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第182話 姉御と呼ばせて下さい!


「ウチをアイドルと思っているようだが、その様な低俗な存在ではないのだよ!」


「て、低俗!? ”あいどる”を見下すなんてできるアルか?」


「もう古い! あれはどっかのしゅうきょー組織がやり始めたプロパガンダに過ぎないのだ! あんなものをありがたがるのは俗物だけだっ!!」


「おお!? スゴイ! 言葉の端々に半端ない大物感を感じるアル!!」



 さっきまで落ち込んでいたミヤコちゃんが息を吹き返した。突然自分を絶賛する同性が現れたので、奮起してしまったみたい。そして自分はアイドルという存在ではないとアピールしている。たぶんそれはあの”肩書き”を名乗るための布石に違いなかった。



「あんなインチキしゅうきょー組織を成敗するためにウチは立ち上がった! ”インフルエンサー”という称号を掲げてな!」


「い、”いんふるえんさー”!? 初めて聞いたアル! でもとてつもなくカッコいいことなのはビンビン伝わってくるアルよ!!」



 聖歌隊をインチキ扱い……。周りに教団関係者がいたら激怒しそうな事を平気で口にしている。聖都でそんな事を言い出したら、捕まった上で一日中説教を受けてしまうと思う。ここが聖都じゃなくてよかった……。



「お姉さんのこと、姉御って読んでいいアルか? 弟子にしてほしいアル! 私はジン・シャンリン言う名前アルよ! よかったら、名前を教えてほしいアル!」


「ジン? なんかどっかで聞いたことがあるような? まあいいや、ウチの名前はミヤコ! スーパー・インフルエンサーのミヤコだ!!」


「おおーっ!! カッコいい名前アル! オーラがプンプン漂ってるアルよ!」



 あらら……弟子入りまでしちゃった。そしてミヤコちゃんも肩書を更に盛って過剰に凄みを効かせようとしている。その一方で私と同様にジンという姓に引っかかったみたい。やっぱり、この兄妹と何か関係があるのかな?



「弱きを助け、強きを挫く! そして、庶民を助け、金持ち貴族の悪事を暴くのがインフルエンサーの役目なのだ!」


「カッコいいアル! ある意味、英雄みたいアルな? でも、”ゆうしゃ”っていう人と似ているアルな? どっちがスゴいアルか?」


「ふっ! ゆーしゃなんてもう時代遅れの概念だ! 現に今、ゆーしゃをやっている男がクソダサダメ男な時点で終わっているのだ! これからはインフルエンサーが世界を救うことになる!!」


「おおーっ!!」



 相変わらず、ミヤコちゃんのロアに対する意見は厳しい……。ダサ…というか地味なだけ。彼は過剰に自分のことをよく見せようとしてないだけだから。決して、かっこ悪いというわけではないのよ……。



「勇者と言いましたか、お嬢さん? その様にお見下しに出来るということはお知り合いなんですか?」


「んん? 何だ、ダサ眼鏡? お前の発言は許可していないぞ?」


「はっ!? はいぃ!! ゴメンナサイ! 度を過ぎたマネをしてしまいましたぁ!!」


「兄上、図が高いアルよ! 姉御に失礼アル!」



 お兄さんは発言することも許されず、土下座までさせられている。でも本人は嬉しそうにしているのは気のせいかな? それよりも勇者という言葉に反応していた事が気になる。


「姉御は”ゆうしゃ”と知り合いあるか? 知ってるから見下せると思っていいアルか?」


「とーぜん! あんなヤツ、ホント大した事ないから! 今度会わせてやるよ! この街でおち会う事になってるし!」


「でも、このダメ兄上は会わせない方がいいアルよ。」


「それはどういう意味? ダサいもの同士、引き合わせると対消滅してしまう、的な?」



 対消滅……? どこでそんな難しい単語を覚えたのかしら? それはともかくとしてお兄さんとロアを引き合わせてはいけない理由は? 何かシャンリンちゃんは神妙な面持ちになっているから冗談とかではなさそう。



「やはり奴はこの街に……!」


「あん? ダメガネ? お前、勇者と会って何をするつもりだ?」


「は、はい、それはですね、その男を斬り捨てようと思っておりまして……。」


「斬り捨てる? ほう? お前、中々、見所があるな? ヤツを斬り捨てるならば、ただのゴミから下僕見習いの身分に昇格してやってもいいぞ。」


「ははーっ! ありがたき幸せ! 必ずや仕留めてご覧に入れますぅ!」


「姉御、ホントにいいアルか? 兄上は本当に殺そうとしているアルよ?」


「シャンリンさん、お兄さんが勇者さんに拘る理由のは何故なんですか?」



 勇者ロアに拘る理由……。グランツァ君もそれが気になったのか、思わず横から質問を投げかけている。それは私も気になる。何かすごい胸騒ぎがしてしょうがない。彼がロアを斬ろうとしているのはもしかしたら……。



「それは……私達の父上の敵を討ちたいからアルよ!」


「敵討ちですって!?」



 恐れていたことが判明してしまった。薄々勘付いていたけれど、二人は宗家さんのお子さんだったんだ! ここまで来た理由の一つがロアを討つことだったなんて……。確かに二人を引き合わせてはいけないと言うのにも説得力がある。わだかまりがある以上、絶対に穏便では済まされないはずだから……。

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