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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第四章 〜新米領主編〜
490/1053

490.要塞内部、見学ツアーをしちゃいます。





 断崖絶壁の中を魔法でくり抜いた、海軍の要塞本体部分。

 基本的に図面通りの施工なのだけど、幾つか私が手を加えた所があり、それは換気穴だったり、排水穴だったり、特に違うのがお手洗い。

 図面上では想定人数に対して数が少ないです、特に女性用が男性用の十分の一です。

 しかも男性用を突っ切った奥に在ったりする。

 騎士や兵の男女比の差から狭い船の中ならともかく、安全な陸地でこれは巫山戯ています。

 男から女に生まれ変わったから分かるけど、色々と女は大変なんです。


 なので無許可で増やしましたよ。

 部屋も中を壁で区切るとかじゃなく、男女別々の部屋で、念のために間にちょっとした倉庫を置きました。

 配管済みなので、変更不可物件です。

 地上部分もこれは一緒で、地下部分に行って気が付かれたのは、単に一部の設備が設置済みで使用済みのを見て、使われる方が続出。

 此処に来る前、全員が揃うまで、お茶を飲みながら歓談をされていましたから、無理もない話。

 設置済みなのは、まぁ、工事施工者も人間ですからとだけね。

 私だけなら空間移動で戻ってと言う事も出来ますけど、私以外もいる以上、その辺りの配慮は当然。

 とにかく図面を描いた人間は、その辺りの配慮と言うか、たかがトイレと言う思いがあるのかは知らないけど、その辺りを言葉を濁しながら説明。


「酒に酔って、船の縁から催し出来る殿方と違いまして、女性には色々とあります。

 無論、舟の中や行軍中は文句を言う方はいないでしょうし、騎士の方々も懐の深い方々でしょうが、気を使われる側も、せめて陸にいる内はその様な事を気にする事なく安心して貰いたくあります。

 騎士達のより一層の励みのために」

「その通りだと思いますわ」

「流石はシンフェリア様、見事な配慮ですわ」

「安心し、心を落ち着けれる場所があるからこそ、尚の事励めると言うもの」


 私の言葉に賛同の意見を述べるのは、同じ女性の視点を持つ御婦人達。

 女性と言えど、古き血筋の当主の妻ともなれば、発言力も責任感もある方で、夫である当主も、理にかなった事に関しては軽く扱えれない。

 当主の妻と言うのは、家の守護者でもありますからね。

 ちなみに、私の言葉に身の覚えのあるジル様は、明後日の方向を向かれていたりします。

 ええ、船旅の最中、酔っ払って目の前でポロリをされた私は、未だに覚えてますよっ!

 と言う訳で、これに関して文句を言う殿方はなし。

 なので、御婦人方を前に婦人用など、どうでもよいわっ、とは口には出来ないのかも。

 そんな流れの後で、同じ様に男女別れた透明な白水晶を嵌め込んだ、展望大浴場を見せれば、苦笑されながらも反対意見は出なかった。

 ただし……。


「勝手に作っておいて、湯沸かしの魔導具は別ですか?」

「それはそれ、これはこれです。

 別に魔法で沸かす事も可能なので、魔導師のいる軍では必ずしも必要という物ではないですから。

 まぁ人数を考えたら、かなり大変な事になるでしょうけど、そこは軍部の福利厚生を私は信じておりますわ」


 財務局長が何か言ってきたけど一蹴。

 むしろ、ここまで気を遣って工事してあげたのだから、それくらい買えと遠回しにお伝えしておく。

 地上部分、地下部分の大型湯沸かし器の三台や四台くらい、国や民のために頑張っている騎士や兵士達のためにとね。

 もちろん周りの奥様方を味方につける事は忘れない。

 公爵家や侯爵家でも、下の方の子だと国に忠誠を示すために、騎士にして前線に出させる事は珍しくはない。

 子を思う親として、せめて安全なところでは、少しくらいは気を抜いて休める場所を与えて欲しいと思う訳です。

 港部分が出来た際には、簡易なシャワールームを作る予定だけど、此方は防疫も兼ねてと言う部分を強調して説明。

 この辺りは、ポーションの魔導具以外にも幾つかの薬を作っていたり、子供の頃に教会から手解きを受けている事や、領民の病気の治療の実績を買われているみたい。

 前世の一般常識にプラスした程度の知識なんですけどね。


 そんな感じで説明をしながら、岸壁に作られた要塞を下りながら各部屋を案内。

 崖の中の一部をくり抜いて作られた要塞は、上部にある大浴場や部屋は魔法で反射防止処理を施した分厚い白水晶壁で景色を一望できる様にしてあるけど、下の方の部屋には窓は少ない。

 換気用の穴はともかく、窓などを大きく取れば、そこから侵入されたり、攻撃魔法を撃ち込まれたりしかねないからね。

 もっとも、そこまで攻め入れられている時点で、色々と終わっている気がしないでもないけど、籠城ってそういうもの。

 とにかく窓はあっても細く小さく取ってあるだけ。

 当然ながら、幾ら換気用の穴があるとは言え、そんな状態では空気が澱んだり湿気がたまるので、そこは魔導具による換気システムと、海と高い絶壁が産む気流や気圧の差を使った通常技術を用いた換気システムの二系統を採用。

 性能は魔導具の方が確実に高いけど、便利で頑丈ではあっても道具でしかない。

 故障はもちろん、破壊工作の対象になりやすいので、予備系統は必要。


「排煙装置に、消炎装置かね?

