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どうなるか分からず不安が募る春香。言葉はいつ戻るのだろうか…

遅めの夕食を食べ終えたら複雑そうな顔をしたアレックスさんが2通の手紙を渡した。1通はジャン王太子でもう1通はリリアン様から。明日朝一に帰るんだった。


ゆっくり読む。ジャン王太子は今回事件に巻き込んだ謝罪とお礼をだった。あと国の代表として側近ライナーを断罪し必ず王になり正式貴女に謝罪に行くと書かれていた。ジャン王太子が王になればヴェルディアは変わるだろう。手助けできて良かった。


『ん?追伸がある』


“我々の所為で貴女に負担をかけてしまった。俺は男だから貴女の気持ちはわからない。が、ミハイル殿の気持ちは痛いほどわかる。ミハイル殿の剣を受け止め迫力と力に圧倒された。彼の怒りの大きさがが春香嬢への愛と同じだと感じたよ。2人の間のことで周りが口を出すべきでは無いが、あのミハイルの愛は本物だ。俺からの願いだ。落ち着いたら向き合ってやってほしい”


『くすっ』柄に似合わず気遣いの人だね


小さく笑うと心配そうに覗き込むアレックスさん。

紙に『大丈夫』と書き王太子とリリアン様の手紙をなおした。


ジャン王太子…私ちゃんと分かっているよ。でもね身体がゆう事きいてくれなくて私自身困っているんです。まだ下手っぴな文字だけどジャン王太子に無事帰国出来る様に願っていると手紙を書いてアレックスさんに預けた。


「春香…もう寝ろ。何か有ればベルを鳴らせ。侍女を待機せておく」


首を振り『必要ない』と合図する。寝室に入りカーテンを開けて外を見た。今日は月が綺麗な夜だ。ふと下を見たら月明かりに照らされたミハイルさんが部屋を見上げている。その表情は切なくこっちまで切なくなって来た。少ししたらミハイルさんは去っていった。


何か出来ないか考える。『何かしたい…』ベッドで考えて道中無事を願って何か…


『よし!』

今からなら朝の出発までに出来そうだ。起きて隣の部屋に行き裁縫道具を出し早速取り掛かる。作るのは”御守り”確か刺繍糸をマニュラ様に貰った時に布やらフェルトやらもらっていた。

チクチク縫っていたら侍女さんが様子を見に来て驚き就寝を促す。紙にミハイルさんに渡したいからこのままさせてとお願いする。

少し考えて了承してくれ付き合ってくれた。結構時間がかかったけど出来た。中学の時に同級生が彼氏に作ってた御守りに似ている。手作り感満載で恥ずかしい…出来上がりを見た侍女さんさ目を丸くして御守りを見ている。紙に願い事したり身を守るアイテムだと教えると感動していた。


『道中の無事を願い”御守り”を作りました。身を護る願掛けアイテムです。無事に王都に着く事を願ってます』


と手紙を書き封筒に手紙と御守りを入れて侍女さんに渡す様にお願いした。流石に眠くなって来てベッドに入り眠りについた。



目が覚めた。カーテンから射す日差しはもう昼を告げている。起き上がりカーテンを開けたらエリックさんがカイと何かしている。

『おはようございます!』…そうだ声が出なかった。何とか気付いて欲しくて“パチパチ”と手を叩いた。

「ハルカ!起きたか!気分はどぉおだ?」

『大丈夫!』両手で丸を作りジェスチャーで答える。

「何だその動き!」

エリックさんは楽しいそうに笑う。いつも通りに接してくれるエリックさん。こうゆう時に急に優しくされると反対に気を遣うからありがたい。

エリックさんはカイに乗りベランダまで来て花束をくれた。見たこともない綺麗な花だ。安らぐいい香りもする。


「朝からカイがずっとハルカのベランダに居てな。お前の目覚めを待っていたようだった。王太子の見送りの際に侍女が明け方まで起きていたと言っていたから、起きるのは昼頃になると思い、カイに『まだハルカは起きないぞ』って言っても離れようとしなくてな。ならば『ハルカに渡す花を採りに行こう』と言ったんだ。そうしたカイにノリノリであの山の中腹まで俺を乗せて行って花摘みをしたんだ」


嬉しい…花束を抱きしめ涙目になる。どうやら声を一緒に涙腺も壊れた様で急激に涙もろくなった。

『ありがとうね』カイとエリックさんに抱き付き出ない声でお礼を言った。カイはずっと私にくっついている。皆の優しさに心が温かくなった。


「春香起きたか?」

「げっ!兄貴…」

「お前何故春香の部屋に居る!」

怒りだしたアレックスさんの誤解を解こうと花束を持ってアレックスさんの元に走る。花束を見せてカイとエリックさんを指さした。

「花を届けに来たのか?」

『そう!だから怒らないで!』

必死に視線で訴えると理解してくれたアレックスさんがエリックさんに取りあえずカイをベランダから下すように言い、私を部屋の方へ連れていった。

ソファーに座ると明らかに機嫌が悪いアレックスさん。だって眉間の皺レベル3だもん。私何かしかたかなぁ…


「王太子見送りの際に春香に付けた侍女がミハイル殿に春香からの手紙を渡していた。侍女に聞いたら明け方まで“御守り”なる物を作って居たそうじゃないか。その後はしっかり眠れたのか?」


