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アレックスの男色疑惑が気になる春香
大人しくしてようと思ったけど“男色”が頭から離れない。ふとアレックスさんと目が合った。
「男色って男の人が恋愛対象って事ですか?」
あっヤバい思わず聞いちゃった。
「ぷっはぁはは!嬢ちゃんは面白いな!普通の令嬢は耳年増で知っていても人前で言ったりしない。まして噂されている本人に直接聞くなんて!」
エリックさんは肩を震わせ爆笑を堪えているようだ。
「エリック!春香嬢に失礼だ。彼女はこの世界と違う所で育ったが故ズレている所がある。周りが理解してやらんと」
「ほら!普段のアレクなら何言われても無視か一睨みよ。春香さんを気遣ってフォローするなんて気をあるに決まっているわ!」
マニュラ夫人はアレックスさんの嫁とりで苦労しているようだ。でも、私は“迷い人”で特殊な関係で恋愛にならない。変な期待を持たさない様に初めに説明しておかないと
「あの…マニュラ夫人。侯爵様にお聞きと思いますが私は“迷い人”でアレックスさんはテクルスの啓示で私を助ける役目を受けています。そこに特別な感情は無いんです。私がアレックスさんのお相手なんて烏滸がましい。もっと素敵なご令嬢がいらっしゃいますよ」
言い終わり『ちゃんとフォローしたよ!』とアレックスさんを見ると、心なしか機嫌が悪い。
「兄貴!可哀そうに対象にもされてないぜ。なら俺が立候補しようか!」
「ダメだ。今はミハイル殿の正式な婚約者であるしローランド殿下も求婚中だ」
「だが、母上も言っていた通り“一妻多夫”が認められているなら、春香嬢が望めば他の男も夫になれる訳だろう!春香嬢がコールマン家に来てくれればグリフも懐いてるしグリフの研究も進む。いい結果しかないじゃないか!」
「ダメだ」
アレックスさんの眉間の皺が深くなる。アレックスさんVSエリックさん。
「いい加減にしないか。春香嬢が困っているだろう。マニュラ今その様な話をするべきではない。春香嬢に我が領地で穏やかに過ごしてもらう事を第一に考えなさい」
侯爵様の一声でこの話題は終わった。
侯爵様から領地の話を聞いていいたら執事さんが急ぎの手紙を持ってきた。受け取った侯爵様はすぐ開封し読み真っ直ぐに私とアレックスさんを見て
「バーミリオン侯爵藤が言っていた通り今日夕刻にヴェルディア王太子が来国されるそうだ。春香嬢には窮屈だろうが屋敷の敷地内で暫く過ごしてほしい。エリック!グリフを敷地内近くにいるようにランに話してくれ。アレックスは騎士団に領地内の警戒に当たるように伝達を頼む」
一気に物々しい雰囲気になって来た。不安になって来た時にアレックスさんが
「まだ王太子がくると決まった訳では無い。あまり気負うな」
“ぱん!”マニュラ夫人が手を叩き
「こうゆう時は食事が一番よ。料理長が腕を振るってくれているわ。さぁ皆食堂へ」
そう言えばお昼の時間を過ぎている。馬車でプルスルを食べたからあまりお腹が空いていない。
食堂に着くと給仕が始まる。皆さんコース料理が順番に出てくるが、私はワンプレートだ。ありがたい
「春香さん。アレクから聞いてその通りにしたけど本当にそれで足りる?少なすぎるわ。体壊すわよ!」
「これでも少し多いです。私は他の女性に比べて体が小さいから食べる量も少ないのでご心配なく」
コールマン侯爵家の料理は山が近いからか山菜やキノコ類が多い。大好きだから嬉しい!
