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最近甘い雰囲気のアレックスさんに戸惑う春香

アレックスさんの瞳はいつも以上の優しく熱い。目を合わせていると変な気持ちになって来る。

話題をかえよう!


「王都に戻る時にアレックスさんも一緒ですか?」

「勿論だ。ずっと側にいる」

「帰ったら町屋敷ですかね?それともシュナイダー公爵邸ですかね?」

「予定では町屋敷だがヴェルディアの騒動と人攫いの件でもしかしたら王城になるかもしれない」


出来れば町屋敷で自室の小さいベッドで熟睡したい。すると腕組みをして考え込んでいたアレックスさんが


「春香。明日街に行こう。今度は一緒に行こうと言っていたよな。王都に戻れば中々こちらには来れない。だから行こう。そうだ本も返しに行かないとな。少ない時間コールマン領を楽しんでいけ」

「いいんですか?アレックスさん忙しそうなのに!」

「実は今日夕刻に父上がお戻りになる。領主代行も今日で終わりだ」

「侯爵様にはお礼を言わないと」

「きっと王都から沢山の手紙を預かって帰るはずだ楽しみにしておいで」

「はい!」


嬉しい。本当に帰れるんだ!

『ん?帰れる?私の家?』一気にテンションが下がった私を気にして隣に座り手を握るアレックスさん。

私の家…居場所…どこなんだろう…こっちに来てそろそろ4か月経とうとしている。そろそろどうするか決めないといけないここ数ヶ月色々あって自分が帰る事なんて頭から抜けていた。

早く決めるべきだったかもと今猛烈に後悔している。もぅこの世界の人に情を持ってしまった。でも、やはり帰りたい気持ちもまだある…


心配そうに見つめるアレックスさんが背中をさすって

「また心配事か?」

「うん…皆さんに良くして頂いて帰る決心がつかなくなってきてる。もっと早く決断するべきだった」

「何故?」

「別れるのが辛いから…」


手を止めて膝の上でグッと握り拳を作ったアレックスさんはポツリと


「ならずっとここに居ればいい。お前の元の世界の様に便利な世界では無いが俺がいる。寂しい思いはさせない」

「でもね…向こうの世界の友人や身内にお別れも言えていない。きっと母親代わりの叔母は探していると思う」

「俺は…春香の意思を尊重する。ゆっくり考えればいい」

「うん…」


重い部屋の空気を跳ね除ける様にノックと同時にエリックさんが入って来た。いつも通り明るい表情で


「あれ?お邪魔だった?兄貴も結構やるね!早くハルカ口説いて婚約しろよ。母上が煩くてかなわない」

「エリックそんな事言いに来たのか?」

「んな訳ないだろ!兄貴母上がお呼びだ。ハルカ暇ならお茶しようぜ!」

「はい。喜んで」


中々席を立たないアレックスさんを溜息交じりでエリックさんが引っ張り部屋から追い出した。

部屋に戻ったエリックさんは庭でお茶をしようと提案する。あと少しで帰る。この屋敷を囲む湖を暫く見る事が出来ないからそれもいいかもしれない。

エリックさんのエスコートで庭に出たら従僕さんがお茶の用意をしてくれていた。テーブルに座ると喉にいいハーブティーが出た。専らこのハーブティーが私の水分補給になっている。

エリックさんが話すのはほぼグリフの話。本当にグリフが好きなんだなぁ…

「この前に会った子供たちは少しだけど飛べるようになったんだぜ!一所懸命に羽を動かす子供達は最高に可愛い!ハルカも帰る前に一度会いに行くといい」

「行きたい!連れてってくださいね」


エリックさんと話をしていたらランとカイが飛んできた。いつも塩対応のランが甘えてくる。その横でカイがそわそわしている。ちょっと様子が違う2匹に戸惑っていたらエリックさんが


「そう。ランが身籠ったんだ。勿論カイの子だ。ランは初産だから不安なんだろう」

「そっか!良かったね!ランならいいお母さんになるよ」


ランの背中を撫でたらすり寄ってきて、そのランにカイが寄り添う。子供ぽっかたカイがなんか逞しく見える。パパになるからかなぁ⁈

この穏やかな日々も少しで終わり。さみしいなぁ…


「ハルカ。帰らずここに居ろよ…ランの子供も見たいだろ⁈兄貴も母上も口には出さないがここに居て欲しいはずだ。勿論俺もな」

「・・・ありがとう。でも元々は10日ほどの滞在予定だったし…」

「エリック!春香を困らせるな!」

マニュラ様との話が終わった様でアレックスさんが足早に歩いて来た。エリックさんはあからさまに拗ねている。確かにランの赤ちゃんも見たいしコールマン家の皆さんも好きで居場所になりつつある。でも…ここに残るという事はローランド殿下とミハイルさんとの事を拒む事になるのだろうか⁈


