ひとつ、おいた椅子
呼び寄せる言葉も浮かばないうちに
ため息の演出へと変わってゆく
終電まであと何分か
気にしないでいた日は
とてもなつかしすぎる
僕たちの出来事を思い出にするには
まだ僕の方に
もう少しの元気が必要かな
ひとつ、あいだをおいて椅子に座るキミ
そのキミにドリンクの注文をとる僕は
周りからみれば
とても不自然に映るけど
仕方がないね
隣に座れない、何かの理由を僕は探せないまま・・
立ち止まり、振り返るだけの余裕は
今の僕にはないから
キミのこころに直接届くような
話題作りで大変なんだ
ひとつおいた
この距離は
僕にしたら
まだ挽回できる距離だと
自分に言い聞かせている
キミのほうが僕に話しかけてくれるのか
それとも我慢ができないうちに
僕が当然のように
キミに聞いてしまうのか
答えは決まってる
隣にいるときのキミの横顔より
ひとつおきの椅子に座るキミの横顔のほうが
ステキに見えるのは
なぜなんだろう
その答えは永遠に出ないこと
それだけは分かってる
キミにはきっと感じることのない距離を
僕はなんとか近づけたいと思っているから
隣に座るかもしれない、キミの横顔が
曇らないように
僕がそっと
手を差し伸べるつもりだから・・・