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ミサンガを欲しいと言うアレックスに驚く春香

一瞬何を言われたか分からずアレックスさんを見つめたら


「そのミサンガとやらは願掛けする物なのだろう⁈俺はお前の望みと殿下の望みを叶えねばならない…故にそれが必要だ」


「私の願いとローランド殿下の願いは真逆なので、一緒にしたら相殺される気がするんですけど…」


私に矛盾を指摘され慌てだすアレックスさん。


「なら皆の幸せを願えばいい。だから必要だ!」


さっき頼むタイミングを逃したのね。いつも凛としているのに小さい子供みたい。


『ぅふふ…かわいいって言ったら怒るだろうなぁ』


ポケットからミサンガを取り出し渡した。

アレックスさんは小さな声で「ありがとう」と言いポケットにミサンガを直した。


「不審者の捜索にキリが着いたら、街に連れて行ってやる。不自由かもしれんが暫く我慢してくれ」


「ミサンガを作る事になったので大丈夫です。注文も沢山いただきましたし」


お休みを言い部屋に入ろうとしたら、アレックスさんに肩を掴まれた。びっくりして見上げたら頬に触れたか分からない位の口付けをされた。


「お休み…いい夢を」

「あっはい。アレックスさんもいい夢を」


何が起きたか分からずアレックスさんを見ていたら、アレックスさんは部屋の扉を開けてくれ入室を促す。


テクルスの啓示を受けたとは言え、アレックスさんキャラ変わり過ぎて私がついていかない。

でも今のアレックスさんは小煩いトコも有るけど優しい紳士的だ。好感は持てる。

きっと今すぐ帰りたいって言ったら、どんな邪魔が入っても帰してくれるだろう。

でもまだ帰る決断が出来ない。帰り日常に戻り暢気にシングルライフを楽しみたい反面、レイシャルで出会った人達の縁も大切にしたい。

“織田春香”として戻れるのはあと約4ヶ月。4ヶ月後どんな決断をするのか自分自身でも分からない。


もう少しこの世界を堪能してもいいよね…



翌朝、身支度を終えたら誰かが部屋に来た。返事をして入室してもらうとエリックさんだった。


「おはよう!ハルカ朝食に行こう」

「おはようございます。えっと…はい」


エリックさんと食堂に向かいます。いきなり迎えに来たエリックさんが不思議で見上げたら上機嫌。何かいい事があったのかなぁ⁈


「ハルカ」

「はぃ?」

「朝食の席で父上から話があると思うけど、不審者の捜索は終了し警戒が解除になる。そうしたらハルカは外出が出来る訳だ」

「本当に⁈」

「あぁ!だからグリフが寝ぐらにしている森に行かないか?勿論、騎士団が護衛に当たるから心配ない」


コールマン領に来てから缶詰だったから嬉しい!

でも…過保護のアレックスさんが許可くれるかなぁ…


「心配要らない。父上から許可をいただいているし

兄貴にも話しはしてある。兄貴は王都から人が来るらしく応対があるから忙しいみたいだぜ」


「アレックスさんの許可が出てるなら問題ないですね」


外に出れるだけで嬉しい。元の世界では休みの日は1、2日くらい部屋に籠っても平気だった。まぁスマホや音楽があったからだろうけど、今は1日でも籠ったら病んじゃうよ。

食堂に着き皆さんに挨拶し朝食をいただきます。

エリックさんが言った通り侯爵様から外出許可をいただいた。ちなみに今日のアレックスさん眉間の皺はレベル3位で少し不機嫌だ。


「春香。必ずエリックと行動を共にしなさい。エリック分かっているな!春香はローランド殿下からお預かりしている女性だ。丁重に接せよ」

「あぃよ!」


食事が終わるとエリックさんより先にアレックスさんが手を差し伸べてきた。

「エリック。春香に少し話がある。終わればエントランスに送るから先に用意していろ」


一瞬嫌そうな顔をしたがすぐ私に笑顔を向けて

「ハルカ。エントランスで待っているよ」

と言って食堂を出て行った。


アレックスさんの手を取り立ち上がると前に座っているマニュラ夫人が頬を染めて

「兄弟で1人の女性を奪い合う…小説にも無いロマンスだわ…」


「っち!」アレックスさんが舌打ちした!


夫人は本当に恋愛話が好物の様だ。食堂を出てサロンに向かう道すがら不審者の話を聞く。

隣の男爵にも協力を仰いだから不審者の痕跡は追えなかった様だ。ふとアレックスさんの左手首がみえだ。ミサンガがある!

見本で余り長く編まなかったから手首ギリギリだ。

男性用は少し長めに編まないとダメだなぁ…

私の視線に気付いたアレックスが


「なんだ?」

「なんでもありません」


みてないフリも必要かなぁ⁉︎

サロンに着くとソファーに座りアレックスさんの話を聞きます。

どうやらレイシャル王城から使いが来るらしい。

ヴェルディア王太子が半ば強行にコールマン領に来る様だ。

「情報交換と対応の打ち合わせをする事になった。昼前には一行が到着する。王都からも応援の騎士が沢山来る。春香が心配する事はないから安心しエリックと出掛けてくればいい」

「帰ったらまた状況を教えて下さいね」

「あぁ…」


やっぱり来るんだヴェルディア王太子。会わない為の疎開だったのに意味なかった。でもコールマン領はグリフが居たり賑やかなマニュアル夫人が居たりして新しい出会いがあって有意義だ。

