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救いの手

どんな酷い目に合うのかとガクブルしていたら、1人の兵士が前に出る。

しゃがんで目線を合わせてきた。




「怖がらせてごめんね。大人しくできるかな」






優しい声色。

解放してくれそうな雰囲気。


現れた希望に、私は勢いよく首を振って頷く。



笑顔の胡散臭いケッツとは大違いだ。

後光が指して見える。






「おい。勝手なことをするな」


「いくら何でもこんな幼い子が企み事なんてしないよ。この対応はやりすぎだ」



ケッツを咎めながら、手枷を外してくれる。




「怪我はしてないね。怖い思いさせてごめんね。お家におかえり」




そう言って、出口を開けてくれた。



なんて良い人なんだ。

ケッツはこの人を見習え!

子供を疑うなんて心が汚れすぎだぞ。


絶好の機会を逃すものかと一目散に走る。







「あ、おい!」






ケッツの声が聞こえるけど怖いから振り返らない。




まあ家なんて無いんですけどねー!!














広いお城。

だけど迷うことはなかった。


だって私が設定した城だもの。




城の外には出ず、下働きの人たちが出入りする部屋に忍び込んだ。

食事の準備で慌ただしくしている人の間を縫って、テーブルの下に潜り込む。



気づかれずに済んだ…かな?

やれやれ。

さて、どうしよう。



やはり正攻法で勅令逮捕状を王に撤回してもらわないと、主人公ちゃんを解放するのは難しそうだ。

適当な人物に頼んで、またケッツみたいに怪しまれるのは勘弁である。


あんな怖い思いは一度で十分。

いや、体験しないのが一番だけど。







忙しなく働きつつも軽口を交わし合っている厨房の人たち。

段々と食欲をそそる美味しそうな匂いが漂ってくる。




「急遽10食程少ないんだって?」


「一個小隊がキーレィに行ってるようだよ」


「キーレィか。なら戻ってくるのは明日の晩かね」






たぶん森で会った隊長のことだ。

キーレィの方向に向かっていたから。


急ぎだと言ってたのは何の用事だったんだろう。


颯爽と走り去る姿かっこよかったなあ。

もっと話してたかった。

というか動く隊長を眺めてたかった。







隊長を思い出して心が慰められたところで、再び考える。




そうだ。

誰かに頼めないなら、私がこっそり出しちゃえばいいんじゃない?



主人公ちゃんが捉えられてる牢に私が忍び込めればいいのだ。




主人公ちゃんはそれなりの身分の人が捉えられる牢に入れられている。

3食出されて、衛生面もそれほど悪くはない牢。


今作られている食事も運び込まれるはずだ。

それに乗じて忍び込むとか…。



そこまで考えて、私が隠れられそうな場所を探してみる。


鍋。

料理を運ぶ台車。


いや、無理。

バレないように入るとか無理だわ。


じゃあ後ろをこっそり付いてく?

いやいや、城内の兵士に見つかるでしょ。

でも他に方法考え付かないんだよな。



悩んだ結果、ダメ元で試してみることにする。

どうか怖い思いはしませんように。







香しい匂いに誘われる腹の虫をどうにか抑えて、調理が終わるのを待った。

徐々に、出来上がったらしき鍋たちが台車に乗せられていく。


その場で皿によそって給仕する形だ。

牢での給仕は人数も少ないし簡易的なもののはず。

小ぶりの鍋が乗っている台車を選んだ。



柱や置物の影を利用して隠れつつ後を付ける。

台車を運ぶ下働きの人は気づく気配がない。

警戒心の欠片もなく業務を遂行している。


城内の兵士は、想定よりずっと数が少なかった。




これは、もしかして、もしかすると、牢に辿りつけるのでは…!?

期待を胸に勇み足で踏み出し、あっさり兵士に捕まった。







「こら。何をしている」



服の襟元を掴まれ、先へ進めなくなる。




ぐええ。

苦しいわい!

幼女にはもっと優しくせんかいワレぇ。





「忍びこんだのか?見張りの奴たるんでるな。二度とするなよ」




無害な幼児だと思ったのか、そのまま城外へと放り出された。


任務失敗である。

無念なり。







私が城から遠ざかるのを兵士がちゃんと見張っているため、引き返すことはできない。


とりあえず一番近い町に行ってみる?

この小さい体で向かったら一体どれだけの時間がかかることやら。


泣きたくなってくるぜ。

寒いし。


夢見るならもっと楽しい夢がいいよー。

なんでこんな夢を見ているんだ私は。

早く目覚めないかな。









ぽてぽて歩みを進めていたら、柄が悪そうな青年たちの姿を見つけた。



うわ。

絡まれませんように。



まかり間違っても目が合わないように、足元を見つめながら気持ち早足で歩く。







「ようやく来たぜ」



だというのに、進路上に立ち塞がれた。




「待ってたぜおチビちゃ~ん」


「俺らと楽しいとこ行こうぜえ~」





なんて分かりやすい悪役だ。

断固お断りである。


というか待ってたって何。

一切面識ないんだが?



可愛いおにゃの子に声かけたくなるのはわかるが慎みを持ってくれ。

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