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久しぶりに元の世界の夢を見ます。
『あれ?龍也と叔母さんと叔父さんだ。新幹線の中?』
どうやら向こうの夢を見ているようだ。久しぶりに見る夢に少し心が弾む。叔母は寝ていて叔父さんはスマホで動画を見ている様だ。
龍也は1つ下の従兄弟。大人しい性格だけど男気があり正義感が強い。龍也には4つ上の兄の雅也がいる。雅也はどちらかというと人当たりが良く八方美人タイプで世渡り上手だ。雅也はチャラいからあまり話が合わなけど仲は良くも無く悪くも無い。
雅也が居ない事から都内の私が相続したマンションに向かっているのだろう。龍也は珍しく文庫本を読んでいる。龍也も本が好きで私と好むものが似ていて会うと色々話をした。龍也は理系でIT関係に強く本は電子書籍で読んでいたのに珍しい。龍也の本に注視する。本の表紙はブックカバーで分からないが…
『えっ!あの本もしかして…!』龍也が次のページをめくった時に挿絵が現れた。その挿絵の主人公見覚えがある!
私が異世界移転する日に買った好きな作家の新作だ。古本屋で未開封のそれを見つけて興奮して買った記憶がある。
『何で龍也が持っているの?あんたの好きなジャンルは歴史ものや推理ものでしょ⁉』
挿絵の感じからラストに差し掛かるら辺か…。すると龍也は何故か安堵した顔をして少し前に起きた叔母に
「お袋。春香はきっと今親切な人に囲まれて幸せに暮らしていると思うよ。だからお袋が責任を感じる事は無い。春香はきっとお袋が責任感じている方が辛いと思う。春香がふらっと帰って来てもいい様に俺と兄貴が用意しておくし、帰って来たらサポートするからお袋のその肩の荷を俺に渡せばいい」
「龍也…何なのいきなり⁈」
「この本さ!この本がハッピーエンドだから春香も幸せになっているにちがいない」
「??」
首を傾げる叔母に説明しだす龍也。どうやらあの本の主人公の挿絵が私にそっくりらしい。龍也は根拠が無いが春香がこの本の主人公の様に異世界に行ったのかもしれないと言い、現代科学や常識では考えられない失踪の仕方をしている。昔で言うところの“神隠し”だ。
根拠は無いが春香はこの本の主人公の様に、異世界で素敵な男性に恋われ幸せに暮らして気がすると言うのだ。リアリストの龍也が異世界移転とか考えている事にびっくりもしたが、この本からそこまで考える龍也の頭は凄いと思う。
「龍也…ありがとう。気休めでも嬉しいよ。母さんもその本読んでみようかぁ…今の春香の様子が分かり幸せなら私も納得し失踪宣言の申請を出す決心がつくわ」
『叔母さん!龍也!ごめんに急に消えて。でも龍也の推測どおり異世界で沢山の人に愛されて幸せだよ。人生で初の恋人も出来た。だから私の事は気にしないで!あっ!でも忘れないでいて…確かに日本に“織田春香”が存在したいた事は…』
手を伸ばして叔母を抱きしめようとしたら目が覚めた。夜着が肌に張り付くほどの寝汗をかき、目が腫れるほど泣いていたようだ。
私の起きた気配を感じた侍女さんが寝室に入り悲鳴を上げ、メリージェーンさんが走ってきて大騒ぎになりまた皆さんに迷惑をかけてしまった。
もうすでに5時を過ぎ殿下もアレックスさんも既に公務に行かれた。昨晩2人はちゃんと寝たのだろうか⁈後で聞いてみよう。
そんな事を考えていたら、侍女さんに浴室にほり込まれ湯浴みをし、上がると直ぐにフェイスマッサージを施された。お陰で目の腫れはマシになり着替えと軽い朝食を頂く。
「相当怖い夢を見られたのですね」
「違う。嬉しくて泣いたって感じかなぁ…」
半時間しないうちにジャン陛下と昼食を頂くので、スープとサラダだけにしておく。本当はお腹空いているんだけどね…
食後は侍女さんが2人がかりでヘアーメイクを施してくれ、いつもより華やかなディドレスに袖を通した。準備が整いソファーでゆっくりしていたら、殿下とアレックスさんが部屋に迎えに来てくれる。
「「春香!!」」
おっ!見事にハモった!殿下が目の前に来て跪き唇に口付けて微笑む。まだ慣れてなくて顔が熱い。すると殿下は
「春香は可愛いなぁ…」
「今日は侍女さん達が頑張ってくれて詐欺レベルの仕上がりだから…」
すると殿下の後ろで順番待ち⁈のレベル1のアレックスさんが
「春香!卑下するな。万人が可愛いと言うに決まっている!」
といつもの無自覚の激甘なセリフは吐く
「冷静に考えてもそれはないと…」
「殿下。春香に挨拶したなら代わって下さい。今朝は会えなかったのだから!」
殿下はもう一度キスをして不服そうに立上りアレックスさんと変わる。
眉間の皺が消え微笑んだアレックスさんからも口付けをいただく。するとアレックスさんが頬に手を当て親指で目元をなぞりいきなりレベル2になり
「メイクかと思ったら目元が腫れている…春香泣かされたのか!」
「!!」
途端にアレックスさんが怒りのオーラを放つ。慌てて否定!