 聞き慣れない言葉だが、どう言った物だね?」

「はい、お城や通常の砦と違い、こう言った崖をくり抜いた要塞では、あまり高い天井を取る事が出来ません。

 火計などで煙攻めをされた場合、どうしても対処出来るまでの猶予時間が少なくなります」


 天井が低いと言っても、低いところでも三メートル近くの高さは確保してあるのだけど、崖を使った要塞の構造上、煙や熱で攻められたら、どうしても上がってきてしまう。

 ただの煙でも厄介なのに、そこに薬を混ぜられたら更に拙い訳で。

 それらを強制的に排除するため、換気システムとは別に、更に排煙装置と消炎装置を採用してある。

 これも魔導具と通常技術を使った正副の二系統を配備。

 くり抜いた石の壁に直接固定してあるので、今は剥き出しだけど、この辺りは内装工事で見た目を重視するなり、管理しやすい様にむき出しのままにしとくなり、自由にしてもらえれば良い。

 皆様方の質問に答えながら説明をして行く中、要塞内で一番長い通路を歩いた先にあるのは、大浴場同様に私が勝手に増やした部分。

 

「さて、此方で要塞内部の最大の空間とも言える船渠(ドック)です。

 この空間には、最上部にあるこの箇所から階段を降りるか、海から入ってくるしか手段はありません」


 風や潮流の関係上、船渠(ドック)からは出港する事は出来ても、入港する事は魔法を使わないかぎり出来ない様になっている。

 ジェット水流を搭載した小型船に引っ張って来てもらうか、必死になって潮流に逆らいながら艪を漕いで入るか、もしくは設置してある巻上げ式とロープで引っ張り込むかになる。


 そして、もう一つの出入り口である空間上端部からの階段は、いざとなったら上から取り外しが可能。

 おまけに、廊下の扉は分厚い以外にも、少し廊下に入った所で、此処の岩盤を加工した巨大な岩球が幾つも廊下を塞ぐ様に転がってくる仕掛けを施してあるため、時間を稼げる様になっている。

 なにせ、【土】属性の魔法でも殆ど削れない様な岩質ですからね。

 かと言って狭い廊下では、あまり高威力の攻撃魔法なんて放てない訳ですから、原始的ではあっても有効な手段だったりする。


「では皆様、彼方の船に乗船ください」


 元々この視察は、私が港を短時間で作った工法を見るためのもの。

 まずは海を止水鉄板で海を区切るのだけど、それを身近で見て貰おうとするなら、当然ながら船がいる訳です。

 私なんかは、ブロック魔法を足場にして、止水鉄板を海中の地面に深く差し込みながら移動って事は出来るけど、皆様に同じ真似をしろと言う訳にはいかない。

 そんな訳で、長い階段を降りてもらって乗船、と思ったのに。


「こらこらこら、何事もなかった様に黙って船に乗らない。

 いったい、この船は何かね?」

「見ての通り船は船かと、以前にジル様に乗せて戴いた船を参考に作りましたが」


 水流ジェット推進の魔導具、それを使う事を前提に作られたアーカイブ家所有の魔導船。

 あの船に使われていた水流ジェット推進の魔導具を使った双胴船も、元々私のアイデアが元で作られたので、私が作れても少しもおかしくない。

 無論、素人の手抜き施工ではあるけど、頑丈さだけは無駄に(・・・・・・・・)あったりする。

 とにかく、それほど説明を要する様な物ではない訳で。


「帆や支柱がない所を見るに、魔導船であろう事は分かるし、魔導具師たる君ならば作れるだろう。

 この程度の中型船ならば、それを所有する事をどうこう言う気はない」


 なら、何を陛下は言っているのだろうか?

 よくよく周りの方を見渡せば、何故か頬を痙攣らせている方もチラホラと。

 はて?


「問題は、どうみても真面な材料で作っていないと言う所だが、君はこれをどう説明するのかね?」

「説明も何も、船体に亀の甲羅を使っているだけですよ」


 魔導船:亀甲船


 以前にジュリと二人っきりで旅行に行った時に、遭遇した虹色双頭巨亀(エメラルド・タートル)

 街を荒らしていた事もあって、通りすがりにサクッて倒しちゃったんだけど、その時の甲羅が船体部分に使われていたりする。

 高く売れる甲羅を売却せずに残っていたのは、街を荒らしていた魔物だけに、オークションに掛けたら、復興資金の確保のために寄こせと言われる事を危惧したため。

 そんな箪笥の肥やしも、今は上下をひっくり返して、形状変化の魔法で首や手足の穴を塞ぎ、マルチハルと呼ばれる双胴船に近い形状に整えた船なので、船としては少々不恰好かもしれないけど、性能はアーカイブ家の魔導船を大きく上回る。

 素材が魔物の亀の甲羅なので、木造船に比べて凄く軽いんですよね。

 おまけに甲羅とは思えないぐらいに頑丈。

 どれくらい頑丈かと言うと、金剛不壊鉱石(アダマンタイト)なみに硬い上に、半端な攻撃魔法では傷一つつかない。

 おまけに、虹色双頭巨亀(エメラルド・タートル)は陸亀の癖に甲羅は【土】属性以外にも【水】属性も持っているため、水やジェット水流の魔導具と相性が良く、甲羅自身に魔導回路を用いる事で、ジェット水流の魔導具に連動して水流の流れを生み出す事が出来る。


「それと船体に照明の魔法を掛けると、甲羅自身が七色に光りますから、夜に海に出れば光に寄って来たお魚さんを、一網打尽に捕まえれるかもしれません」


 今度、時間が出来たらイカ釣りに来てみるのも良いかも。

 釣りたてのイカをその場で刺身にして食べたり、沖漬けにしたりするのも良いし、その場で一夜干しに加工と言うのも美味しいよね。

 ちなみに種類にもよるけど、イカは釣りたてより一晩寝かせた物の方が美味しかったりする。


「だから、君はヘンテコだと言うんだ」


 陛下の言葉に何故か頷かれる皆様方、……解せぬ。







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