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グリフに連れ去られた春香。絶体絶命!

屋敷がどんどん小さくなり、もう皆んなの声も聞こえない。いつ離され落ちるか分からない状況に震えが止まらない。

山が近付いてきて中腹の少し広い場所にグリフは降りた。腰辺りに噛み付かれたが痛みは無い。

グリフは私に顔を近づけて嗅いでいる。そして口元を舐めて腰の辺りをまた嗅いでいる。


「?」何か探している?


やたらに右の腰を嗅いで私の顔をうかがう。そこに何か…あっ!

ポケットから紙を取り出した。街でアレックスさんが買ってくれたプルスルの包み紙だ。

グリフは包み紙を舐めて見つめてくる。


「!プルスルが欲しかったの?ごめんね持ってないの」


言葉が分かるのかグリフは首を下げ明らかに落胆している。


「カイ!」


声のする方を見ると別のグリフに乗った男性が近付いてくる。


その男性はアッシュグレーの短髪にブルーグレーの大きな瞳でアイドル系のイケメンだ。

目の前に降り立ったもう1匹のグリフはじっと私を見据えている。瞳が黄金で綺麗だけど鋭い。


「あんた大丈夫か?今日来る予定の客だろう⁈うちの者からタイやハンカチは貰っていないのか?」

左袖を捲り上げその男性に見せて

「ここに到着する前にアレックスさんから身に着けていたリボンを巻いてもらっています」

「兄貴の匂いがしていればカイは襲うわけ無いのになぜだ…」

「あの…恐らくこれかと」


男性にプルスルの包み紙を見せた。


「あぁ!そう言う事か!だから母上にあれほどカイが欲しがっても与えるなと言ってあったのに!すまない!本来グリフは人の食べ物は与えてはいけないんだ。母上はグリフが懐かないから餌付けを思い付き、プルスルを与えてからカイはプルスルを欲しがるようになってしまった」

「原因が分かってよかったです。到着するなり噛みつかれてここまで運ばれて、てっきりここで食べられるのだと思いました」

「本当に申し訳ない。母上にも厳しく言いカイも訓練し直そう」


もう1匹のグリフが座り込んでいる私の前に来て首元を嗅いでくる。


「ラン!駄目だ!あんた兄貴のリボンをランに嗅がせて!」


慌てて左手を目の前のグリフに差し出した。グリフはリボンが巻かれている手首では無く手の甲を嗅いで舐めた。


「何!」


何故か慌てている男性。ランと呼ばれるグリフは私の手の平に頭をすり寄せてきてまるで撫でて欲しいそうだ。案外可愛いかもと撫でてみた。


「あんた何者なんだ?」

カイとランが擦り寄て離れてくれない。

「あの…アレックスさんの所に戻りたいのですが…」

「あっ!悪い悪い。この調子ならランが乗せてくれそうだ。ランの方が優しいからあんたはランに乗るといい。俺はカイに乗る」

「どうやって?」


男の人が手で合図をするとランは伏せをした。


「ランの上から抱き付く感じで乗って。手はランの首に。あまり強く抱き付くな嫌がる」

「すみません。先に行っていいですか⁉ヤバそうなら後ろから教えて下さい!」

「ランはヘマはしない。それにお前のその恰好で後ろから見れる分けないだろう…」

男性は顔を真っ赤にして横を向いている。そっかワンピースのままグリフの背中に張り付いたら風でスカートが捲れ上がるんだ。

「すみません、分かりました後ろからついていきます」

「さぁ!戻ろう!カイGo!」


カイが羽を広げ一気に飛び立つと一瞬私の方を見てランも羽を広げて羽ばたいた!あまりランに強く抱き付くとダメたがら抱き付く手が心許無い!めっちゃ怖い!景色を見る余裕なんて無い!


