恐怖の巻き戻し
「ひぃ……! はッ……! はッ……! 」
橋を渡り切り自宅へ逃げ込むように入った。乱暴に靴を玄関で履き捨て急いで2階へと駆け上がった。部屋に着くやいなや窓から外を凝視した。ナニかからは走っていたような音は聞こえなかったが、パニックに陥っている自分はナニかが追ってきているかどうか確認しなくては気が済まなかった。
「……はぁ……アイツは……うッ……追ってきてないな、良かった……逃げ切れた……はあ…」
心の底から安心した。生きてこの家に戻れたこと、こうして安堵することができたこと。何もかもが新鮮に感じた。布団倒れこみ深いため息を溢した。
「……とりあえず今日は寝るか……明日起きれば…頭の整理がつくは…ず…」
そうして俺は深い眠りに落ちた。
「うっ…まぶしっ……朝に…なったのか……? 」
朝日に顔を照らされ眠りから覚めた。時間を確認する。
「7時32分……少し早いけど起きるか……」
布団から重い体を起こし1階の食堂へと向かった。いつものように朝食を作り食卓に並べる。2か月も引きこもっていると自然と家事をこなせる様になっていた。テレビをつけニュースを確認した。『40代男性が行方不明。違和感覚えた知り合いが通報、警察は男の行方を捜索』
「この町で行方不明者が出たのか。物騒な世の中だな‥」
朝食を済ませ食器を片付ける。
「さて、今日はどうするかな……とりあえず散歩と行くか」
身支度を整え玄関へ向かった。
「うわっ…誰だよ、こんな散らかした奴…いや俺しかいないか…せめて片付けろよな、昨日の俺……」
愚痴を溢しながら靴を取った。
「…あ?なんだこれ血……なのか? 」
「ッッ!!? 」
瞬間、昨日の出来事を鮮明に思い出した。あの身の毛もよだつような経験を。トイレに駆け込み胃の内容物をすべて吐き出した。
北村君は恐怖を引き金として吐き気を催すタイプですが作中ではグロいモノを見て吐き気を催すキャラは一切出しません。私の信念です。