「先触れが来た。後1時間もしないうちに父上がお戻りになる。エリックも着替えて来い」


不機嫌な顔をしてエリックさんは自室に戻って行った。私も侯爵様をお迎えする準備の為にアレックスさんのエスコートで自室に戻る。

湯浴みをしてキレイ目のワンピースに着替えたら執事さんが迎えに来た。屋敷入口でアレックスさんの横に並び侯爵様をお迎えする。

少ししたら騎士に先導され馬車が入って来た。

侯爵様が馬車から降りると一斉にお辞儀をする。侯爵様はマニュラ夫人の元に行きハグをし口付ける。そしてアレックスさんとエリックさんに声をかけて留守を労う。


「春香。我が領地で危険な目に合わせてしまい領主として謝罪する。しかし今回の事件のお陰でブローカーを捕まえる事が出来た。陛下は大変お喜びだ。

陛下から文を預かってきている。後で書斎に来なさい」

「はい」

暫しの沈黙。まだ何か言われると思い待っていたら、ケイン様は躊躇しながら抱きしめて


「心配したが声も出る様になったんだね。王都に戻っても我々を家族と思ってくれ。そしていつでも遊びにくるといい。アレックスと縁が無くても春香は私達夫婦の娘だ」

「ありがとうございます」


横を見るとマニュラ様が号泣している。

「えっと、娘認定と嫁は別ですよマニュラ様」

「ええ…分かっていますよ。でも念願の娘が出来て私嬉しくて!うぅ・・・」

「はぁ…まずは屋敷に入りましょう。父上もお疲れでしょう」


こうしてケイン様がマニュラ様に付き添い皆さんと屋敷に入ります。ケイン様の身支度の間アレックスさんとエリックさんと執務室でお茶を頂いて待ちます。すると着替えられリラックスされたケイン様とマニュラ様がラブラブモードで執務室に来られた。

従僕さんが荷物をテーブルに置き退室する。どうやらケイン様はお土産を買ってきたようだ。


「父上、我々は子供では無いので土産は必要ないですよ」

「お前たちにでは無い!麗しのレディー達にだ」


マニュラ様は満面の笑みで箱を開けていく。侯爵様は私に綺麗なショールと手袋を買って下さった。綺麗な緑色のショールは厚手で夜羽織るのにちょどいい。

お礼を言うと優しい微笑みで返してくれる。

次に重厚感ある文箱から沢山の手紙を取り出し渡してくれた。ほとんど私宛で殿下からの文は異常に分厚い。何枚書いたのだろう⁈

レイモンド父様やアビー母様からもある。嬉しい!後で部屋でゆっくり読もう…


「アレク。お前宛だ。殿下とミハイル殿から来ている」

「・・・」

あ…レベル3だそんなに嫌?


「春香。陛下から伝言だ。ヴェルディア王が危篤と私が出発直前に知らせが入った。恐らく春香が王都に着くタイミングでご逝去されるだろう。そしてすぐにジャン王太子が王位を継がれる。ジャン王太子が帰国される時に王位継承の式典に春香を招待すると仰っていた。恐らく王都に戻り少ししたら直ぐヴェルディアに行くとこになるから心してくれ」

「はぁ⁈」

私は休みは無しですか?


それより怖い!計画されている様な”危篤からのご逝去”って!まさかジャン王太子”謀反?反逆?クーデター?”的な事したの?

顔色が悪くなった私を見てケイン様が


「春香。説明不足だったな。危篤は嘘で恐らく王は辺境の地で幽閉になる筈。国内外の混乱を避ける為病気とし急死にする算段だ。詳しくは陛下の文に書いてある筈だから、後で読んでみなさい」

「もぅ!びっくりしましたよ!」

「いや…分かっていなかったのは春香だけだ」

「マジで⁈」


皆さん頷き温かい目で見られる。そんなの分かるわけないじゃん!少し拗ねたらアレックスが私の前に茶菓子の皿を移動させた。

小さい子じゃないから食べ物で機嫌は治りませんから!


暫く皆さんと話をしていたらアレックスさんが

「春香。父上と仕事の話をするから、夕食まで部屋で手紙を読んで待っていてくれ」

「分かりました。部屋にいます」

侍女さんに荷物を持ってもらい自室に戻る。侍女さんと話ながら廊下を歩いていて、ケイン様にいただいたショールの話をしたら驚く事を言われて赤面する。


「素敵なショールですね。あっ!その緑色は若様アレックスの髪の色で、黄色刺繍は若様アレックスの瞳の色ですわ。旦那様はお2人をお認めなのですね!」

「っん⁉︎」


それでか!ショールをいただいて羽織った時の皆さんの温かい視線と、妙にソワソワしたアレックスさんの態度は!

侍女さんの温かい眼差しに気不味さ感じながら部屋に着いた。


部屋に入り早速手紙を確認する。


「えっと…」


陛下

ローランド殿下

ミハイルさん

レイモンド父様

アビー母様

ジョシュさん


嬉しい!どの手紙から読もうかなぁ…ヴェルディア訪問の件があるからやっぱり陛下からかなぁ…

座り直し陛下の手紙を読み出した。


お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『女神の箱庭は私が救う』

『(仮)選べなかった1度目の人生、2度目は好きにしていいですか?』

もよろしくお願いします。

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