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明日は街ぶら!楽しいはずなんだけど…
屋敷に戻りサロンでお茶をいただき、一旦部屋に戻りゆっくり湯浴みをし着替えてのんびりする。夕食まで小説を読みすすめる。“コンコン”誰か来た様だ。
「入るぞ!」アレックスさんが来た。
「疲れてないか?」頷き指でOKする。
「明日は俺は街外れの馬車停泊場で待機だ。領主の息子である俺は目立つし一緒なら殿下は普段の街を楽しめない。大丈夫だ殿下には常に影が付いているしそれに殿下より強い剣士はいない」
『はい。気遣ってくれてありがとうございます』
「出発は4時半だ。今日は早く休め」
頷くと手を差し伸べるアレックスさん。そっか夕食の時間ね⁉︎立ち上がる時にソファーの肘掛けに脚をぶつけてつんのめる。『あっ!』思いっきりアレックスさんの胸にダイブした。
『ごめんなさい!』顔を上げると間近に綺麗なアレックスさんのお顔が!
『へ?』アレックスさんの顔が近づく⁈
まさか殿下みたいにキス?
一瞬体が強張る…でも嫌ではない?あれ?
「気をつけろ」
アレックスさんが顔を背けた。なんか残念⁈あれ自分が分からない。
この後どうやって食堂に行ったのか分からない。
アレックスさんはレベル3だし無言。食堂に着くと殿下の微笑んでいるけど目が笑ってない。
食事中は殿下もアレックスさんも無言で夫人とエリックさんが気を使い色々話してくれる。居心地悪くて食事が進まず大半を残してしまう。
『私何かしたかなぁ…』すると
「アレックス。何が気に食わないのか知らんが、その仏頂面はやめろ!春香が気にしている」
「恐れながら殿下の眼の方が怖いと思います」
「はぁ⁈」
2人の喧嘩が始まり更に居心地悪くて席を立ち両手を合わせてお辞儀をして退室しようとしたら、目の前に壁が⁈
「恐れながら殿下と兄上に何があったのか知りませんが、一番の被害者はハルカだ。ハルカのせいでは無い気にするな。部屋まで送ろう」
エリックさんが私の手を取り食堂を出た。部屋に戻ると思いきや行き先はサロンだった。
エリックさんが侍女さんに指示してお茶とサンドイッチが出てきた。
『?』
「殆ど食べて無かっただろう⁈あんな雰囲気では無理もない。図書館で何が有ったのか?」
両手を広げて首を振り『分からない』とジェチャーする。
「まぁ~ハルカは気にするな。兄上と殿下は幼馴染で、似た者同士だから昔からよくケンカしていたよ。明日には元通りだろう」
頷きサンドイッチをほお張る。緊張が解け美味しく頂く。このあと暫くエリックさんと話をし部屋に戻り早めに就寝した。
翌朝、3刻に目覚め早めに身支度を整えて食堂に向かっていると前からローランド殿下が歩いて来る。優雅に私の手を取り手の甲に口付けた。
「おはよう春香。昨日は済まなかった。気分を害させて…アレクの春香への態度に少々腹が立ってね」
『仲直りしたんですか?』
「仲直りとかそうゆう事ではないんだよ…いずれアレクにははっきりして貰わねばならないが、不器用な彼奴が自覚するまで様子見かなぁ…」
『殿下。私意味がさっぱり…』
「春香は何も心配しなくていいよ。そのままでいて」
首を傾げたら殿下が微笑み額に口付けた。そのまま食度に行き朝食を食べそのままエントランスに向かう。エントランスでマニュラ夫人とエリックさんにご挨拶し出発する。馬車の前には騎士の恰好をしたアレックスさんが居た。
『おはようございます。今日もよろしくお願いします』
「昨日は済まなかった。気を遣わせた。春香が悪い訳では無いので気にするな。今日は街を楽しんでおいで」
『今日はご一緒できませんがまたの機会に街に行きましょうね!』
アレックスさんは目を見開き驚いたような顔をし、すぐに柔らかく微笑んでくれた。良かった今は眉間の皺はない!
アレックスさんの手を借り馬車の乗り込み出発する。街までは1時間ほどかかる。馬車に揺られて眠くなってきたら殿下が隣に移動して肩を貸してくれる。街まで暫く眠る事にした。
「春香!着いたよ!」
殿下に起こされ起き上がると馬車は止まっている。殿下に手を引かれ馬車を降りると周りには沢山の馬車が停まっている。ここが馬車の停泊場みたい。
ここから殿下と2人で街を散策する。
「春香。必ず殿下の目の届くところに居ろ。一人でうろうろするなよ。比較的安全な街だが裏通りはゴロツキがいる」
頷くと殿下が腰に腕を廻し
「私がいるから大丈夫だ。何かあったら笛を吹く」
「お気をつけて…」
アレックスさんに手を振り別れて街の方へ歩いて行く。少し歩くと大きい広場に出た中心に大きな噴水がある。噴水を取り囲む様に屋台が出ていて色々な物が売られている。わくわくしてきた!
