道草を追って①
自宅を後にした俺はこれからどうやって奴を見つけようかと構想していた。
あまりにも状況が限定的過ぎる。
あの時は深夜で道もよく見えなかったし、あまりのパニックで道を覚えていないといった状況であるのだ。
「いざ、調べてやると言ってもあいつの姿しかわからないんじゃ仕方ないよな……」
今の俺が欲しいのは奴の情報だ。そしてどこに生息しているのかということだ。それ以外の情報は後からどうにでもなる。
日々ニュースを見ている身としては恥ずかしい状況だ。
当時は逃げることに必死でどの場所で遭遇したのかも把握できないなんてな…… 少なくともこの地域の立地は完全に把握しているつもりだったのにな。
「そういや……三浦さんは何か知ってるかもしれないな。あの人ニートの割にスペックは高いから……」
三浦五郎……この人は3年ほど前に痴漢の冤罪に巻き込まれて職と家族を失っている。担当医からは鬱病と診断され、以来ほとんど自宅にいる。
今は生活保護を受給しながら生活をしているようだ。ただ職を離れるまでは生物学者として賞を取っているほどの人間だ。
「あの人なら生き物全般対象だろうからとりあえず役には立つだろうな……」
もし、また俺の身に危険が迫ったら囮にして逃げよう……
あの人、足遅そうだし……
「ッッ!」
などと考えていると何者かとぶつかった....
「すんません……ッてあれ、田中じゃん!」
そこには中学時代【パシリ】の田中がいた。
「あっ....北村くん....久し…ぶり…」
相変わらず覇気がなく、気弱な性格は治っていない。
性格が災いして中学3年間お金を取られ続け、挙句の果てには不登校になり人間不信にまでなっていたと聞いたがここまで変わるとは思っていなかった。
体はやせ細り、手足は小枝のように貧弱であった。
「お前……結構変わったな。シュッとしたというか、小さくなったというか……」
あまりの気まずさでなかなか本題に移れない。まさかここまで田中が変貌しているとは……
「あーと……実は俺、人を探してんだよね。人なのか獣なのかあんま検討つかないけど……」
「はあ……それで……? その人を探してどうするの……?」
俺は田中に先日の説明をした。人間腐乱臭、何者かのの肉片が転がっていたことや黒い人影に追われていたことを田中に伝えた。そしてこれからその場所へ向かおうとしていることも……
田中がゆっくりと口を開いた……
ネタが…うう…