これはこれで楽しもう。


エントランスに着くとエリックさんが待っていてくれた。騎士服の様な装いで帯剣している。

アレックスさんと違うベクトルの格好良さがある。

ミハイルさんとジョシュさんみたいだ。

シュナイダー家の皆さん元気かなぁ…


気がつくと目の前にエリックさんが立っていた。

「ハルカ。俺が目の前にいるのに今ハルカの中には誰がいるのかなぁ⁈俺今猛烈に悋気を抱いてるんだけど!」

「お世話になっていたシュナイダー公爵家の皆さん元気かなぁ…って思っていたんですよ」

「まぁ…いいよ!そういう事にしておくから」

「それ以上も以下もないです。本当だからかね!」


エリックさんさ私の頭をぽんぽん叩いて笑う。


アレックスさんと侯爵様に挨拶して出発します。

護衛に侯爵騎士団から6人付いてくれ8人で森に入ります。


乗馬出来ない私はエリックさんと一緒に騎乗。森に入り少しすると森は深くなり生茂った木々で薄暗くひんやりして来た。思わず身震いする時エリックさんが私のお腹に腕を回しグッと引き寄せた。背中がエリックさんの胸に密着し恥ずかしい…でも温かく身震いは止まった。


どんどん森の奥に進むと前方から何かが向かって来る。身構えるとエリックさんは整然としている。


「エリックさんあれは」

「カイだよ。ハルカの匂いが分かり迎えに来たんだ」


数メートル前で翼を広げて飛び上がり私の前に来た。心なしか笑っている様に見える。

カイは私達の頭上を飛び付いて来る。

少しすると広い広場に出た。そこには30頭程のグリフがいた。


「わぁ!赤ちゃんがある!」

「あぁ…つい最近生まれた子達で、生後2ヶ月くらいだ」


まだ羽が閉じていてまた飛べない様だ。

さっ触りたい!手がムズムズして来た。

その様子にエリックさんは笑いながら馬を止めて、下り私を下ろしてくれた。


直ぐにカイが擦り寄り遠巻きに見ていた子供達も寄って来た。めっちゃかわいい!屈むと必死によじ登って来ようとしている。

気がつくと沢山のグリフに囲まれている。


離れたところに待機している騎士団の皆さんは唖然としている。すると騎士団の後ろから唸り声がして、騎士さんは一斉に剣に手を掛けて振り向く。

そこにはランが居た。ランが唸ると私囲んでいたグリフ達が離れた。

ゆっくり私の側に来たランは鼻先を近づけてまるで挨拶している様だ。


ゆっくり手を出して撫でてやると目を細め気持ち良さそうだ。


「やっぱりハルカは特別なんだなぁ…ランとカイは慣れて自分達に害が無いと分かると、近付いても怒らないが、他のグリフは全く寄せ付けない。しかしハルカには一番警戒心の強い子供や子を産んだばかりの雌までもなついている」

「何故か私にも分かりません」


はっきりとは分かっていないがこの辺りを寝ぐらにしている様で、ここに来るとグリフに会えるらしい。エリックさん曰くいつもは多くて6頭位。こんなに居たのは初めての様でエリックさんは少し興奮気味です。


「グリフの赤ちゃん凄くかわいいです。これを見せるために連れてきてくれたんですか?」


「それもあるけど…ごめん!ハルカをだしにした!ハルカをここに連れてくれば、銀色シルバーに会えるかもと…」

「でも銀色シルバーは主で見る事が出来ないって…」

「でも確かにあの日銀色シルバーはハルカの前に現れた。ベランダに降りたったのはきっとハルカを護る為だと俺は考えたんだよ」


侯爵様やエリックさん、騎士団の皆さんを見ていたら銀色シルバーが如何に激レアなのかが分かる。見ると幸せになれるみたいな存在なのかなぁ⁈

私が来たら見れるは安直過ぎると思うよエリックさん!


ランがべったり私にくっつき、その周りをカイがウロウロしています。近くとランが唸るから近付けないみたい。情けない顔をしながらこっちを伺うカイが可愛くて手を差し伸べたら、嬉しそうに手の下に頭を入れてきたから撫でてあげた。


“ばっさ!”凄い大きな羽音が聞こえ一瞬暗くなり見上げると銀色シルバーが頭上を飛んでいった。


「あっ…エリックさん?あれ」

「あぁ…ハルカあれだよ」


「ゔっぐ!」

勢いよくエリックさんに抱きつかれた!力任せに抱きしめるから苦しい!背骨がミシミシいっている!

必死にエリックさんの背中を猫パンチするけと、エリックさんの腕は緩まない!


「いっ!」

エリックさんの腕が緩んだ。あと少し遅かったら背骨を折られているよ!


「ラン!済まなかった。もうしないから離してくれ!」


目の前のエリックさんが苦痛に顔が歪んでいる。ふと下に目をやると、エリックさんの足にランが噛み付いている。

「ラン!止めて!」


エリックさんの足を離したランはまた私に擦り寄る。


震えているエリックさん。きっとランが噛み付いたところが痛いんだ…


「エリックさん。足大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃ…ない…」

「戻って足をお医者さんに診てもらいましょう!」


顔を上げたエリックは頬を赤らめ興奮気味に叫んだ!

「ハルカ!俺も銀色シルバーに会えたよ!本当に翼が銀色なんだ!なんて美しい!ぁぁ…女神レイラに感謝!痛!」


エリックさんの大声にグリフの子供達が怯えていた様で、ランがまたエリックさんの足を噛んでいる。

この後暫くエリックさんの独演会となり、騎士団の皆さんは切り株に腰掛け休憩し、私とグリフは戯れ各々のんびり過ごしました。


エリックさん。その独演会スタイルお母様譲りですね…

お読みいただきありがとうございます。

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『女神の箱庭は私が救う』もよろしくお願いします。

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