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日露大戦  作者: 登録情報はありません
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1906年サンクトペテルブルク爆撃

ついに日本軍「超空の要塞」がサンクトペテルブルク上空にやって来た。帝都防衛軍の猛烈な高射砲砲撃が始まるも、砲弾は遙か低空で炸裂していた。

1906年6月。

サンクトペテルブルクの夜は来ない。

5月末から7月末までは太陽が沈まない白夜であった。


帝都は蟻の這い出る隙も無い防御陣である。

歩兵、騎兵隊、砲兵の十重二十重の防御陣。


戦車に対抗する大口径砲陣地が南側に睨みを効かせている。

鉄路はすべて取り外され、列車砲、装甲列車の突入を防いでいる。


防御気球機雷原が設けられ、侵入してくる敵機の備えも万全だ。

新兵器の高射砲もサンクトペテルブルク南方に設置されている。


サンクトペテルブルクから40kmのファインランド湾コトリン島。

ここは要塞化され、堤防が築かれ、哨戒艇が遊弋している。


いかなる敵も帝都に指1本触れさせない構えである。

しかし日本軍の「超空の要塞」はそうではない。


「超空の要塞」は23時ちょうどにサンクトペテルブルク上空にやって来た。

高度1万mからの超精密爆撃用に設計してある。


だが今回は焼夷弾を宮殿にばらまくので、精密は必要なかった。

なおこれらの作戦はすべて「焼尽」と呼ばれた。


すべての方面の飛行戦隊が集結した。

第1から第6まですべてである。


戦隊長「飛行第1戦隊は冬宮殿と付随する小宮殿を焼尽する」

「飛行第2戦隊は夏宮殿と付随する小宮殿を焼尽する」


これらはツァールスコエ・セロー(宮殿+離宮+庭園群)全域である。


「飛行第3戦隊はヴォロンツォフ宮殿を焼尽する」

「飛行第4戦隊はタヴリーダ宮殿を焼尽する」


「飛行第5戦隊はミハイロフスキー宮殿を焼尽する」

「飛行第6戦隊はコンスタンチン宮殿を焼尽する」


戦隊長「手加減・容赦無用!なぎ払え!」

操縦手「サンクトペテルブルク中心まであと20km!」


あまり高すぎて、飛行音は地上に届かない。

ただたなびく飛行機雲が、その存在を如実に物語っていた。


ロシア軍対空監視員「敵機接近!」

「高度1万m、速度およそ600km/h」


高射砲陣地が猛烈に「超空の要塞」を撃ってきた。

しかし到底高度1万mには届かない。


宮殿の中庭に飛び出したニコライ二世。

憎らしそうに飛行機雲を睨んだ。


戦争大臣ヴィクトル・サハロフが駆け寄った。

「陛下、お早く皇帝専用防空壕に」


ニコライ二世「まさか帝都空爆を許すとは」

「高射砲群はどうした?」


サハロフ「高度3000m以上は射程が届きません」

「超空の要塞は絶対防衛線の気球機雷原を突破しました!」


サハロフは諜報によって「超空の要塞」の詳細に触れていた。

航続距離9000kmの超高高度重爆撃機だ。


だが、開発には最低十年は掛かると見積もっていた。

それがこれだ、日本と戦うべきではなかったのだ・・・・・・。


日本の技術は狂っている。

こんな国と戦争したのが間違いだった・・・・・・。


外務大臣ウラジーミル・ラムスドルフも駆けつけた。

「もう、為す術がありません」「閣下、防空壕へ」


一歩も引かぬと暴れる皇帝をなんとか防空壕に押し込んだ2人。

2人はチェリャビンスク駐留の日本軍の事で頭が一杯だった。


戦争大臣サハロフ「戦闘はオレにまかせておけ」

「日本との外交は外務大臣の貴様にまかせた」


外務大臣ラムスドルフ「うむ、まずは日本と英国との仲を裂く」

「それから英国植民地を攪乱し、英国を離反させる」


直接戦っても勝てない場合のロシアの外交は小狡いのだ。

周辺の友好国を疑心暗鬼に陥らせ、仲を引き裂く。


2人はお互いにうなずき合った。

「頼んだぞ」「お互いに微力を尽くそう」


2人は宮殿の一般用非常口に一目散に走った。

「超空の要塞」は宮殿の直上に迫りつつあった。


6基のエンジンと12発のプロペラを持つ「超空の要塞」。

その銀色の胴体の爆弾倉がゆっくりと開く。


爆弾搭載量は3000kg(基本)、4500kg(最大)。

焼夷弾は1発約3kgなので1000発積載している。


爆撃手「投下!」

バラバラッバラバラッ。


軽い焼夷弾はヒラヒラと宮殿めがけて落下した。


ターンッタンタンッターンッ。

宮殿の屋根に焼夷弾が跳ね返る音が響く。


ボワッシュルシュルシュルッゴゴォ~ッ。

花火のような白炎が上がり、猛烈な高温で燃え始めた。


誰も消火活動は行わない、消火自体が無駄なのだ。

ウラジオストクを焼き尽くした焼夷弾の情報は知れ渡っていた。


やがて宮殿を焼き尽くす炎は火災旋風となった。

これが数千℃まで上昇、さらに輻射熱で周囲を焼き払った。


貴重な美術コレクションも持ち出す暇も無い。

ダヴィンチのブノアの聖母、ルーベンスのローマの慈愛。

そしてレンブラントのダナエたちが灰になった。


冬の宮殿、夏の宮殿、すべて大火災が発生し、崩れ落ちた。

ズシンッズシン、ゴトゴトッ。


天井からパラパラと小片が皇帝の肩に落ちてきた。

ニコライ二世は皇帝専用待避壕の中で震えていた。


祖父アレクサンドル2世はテロリストの手投げ弾の爆殺で死んだ。

この待避壕はあらゆる襲撃から皇帝を守るパニックルーム(避難室)なのだ。


冷蔵庫には2週間分の食料・飲料水が常に蓄えてある。

ニコライ二世は自分で調理もそつなくこなす器用な皇帝だった。

次回は1906年ニコライ二世誘拐です。

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― 新着の感想 ―
[一言] この時期のブリカスの植民地を刺激、ニコライ2世誘拐… 日露「大戦」の文字に偽りなしですね。
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