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 ニュウスペエパアの鼠が、よくよくみたら竄に変わっていた。

 いつから。いつからそんなことになっていたんだろう。

 昨日の社会の時間。そのとき雪舟が書いたねずみは確かに鼠だった。写真がたくさん載った資料集で、かわいいな、とおもったはずだもの。ううん、確信はできないわ。なんとなくミニチュアみたいなキャプションは流し読みしたもの。

 図書室で借りた、動物実験の本に載っていたハツカネズミ、それ以外のネズミは、どうだったかしら。きっと、カタカナでしか書いていなかったような気がする。あるいは、ラット。

 じゃあ。いまや、鼠は何のための字なのだろう。わたしにはよくわからない。いったい何が本当なんだろう。

 わたしは、新聞記事の竄が、ただの鼠の誤植だと思えなかった。そういう勘、みたいなものがはたらいた気がするのだもの。

 わたし、鼠なんて漢字ほとんど書いたことない。ほとんどひらがなか、カタカナかで事足りるし、お正月だって子年なのだもの。忘れ去られているのに、共通認識としてぼんやりとイメージできるものなんだ。

 それにしても、気付くのが遅れた。

 世界の変化に、──それがたとえ、小さな変化だったとしても──気づけなかったのはなんという失態。わたしはぐちょぐちょに潰れてつちの上に落ちたトマトだわ。小さな鞘が六つも七つもあるゼリー状の種が崩れて、ばらばらにころげたそれ。

 気づく時間のラグが、誰かと誰かの間に生まれてしまった。もっと言えば、わたしと兄の間に生まれた。

 兄はひどく女を馬鹿にしたような口をしばしば。特にわたしと妹のきなに関しては当たりが強いもの、早く一人暮らしをしたいわ。



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