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夢に出てきた女性の正体が判ります。
ぼんやり辺りが見えて来た。真っ白な空間?誰も居ないし何もない。ここは何処だろう⁈もしかして夢の中かなぁ…
取りあえずウロウロしてみるが歩けど歩けど誰にも会わない。呆然としているといきなり背後に気配を感じ振り返ると前に夢で出て来た桜色の髪の美女が現れた。
「えっと…ここは何処で貴女は?」
「・・・」
『無反応ですか⁉感じ悪い』
「なぜ?」
「はぃ?」
「何故、何にも優れたところのない貴女が選ばれるの⁈」
『失礼だなぁ!』初対面なのに第一声でディスってきた。少し嫌な顔をしでもここは冷静に
「初対面ですよね。いきなり非難される謂れは無いと思うし名乗るのが常識でしょ⁉」
「貴女にはローランド殿下やアレックスが居るじゃない。なぜミハイルにまで色目を使うの⁈」
「はぃ?色目なんて使っていません」
ふて気づく。この女性は今まで会った女性の中で一番綺麗だ。背は高くパッチ二重に鼻筋は通り魅力的なぽってりとした唇。出るとこは強烈に出て締まところは給料日前の財布の様に引き締まっている。
謎の美女は値踏みするかの様に私の周りを歩き“ふん!”っと鼻で笑いやがった!
平和主義者の私もいい加減腹が立ってきてその場から立ち去ろうとしたら…
「貴女にはミハイルは渡さない。私が先に彼に会い彼を愛したの!後から来た貴女は邪魔なのよ!」
腕を掴まれた!痛い!か弱そうに見えて凄い力。腕はミシミシいっている。
「やだ!」思いっきり腕は振り払った
「ハル!大丈夫か⁈」
目の前にミハイルさんのドアップ!少し動くとキスしちゃいそうな程近い。どうやらミハイルさんに抱きしめられているようだ。
「あれ?夢?」
「よほど怖い夢を見ていたんだな…大丈夫か?魘されていたぞ。そんなに怖い夢だったのか⁈」
「あのね、ゴラスでは桜色の女性って多いの?」
「・・・なぜそんな事を聞くんだ?」
「今回2回目だけど桜色の髪の女性が夢に出てくるから。それもめっちゃ感じ悪くて、ミハイルさんに色目使うなった絡まれ…ってあれ?」
アレックスさんバリの眉間の皺だ。師匠のアレックスさんに負けるけどレベル5くらい?
「ミハイルさん?」
「ハルに嫌な思いをしてほしく無くて黙っていたが、その女性は口元の右に黒子は無かったか?」
ミハイルさんに指摘されて思い出すと確かにあったセクシー黒子。
「うん!あった!セクシー黒子」
「セクシーの意味は知らんがそれはゴラス第1王女のアンリ殿下だ」
「あのミハイルさんにずっと求婚している?」
「あぁ…」
話には聞いているが会った事もないし向こうも知らないはずだけど。
「気にするな俺にはハルだけた。他は何も欲しくない。アンリ王女は俺が加護を受けているのを知らないから求婚を断るのが腑に落ちないだろう」
「夢でご本人を知らないけど凄い美人だったよ。スタイルも抜群で魅力的だったし…優良物件⁈…あっ…ごめんなさい今のは冗談です」
一瞬ミハイルさんが殺気立った。怖い…余計な事は言わない様にしよう。この話はここでミハイルさんが強制終了した。
この後、機嫌悪いミハイルさんに少し媚びておこうと、ミハイルさんの手を握り微笑んだらとろけるような微笑みを返してくれる。
「へへ…」嫌な夢も忘れて胸の奥がポカポカしてきた。
そうしているうちに見慣れた景色が広がって来た。
「ん?」犬の遠吠え?
「ミハイルさんワンダ?」
「ワンダだなぁ」
2人で窓から外を見ると遠くから黒い塊が向かって来る。やっぱりワンダだ!少し見ない間に一回り大きくなっている。
「ばぁう!ばぁう~ん!」
お迎えが来たと言う事は屋敷が近いという事だ。
ワンダは馬車に並走しついて来る。着いたらいっぱいもふもふして上げよう!
大きな門をくぐり屋敷前に着いた。扉が開きミハイルさんのエスコートで降りるとクロードさんと屋敷の皆さんが迎えてくれた。
「お帰りなさい。春香様」
「皆さんご無沙汰してます。会えて嬉しいです」
「お疲れでございましょう。お茶をご用意してございます」
「ありがとうございます。お世話になります」
屋敷入る前に横でお座りをして高速で尻尾を振るワンダをもふってあげないと!
