時を渡る邪鬼
これからちょっと文字数減ります
「なんだったんだ……あの現象……」
そう呟きながら天井を仰いだ。
あれからひとまず状況を整理するため自宅へ戻り布団へ倒れこんだ。時計を見ると1時間ほど寝ていたようだ。
「何もない空間から急に生物が出てくるわけないだろ……
でも実際その空間に戻るのは見たんだよなぁ、わけわからん」
日頃の疲れで幻覚を見ていたのではないだろうか。あまりにも信じられず勘違いだったのではと考える。ただ、そんなSF映画のような展開があればどれほど良いのだろうかと妄想に葺けっていた。
「夢オチってのも考えたけどあいつに引っ掻かれた爪痕は残ってる。……あの出来事は現実世界で起きたモノホンの超常現象ってことでいいはず……」
引っ掻かれた当時は怒りを覚えたがこのように証拠を作ってくれたおかげで少なからず出来事についての整理ができた。
「まずなんで猫が別空間を作って俺の所に来れたんだ。態々自殺を止めに来たわけでもなさそうだったしなぁ。何かを探してるような身振りだった気がする……」
ただこれは憶測だけのものであって本当の所はよくわからない。何故毛の色が青色なのか、猫に化けた宇宙人の可能性だってあるはずなのだ。
「考えてもわかんね。明日、またあの壁の所で待ってりゃ何かしら起こるだろ……。腹も減ったしコンビニ行って弁当買ってこよ」
母親は仕事が忙しいようで3日に一度しか家に戻ってこない。そのため俺が不登校になっているだなんてことも知らないのだろう。
母親が戻ってきたとしても高校幾向かうふりをして家から数百メートルにある本屋で時間をつぶしていた。学校側は俺が不登校気味なのを知っていて家に電話を掛けてくるなんてことは滅多になかった。当分はこのやり方で引きこもろうとしていたが同じような日常を繰り返すたびに嫌気がさしていた。だから今日、繰り返すだけの日常に終止符を打とうとして自殺を決意した。しかし、いざ身を投げようとしても死への恐怖に勝てずその場で硬直してしまった。
その時に不可解な現象を目の当たりにして今こうして色々な考察を想像している。
「もし、今日見た現象が幻ならその時あの崖から身を投げよう。俺の見たものが幻じゃなくて現実なら徹底的に調べてやる、死ぬまでの暇つぶしだ」
そう決意し、弁当を買うためにコンビニへと足を運んだ