頷き指でOKをつくって答えた。「ぷっ!」何故か笑われた。後でエリックさんに聞いたがこういったボディランゲージはこの世界には無いらしく、私の動きは滑稽に映るようだ。すっかり“変な子”認定されてしまった。

この後食事をとり1日部屋でゆっくり過ごした。時折ベランダに気配を感じ覗くとグリフがお花や果物を運んで来た様だ。今朝私がお花を喜んだからだろう。その気持ちが嬉しい…

夕刻アレックスさんが夕食の迎えにきた。部屋で一人で食べるのは寂しいと思っていたので嬉しい。

食堂に着くとマニュラ夫人とエリックさんが迎えてくれた。皆と他愛もない会話…て声で無いから皆の話を聞いて頷いてるだけだけど楽しい。

食後はマニュラ夫人がお茶と誘って下さったが、過保護中のアレックスさんが許してくれずすぐに部屋に戻された。昨晩も遅かったから早く就寝。


『出口の見えないのは結構辛い。いつ元に戻るのだろう…このまま話せなかったら⁈そうなったらテクルスにお願いした元の世界に戻った方が皆さんに迷惑をかけなくていいのかもしれない…』

そんな事を考えながら眠りに付いた。


翌日アレックスさんの過保護ぶりを見かねたマニュラ夫人が、アレックスさんに領地の視察に半ば強制的に行かせ、私はマニュラ夫人の部屋でバザーの品を一緒につくる。ミサンガ作りに飽きたら夫人が作った小物にビーズやリボンを着けるお手伝い。

手作業をしてると時間が過ぎるのが早い。気が付くと1日経っている。片づけをして食堂に夫人と行くとレベル4のアレックスさんが待っていた。

夫人は不機嫌なアレックスさんに怯む事なく


「明日は隣の男爵家に親書を持って行って頂戴」

「従者に任せればいいだろう!」

「アレクはお父様の代行なのでしょう⁈お父様が帰るまで役目を果たしなさい。そうそう!春香さん明日はエリックがまたグリフの森と少し遠出したら滝があるから探索してくるといいわ」


遠乗り出来るんだ!嬉しくて大きく頷きエリックさんに頭を下げた。


「ハルカ!兄貴は仕事だから俺らは邪魔にならない様に出かけようぜ」


思わず手でOKサインを出した。皆がほほえましい顔で見ている。そんなに滑稽にうつるかなぁ…こうして外出する事になった。


王太子が帰ってから4日経った。夫人とエリックさんが恐らく気を使ってくれているのだろうけど、色々してくれ退屈せずに過ごしている。

今日は午前中バザーの品を仕分けしていたら執事さんが慌てて入室してきた。夫人に何か耳打ちしたら急に夫人は立上り足早に退室してしまった。

残された私はどうしたらいいか分からず、とりあえず侍女さんとテーブルの上を片付け部屋に戻った。部屋に戻って居ると異変に気付く。

屋敷内が慌ただしい。何が起こったのだろうか⁈少し不気味に思いながら部屋に着いたら別の侍女さんが居て昼間から湯あみと着替えをする様に言われた。

『なんで?』と聞いても侍女さんは「奥様の指示です」としか答えてくれない。

一抹の不安をかかえ着替えたら執事さんが迎えに来て何も教えてくれずにどこかに向かう。不安で仕方がない…


連れて行かれた先は玄関前だった。屋敷の使用人が皆並んでいる。そして遠くから騎乗した騎士と馬車がこっちに向かって来る。侯爵様がお戻りになったのだろうか⁈

馬車が目の前に着いた。扉が開いたら一斉に礼をする。私も倣って礼をし前を向いたら…

キラキラオーラ全開のローランド殿下が下りて来た。


『へ?』

目が点な私の前にローランド殿下が駆けてくる。


『なんで?』

「春香がピンチだから助けに来たよ。私は春香の騎士ナイトだからね」

『でも殿下は王都を離れられなんじゃ?』

「陛下がお許しになってくれた。数日は滞在できるから色々話そう」

『でも声が…?あれ?殿下私の心が読めるの?』

声がまだ出せず口パクなのに殿下は私が言わんとする事が分かっていて会話が成り立っている。

「私は春香を愛してるから分かるんだよ」


そう言って柔らかく抱き締めた。なんだろう安心する。殿下は私の頭に頬を乗せすりすりしています。


「遠路はるばるよくお越し下さいました。この度は春香嬢を護れず申し訳ありません」


アレックスさんが殿下にご挨拶されている。殿下はまだ離してくれない。それどころか更に強く抱き締める。


「アレックス。暫く世話になるぞ。それよりアレックスお前”男の顔”になったな…」


「「!」」

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価よろしくお願いします。


『女神の箱庭は私が救う』

『(仮)選べなかった1度目の人生、2度目は好きにしていいですか?』


もよろしくお願いします。

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