食後はアレックスさんに屋敷内を案内してもらう。シュナイダー邸程では無いがやっぱり広い。暫くは侍女さんに付き添って貰わないと迷子確定だ。
屋敷の次は庭に出た。他の屋敷と違い湖の上にあるから柵の下は湖面だ。なんか変な感じ…
湖の向こうに陽が落ちていく。小学生の頃に父の知り合いの別荘を借りた事がある。ここと同じく湖が直ぐ前にあり、夕飯前に両親と散歩し夕日を見たことがある。その風景に似ている。
「・・・」両親を思い出した。元の世界では2年経っている。叔母は墓参りや3回忌をしてくれただろうか…思わず涙が出る
「春香嬢⁈」
慌て出すアレックスさん。”なんでもない”といいたいけど言葉が出てこない。
アレックスさんを困らせない様に泣き止もうとするけど、気持ちと反対に止まらない。
あたふたしているのが分かりアレックスさんに背中を向けた。
「ほら」背後からハンカチが…
「気が済むまで泣けばいい。一緒に居てやるから」
ハンカチを受け取り涙を拭うと急に背中に温もりを感じる。微かに震える私の体を守ってくれているみたいだ。
「両親か?」
「何で分かったの?」
「テクルスがお前の事を見せてくれた。育った環境や両親の事を。お前の世界がどの様なものでどの様に育ったのかを…この世界の勝手でお前の日常を奪い申し訳ないと思っている」
陽が陰り冷えて来たがアレックスさんの温もりで寒く無い。
「俺は幼い頃から殿下の遊び相手として登城し、ずっと殿下を見てきた。加護の影響で母の温もりを知らない殿下は愛に飢えていた。その様子を側でずっと見て来て殿下の幸せが俺の幸せに変わっていった。何年もの間”迷い人”探しも手伝って城下にも行った。”迷い人”が現れれば無条件で殿下は幸せになれると信じて止まなかった。
しかし迷い人を得られたのに殿下の想いは受け入れてられず俺の苛立ちお前のせいにして攻撃した。お前の事も想いも知ろうとせず」
アレックスさんの力が強り背中にアレックスさんの鼓動を感じる。
「お前が町屋敷で”帰して”と叫んだ時に衝撃が走り俺はその場で倒れたんだ」
「えっ!」思わず振り返る。
「私が倒れた日ですか?」
「そうだ。2日意識が無かったらしい。その間にテクルスに役目を受けたのとお前の元の世界での姿を見せてもらった。両親の愛情を受け幸せに暮らしていたのに、まだ学生で親をいきなり失い保護下にある歳なのに自立し、それからずっと一人で頑張ってきている。そんなことも知らずに俺たちの都合ばかり押し付けて…嫌われても仕方位の仕打ちをしていた。テクルスに“迷い人”はこの世界に味方がいない。だから味方になり身も心も守るようにと。今でも殿下に対する忠誠心は変わらないし幸せになって頂きたい。だが今はお前が納得する最良の答えを出す手助けがしたい。それが殿下にとって最悪の選択でも…。皆も言っている様に啓示を受ける前の俺は本当に酷い奴だった。前の記憶が戻ったら俺を責め俺を拒否するかもしれない。それでも俺はお前を守りお前が帰りたい願うなら、この世界の全ての者を敵に回してもお前を元の世界に帰そう」
「…倒れた日。そんなに酷い事言ったんですか?」
「…あれ以降騎士団員からの視線が厳しく正直辛いが、自分が蒔いた種故致し方ない」
「まだ思いだせないから何とも言えないです」
「思い出したら殴ってくれていい」
「その時腹が立ったらグーパンチしますね。でも、記憶無くなってからはアレックスさん優しいし嫌とかないですよ。頼りにしてますし!」
「お前のその前向きな性格は母君譲りだなぁ…姿は父君にそっくりで優しい目元に小さい鼻はよく似ている」
「はは。良く近所の小母さん言われました。特に見た目は父をコピーしたみたいだって」
「コピー?」
あ…この世界にコピーはなかったんだった。簡単に説明すると驚いていた。
「お前の世界は高度な技術の集まった世界なんだな…一度行ってみたいものだ」
「便利ですがモノや技術に振り回されている感はありますよ。こちらの世界の方が人間らしい生活が出来ている気がします」
とうとう陽が落ちた。寒くなってきて身震いするとアレックスさんが抱きしめた腕を解いてエスコートしてくれ屋敷に戻る。視線を感じて屋敷を見上げるとマニュラ夫人が凄い笑顔で見ていた。見上げている私に気付いたアレックスさんも見上げ嫌そうな顔をする。
「あの…夫人勘違いされている気がします」
「あぁ…それも盛大にな…」
この後の夕食の席で大変は事になるのは必至だ。テクルスの役目で私に良くしてくれているのに勘違いされてアレックスさんに申し訳ない。
夕食の席はマニュラ夫人の独演会で男性陣は無視して食事をされ、私は頷きマシーンと化し聞き役に徹した。夫人の話は所々私がコールマン侯爵家に嫁に来る話が入る。その度にアレックスさんの眉間の皺が深くなる。
アレックスさんに聞いたがマニュラ夫人はテクルスの啓示については詳しく聞かされていない様で、私とアレックスさんの特殊な関係性を理解していない。だから母親として男色と言われた息子が年頃の娘と仲良くしているのが嬉しい様で全て結婚に結びついている。夫人…ごめんなさい。私が侯爵家に嫁に来る事はないです。
怒涛の夕食も終わりアレックスさんが部屋まで送ってくれる。それも夫人は嬉しい様で
「正式に婚姻するまでは同室はだめよ!」
と壮大な勘違いを発揮していた。もう弁解する気も無いらしくアレックスさんは無視している。
くる前にアレックスさんが“賑やかで構い倒す”と言っていたが本当だった。初日でこんなに絡まれるとは…アビー様の上がここに居ました。
部屋に戻ると侍女さんが居てくれ部屋の説明をしてくれ湯浴みを手伝おうとしてくれる。それを丁重にお断りし明日の朝まで必要ないと退室してもらう。
慣れない部屋の上に慣れない人が居てはゆっくりできない。早めに寝ようと思い湯浴みをして夜着に着替えてベッドの潜る。やっぱりここでもベッドは大きい。時計を見ると11時前だ。少し早いけど寝よう!寝れるかなぁ…結果はお休み5秒だった。
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