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真面目な顔をした殿下が何を話し出すのか怖い春香だった。
ずっとレベルMAXのアレックスさん。でも機嫌が悪いと言うより不安そうだ。
「春香。今から話す話しはショックか大きいだろうが、今後の春香の為と何故自分を見失う程でミハイルが激昂したのか知って欲しい」
「犯人が春香に盛ろうとしたら薬についてだ」
『あの禁止されている媚薬ですか?』
「そうだ。あの媚薬がどの様に使われて禁止される様になったか。レイシャルだけでなくどこの国でも理解できる年になれば必ず学ぶ事だ」
殿下は私の様子を見ながら話し出す。
まずは薬が出来た経緯。
昔は男尊女卑で女性に結婚相手を選ぶ権利は無く貴族なら政略結婚、平民なら生まれると直ぐに許嫁を決められた。男性は女性は世継ぎを産む存在にしか思っておらず、そんな婚姻に情はなく心身ともに受け入れれ無い女性が多かった。それ故に中々出生率が上がらない状況が続いた。
それを打開する為にとある国の王家が女性が男性を受け入れて易くする為の薬の開発を薬師に依頼したのが始まり。それがエスカレートして行き男性の欲が重視される様になった。そうして最終女性の意思を無視し子を身籠るまで発情し続ける薬となった。
流石にここまで来ると全ての女性から非難が上がり、世界中で禁止を呼びかける運動が始まる。そして各国が協定を結び”製造、所持、使用”の3禁が定められた。
この薬の主成分はカブトルという花の根から抽出され、どんな製造方法でも出来た上がった薬は花特有の紫色の薬となる。
だから紫色の薬はこの媚薬だと思っていい。
“だからのあの時薬を見た全員が禁止媚薬だと分かったんだ”
「この媚薬を学ぶ時に服用した女性の症状を書かれた冊子を必ず読む。大半の者は絶句し暫く落ち込んむ。辛かったら読まなくていいが一応持って来た」
殿下が渡した冊子を受け取る。冊子に手に躊躇していたら…
「春香嬢。俺がこれを読んだのは10歳。自分が男である事を恥て媚薬を作り出し先人を憎んだよ。そんな薬が貴女に使われようとしていたなんて…。だからミハイル殿の行動は理解できるし、殿下も俺も同じ事をしただろう」
怖いけどちゃんと知らないと!恐る恐る読み始める。
『・・・』
自然と涙が出てきた。なんて酷い扱いだ。もはや人扱いされていない。子を産む道具だ。
子供が中々授からない女性は発情しままが長く続き最後は精神に異常をきたし悲惨な亡くなり方をしている。
殿下か隣に座り優しく
「春香。抱き締めていいかい?」
頷くとゆっくり殿下の腕が背中にまわった時、無意識に体が強ばる。分かっていたかの様にゆっくり抱き締める殿下。
「これを読んだ女性は大半が男性に恐怖を感じる。当たり前だ先祖はそれだけひどい事をして来たのだから。だが信じて欲しい。今は過去の過ちを学び女性を大切にする様に教育されている。だから王子である私も女性の了承なく婚姻は出来ないんだ。残念ながら稀に愚かな者がいるが…その様な者は必ず罰する故安心してくれ」
頷くと小さ声で”いい子だ”と頭を撫でてくれる。
少し落ちいて来てアレックスさんを見たら心配そうに見ていたから指でOKを作るとアレックスさんは小さく笑った。
「こんな酷い薬を愛する人に使おうとしたの者がいたら激昂するに決まっている。だかその行為が愛する女性に恐怖を与えてしまい怖かわらせたとしたら泣くに泣けん。ミハイルは同じ加護持ちで唯一私が敵わない奴だ。はっきり言って好かん!恐らく同族嫌悪というやつだ。だが気持ちは人一倍分かる…
直ぐには無理でもミハイルと向き合って欲しい」
『殿下…ありがとうございます。どれだけ時間がかかるかわかりませんが、乗り越えたいと思います。殿下申し訳ないのですが、今の言葉と”いつもありがとう”をアレックスさんに伝えて下さい』
「分かったよ。でも最後のはちょっと言いたく無いし嫌だなぁ…あれ?春香怒ってるのか⁈可愛いだけで怖く無いぞ」
殿下は楽しそうに笑い私も笑う。するとやっとアレックスさんの眉間の皺が無くなった。
明日は屋敷に籠もりがちな私を殿下がどこかに連れて行ってくれる。行き先は内緒で現地に着いてのお楽しみになっている。嬉しくてワクワクが止まらない!私のワクワクが伝染したみたいに殿下もアレックスさんもにこやかになった午後のひと時だった。
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『女神の箱庭は私が救う』
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