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至極髪姉は帰国と百合を楽しむらしい。下

「よしっと。紫……」


 俺が呼ぼうとした時、寝ぼけた表情の紫乃ねえがきちんと下着を付けてリビングに戻って来る。


「おはよー」


「おはよう。もうご飯だから服着ろ」


「はーい」


 紫乃ねえは近くにまとめて畳んで置いた、お土産のTシャツを着て席に着くと、部屋に戻った時と服が違う、着替えた羽実ちゃんが戻ってくる。


「羽実ちゃん掃除でもしてたの?」


 羽実ちゃんは「え!」と驚いた声を上げる。


「なんでそう思ったの?」


「ガタガタ家具の音がしたし、服着替えてるから」


「え、あ、うん。ちょっと模様替えしてた。それより早く食べよう。ほらおにいも座って!」


 羽実ちゃんに急かされながら席に着き、夕食を食べ始める。


 夕飯は米と味噌汁に魚などの日本食をメインに、カレーやオムライスなど、海外ではあんまり食べないよな、と俺が勝手に思っているメニューにした。


「んー美味しい! 久しぶりの日本食。あっちだとジャンクフードとサラダばっかり食べてたから、お米久々。お味噌の味が染みるー」


 紫乃ねえは美味しそうに味噌汁を啜り、かきこむというより飲むといった感じでご飯を食べすすめ、それを横目に羽実ちゃんは不満げにオムライスを食べている。


「なんか普通。もっとステーキとかお寿司とか、豪華なものが良かった」


「海外ではお肉が多かったから、こういう食事が一番美味しいのよ」


「おねえがいいなら私はいいけど……でもお寿司食べたい」


「それは賛成! 明日はお寿司にしましょう! 回らない」


「回らない! いいの」


「いくら稼いでると思ってるの。任せなさい」


「おねえ大好き!」


「私も大好き! 虎夜おかわり!」


 紫乃ねえはさりげなくお味噌汁とご飯を食べ切り、空になった器二つを俺に差し出す。


「早いな!」


「美味しいんだもん。あ、カレーも食べるからご飯は倍ね」


 紫乃ねえから器を受け取り、お味噌汁とご飯を倍よそって手渡す。


「ありがと」


 紫乃ねえは俺から器を受け取ると、また爆速でお味噌汁とご飯を平らげ、結局炊いておいたご飯のほとんどを食べ尽くした。


「はあーお腹いっぱい。ごちそうさま」


 紫乃ねえは飯を食べ終わると、すぐさまソファで横になり、ハイボールを飲みながらだらだらとテレビでヨーチューブを見ている。


「寝ながら飲むとこぼれるぞ」


「大丈夫大丈夫! 虎夜も飲む?」


 ソファを覗くと、数滴ハイボールをこぼしている。


 紫乃ねえはすぐに酔うけど、どれだけ飲んでもそれ以上には酔わないし、意識と記憶は割と大丈夫なタイプだか、裏を返せばウザさ倍増でいつまで経っても寝ない、非常にめんどいタイプ。


 未成年にも平然と酒を勧めてくるし、本当に弁護士かこの人。


「ハイボールはそんなに」


「何が好きなの? 買ってきてくれるなら奢ってあげようか?」


「ジンかラムトニック系が好きだけど、奢りならポートヘレン。ボトルで」


「流石に高すぎ〜No三で我慢しなさい。そして飲み終わったら、その鍵で私の心の鍵を開けて〜」


「意味わからん。明日もあるんだし、あんま飲むなよ」


「明日? 何か用があるの?」


「仕事で帰国したんじゃないの?」


「有給とって一週間前乗りしたの。日本にはかなりいる予定」


「だから明日は休み〜でも日本に旅行に来たつもりで色々と、あーでも一週間しかないんだよね〜もー半導体嫌いになりそう」


「半導体とばっちりだろ」


「でも〜特許だったりめんどくさい〜特に今の半導体業界はピリピリしてるしさ、日本人だからってことで今回の件担当になったけど、めんどい〜大人って嫌い」


「紫乃ねえだって大人だろ」


「心はいつでも十七歳」


「おいおい」


「いいーネタが通じるって快感。あっちだとほとんど通じないの〜やっぱり元ネタを知ってるのは大事。てことでもういっぱいいこ〜」


 紫乃ねえはグラスに残ったハイボールを飲み干し、空になったグラスにウイスキーと炭酸水を測らず適当に入れると、グラスに指を突っ込んで混ぜる。


「崎山を指はやめてくれ」


「え、指輪。そうなの、この指輪は虎夜が小さい頃くれた指輪だよ。薬指は入らなくなったけど、大人の虎夜の為に開けてあるんだよ」


「指輪の話はしてない」


「ぬるぽ」


「俺HTML派だから」


「ねえーちゃんと反応して〜知ってるでしょーねーえー虎夜。ぬるぽ、ぬ〜る〜ぽ〜ぬるぽ!」


 流石にめんどくさくて「が!」と言った途端、紫乃ねえは謎の大爆笑をしながら抱きついてくる。


「酒臭が!」


「ひどい! 女の子はいつでもフレグランスの香りがするんだよ」


「三十に近づくにつれて、ラクトンってのがなくなるらしいから、紫乃ねえは女の子

ではない」


「むー」


 紫乃ねえは指で混ぜたハイボールを半分飲んでテーブルに置くと、ハイボールに追加でウイスキーを追加する。


「濃いだろ」


「恋。恋人スポットとか一緒に行く?」


「行かない」


「なんでよ〜」


「なんでっいわれても、羽実ちゃんと行けばいいんじゃないか」


 紫乃ねえは頬に空気を溜め、わざとらしく俺から顔を逸らす。


「えーじゃあいいもん、二人で楽しんでくるもん」


「そうしてくれ」


 紫乃ねえは「プイ」と言って俺から顔を逸らし、ハイボールを一気飲みする。


「セルフで効果音つけるのはやめろ。その年だと相当だぞ」


「羽実ちゃーん! 虎夜がひどいー」


「やめろ叫ぶな! ご近所に迷惑だろ」


「ご近所の皆さーん! 虎夜と結婚しまーす!」


「しないっての!」


 紫乃ねえはウイスキー一本飲み終わるまで寝ずに、ひたすら酔って騒ぎ続け、ようやく寝たかと思えば、寝相が悪すぎて炭酸水が残ったペットボトルを蹴飛ばしたり、氷が入ったコップを倒したり、なるべく早く帰ってもらうか、禁酒してもらおう。

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