「違うの!夢見が悪くて泣いていたみたいで起きたら腫れていたの。侍女さんがすぐマッサージしてくれたけど目立つ⁈」
「いや、注視しないと分からない」
「私は分からなかったぞ!」
相変わらず私の小さな変化に気付くアレックスさん。どちらかと言うと殿下は鈍感だ。
「元の世界の夢を見てね…」
「それで帰りたくなったのか!」
「私が昨晩無理強いしたからか⁈」
「「「はぁ⁈聞いてない!!」」」
アレックスさん、ジョシュさん、メリージェーンさんが殺気立ちメリージェーンさんに至っては剣に手をかけている。アリッサさんとのトラブルあげーん!
慌ててメリージェーンさんの右手の抱き付き抜刀を阻止する。
「誤解ですよ!あれが原因じゃありませんよ!それに謝ってくれたし!“嫌っ!”って言ったら止めてくれたから」
「やっぱり、陛下命により排除します!」
「メリージェーンさん!排除しなくていいから!!ジョシュさん止めて下さい!」
「陛下の命なら仕方ない」
「仕方なくないよ!!もぅ!!」
「皆さん…本人が許している事に過剰に反応しないで下さい。ジャン陛下との食事前に疲れました…」
カオスな状態がやっと治まり、昨晩の殿下の暴走がバレ殿下はまだ気まずそうだ。
まだ疲れが取れていないのに時間が来てしまいジャン陛下の元へ向かう。
殿下がエスコートしてくれアレックスさんが先導し後ろはジョシュさんとメリージェーンさんが護ってくれる。移動中にまた他国の代表に声をかけられ殿下は立ち話しをする。結構長い時間立ち話をされるのでアレックスさんに時間が大丈夫か聞いたら
「こういう事は良くあるので時間に余裕を見ているから心配ない」と教えてくれた。
王族あるあるみたいな感じかなぁ⁈
「春香待たせたね!さぁ行こう」やっと陛下の元へ向かう。結局何度が足止を受け時間ギリギリに着いた。入室許可を得て入室すると宰相のエドワイズさんとバルカンさんが控えている。
「もっと早く話をしたかったのだが俺も、ローランド殿下もスケジュールがいっぱいな上、合わなくてな。やっと春香殿と話が出来る。今日は記録を入れない私的な会食だ。楽に過ごしてくれ」
「お招きいただきありがとうございます。無作法者ですのでありがたいです」
着席すると早速料理が運ばれて来る。乾杯にシャンパンが用意されるとローランド殿下が給仕に私のグラスを果実水に変えろと言っている。また飲ませてもらえないみたいだ。気落ちしていると陛下が
「この場は気心知れたものしかおらん、乾杯くらいの飲酒はいいだろう。春香殿も少しは飲みたいと思うぞ」
予想外の援護射撃に嬉しくて思わず大きく頷く。溜息を吐いて殿下がシャンパングラスに本当に一口だけ注いでくれ、みんなと一緒にシャンパンで乾杯をする。
「レイシャルと我がヴェルディアの益々発展と友好を願い乾杯」
グラスを軽く上げて乾杯し、殿下と皆顔を合わせ軽く会釈しシャンパンを飲む。甘めのシャンパンは結構好きな味だったがもう顔が熱い。殿下が直ぐにお水を渡してきて飲まされる。
「ははは!春香殿は可愛いな!一口でこの様になるなら飲ませたくないレイシャルの方々の気持が分かる!」
「陛下。笑い事ではありません!こんな無防備な春香を他の男の前に出せる訳ないでしょ!ほらそこにも春香に魅せられた男がいる!」
殿下の目線は入口に控えるバルカンさんだ。目元は緩みまるで愛玩動物を見ている様だ。
目が合ったって事は私がパンダ?
