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第130話 禁断のエピソード……Ⅰ!?


「あ、あの禁断のエピソードⅠをやるっていうの!?」


「なんだよ、いきなり素に戻りやがった!」



 タニシがエピソードⅠの話題を切り出した途端、プリメーラは元に戻った。さっきまでのデレ・モードはなんだったのかと思えるくらい。瞬時に切り替わった。モードチェンジ速すぎ! アホのように惚けた顔からガチモードに変わった! その間、0.6秒、驚異の可変速度だ!



「禁断ってどういうこと? 前に一言も言及されていなかったことと関係あるの?」


「ファンの間でも絶対口に出すことをタブーとされている禁断のエピソードなのよ! ある意味、夢の回! なかったことにされているの!」


「な、なんだってー!?



 禁句とかタブーとかにされてるってどういうことなの? だって、一個目の話でしょ? 一個目の話をなかった扱いにするとは、どういう了見なの? そんなことしたら2本目以降が存在してること自体がおかしくなってくるではないか! 邪神官バ・ゴーン打倒を誓う前に何があったのか?



「色々、大人の事情があって非公開にされてしまったエピソードなんでヤンス!」


「大人の事情……? 非公開にされてる割にはファンの間で知れ渡ってるのはどういう理由?」


「ある意味、都市伝説なのよ! 封印されていた脚本が裏社会に出回ったのが事の発端よ!」


「先にエピソード2が世間に広く知れ渡ったせいで知られてないでヤンスけど、小さな劇場でひっそりとエピソードⅠも公演されていたんでヤンス!」


「知る人ぞ知るみたいな?」



 二作目から人気に火が付いたみたいなパターンか。一作目は余程マニアックなファンにしか見られていなかったといったところか? でも、何故か公演が中止になり、二作目が公開されることになったのだろう。裏社会でしかお目にかかれない程の話の内容とは……?



「全ての話の発端、地獄の三者会談が目玉のエピソードになってるんでヤンス!」


「三者って、その中に勇者エニッコスは含まれてるわけ?」


「含まないわよ! 竜帝、ミャア王、公王キムコが晩から朝まで生討論(テレビ)を行うの!


「ナニソレ!? 勇者が完全に置いてけぼりになってるじゃないか!」


「そうそう、勇者は側に添えるだけ、なのよ。」


「添えるだけって何? 完全にお飾りじゃん!」



 さらっと流してしまったが、三者の中に竜帝が含まれていたことに思わず吹きそうになった。サヨちゃんのお父さんがしれっと混ざっているんだが? いやいや、あくまでフィクションだろうから、そういう伝説の存在を絡ませて大事感を演出したかったのかもしれない。といか、他の二人は何者?どこの馬の骨かは知らないが、竜帝と並べるだけの権威なんだと思いたい。



「勇者の名前も違うわよ! エニッコスじゃなくてモョモト!」


「え? 何? もにょもと?」


「違う! モ・ョ・モ・ト!!」


「えぇ……。」



 なんか名前まで違うらしい。しかもものすごく難しい発音であるらしい。もうどうでもいいわ。発禁になったの、それが原因じゃないの? 口に出してはいけない名前みたいな? しかし、なんで一作目だけ名前が違うのだろう? 意味不明。



「で? どんな話なの? 会談だけで長尺取られてるのってどうなの?」


「まず最初は世界を支配するためにはどうすべきかってテーマで話し合われたのよ! 世界の半分をやろう、とか、いいや世界は三分割して統治すべきだ、とか、いやまずは南征からでしょ、とか討論されたの!」


「天下三分の計、出師表でヤンスね! 討論序盤の盛り上がりどころでヤンしゅ!」



 ちょっと待て! 俺の故郷の伝説の天才軍師の逸話が混ざっているんだが? なんで、世界の支配方法から三国の英雄譚談義に話がシフトしてるんだよ! 話が脱線しすぎだ。まあ、これが発禁の理由②になっているような気がする。



「この話が延々と続いた末にグダグダ展開になったところで、会談は一旦休憩になったのよ。その間勇者は息抜きにゴーレムと戦い始めるのよ。」


「唐突にバトルが始まるのかよ! しかも息抜きって!」


「最初は勇者劣勢と思われたけど、大逆転して辺りを血の海にして地獄絵図と化したわ! 人呼んで、ゴースト・キャンバス(くびをはねた!)事件! 合間のグロ・エピソードとなってしまったのよ!」


「うわぁ……。」



 何故か挟まるグロ展開。誰がそんな話を期待しているんだ? 趣味が悪すぎる。なぜ魔法生物のゴーレムから血が? 展開がカオスすぎる。おそらく発禁の理由③だろうな。



「で、次はぱふぱふの件について討論されたんでヤンス! 〇〇❍をどうするんだとか、ち❍びを出すかどうかで大喧嘩になってしまうんでヤンス! まさに手に汗を握る展開!」


「なんか休憩が開けたと思ったら、急に卑猥な話に切り替わったじゃないか! なんだよ、ち❍びを出す出さないって! 話のレベルがダダ下がりじゃねえか!」


「そこで必殺デスボディ・シュートですよ! 見かねた勇者の怒りの会心の一撃! 血まみれのゴーレムの体が円卓にぶち込まれたのよ! 話は即、中断され、出さないという結論に至ったわ。」


「な、ナイス、勇者……。」


 

 意味不明な展開に喝を入れる勇者は評価しよう。しかし、話はまだ続くのかな? これ以上どう続くのだろう? なんか話が段々とグダグダになっていってるような気が……。発禁になった理由④は、恐らくこれだろう。

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