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第114話 さあ、お仕置きの時間だ!


「ううう! いてて!」



 俺の捨て身の攻撃により、戦車戦は肉弾戦に移行し、俺とメッツは揉みくちゃの肉団子の様な状態になってしまっている。最早、勝敗以前の問題であり、両者とも継戦不能状態だ。



「やってくれたな! 自らを武器にしてまで勝とうとするとは……。なんたる執念だ! さすが勇者だ!」


「う、うん。褒めてくれるのは嬉しいけど、もつれてるの直さないと……。」



 もつれたままの状態でメッツは俺に賞賛の言葉を贈ってくる。こんな状態で言われても滑稽にしか思えない。しかも、なんでそんなに冷静なんだ、この子は……。



「こらぁ~! よくもやってくれたな! このセクハラ勇者めぇ!」



 俺のセクハラ行為に激怒したプリメーラが物凄い勢いでこちらに迫ってきていた! さっき吹っ飛ばした事だけでは怒りが解消できていないようだ。その勢いはまるで戦車の様だった! 正に暴走王である!



「ちょ! 待て……、」


「うおりゃ!!」


(ボゴォン!!!)



 プリメーラはダッシュの勢いを利用して全体重を乗せた跳び蹴りを放ってきた! 器用な事に蹴りは俺だけに命中して、俺は再び大きく吹っ飛ばされる羽目になった。やり方が雑な割にもつれていたのが一気に解けた。どういう原理なのか?



「まだだ、まだ終わらんよ! お前が倒れるまで殴るのをやめない!」


「もうとっくに倒れてるんで……はふぅ! ひふぅ! ぶふぅ! へふぅ! ほふぅ!」



 プリメーラの勢いが止まらない! 倒れている俺に馬乗りになって、猛烈な往復ビンタを見舞ってきた。このままでは死んでしまう! 誰か助けて……。






「ほひへ? 一体何がどうなって?」



 練習する権利を巡っての戦車戦は一応、こちらの勝ちという判定になった……所までは覚えている。



「ほう? 私への狼藉を忘れたとでも? なら再びショックを与えて記憶を呼び覚ましてやろうか?」



 なんか頭の中が真っ白になっていたが、だんだん思い出してきた。プリメーラのあまりにも激しいお仕置きに気を失っていたのだ!



「はひ! 思い出しましたぁ! 体に刻まれた痛みの記憶が復活しました!」


「本当かな? ニセの記憶かもしれんので、念のためにショックを与えよう!」



 プリメーラが更に殴ってこようとしたので、近くにいたメイちゃんの後ろに隠れて難を逃れた。とはいえ、メイちゃんも明らかに俺へ不審の目を向けていた。



「ほへはひぃ! 別に勝ったからいいじゃないか……。」


「勝てばいいってものじゃないですよ! その方法がいけないんです!」



 セクハラの容疑で身内からビンタの刑に処されて、顔がパンパンになった。そのせいでしばらく気を失う羽目になった。



「もう! このことはエルちゃんに言いつけますからね!」


「えぇ!? それだけはご勘弁を……。」


「ダメです!」



 エルにチクるのだけはやめて! 知られたら何されるかわからない! 下手をすれば跡形もなく消されてしまうかも! あの娘、怒ると恐いから……。



「私を利用して勝とうとするなんて! やってくれるじゃない!」


「利用? 今は女同士なんだから別にいいだろ。減るモンじゃないし。ほら、スキンシップの一環だよ、スキンシップ!」


「減るわ、ボケぇ~! 私の精神力が削られたわ! 見た目が女だから許されるとでも思ったかぁ!」


(パァン!!)


「うぐふぅ!」



 更に殴られた! 顔が更にパンパンになってしまう! これじゃ、俺が本物のマルマル子ちゃんになってしまうではないか。



「いや、まあ、別にやらしい気持ちで触ったわけではないんだ! ほら、お前のはエルのと比べたら全然大したことないし……。」


「それはどういう意味だぁ~っ!! 私のが小さいとでも言うんか!!」


「全然フォローになってません! 勇者さん、サイテーです!!」


(べし! バシーーン!!)


「おぎゃああああっ!!!!」



 更にプリメーラに殴られ、メイちゃんに張り倒された。特にメイちゃんのは痛い! なまじ腕力があるだけに相当な威力だ。このままではチャリ・フェスまでに傷が回復出来ないかもしれない!



「女体化してからの方がセクハラに積極的でヤンスねぇ。親近感が湧くでヤンス!」


「こっちはスキンシップのつもりなんだが……。」


「スキンシップの域を超えてます!」


「……だそうだ。悔しいです!」


「見事にアウトでヤンした!」



 手痛い代償が付きものだったが結果的に練習する権利を勝ち取れたからいいか……。ていうか始める前から色々ボロボロだ。アイドルって辛いよ……。


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