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第167話 新メンバー探して


「あの〜、部外者はお引取り願いたんですけど?」


「部外者じゃない! 楽しそう&美味しそうなイベントに参加する義務があるのよ、私は!」


「どんな義務だ! 知らない人の披露宴に参加するバカがどこにいるんだ!」



 どういう義務感が働いたのだろうか? 楽しそうとか美味しいものがあると言うだけで参加する動機になるだなんて強権すぎる! まさかの食いしん坊将軍権限? いやいやいや……。



「祭り大好き、食いしん坊を自称する、愛すべきバカならココにいる! って、誰がバカよ! バカにするなぁ!!」


「自分で言ってるでヤンス!」


「もういいわ! いっそのこと食いしん坊将軍に就任してやる! 控えおろう!」



 とうとう開き直った! 認めた上で人の領域に侵略を開始しようとしている。このままでは何から何まで食い尽くされてしまうだろう! コレがいわゆる”食い尽くし系”という奴か?



「食いしん坊将軍としての権限を使おうものなら、こちらにも考えがあるぞ!」


「何よ! 我の侵略を妨げし者は全てクチュクチュしてやる!」


「なんかそういう目にされたいような、されたくないような気がするでヤンス!」



 なんか壮絶に勘違い、言い間違いをしている。おかしくなりすぎて、下ネタみたくなっている。おかげでタニシが喜ぶ事態に。おそらく”駆逐してやる”と言いたいのだろうな。なんか言葉の響きだけを覚えていて、なんとなくかっこよかったから言っていると思われる。学がないとこういう時に露呈してしまうのだ。残念な奴よ。



「ふふ、なんせこっちには大魔王様が控えているからな。おまえなんてちょちょいのボンだ!」


「大魔王!? しかもチョチョイのボンだってぇ!? なんと恐ろしいことを! ひ、人でなしめ!」


「だんだんおかしな世界観になってきたでヤンス! これ以上はあっしも魂を次元上昇させないとついていけないでヤンス!」


「お前ら、止めとけ。それ以上やるとアホの次元に突入するぞ。」



 会話内容がおかしくなってきたところで、ファルからのストップがかかった。バカに付き合うのはこれくらいにしておいて、そろそろ、ここに来た理由を問い詰めなくてはならない。私も一緒についていくとか言い出したらどうしよう?



「別れたはずなのにお前はなんでこんな所にいるんだ? 感動のお別れシーンが台無しだろうが!」


「なにが感動だ! むしろアンタみたいな偽物がいるから台無しだっつうの! ファル様との涙のお別れのシーンだったはずなのに! アホ、ボケ、ブサイク!」


「一言、三言多いわ! あとでロレンソに通報してやる! またロレンソに連れ戻されてしまえ!」


「へーんだ! もう、同じ目には会わないからね! 連れ戻されるなんてないもん! なにしろ、私も旅立ったばかりだから!」



 今、なんて言った? 旅立った、だと? いやいやいや、こんなおバカにそんな進言がみとめられるはずがない! 下手に旅立とうものなら、途中で腹ぺこ、ホームシックになってカエルは目になるのがオチだ。そもそも、聖女様がそんなこと許すわけ……、



「じゃーん! 見よ! 控えおろう! これが啓蒙活動遊歴許可証だ! これで私は冒険者を志すこととなったのだ!」


「あっそ。どうせお前のハンドメイドだろ。捏造、偽造にまで手を染めやがったとは、聞いて呆れるわ!」


「誰が偽造か! 言いがかりはよしてもらおう!」


「あれ? この印、本物ですよ。聖女様の印で間違いありません。コレは偽造なんて出来るものじゃありませんよ。」


「な、何ぃ!?」



 偽物かと思われた許可証。しかし、メイちゃんは気付いてしまったようだ。本物の印が押されているのは間違いないと言う。メイちゃんが嘘をつくとは思えないし、ファルもよく見た上で納得したような表情になっている。悔しいが本物のようだ。



「ぐぬぬ! 本物で間違いないようだな。しかし、初心者の一人旅が成功するはずがない! 下手すりゃ、人さらいに身ぐるみ剥がされ、闇市場で人身売買されるのがオチだ!」


「何!? 妊娠バイバイ? やり捨て? そんなクズ男なんかに引っかかるか、ボケ! 私がそんな尻軽な女だと思ったか? そんな男は❍❍❍ちょん切ったるわぁ!!」


「ちょ、プリメーラさん、女の子がそんな過激なこと言っちゃダメ!」


「あっしはむしろ、プリメちゃんにちょん切られても良いかもしれないでヤンス!」



 ああ、ダメだ。底抜けのアホなことをすっかり忘れていた。勘違いがあらぬ方向に飛び火し、カオスな状況に陥ってしまった! だが、なんとか旅立ちの真意を探らねば。理由によっては連れ戻さないと、大変なことになる。みんな、アホに巻き込まれてアホになってしまう!



「目的は何だ? 一人でどうにかなるとでも思っているのではなかろうな?」


「今はボッチかもしれないけど、仲間は現地でスカウトする予定だもん! むしろユニット、いや、勇者パーティーを募るのが目的! 名付けて、スカウト・キャラバン!!」


「はあ!?」



 またまた、だいそれた事を言い始めた。勇者パーティーを募るつもりのようだ。大丈夫か? 勇者パーティーどころか、お笑いコメディ集団が爆誕しそうな気がするんだが? ちょっと嫌な予感がしてきた。



「それに記念すべきメンバー第一号はすでに決まっている! それは……〇〇子ちゃんだ!」


「え!? 私?」


「コラコラ、うちのメンバーを引き抜くな! ヘッドハンティングは禁止されているんだぞ!」


「うるさい! アンタのところにいたら、絶対、アホが感染っちゃう! コレは感染防止も兼ねているんだからね! 〇〇子ちゃんはコッチに来なさい!」


「あっしもメンバーに立候補するでヤンス!」


「男子禁制なんで、却下します!」


「しょんぼりーぬ……。」



 あああ! メイちゃんが引き抜かれてしまう! しかも、メイちゃんも満更ではなさそう。このままでは男ばかりのムサ苦しいパーティーになってしまうではないか! 旅の再開と同時に大事件が勃発してしまった……。

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