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第131話 竹屋〜、竿竹〜!


「そういうわけで、地獄の三者会談は”犯人はヤス”という結論を以て終幕を迎えたんでヤンス。」


「どうしてこうなった……。」



 ち❍び論争の後もまだ話がしばらく続いた。卑猥なテーマで話し合われた会談第二幕に続き、第三幕は”ピア港連続殺人実験”とかいう猟奇事件について話し合われたという。急にどシリアスな話になったのはいいが、世界の覇権の話はどこへ行ってしまったのだろう? 猟奇事件の犯人云々よりもそっちの方が気になって仕方がない。



「第二幕を途中でやめさせた勇者モョモトはその功績を讃えられ、晴れて”勇者エニッコス”の称号が与えられたんでヤンス。」


「ただ単に名前が発音しづらいから強制的に変えてやったんじゃないの?」


「でも勇者は平和に暮らすことを決意して、竿竹屋を営む事になったの。夢があると思わない? 竹屋〜、竿竹〜、なんて言ってのんびりしたいじゃない?」


「えぇ……。なんでFIREして竿竹売りに? もっとこう、何かあるだろ?」



 引退して竹なんてシブい物売り出そうとしたのか? 世界の覇権を巡る論争に巻き込まれ、脱線した会談を仕切り直しさせられた挙句、改名させられるなんてたまったもんじゃなかったのかもしれないな。俺も同じ立場だったら、隠居を決意するかもしれない。



「ところが竿竹屋の経営も長くは続かなかったんでヤンス! 邪神官バ・ゴーン率いるカルト教団によって営業妨害され、商売を潰されてしまったんでやヤンス!」


「何だよ、営業妨害って? 竿竹にケチつけるなんてどうやったら出来るんだよ?」


「それはかの有名なフレーズ”ゆうべはおたのしみでしたね”が使われたからよ!」


「何を楽しんだんだよ!」


「さあ? それはシリーズ最大の謎とも言われているわ。 夜間に忍び込んだ教団の工作員が竿竹にそのフレーズを書き込んでいたのよ! ご丁寧に一本一本ずつにね!」


「やりすぎぃ!?」


「これのせいで平和な生活に終止符を打たれた勇者は打倒邪神官バ・ゴーンを目指すことになったのよ! そして伝説へ!」


「なんかワケワカラン経緯で冒険始まったぁ!」



 エピソードⅡが殺伐としているのはそういう理由か。復讐に燃えた勇者が大暴れするわけだからな。でも、経緯は知らなくても話は楽しめるようにはなっているようだ。確かに余計な誰得エピソード満載なんだから発禁になっても問題はないな。ち❍びとかヤスの事などどうでも良かったのだ。



「あのさ? 本当にコレをやるつもりなの? こんな内容じゃ劇場から出禁にされてしまいそうな気がするんだが?」


無問題(モウマンタイ)! 大丈夫でヤンス!」


「ホントに? 下手に省略、変更なんてしたら、ファンからクレーム来るんじゃない?」


「それには理由があるんでヤンしゅ! まずはコレを見てほしいでヤンス!!」


「おおっ!? さすが犬P! 伝説の脚本を所持してたのね!」


「あっしの自慢のコレクションでヤンス!」


「……?」



 脚本と言ってタニシが取り出したのは、一枚の絵画だった。勇者とドラゴンが向かい合い、今まさに死闘が始まる……といった雰囲気を描いた絵画だった。脚本というからにはただの表紙なのかなと思いきや、本当にただの絵画だった……。


「ただの”絵”じゃん?」


「チッチッチ! アネキ、甘いでヤンスよ! コレはただの絵と見せかけて複雑な暗号が隠されているんでヤンス!」


「暗号て……どこに?」


「絵師のバード・キュラから取って、通称バドキュラ・コードと呼ばれているんでやヤンス!」


「なにそれ……。」



 もう何が何やらワケがわからなくなってきた。絵に何か秘密が隠されているなんて誰も思わないだろ。一体誰が何を間違って見つけてしまったんだろう? その経緯が知りたい。



「例えばこうやって火で炙れば隠しメッセージがわかるでヤンス!」


「火で炙る? 炙り出し?」



 タニシは持ってきたロウソクの火で絵画を炙って見せている。下手したら絵が燃えてしまうのではないかと心配になるが、不思議と絵画は燃えなかった。でも 何か絵の様子がおかしい。絵の内容が変化してるではないか!



「なんか書いてある! えーと、なになに? ”こんなはなしにまじになっちゃってどうするの 完”? どういう意味?」


「コレはあくまで一例でヤンス! コレは絵師バードのエニッコス伝説に対しての本音だと言われてるでヤンス!」


「話の内容と関係ねえ〜!?」


「この絵にいろんな事を試すと隠しメッセージが色々見れるでヤンス。一時間放置とか歌を歌うとか、違うカードを差し込むとか……。」


「コレに脚本が隠されてるのか? 面倒くさすぎるだろ!」


「いろいろ試してメッセージの断片を組み合わせると内容が判明するんでヤンス!」



 とにかく、コレを使えば禁断の発禁エピソードの内容が判明するらしい。とはいえ、タニシとプリメーラがほぼ内容を把握しているようなので見る必要もなさそうだが……。



「内容って、内容も何もないだろう。元は台本には碌なセリフが書いてなかったらしいじゃないか。」


「どういうことだよ?」


「セリフの大半は役者のアドリブだったってことさ。だから改変もクソもない。やりたきゃある程度自分で考えろってことだよ。」


「そういう内情だったのか……。」



 しびれを切らしたファルによって秘密が暴露された。じゃあ、今までタニシとプリメーラの話していた内容はどうやって判明したんだ? おや? タニシの妙な動きをした途端、絵画から音声が流れ始めた。どうなってんのこれ? 内容的にも三人の人物が世界をはんぶんことかなんとか話しているように聞こえた。話とか脚本とかより、この絵画の謎ギミックの方が気になる……。

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