38
慣れない屋敷での生活が始まります
目覚めると知らない天井だ。そっかここは侯爵邸だ。時計を見ると3時半。
ベッドから出ると寒い…山が近いせいか冷える。ガウンを羽織りカーテンを開けた。すでに陽は上り湖面が朝日に照らされキラキラして綺麗だ。
何かが飛んでいる。グリフだ…
元の世界の想像上の生き物でライオンに羽が生えた生き物がいたような気がするなんて言ったかなぁ…
そうそうグリフみたいなぁ…ん?…へ!
「ぎゃぁ!」”どん!”「いったぁ!」
尻餅をついた!グリフが2頭ベランダに降り立った。改めて見たら大きい!
“バシバシ”グリフが前脚で窓を叩く。
「あ!だめ割れちゃうよ!」
慌てて起き上がり窓を開けてベランダにでる。
昨日のランとカイかなぁ?
2匹は私に擦り寄ってくる。狼の肢体をしてるけど獣臭くないし毛も思った程硬く無く柔らかい。
「大丈夫か〜!」
下からエリックさんが声かけてくれる。
「大丈夫です。無事で!ぇ!」
体が浮いて気がつくとグリフの背中に乗せられている。
「ん?」
バサバサ
「バサバサ?」
下にベランダ?
「こら!カイ!春香嬢を下せ!」
「いゃー!」
またカイに拉致られた!カイは湖面ギリギリに低空飛行する。湖は透明度が高く魚がはっきり見える。
あれはなんだろう?水中花かなぁ…黄色い綺麗な花だ。すると急にカイ上を向いた。
「へ?」
急上昇した!そんなことしたら落ちるよ!
「ぅっ!」
やっぱし落ちたよ…泳ぐ覚悟を決めて下を見たらデッカい魚が口を開けている!何あれ!食べられる!
下に何かが潜り込み上に落ちた。温かいそれはグリフの背中だ!
この感じランだ。ランは前脚で魚に一撃を喰らわしゆっくり上昇する。
ランはゆっくり旋回しエリックさんの元に行きゆっくり降り立った。またランは降りやすい様に伏せてくれたが震えて降りれない!
背後から「すまん!」エリックさんが抱き上げてくれた。立ち上がったランが心配そうに鼻先を近付けてくる。
「ラン!ありがとう」
ランの喉元を撫でると気持ち良さそうに目を細めている。
やっと戻ってきたカイは無邪気に寄ってきた。急にランは唸りカイの頭に前脚パンチを見舞った!
カイは伏せをして少し涙目でランを見上げている。
ランはカイを睨み唸り声を上げている。
「すまなかった。カイはまだ子供で遊びたい盛りなんだ。多分あんたと遊びたいんだよ。番だがランの方が年上で母親の役目をしている」
「ちょっと朝からあれはキツいです」
まだランは唸っていてまるで説教の長いオカンみたいだ。涙目のカイが可哀想になり
「ラン。もぅ怒ってないからいいよ」
やはりグリフは言葉が分かる様で、ラン唸るのを止め私の横に座る。
「まぁ!何があったの⁉︎」
マニュラ夫人が慌てこっちに向かってきた。夜着にガウン姿の私を抱っこしているエリックさん。
怪しい構図にマニュラ夫人の顔が綻ぶ。
「私はアレクでなくてもエリックでも認めるわよ!エリックも満更でもないんでしょ!」
「母上。俺は春香嬢は全然アリだけど、兄貴が許さないみたいだぜ!」
今まで見た中で一番深い眉間の皺を作りアレックスさんが早足でこっちに向かって来る。
目の前に来ると無言でエリックさんの腕から私を離し抱き直した。
「エリック…説明しろ」
「俺は春香嬢を助けたんだぜ!なぁ!ハルカ!」
「そうですね?」
まだ疑っているアレックスさんに説明をしランに話を振ったら頭を下げた。そこまでしてやっと納得してくれた。
「事情は分かったがグリフの飼育管理はお前の役目だ。今後はこの様な事が無いように…」
「改めてエリックさん。ありがとう」
「いや!夜着のかわい子ちゃんを抱っこ出来て役得だよ。しかしハルカは軽すぎる。そんなんじゃ子供は産むないぜ!」
「エリック!」
アレックスさんが怖い…それよりずっとアレックスさんに抱っこされて恥ずかしい…重いし夜着だし早く部屋に戻りたい!
「アレックスさん。重いし恥ずかしいので早く部屋に戻りたいです」
「重くは無い。寧ろ軽すぎる」
いや!そこはいいから早く部屋に帰してよ!
するとランが横に来て前脚にでアレックスさんを叩き首を捻り背中を見て私をみる。
どうやらランが2階の部屋まで運んでくれる様だ。
「アレックスさん!ランが部屋に運んでくれるみたいです。寒いから早く着替えたい!」
「ラン出来るか?」
ランはまた伏せてくれるた。アレックスさんがランの背に私を下ろすと、ランはゆっくり浮上してあっという間にベランダに着いた。ランの首元を撫でてお礼を言って部屋に入った。
も…朝からぐったりだ!
朝食の席。やはりここ侯爵家の皆さんも朝からがっつり召し上がる。一応ワンプレートだがその横のカゴに大量のパンが…
固まっている私を見たアレックスさんが
「無理するな!食べれるだけでいい」
頷き食べ始めた。
食事が終わりお茶をいただいていると
「春香様。お手紙が届いています」
「私にですか?」
執事さんは頷き渡してくれた。差出人はローランド殿下とミハイルさんだった。執事さんにお礼を言って席を立つと目の前に手が…
見上げるとアレックスさんだ。まだ慣れてない私を送ってくれるらしい。お礼を述べて手を重ねた。
「ぅふふふ〜」
振り向くとマニュラ夫人が頬に手を当てて意味ありげな微笑みを向けてくる。
会釈して食堂を出た。
「すまない。母上は恋愛小説が大好きで何でも色恋沙汰に結びつけるところがある。あまり気にするな」
「はい」
変な態度を取ると婚約させられそうだ。油断ならないなぁ…
部屋に戻ると思いきやアレックスさんはサロンに案内してくれた。ソファーに座らせてくれ
「ゆっくり読むといい。今日は予定は無いから好きに過ごせ。部屋に戻るなら後ろに控えている侍女に言ってくれ」
「ありがとうございます」
アレックスさんは足早にサロンから出て行った。忙しい様だ。侍女さんがお茶を入れてくれる。
どちらから読もうか…
殿下から?ゔーんやっぱりミハイルさんから!
開封し読みだす…冒頭から激甘な言葉が並ぶ。読み進めると次の文で固まる。
『ヴェルディア王太子はどこから聞いたのかわからないが、グリフの事を知り視察さしたいと願い出たらしい。まだ陛下は了承はされていない。しかし時間の問題だろう。対面は避けれそうに無い…
こちらで対処する故コールマン侯爵邸を出ないでくれ』
ヴェルディア王太子がここに来るの?会わない為にこっちに来たのに…
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『女神の箱庭は私が救う』もよろしくお願いします。