「春香!」


アレックスさんの声が聞こえて目を開けた。

皆さんが見上げている。ゆっくりランが着地しそのまま伏せてくれる。すぐ降りたいけど体が震えて動けない。

後ろからアレックスさんが抱きあげてくれ立たせてくれた。まだ膝が笑っている。


「母上!またカイにプルスルを隠れて与えているでしょう!」

「えっ!」

「この…令嬢が偶々プルスルの包みを持っていて、その匂いでカイが令嬢がプルスルを持っていると思いあの様な行動をしたのですよ!」

「そっそんなに頻繁にはやっていないわ!」

「マニュラ…本当にやめなさい。春香様。コールマン侯爵家当主として謝罪致します」

「びっくりしましたけど大丈夫ですから」


男性に叱られてしょんぼりする夫人。あれ?母上って事は…アレックスさんの袖を引っ張り


「アレックスさん、助けて下さった男性は?」

「エリック!未だ春香嬢に自己紹介もしていないのか⁉相変わらず無作法だな!」

「あー色々ありすぎて紹介忘れていたよ。春香嬢だったけ⁈コールマン侯爵家次男のエリックです。よろしく」


胸に手を当てて大げさにお辞儀するとアレックスさんが舌打ちして嫌そうな顔をする。どうやらこの兄弟は正反対の様だ。


「それより兄貴!このお嬢ちゃん何者なんだ⁈初見でランが手の甲を舐めて触れさしたぞ。あり得ない!」


侯爵様とアレックスさんが同時に私を見て驚いた顔をしている。不思議な空気が流れる中マニュラ夫人が


「もーケイン美味しい茶菓子を用意しているのよ、続きの話は応接室でしましょう」

「そうだね。アレックス。春香嬢を応接室に」

「その前にすみません、カイ君に咥えれて服が濡れて着替えをさせて頂きたいのですが…」

「あら、ごめんなさいね!侍女に部屋を案内させるわ。湯浴みと着替えをなさってくださいね」 


そう…カイ君に腰のあたりを咥えられたから腰の部分がべちょべちょで気持ち悪いの…早く着替えた!


侍女さんに案内してもらい客間に通された。クローゼットにはもう私の荷物が入れられている。シンプルなワンピースを選び浴室へ

ゆっくり湯浴みと身支度をして侍女さんに案内してもらい応接室へ。

入室許可を頂き入室するとエリックさんとマニュラ夫人が言い合いをしていて、アレックスが眉間の皺を深め溜息を吐いている。

私に気付いたアレックスさんが立上りエスコートしてくれ、ソファーに座れせてくれる。

従僕さんがいい香りのお茶と色んな種類の茶菓子を出してくれ目が楽しい。

お茶を頂こうとカップに手を伸ばしあたらいきなり


「で!嬢ちゃんは何者なんだ!」


大きい声でエリックさんに聞かれびっくりして飛び上がりそうになる


「エリック!失礼だぞ!」

「ですが父上!過去にグリフがコールマン侯爵家の者以外に懐いた事が無い。過去に一人だけ…お前…“迷い人”か?」

「え…と…そうみたいです」


エリックさんはフリーズして私を見ている。

この後公爵様に聞いた話だが2人目の迷い人を元の世界に帰す前に一度領地に招待した事があったらしい。その時に同じ様にグリフは迷い人にすぐ懐いたららしい。

また、グリフが初めて目撃されたのは1人目の加護持ちが誕生した時と言われている。鷹の様に高く遠くまで飛び狼の様な肢体は俊敏。当時の王は王都で繁殖させ王都の守りにしようとした。

が!捕まえて王都で飼おうとしても懐かず、檻を壊してコールマン領に帰ってしまう。繁殖させようと番で檻に入れても何年経っても繁殖はしなかった。何故グリフがコールマン領を好むのかは未だ解明されていない。


「諸説あるがテクルスが迷い人の為に遣わせた生き物なのかもしれない」


皆んな神妙な顔をしている。空気を変える様にマニュラ夫人が


「春香様はローランド殿下のミハイル様のどちらをお選びになるの」


いきなりぶっ込まれお茶を吹き出しそうになった。

「いえ。まだ何も…」

「確か陛下と神官長が”一妻多夫”を認められたとお聞きしたわ。どうかしら夫の一人にアレックスを入れてくれないかしら⁈」


“ぼと”食べかけたマドレーヌを落とした。

「母上!変な話をしないでいただきたい!」

「何を言うの!女嫌いの貴方がこんなに気にかける女性は金輪際出てこないわ!逃してはなりません!私もこんなかわいい嫁が欲しかったの〜」

「マニュラ!やめなさい!春香嬢が困っているだろう!」

「だって、やっと付き合わせに行ったと思ったら、誰も連れ帰らない。翌年必ず婚約者を連れ帰れと命令し連れてきたと思ったら冷たい態度で3日も持たず令嬢は帰ったわ!そうしているウチに男色の噂は立つし…母がどんな思いが知らないでしょ!」


マニュラ夫人はアレックスさんに吠えています。アレックスさんは慣れっこなのか優雅にお茶を飲んでいます。


『ん?いまマニュラ様…男色って言ってなかった?』めっちゃ!その噂聞きたい!


お読みいただきありがとうございます。

続きが気になりました、ブックマーク登録&評価よろしくお願いします


『女神の箱庭は私が救う』もよろしくお願いします。

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