闇を駆ける
あぁ……さむっ…急に冷えてきたな……冬とあんま変わらないんじゃないかこれは……」
先ほどまで緩やかだった風が今ではまるで雪のない吹雪だ。冷たい風がコート越しに体を撫で回してくる。
「くそっ、こうも運がないことが続くなんてな……カルビ弁当は売り切れだし踏んだり蹴ったりだ」
どこにもぶつけようのない怒りを奥底にしまい込み足早にコンビニを後にした。
…………どれほど歩いたのだろうか。先ほどまで吹いていた風が嘘のようにとまり時が止まったのではないだろうかと錯覚するほどだった。街灯の光もなくなり辺りは闇に包まれた。
「……なんだぁ、急に空気が重くなったな……ホラー展開とかはこういう静かなところで起きるんだよなぁ」
自分は幽霊を信じない質だ。なぜならビデオやカメラで捉えられているものはほとんどがフィクションだし、光のブレでソウ見えるだけなのだ。実際に幽霊というモノは存在するわけがないんだ。すべて迷信なのだ。
「たまたま……そうさ偶然静かなだけ……騒がしい時があれば少しくらい静かなときがあるだろ……はは‥」
普段なら賑やかな通りがあまりにも暗いため動揺した。この通りが静けさに包まれることなど生涯見たことがなかった。 …………奇妙だ…………
「気のせいじゃ……ないな、さっきから道が変わってない。なんだこれ、同じ道をずっと辿ってる様な…………」
あまりにも風景の変わりがなく不安になった。自分は自宅に戻ることができるのだろうかと最悪の事態を考えていた。
「ッッ?!!」
--瞬間ーー 背後から殺意を感じた。それと同時に血生臭さが鼻に突いた。後ろからは擦れた声が聞こえてくる。
「フ……りヌ……け、す‥グ…ぬ……け」
ナニかが口に詰まっているのだろうか。声の主は途切れ途切れにナニか呟いた。振り向いたらまずいッ! そう思いその場から火の粉を散らすように走り出した。
「ヤバイッ……これ……ハァッ……! 」
一心不乱に走り続けた。後ろを振り返る余裕はないッ。この場所からいち早く立ち去らなくてはいけない。ナニかの足音は聞こえなかったがただ、ひたすらに走ることしか考えていない。
「はぁ……!はッウ!? 」
突如何かに躓き転倒しそうになったがなんとか体制を立て直し走り続けた。
走って、走って、走って、足が攣るのではないかと思うほど闇の中を駆けていく。
「……橋だっ!!ここを渡り切れば家に……家に帰れるッ! 」
橋には明かりがあり、闇から解放された気がした。
橋の手すりには猫が座っていた。その時の猫の色は青ではなく赤色に見えた。まるで血液のような濃い赤だった。その猫を横切り橋を後にした。
よく文章を書いていると保存の忘れるじゃないですか、その…下品なんですが…文章ごと消してしまいましてね。一から書き直していたんですよ。遅れて申し訳ないです。