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日露大戦  作者: 登録情報はありません
23/67

1894年日清戦争001

日本連合艦隊旗艦松島は狙われ、命中弾が相次いだ。松島の主砲は大艦巨砲主義に過ぎてとうとう威力を発揮出来なかった。


この「勇敢なる水兵」にはそもそも悲しいエピソードがある。


防護巡洋艦「松島」は日本連合艦隊の旗艦だ。

その為、清国北洋艦隊の滅多打ちにあってしまった。


防護巡洋艦「松島」の排水量は4217t、戦艦「鎮遠」と「定遠」は7220t。

最厚装甲は「松島」舷側100mm、「鎮遠」「定遠」舷側355mmである。


清国「定遠」から見れば日本「松島」の装甲は3分の1しかない。

砲弾が当たれば、とんでもない惨状が繰り広げられる。


第1弾は、まず七番軽砲座に、敵12cm砲弾が命中した。

砲座にいた4人の内1人は足首を残して吹き飛んだ。


1人は上半身を残して下半身はちぎれ飛んだ。

1人は顔が吹き飛び、胸から腹部にかけてがなくなった。

1人は太腿と足首が無いまま呻いていた。


第2弾は左舷に26cm砲弾が命中した。

甲板下の医務室を貫き、水雷管発射室、機関室を通過、主砲直下で爆発。

水雷発射管室勤務の4人はやはりバラバラになってしまい、床は血の海だった。


第3弾~第6弾とことごとく大惨事であった。

床は砂を撒かなければ血と内臓で滑って歩けない。


とくに下甲板砲台は艦内である為、密閉空間で逃げ道がない。

爆砕と同時に火薬ガスが引火、有毒高温ガスが犠牲者を焼いた。


熱爆風が、破片で斬り刻まれ虫の息の戦傷者に、襲いかかった。

服が焼けて裸になり、皮膚は黒焼きに、髪の毛は灰になった。


伝令「水雷長、左舷4番砲室被弾です!」

水雷長「わかった、すぐ行く」


水雷長が甲板から階段を駆け下り下甲板に降り立った。

左舷4番砲室の前に生存者が1人倒れている。


水雷長「これは一体どういう状況なんだ?」

元来4番砲室には水兵が12人いたはずなのだ。


重傷者は廊下側に吹き飛ばされた水兵1人だけ。

砲室内はメチャメチャに壊れて、外部に吹き飛び、すべてが消えていた。


だが今ここにあるのは内臓とか靴を履いたままの足首だけだ。

人の形をしたものが無く、肉片も流血も実感が湧かない。


全員が木っ端微塵に吹き飛び、戦死したのだ。

水雷長は生き残りの水兵を担ぎ、士官室に向かった。


救護室に決められた士官室に入ると、すでに部屋には先客がいた。

真っ黒に焼けただれた人間が這いずり回っていた。


中の数人が水雷長を認めると這いずり寄ってきた。

「水雷長、水を水を」


中には熱傷で身体が膨れ上がっている者もいた。

水兵「服の中で身体が膨れて苦しい、服を切って下さい」


小刀で切り始めると、服と一緒に癒着した皮膚も肉も取れてしまった。

水雷長「すまんが服はきれそうにない」


だが水兵はすでに事切れていた。

他の者も次々に動かなくなっていく。


中には「鎮遠は、定遠は」と聞くものもいた。

「戦闘能力をすでに失っている」と答えた水雷長。


だが黒焦げの面なので、誰だか分からなかった。

見るとすでにこの水兵も事切れていた。


これがエピソードの正直なところであったと思われる。


とうとう定遠も鎮遠も大破のみで、沈没はしなかった。

伊東祐亨(いとうゆうこう)司令官「さすが東洋一の堅艦と言うだけはある」


もはや北洋艦隊は、作戦行動によって、砲火を集中させる事は出来ない。

孤立した敵艦を単独行動(衝角攻撃)で突進したりするだけだ。


伊東「本艦自慢の主砲がこんな時に何の役にも立たんとはな」

旗艦「松島」の艦橋で伊東は恨めしそうに自艦の主砲を見やった。


松島の主砲は,フランス製のカネー32.0cm砲。

その強力な火力は定遠のクルップ30.5cm砲を凌駕する。


だが小さな艦に巨砲を載せた大艦巨砲主義は度が過ぎていた。

旋回すれば艦が傾き、発砲すれば進路が変わるほどだったのだ。

挿絵(By みてみん)

発射速度は1分間に1発がウリだった。

しかし、再装填の手間で1時間に1発が精々だった。


伊東「撃てない砲はだたの鉄管」

「自業自得だが、使えんわ、こんなもん」


これに懲りて、日本は国産艦の開発に、さらに力を入れることになる。


日清戦争の黄海海戦においての戦訓から得たのは戦艦の射撃の(不)正確さだった。

当時の戦闘は副砲・中間砲を舷側にずらりと並べ、各個に射撃した。


その為、距離や方位は砲手の練度に掛かっており、これを独立撃ち方と呼んでいた。

これは着弾の水柱を測定し着弾点を収束する「斉射」に比べて命中率が格段に悪かった。


もはや射撃管制装置による正確無比な斉射攻撃しかない!

そして、それを可能にするのは”レッド・デビルこと山崎小三郎である。


山崎小三郎「レッド・デビルゆーな!」

次回は1895年下関条約です。

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