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第108話 次は何パン対決……?


「終わったな……。」



 イベントは盛況のまま終了した。俺達のパフォーマンスの善し悪しはともかく非常に盛り上がっていたのが幸いだ。今後はもっと楽しんでもらえるようにレベルを高くしていきたいものだ。



「うう……。終わったわ。別の意味でも!」


「言うな。まだ一回負けただけだ。勝負の機会はあと2回ある。そこで巻き返すぞ。」



 プリメーラはがっくりとうなだれている。そう俺達はパン対決で敗北した。大差を付けられたワケではないが、十分に負けと言える判定だった。やはり地域に根付いた味には勝てなかったということだ。



「ちくしょー! くやしい! あんなおいしいの出されたら勝てるわけないじゃない!」


「でも、味は負けてなかったと思いますよ。知らない土地の味で新鮮味もありましたし。」


「でもさあ、ぱっと見、どういう味かわかんなくない? やっぱうまい物は見た目で訴えかけないと! あっちのは見ただけでよだれでそうになるもん!」


「この食いしん坊め……。」



 ガッツリ感では負けずとも劣らずという感じだったが。見た目のインパクトの点では、あちらさんは中身が見えているのが功を奏していたと言わざるを得ない。プリメーラがそうなっているように一目で引きつける魅力がある。こちらの肉まん、胡椒餅は中身が隠れているので、食べるまで何が出てくるかわからないのが足を引っ張っていたと言えるだろう。



「じゃあ、今度は肉まん胡椒餅バーガーで勝負するのはどう? 胡椒餅を上下の肉まんで挟むのよ!」


「なにそのおバカ全開のメニューは?」


「おバカとは何よ!」


「大体、次の対決もグルメ対決とは限らないんだが?」


「あ!? そうか! でも、次は何パン対決なんだろう?」


「だから、パン対決じゃないって言ってるだろ!」



 プリメーラの頭の中はパンでいっぱいになっているようだ。何から何までパンで考えようとしている。困ったものだ。一戦目はある程度得意な料理で助かったが、ダンスとか歌とかで対決とか言われたら、絶対に勝ち目がない。プリメーラだけならともかく、確実に俺が足を引っ張ることになる。どうしよう?



「フフ、皆さん落ち込んでいるようね?」


「ああっ!? アイリ!! 何よ! 私達の負け惜しみでも聞きに来たの?」


「目的の半分はそうかもね? でも、違うわ。そろそろ、気になっているんじゃない? 三本勝負の2番目の事が?」



 図星だった。今、正に気になっていたところへ相手側からの襲来。ヤツは次の2番目の対決内容を告げに来たようだ。さて、どんな内容なのだろうか? 俺は固唾を飲んで、発表されるのを今か今かと待ち続けた。



「次の対決は……、」


「つ、次は……?」


「戦車道対決よ!!」


「せ、戦車ぁ!?」


「名付けて、戦車(チャリオット)(フェスタ)!」



 何ぃ!? 戦車だと? 2本目の対決がまさかの武力対決とは! 古代の戦争で使われていたという兵器で戦うのか? 



「略して、チャリ・フェス?」


「そう呼んだことはないけれど、そう呼んでも面白いかもしれないわね。それはともかく、武家の女性の嗜みとも言える戦車道で対決するわよ。」


「そんな物騒な物が嗜みなんか?」



 騎兵が発展するに従って次第に使われることはなくなったという事実は知っている。それは俺の故国での事実だと思っていたのだが、こちらの国でも同様の経緯を辿った事を最近知った。



「知らないの? 戦争で使われなくって久しいけれど、一部の貴族の間ではポピュラーな競技よ。」


「聖歌隊にも戦車道部があるくらいには有名な競技なんだけど? アンタ知らないの?」



 知らないよ! 聖歌隊でもいくつか、剣術、馬術、魔術とか共通の趣味を持っている人達が集まって活動しているのは知っている。でも、戦車の事は知らなかった。まあ、でも、槍とか鎧兜とか付けてる子達と何回かすれ違ったことはあるから、もしかしたらそれだったのかもしれない。



「戦車道の催しは聖歌隊の中でも割と名物って言ってもいいくらいの定番なのよ。今回のイベントとは比較にならないくらいの規模になるわ。戦車道のファンも大勢詰めかけるからね。」


「ぬう! 次はもっと大規模な会場になるのか!」


「会場はあのコロッセオよ。本格的なイベントだから、本格的な競技場を使うことになっているのよ。」



 あの大武会が行われたコロッセオでか! 確かに武術の大会ならあの場所は色んな設備が整っているからやるには持って来いなのだろう。何しろ、模擬海戦を行うためプールを用意できる仕掛けもあったくらいだ。戦車を走らせるための設備も整っているのだろう。



「対決内容にご不満は?」


「別にない! 受けて立つ! 今度こそアンタをけちょんけちょんにしてやるからね!」


「その意気だけはかうわ。パン対決も中々のいい勝負だったから、次回も期待しているわ!」



 次回の対決は決定した。今度は武力対決だから、俺の力も存分に振るえるだろう。しかし、若干の不安要素もある。俺、馬とは相性が良くないんだよなぁ……。

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