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第113話 ぶっつけ本番の戦車戦!?


「さあ、準備は整ったな? では、始めるぞ!」


(ドドドドドドドッ!!!!)


「うわっ!? ちょ!? 待って!!」



 戦車場で練習する権利をかけてぶっつけ本番の戦車戦がはじまった! ルールはチャリ・フェスとは異なり、俺と部長のメッツの一騎打ちでの勝負となった。基本的にトラックを先に十周した方が勝ちという事になっている。



「ちょ!? お馬さん、動いて! 走って!」



 今回の一騎打ちルールとして戦車は馬一頭で引かせることになっている。だが、馬は走ってくれなかった。俺が鞭打っても無視される! 言うこと聞いてくれない! メッツは普通にスタートし、早々から引き離される結果になった。 懸念していた不安が的中したのだ。



「アニキ、いや、アネキ! レースに勝てなくても、相手を途中でリタイヤさせても勝ちでヤンス! それを狙うしかないでヤンスぅ!」



 規定の周回をいち早く完走しても勝ちだが、そこは戦車戦、相手を走行不能にして勝利するというパターンもある。実際にはこの決着パターンがポピュラーだそうだ。完走できる方が珍しいのだ。



「走ってないのにどうやって相手を攻撃するんだよ! このままだと9回しかチャンスないじゃないか!」



 こちらが走ってないのにどうやって攻撃しろと言うのか……。通常は走行中に相手に戦車を横付けして体当たりしたり、車輪のスパイクで戦車を破壊したりする。他には相手の進路を妨害したり、相手の馬に鞭を打って暴走させるというやり方もあるらしい。だが、走っていなければそれが出来ない。進路妨害くらいは出来るかもしれないが、避けられるか、逆に轢かれるという結末しか見えない。しかも走ってないので9回しかチャンスが巡ってこない! どうしろと?



(ドドドドドドドッ!!!!)


「うわーっ!? 早くも一周して来やがったぞ!」



 こっちがゴチャゴチャ言ってる間に向こうは1周目を終えようとしていた。攻撃するなら今しかないが、どうやって妨害してやろうか?



「フハハ、非走行戦術とはマニアックな戦法を選択したな! 受けて立つ!」


「ただ単純に馬が言うこと聞いてくれないだけなんですけどぉ!」



 何故かメッツはそういう戦術と認識したらしい。ちゃんと名前が付いてるあたり本当に存在するんだろうか? だとしても、戦車道の競技自体を否定しているようなものだ。みんな非走行選択したら、勝負にならないじゃないか。戦車道とは一体……?



「こうなったら、当たって砕けろだーっ!!」(ビシッ!!)



 戦車から下りて、馬の後ろに回り鞭で馬の尻を叩いた。こんなことをすれば当然……、



「ブヒヒン!!!」


(ドカッ!!!!)


「ギャオッ!? 食らえ、極端派戦車術奥義、人間弾丸!!」


「馬に蹴られて吹っ飛んだだけでヤンスぅ!」



 かつて猿の魔王戦の前に馬に乗馬拒否され、蹴飛ばされた思い出が元ネタだ! 吹っ飛んで自ら武器になる! それが極端派の極意だっ!



「自分で吹っ飛んでくるとは! だが、こんなものは効かないぞ!」


(ドドドッ!!!)


「あーーーれーーーーっ!?」



 横にスライドしあっさり躱された。ということで行き場のなくなった俺はそのままトラックの端まで吹っ飛んでいった。



「ちくしょう! よくもやってくれたな! グフゥ!」


「自滅の自業自得でヤンスぅ!」


「あーーっ! しょうがないな、もうっ!!」



 自滅して転がる俺の元へプリメーラが走ってきた。もしかして、選手交代とか? でもそれだと反則負けになってしまうのでは?



「乗れっ! 私がリロイの爆走王の力を見せてやる!」


「のわっ!? ちょっと待て! そんなんありなんか?」


「私が馬の代わりだっ!! 文句あるかぁ~っ!!」



 何をするのかと思いきや、プリメーラは俺をおぶって全力疾走し始めた! お前が馬の代わりになるつもりか? これじゃ完全に馬娘だ!



「うをををををっ!!!!」



 プリメーラは本気だ! 自ら爆走王を名乗るだけの事はある。俺を背中にオンブした状態にも関わらず、とんでもないスピードで爆走している。コイツ、相変わらずトンデモねえ体力してやがる! もしかしたら戦車引きずり回してたってのは本当のことなのかもしれない!



「むむっ!? プリメーラめ、自ら馬となったか! 私も負けてられないな! とうっ!!」



 メッツもプリメーラの姿に感化されたのか自らも戦車を飛び降りて疾走し始めた。ナニコレ? もうコレ、戦車戦じゃなくない? ただの乱闘アリの長距離走じゃないか! メッツが戦車から降りたことで大幅に失速し、俺達が追いつく。これで攻撃が出来る間合いに入った。



「ふふっ、結局は私とお前の対決になったな、プリメーラ!」


「私はあくまで馬代わりだ! 攻撃はあくまでコイツがする!」



 あくまでそういう事らしい。しかしどうやって攻撃しよう? 難しいな。……あっ! そういえばアレならいけるかも!



「こうなったらやることは一つ! 馬を利用して攻撃だ!」


(ムニュッ!)



 後ろからプリメーラの胸を触る。こうすると……、



「うああっ!? ど、何処触ってんだ、変態っ!!」


(ドカッ!!!)


「ぐふうっ!? 食らえ、極端派戦車術奥義、人間弾丸・改!!」


「ただのセクハラでヤンス! ……でも、羨ましいっ!」


「うわああああっ!?」



 プリメーラに蹴り飛ばされた俺は見事にメッツに命中し、互いにもつれた状態でトラック外へ転がっていった。さて、判定は……?


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