ワンダの前に屈むと我慢の限界とばかりにワンダが飛びついて来てベロベロ攻撃を受け化粧はとれ、聞い事はあったが本当なんだとビックリ!なんとワンダは嬉ションして抱きついて来たら服もビチョビチョになってしまった。でも嫌ではなくこんなに喜んでくれたのが嬉しい。ワンダは犬語?ずっと何か喋っている。まるで子供が親に今日あった出来事を話してる様だ。中々興奮治らないワンダにミハイルさんが
「ワンダ!ステイ!」
「ばぁう!」
訓練されているワンダはミハイルさんの指示従い私から離れて伏せをした。ミハイルさんは苦笑しながら
「ワンダの歓迎は熱烈たなぁ。ハルお茶の前にまずは部屋で湯浴みしておいで」
「うん。そうする…先に行ってて下さい。ワンダ!明日の朝散歩しようね!」
「ばぁう!」
立ち屋敷入口に向かうとモリーさんがいて
「春香様。お帰りなさいませ。またお会い出来て嬉しいですわ。さぁ!まずは湯浴みなさって下さい」
ミハイルさんと別れてモリーさんと部屋に行ったら町屋敷に移る前と変わりなく綺麗にされている。浴槽に浸かると長時間座って凝り固まった体が解れて行くのを感じリラックスしさっぱりした。
モリーさんが用意してくれた臙脂色のワンピースにら着替え応接室に向かうとミハイルさんとクロードさんが話をしていた。ミハイルさんはすぐ立ち上がり手を取り隣に座らせくれた。するとロックさんがケーキとお茶を用意してくれる。
「ロックさん。お久しぶりです。今日はよろしくお願いしますね」
「また春香様の給仕が出来て幸せでございます。ごゆっくりなさって下さい」
出されたケーキは私が好きな濃厚ショコラのケーキで思わず顔が綻ぶ。美味しくいただいている。
クロードさんの視線に気付き顔を向けると慈愛に満ちた微笑みを向けられた。相変わらず男前だ。
それに対してミハイルさんは書類を見て険しい顔をしている。
「クロード。引き続き調査をしてくれ。お前に権限を与える。処理してくれ」
「畏まりました」
何か物騒な話をしている。ミハイルさんを見ていたら微笑まれた。その微笑みに私が聞いてはいけない話なんだと察してまたケーキを頬張る。
この後屋敷の皆さんと雑談したり屋敷の庭が変わっていたのでミハイルさんとワンダと散歩しゆったりと過ごして1日を終えた。
翌朝早く起きて港町に行く準備をする。歩きまわる為、丈が少し短めのクリームに小花柄のワンピースをモリーさんが選んでくれた。
用意が済むと部屋にクロードさんが迎えに来てくれた。エントランスまで久しぶりにクロードさんと話ながら向かう。他愛もない世間話をしていたら、急にクロードさんが
「なにがあってもミハイル様を信じて下さい。あの方は貴女を裏切らない」
「クロードさん!何かのフラグですか?怖いんですが!」
理由を聞くと付き合わせが近く貴族が良縁を求めて動いだすらしい。どうやら私とミハイルさんの婚約はかりそめなのがバレてるし、ミハイルさんは言うまでもなく超優良物件だ。そして私は多重婚が許されていてその上ローランド殿下が求婚中。
つまり2人とも狙われているらしい。クロードさん曰く付き合いが近づくと毎年こうらしい。
「街では必ずミハイル様と一緒にいて下さい」
「はい」
せっかくミハイルさんと街ぶらデートを楽しみにしていたのに気持ちが半減した。
エントランスに着くと平民の装いのミハイルさんがいた。美丈夫は何を着てもカッコいい!
ミハイルさんに見惚れているとクロードさんが苦笑して
「ミハイル様は変装しても公爵家特有の赤髪で意味ないんですがね…まぁご本人の自己満足でしょう」
「そうなんですか…」
意外に毒づくクロードさんにドキドキしながらミハイルさんの元に。
ミハイルさんは微笑み頬に口付けエスコートしてくれ馬車まで移動する。馬車前で屋敷の皆さんにお礼をして馬車に乗り込んだ。窓から手を振り屋敷を後にする。1泊だけだったけど久しぶりの屋敷の皆さんと話せて楽しかった!
馬車はゆっくり進み1時間ほど走ると潮の匂いがして来た。ミハイルさんに聞いたらもうすぐらしい。ミハイルさんの許可を得て窓のカーテンを開けると少し先に街が見えてきた。ワクワクして窓にへばり付いていたら背中が温かくなる。ミハイルさんがバックハグをしている。すると耳元であの響く低音イケボで
「春香は魚介類は大丈夫か?」
「うん。大好き!」
「昼食は期待してくれ」
「はい」
ずっと背中にミハイルさんの温もりを感じるが恥ずかしくなって来たが解放してくれる気は無いみたい。もぞもぞ動くと余計に強く抱きしめられる。
今日のミハイルさんは極甘だ。
『デートだからね…』
気を紛らわす為にぼんやり外を見ていたら…
私の髪をかき上げ耳に口付けた!びっくりして振り返ると
「今日ハルの心は俺だけにしてくれ。誰も入れないでくれ」
鼻先がくっつきそうな距離で囁かれた。どうやらミハイルは本日は真剣勝負のようです。
私無事に今日を終える事が出来るのだろうか⁈
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