「バルカン一応任務中だ、あまり春香殿に視線を送らない様に」
「失礼いたしました」
「ジャン陛下。お食事いただいたいいですが?お腹が空きました」
するとジャン陛下は目尻を下げて食事を許可してくれた。朝食が少しだったので美味しく頂く。でもやっぱり沢山は食べれ無い!今日は頑張ってお肉まで到達し一切れだけ食べる事が出来た。ちょっぴり嬉しい…食事も進んで陛下と殿下の難しい話が終わった様で、ミハイルさんからのお願いを果たさないと!
「陛下。発言許可を」
「春香殿。私的な席だ許可などいらん気楽に話してくれ」
「では、正式にレイシャルから海の遭難者の情報開示をお受けだと思うのですが、再度私からもお願いします。レイシャルの港では夫や婚約者が安否が分からず、宙ぶらりんで困っている女性が多くいます。ヴェルディアが開示してくれれば、夫や婚約者が亡くなったとが証明され、女性たちは新たな人生を歩むことが出来ます。何卒、早期に対応いただけるようにおねが…」
「エドワイズ!」
陛下は宰相さんを呼び分厚い書類を受取り私に差し出した。かなり分厚い!受け取ると気合を入れないと持てない程重い。
「ローランド殿下が入国された際に一番に願われ、過去10年の照会依頼を全て調べまとめさせた。前王が放置したせいでかなりの件数があり、今朝までかかったよ。本当に済まなかった」
この後、何故前王が情報開示を拒んだのかを聞いた。ゴラスとヴェルディアの海峡は潮の流れが速く荒れる事が多く事故も多い。それは自然なもので誰のせいでもない。しかし潮の流れがヴェルディアに向く為、遭難者や遺体はヴェルディアに流れ着く。これを前王はテクルスの信仰が足りないとヴェルディアが非難されていると思い、海難事故が起こった事さえ認めなかった。特に前王の時代は歴代の王の中でも海難事故が多い。しかしそれは世界的に船舶の技術が向上し航行する船が増えたからであって、自ずと事故も増えるのは当たり前なのだ。だが前王は被害妄想もありそんな風に思えなかった。
「本当に何でもテクルスだったんですね」
「あぁ…しかし前王の王太子時代は今のローランド殿下の様に優秀だったらしい。たった一度の挫折で変わってしまった。王はゴラスの王女から求婚を断れた時、信頼していた家臣から呆れられそれまで自分が一番優れていると思っていたのに、己より劣ると思っていた者からの蔑まれたのが前王を壊した。先先代の王は前王の側近を全て辞めさせ、前王が自信を取り戻せる様に、温厚で従順な者達を付けたが、前王は反対に家臣の優しさに依存して行った。そして先先代が亡き後、前王は家臣の傀儡となってしまった」
闇深いなぁ…そんな父親を持ったのにジャン陛下は強く真っ直ぐ育ったのね。やっぱり母親がしっかりしていたんだなぁ…
「さて、ここからが本題だ」
「はい…」
「表向きは退陣した者たちは全て急死か療養となっている。しかし処分が決まっておらず軟禁している。1番の被害者である春香嬢に罪状を決めてほしいのだ」
「へ?」
「但し前王は死罪には出来んのだ。俺は兄弟が居らず、俺に何かあると王家の血筋が途絶える。前王も兄弟いない。俺に世継ぎが生まれるまで残す必要があるのだ。故に実行役のライナーや元宰相をどうしたいか聞きたいのだ」
「はぁ?私が決めるんですか⁈」
そんな責任重大な事任されても!元宰相の名が出た瞬間、現宰相様もバルカンさんも顔を歪める。
「?」
「元宰相が春香殿にした事も最低だったが、後に調べてみると色々やらかしていてな…とてもじゃないが貴女の耳に入れる事が出来ない。春香殿が決めた罪に他の罪を加え罪状を決める。だからどんな罪状になっても春香殿は気に病むことはない。」
「・・・」
それって”己の命をもって”ってやつ!決まってるなら私の意見要らないじゃなぃ⁈
腕組みをして悩んでいたらローランド殿下が笑いながら
