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第112話 人馬一体ていうか、馬娘になってません?


「ここが戦車(チャリオット)道の練習場よ。」



 次の対決はチャリオットということで、イベントの翌日である今日から練習に入ることになった。そこでプリメーラの案内で練習場にやってきた。通常の屋外運動場と同じくらいの規模があった。しかも、戦車道専用で、である。以外と広い。いや、ここまでの広さがないと戦車を走り回すことが出来ないのかもしれない。



「う~ん! 腕が鳴るわぁ! 戦車乗るの久し振り!」


「何だよ、乗ったことあるのか?」


「当然じゃない! 乙女の嗜みよ!」



 何が当然なのか……。乙女の嗜みだなんて、お前が言うのかよ。見た目以外乙女の影も形も無いくせに。横暴で我が儘なところは非常に男気があるとだけは確実に言える。



「私は一時期、リロイの爆走王と呼ばれてたことを知らないの?」


「知るわけないだろ! 戦車道の存在すら今まで知らなかったんだから!」



 まーた、あることないこと言いやがって! 何が爆走王だ! 爆走王というより暴走王と改めた方がいいんじゃないかとさえ思える。



「フフ、教えてあげるわ私の栄光の歴史を! 私は戦車で道という道を悉く走り尽くし、時には馬の代わりに馬車を引きずりまわしてまで爆走したものよ!」


「もうプリメちゃんが馬になってしまっているでヤンス!」



 馬で走ってたのならわかるが、馬の代わりに、って何? 聞き間違い? いや、確かに馬車を引きずり回して、と言っている。



「人馬一体こそが戦車道の極意よ!」


「だからそれは人馬一体じゃなくて、馬になっちゃってるだろうが!」



 ハイ、完全に確定しました。馬の代わりに引きずり回していたようです。しかも馬になりきってしまったようだ。正に馬鹿。お前もう完全に“ウマ娘”だよ!



「ハッハハ! お前がここに来るのは何時以来だったかな?」


「お、お前は……!?」



 俺達がプリメーラのホラ話にされていると、何やら鎧兜に身を固めた女の子が現れた。鎧のデザインからすると今風ではなく、古代に使われていた、というか戦車が現役で使われていた時代の装束であるようだ。何者?



「誰? この人?」


「コイツは私の戦車道におけるライバル、メッツ・サーラよ! そして聖歌隊戦車道部の部長!」


「ああ、ここのえらい人か。ヨロシク。」


「君が大型新人のロアンヌだね? お会いできて光栄だよ。」



 当然の様に知れ渡っている俺の名前。俺はこの人の事を知らんのに。まあ、勇者なんだから仕方ない。自己紹介の手間が省けるのでヨシとしよう。



「早速だが、戦車道の練習をさせてもらうぞ!」


「ちょっと、ちょっと、プリメーラさん! 頼むんですから、そんな言い方はやめて下さい!」


「ええ~? そんなのヤダ! 私のプライドが許さないので却下!」



 相変わらずの非礼ぶり。不適切にも程がある。なんでそこまで無駄に傲慢なんだよ! かつてのライバルって言うぐらいなんだから、土下座でもしない限り、協力してもらえないのでは……。



「ハッハハ! 相変わらず不敵な態度だな! 互いに競い合って馬を引きずり回していた、あの頃を思い出すよ!」



 言わずもがな、プリメーラの態度は昔からのようだ。競い合っていたのはわかるが、今、馬を引きずり回していたとか言わなかった? おかしいのはプリメーラだけではなかったのか……。戦車なのに馬を引きずり回すなよ……。動物虐待でそのうち訴えられるぞ。



「協力してやらなくもない。だが、条件がある。」


「じょ、条件とは何? 有料だから利用料を払えとか?」


「そんな野暮なことはしない。ただ、勝負をしたいのさ。勝ったらここで練習してもいいよ。」


「な、何ぃ!?」


「いいねぇ! 久し振りの対決と行こうじゃないか!」



 何を言い出すのかと思いきや、対決とか……。練習をする権利を得るために勝負せにゃならんとは。まあ、どうせ、プリメーラがやるだろうから、任せておこう。リロイの暴走王の実力を見せてもらおうじゃないか。



「久し振りの対決? 違うよ。プリメーラと戦うんじゃ面白くない。そこの大型新人とやりあいたいのさ。」


「へ? 俺ですか?」


「こんなすっとこどっこいとやりあうって言うの?」


「すっとこどっこいで悪かったな!」



 ちょっと待て! なんで俺がやったこともない競技をしないといけないんだ! これから練習するはずがいきなりのぶっつけ本番をやらされるなんて……。俺みたいな素人が勝てるとは到底思えない。さて、どうする?


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