「春香。欲しいもがあったら言ってくれ。何でも買うよ!」
『特に欲しいものは無いです。見ているだけで楽しい!』
殿下と歩いていると露天商のおじさんが
「そこの男前の兄ちゃん!恋人にこの可愛い髪飾りはどうだぃ!」
おじさんを見るとアクセサリーを売っていた。可愛いものが多くて目が楽しい!その中でカチューシャに目が留まる。シンプルな黒色にラベンダー色の薔薇のモチーフがついている。シンプルでかわいい。サイドの髪が本を詠んだりする時に邪魔になるから丁度いいかもしれない…すると殿下がカチューシャを手に取り私に着けてくれて
「春香!良く似合うよ。これでいい?他に欲しいものはある?」
『殿下!見ていただけだから大丈夫です』
「これにするかこの露店のアクセサリーを全部にするかどっちがいい?」
『殿下…ズルいですよ!このカチューシャがいいです。ありがとうございます』
「春香はねだらないね。もっと我儘言ってもいいんだよ。店主これを」
「毎度あり!お嬢ちゃんよく似合うよ!」
おじさんにお辞儀をして殿下と別の露店を見に行く。するとパンのいい匂いがして来た。匂いの先に向かうとプルスルを売る露店にたどり着いた。
殿下の袖を引っ張り
『殿下。これが食べたいです』
「春香が欲しいだけ買おう!何本いる?10本あれば足りるかぃ?」
そんな食べれる訳ないじゃん!指を1本立ててむくれる。殿下は楽しいそうに笑いながら1本買ってくれた。
『殿下。全部は食べてませんから、半分こしませんか?』
殿下は了承してくれ半分に切って殿下に渡した。前に食べた時にかぶりついてアレックスさんに注意されたから、手でちぎりながら食べる。美味しさに顔がほころぶ。食べ終わったら殿下が飲み物を渡してくれた。飲んでびっくりした元の世界で飲んだことある。なんだろう…“レモネード”だ!
「プルスルの売り子のお嬢さんに聞いたんだが、これを飲むとプルスルの脂っぽさと匂いを消してくれるらしい。これなら帰ってグリフにまた襲われる事無いだろう」
『アレックスさんに聞いたんですか?』
どうやら私の事は報告書で殿下に筒抜けだった。恥ずかしい…でもこれでカイに拉致られる事は無さそうだ。
今度は露店からお店を見て回る。どれくらい歩いただろう。疲れてきたら殿下が噴水の淵に私を座らせて果実水を買いに行ってくれた。今日は暖かいから飲み物が良く売れている様で長い列が出来ている。平民を装っている殿下も列に並び時折手を振り私を確認しているようだ。
すると目の前を人が通ったら…見事に目の前で荷物が落とした。咄嗟に立上り一緒に拾う為駆け寄ると荷物を落とした男性が声をかけて来た。
「あれ?お嬢さんは昨日図書館で会った方ですね。また会いましたね。ありがとうございます拾って頂いて。ご迷惑おかけして言いにくいのですが。この通り両手が塞がっていて荷物落とすの3回目何です。馬車がすぐそこなんですが、急いでまして馬車までお手伝い頂けませんか⁈」
男性が指さす方向に馬車が停まり小さい男の子が立っている。ほんの10mほどの距離であの馬車からでも殿下が並ぶ位置が見える。歩くとほんの数分だからいいかなぁ…頷くと男性は嬉しそうに
「良かった。馬車前に居るのは息子で一人で待たせてます。早く行ってやりたくて急いで余計に落とすを繰り返していたんです。助かります」
男性はそう言うと軽そうな袋を私に渡しさっき落とした重い方を持ち馬車に歩き出した。慌ててついていく。歩きながら殿下の位置を確認しようとしたら、列の前に大柄の男性が3人ほど立ち話していて殿下が見えない。まずいなぁ…早く荷物を運んで戻らないと殿下が心配するよ!
馬車前に来たら男性が荷台に荷物を置くように言いその通りにしていたら
「ありがとうな!坊主」
「おっちゃんこんなにいいの?」
『ん?“おっちゃん?”あれ息子じゃなかった?』
次の瞬間腕を取られた。すごい力で抗えない!
「嬢ちゃん痛い目見る前に馬車に乗るんだ。」
『ウソ!人さらい!殿下!』
「おい!彼女は私の連れだと昨日も言っただろう!馬鹿なのか⁈もれとも頭が悪いのか⁈どちらでもいい春香を離せ」
『殿下!』
気付いた殿下が来てくれた。涙があふれてくる。
「おい!この優男何とかしろよ!」
男が叫ぶと柄の悪そうな男が数人現れ剣を殿下に向ける。殿下は溜息を吐いて
「悪党は必ず最後はあがくなぁ…それより春香。後でお説教だ」
殿下を囲んだゴロツキが一斉に飛びかかる。いくら殿下が強く影が付いているとしてもこんなにいっぺんになんて!“アレックスさん!”
殿下は剣を持ったゴロツキを素手で倒していく。最後の一人を投げ飛ばした時、首に冷たいモノが当たる。
「にいちゃん。強いな!ウチで働かないか?」
「お前らに付き合って暇はない。春香を離せ」
「悪いがアンタみたいな平民にこの嬢ちゃんは勿体ない。こんな綺麗な漆黒の髪と夜空の瞳の女は中々いない。お貴族様がお囲いとして高値で買って下さるさ!嬢ちゃんも喋れなくともお貴族に体指し出しゃいい暮らしが出来るんだぜ!」
『うっ!』ガタガタ体が震える。目の前の殿下から凄まじい殺気を感じ血の気が引いていくのが分かる。忘れかけていたミハイルさんの殺気を思い出しまた恐怖が甦る。
「春香!私が怖いか?」
『・・・』
「怖くて当たり前だ。私は生まれて初めて我を忘れそうになる程怒っている。とりあえず悪人を退治する。春香…後でちゃんと話そう。春香には見せたく無いから目を閉じていて!」
全身冷や汗をかきながら頷き目を瞑る。
「いい子だ…」
『あっ…』一瞬の事で何が起きたか分からないが、首に当たっていた冷たい物も無骨な男の腕もなく、殿下の温かい腕の中にいた。
足元に黒ずくめ人が犯人を抑え込んでいる。
何この状況…説明お願いします!
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『女神の箱庭は私が救う』
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