表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/402

第10話 謎の3人組


「……でさあ、アレがナニしてソレになったんだよ。」


「それじゃわからないだろ!」



 俺達はボケ老……じゃなくてアイフリュ長老を家に送り届けた後、しばらく聞き込みを続けた。でも、まあ、サッパリな結果に終わった。大体バリカタ・パイタン親子からの情報でほぼ解決してた様なもんだから、後は消化試合みたいになってしまったのだ。それで今はみんなに話を説明している途中。



「それは良かったジョ。ヤッパリ、自分で聞きに行った方が詳しくわかるもんだジョ。」


「へえ、黒犬さんの詳しい情報がわかって良かったですね。」


「アンタら、なんでわかるんだよ!」



 ピエール君とメイちゃんには伝わったようだ! やっぱ、気持ちが通じ合うって大事だな!



「メイ、お前、こんなアホの馬鹿行動には付き合わなくていいんだぞ。」


「でも付き合わないと楽しくないじゃないですか? 勇者さんはそういうムード作りをしてくれているんですよ。勇者さんの話はエルちゃんからよく聞いてますから。」



 エルから俺の事を聞いて、気を使ってくれていたとは! ホントにいい子だな。エルは本当にいい友達を持ったもんだ。



「アレ!? ナニ!? ソレ!? ますます絶望的な状況になってきたでヤンスぅ!? あっしの運命もココまででヤンスぅ! キュウぅ!?」


(バターン!!!!)



 アレをどう解釈したのか、ナニをどう絶望的と捉えたかはわからないが、タニシはショックを受けて派手にぶっ倒れた。通算何度目だろう? タニシはココへやってきてからやたらとダウンしているような気がする。



「大分、話がおかしな方向へ向かってしまっているが、黒犬は武器を持っているし、整った容姿、左目の位置に傷跡があるって事がわかった。特徴的な外見を把握するのには十分な情報だった。」


「だんだん、タニシ君の特徴から離れていってるジョ。同じシヴァーヌ族ってところしか共通点がなくなってきたんジョ。」


「タニちゃんを囮にするのはやめた方がいいんじゃないですか?」



 そこはタニシに演技面でがんばってもらわないと! ちょっとワイルドイケメン風に振る舞わせるのだ。傷跡はメイクでソレっぽく見せればいい。だが問題は丸太を持たせるのは無理かな? 腕力は誤魔化せないし、軽くした張りぼての丸太を作るには時間がかかるし……。ミヤコがいればこの問題は一発で解決するんだがな。残念ながら今はいない。



「囮作戦のことは後で考えよう。捜査中、他に気になる出来事があった。」


「気になること? 何があったんだジョ?」


「オーナーさんよ、ちょっと確認したいんだが、ココの客に若いコボルトのグループはいるか? ガタイのいい三人組だ。」



 あの酒場にいた連中か。捜査中に感じた謎の殺気の出所の件だ。最初はただの観光客と思って気にしていなかったが、聞き込み中に怪しいコボルト三人組がいた。観光を楽しみ酔っ払いを装いながら、俺らの様子を窺っていたのだ。もしかしたら、殺気を放ったのはこの連中の誰かかもしれないと俺達は目星を付けていたのだ。



「そんな客はいなかったジョ。ここの社員にもそんなのはいないジョ。大きいコボルトはカール君くらいしかいないんだジョ。」


「じゃあ、アイツらは観光客ではなく、よそ者の可能性が高いってワケか。」



 だとしたら何者なんだろうか? 俺らを快く思っていないのか、黒犬と何か関係があるのか、あるいはその両方? アイツらが俺らの動向を探る理由が見えてこない。不可解な出来事だった。


「じゃあ、もう一つ。なんか羊と牛の冠り物した大道芸人とかっているの?」


「おいおい、ソレは爺さんの妄想なだけかもしれないだろ。」


「何の話だジョ。お爺ちゃんからそんな話一度も聞いたことがないんだジョ。いっつも同じ話をする事はあっても、いつもと違う話をする事は決してないんだジョ。」


「俺らはレアな話を聞けたって事か? いや……実は最近あった話をしたのかもしれないとも考えられるな。」



 老人だから過去の話の永久ループに陥っている場合が多いが、何か珍しい事があればつい最近の話くらいはするかもしれない。だけど断定は出来ない。あの爺さんの話にどれだけ信憑性があるのかはわからないからだ。



「町でもそんな話は話題に上がっていないんだジョ。実際に何かあったなら必ず噂になるはずなんだジョ。」



 リゾート地だが大都市ほど大きくない町なので住人間の噂は広がりやすいはず。田舎とはそういうものだ。


 他に気になることがあるとすれば、羊と牛という要素が出てくるということ。行方不明になった家畜と同じだ。この周辺では鶏や豚も飼育されているから、それが含まれていないのも気になる。



「聞き込みでわかったこと、気になったことについては以上だ。次は囮作戦の事を考えるぞ。」


「……そうだ! タニシが気絶している間に変装の準備をしておくか?」


「もしかして、今晩から始めるつもりなんですか?」


「今日の時点で怪しい連中はいたんだ。ソイツらを釣り上げるんなら、善は急げって事だ。」



 今の段階から試してみる価値はあるはずだ。そうすれば、アイツらと事件が関係しているかどうかがわかるかもしれない。獲物は逃がすな、って言うしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