゅ! 敵に行くはずのダメージが1200万パワーの威力が自分に返ってきたでヤンス! もうダメでヤンしゅ!このままではカワイ娘ちゃんに危険が及ぶでヤンしゅ!



「なんかよくわからないけど、オレが来るまでの時間稼ぎはしてくれたみたいだね。ありがと。」


「団長さん!」



 なんか黒い人、黒いコボルトが現れたでヤンしゅ! しかもカワイコちゃんには団長さんとか言われてるでヤンス! この人は牧場に現れたあの人に違いないでヤンしゅう……。

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