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金髪小悪魔は姉のベースが好きらしい。下

 数分後、彩花ちゃんが泣き止み、話せるくらいに落ち着いてから、自販機で買っておいた飲み物を渡すと、彩花ちゃんはお礼を言って飲み物を受け取る。


 俺も飲み物を一口飲んでから、できる限り優しい声のトーンで話しかける。


「麗花が楽しいかは麗花が決めることだから、彩花ちゃんのお願いは保証できない。でもそのきっかけを作ることぐらいはできる。だから彩花ちゃん、途中何かあっても、基本俺に任せてくれる?」


 俺の言葉が終わって数秒後。彩花ちゃんは飲み物をベンチに置いてゆっくりと立ち上がり、俺の前に立つ。


「お兄さんは、なんでそこまでしてくれるんですか」


 さっき考えてこと、自分のために。今彩花ちゃんに嘘をつくのは簡単だ。困っている人を助けるのは当然とか、かっこいいことを言っていい。その方がモテそうだし。でも、やっぱり俺は、女の子の前でなるべく嘘はつきたくない。


「彩花ちゃんが可愛くて、優しくて、話しかけてくれて、俺に好意を持ってるんじゃないかと思わせて来るから、俺はカッコつけたい。彩花ちゃんにモテたい。それだけ」


 彩花ちゃんは俺の下心丸出しのセリフに意表をつかれたのか、唖然とした様子で目を見開く。


「こ、このタイミングでそのセリフですか。マジですか」


 俺の言葉に彩花ちゃんは深いため息を吐く。


「私感動しました。なんならちょっと惚れかけました。なのに台無しですよ。お兄さんの変態」


「え、じゃあ世界平和のためってことで」


「今更何言っても遅いです」


「えーマジかよーカッコつけときゃよかった」


「カッコつけても気持ち悪いですけど」


「じゃあどっちにしろ俺はキモイのか」


「んー」


 彩花ちゃんは自分の顎に手を当てて首を傾げ、アニメとかで見る、悩んでいる女の子っぽいポーズをとる。


「でも今のお兄さんは。うん!」


 解決したのか、ポーズをやめて深く頷く。


「気持ち悪くないし。カッコつけなくても」


 彩花ちゃんは俺の耳元に顔を近づけ。


「最高に、カッコいいですよ」


 俺の耳から顔を離した彩花ちゃんの表情は、今まで会った中で最高に可愛い笑顔で、耳が少し赤かった。


「他に聞きたいこととかって?」


「あ、えっと、えっと……今はないと思う」


「ならそろそろ。待ってるみたいなので」


 彩花ちゃんは、俺らが座っているベンチから、斜め奥にあるオブジェのような物に隠れながら俺らの様子を覗いている青花ちゃんを指差す。


 大きなコンビニ袋を両手に持った青花ちゃんが走って俺の元に駆け寄り、財布を返してくれる。


「ありがとう」


「お兄さん、お願いします」


 彩花ちゃんは青花ちゃんを連れて駅の方に向かって行った。


 最後、目を赤くして、涙の跡をつけて、それでも少し微笑んだ表情を見せてくれた。


 頑張ろう。俺。


 帰り道、喉が渇いて自販機で飲み物を買おうと、青花ちゃんから返してもらった財布を取り出す。中身を見ると、財布から現金が消え、代わりにレシートと領収所が入っていた。


 領収書の宛名には、赤髪のお兄さんと書かれていた。

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