「春香。陛下は今すぐに決めてくれと言っている訳ではない。ゆっくり考えればいい。それにしてもジャン陛下。優しい春香に“罪状を決めろ”は酷ですぞ」
「それは分かっているが春香殿は心身ともに傷ついた。意見する権利があると思ってな。意志を確認したかったのだ」
確かにとんでもない薬を盛られそうになり、好きでもない人の嫁にされそうになったのだ(陛下は悪くないよ!)。正直前王にも元宰相にも腹が立つ。お陰で失語症になりこの状態まで戻るのに苦労した。でも失語症のお陰でローランド殿下との距離が縮まり殿下の人柄を知って想いを受ける決心がついた。
辛かったけどあの出来事は今の私にとって必要だったと思う。
『・・・』それより室内が変な雰囲気になっているのは何故⁈目が合ったメリージェーンさんに
「何かおかしい?また私やらかした?」
すると微笑んだメリージェーンさんが
「春香様があまりにも可愛いく悩まれているので、この部屋の男性達が癒されているのです。…私もですが」
どうやら“腕組み”はこの世界の人はしないそうだ。さぞ私の腕組み姿が滑稽だったのだろう。指でOKサインした時も笑われた。
それはさておき。罪を決めるたって人の命にかかる事だから安易に返事できない。少し時間が欲しい…
「すみません。安易に返事できないので明日の出発間までお時間いただけますか⁈」
「あぁ…構わない。貴女が納得する処分を言ってくれ」
少し重たくなった部屋の空気に気まずさを感じながらデザートにいただく。デザートにはリリアン様とお茶した時と同じ焼き菓子が出た。
『あ!あの話もしておかないと!』
陛下とローランド殿下の話が途切れた時に話を陛下にふる
「陛下…昨日リリアン様からお聞きしたのですが、他国から縁談が鬼の様に申し込まれているそうですが本当ですか?」
「“おに”?は分からんが、本当だ。どの国も鉱石の取引を有利にしたいのだろう。女性をあてがえば上手くいくと浅はかな考えだ。全て断ってやった!“心に決めた者がいるから断る”とな!」
「良かった。リリアン様不安そうでしたよ。リリアン様は気丈でしたか心配になって…余計なお節介でしたか?」
「いや、気を遣わせたな。俺の気持を手紙で伝えているが、やはりほんの少しの時間でも会い直接伝えねば伝わらないのだぁ…今晩時間を作りリリアンの元へ行くとしよう。エドワイズ無理矢理でも時間をつくってくれ。俺が行けないならリリアンを呼んでくれ。やっと彼女を迎えれるのに、いらん心配で失いたくない」
「陛下!男前です!」
「「春香!」」
「春香殿。済まないが俺にはリリアンが…」
「陛下。素敵だと思いますが惚れていませんから!」
2人の視線が怖くて…
「殿下、アレク。浮気何てしてないよ!」
「ほぉ~⁉いつの間に春香殿はローランド殿とアレックス殿を受け入れたのだ⁈バルカン!2歩も3歩も遅れているぞ!」
「ずっと恋おて昨晩やっと受けてくれたのだ、いらんちょっかいは出さないでいただきたい!」
「…」
流石に私的な席ではとは言え、陛下に文句を言えないアレックスさんは抗議を込めたレベル3だ。2人とも結構嫉妬深いかも…
食事会はおおらかなジャン陛下のお陰で楽しく終える事が出来た。そろそろ皆さん次の予定があり退室しようとしたら、陛下に呼び止められる。
すると明らかに不機嫌になる殿下とアレックスさん。
「春香殿。少しでいい!この後バルカンに時間をやってはくれぬか」
「陛下!私の事はいいのです。春香様にもご迷惑をおかけしてしまいます」
「縁談を受けるつもりなら、きちんと初恋を終わらせて来い!エミリア嬢にも失礼だ!」
またややこしい事に巻き込まれかけている⁈
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休止中ですが『女神の箱庭は私が救う』もよろしくお願いします




