ミッション81 狙撃主に狙われちゃった・・・!?
皆様、お久しぶりです。kudoです。ようやっと執筆作業が終わったので投稿します。
今回も結構長いです。いや、正直ここまで長くなるとは自分自身思ってもみなかったのですけど。
「むむむ・・・!まさか、あのオンパァーを倒してしまうとは・・・敵ながらやりおるわ・・・!!」
所変わって、洞窟内を監視するモニタールーム。
その中でボソリと言った感じに呟いたのは隊長モグラであった。
オンパァーとディーアルナ達の戦闘の様子が映し出されていたモニターをジーッと見つめていた彼は、ヒクヒクと鼻をヒクつかせ、掛けているサングラスをキラーン!と光らせる。
「けど、隊長。そういいながら隊長も結構喜んでますよね?」
そんな隊長モグラに溜め息交じりにそう声を掛けたのは部下モグラAであった。
隊長モグラを見る彼の様子はまるで呆れている様に見える。
当然、そんな彼の様子を目にした隊長モグラは疑問に思った。
「なに?何故そう思うのだ、部下モグラよ?」
「いやだって、両手で”祝。オンパァー討伐”って書かれた旗を掲げているじゃないですか」
不思議そうに首を傾げる隊長モグラにそう答える部下モグラA。
そう。今、部下モグラAの目の前にはディーアルナ達がオンパァーを倒したことを祝って大きな旗を振るう隊長モグラの姿があったのだ。しかもスキップしたり、小躍りもしながら。
ちなみに、彼の周りには他の部下モグラ―――部下モグラB、C、Dもいて、隊長モグラに向けて色鮮やかな紙吹雪をパラパラと散らせていた。
「えっと・・・隊長、良かったのですか?暴走していたとはいえ、自分達が作ったロボットが倒されたわけなのですが?」
「ふっ・・・何を言っているのだ、部下モグラよ。―――そんなことは当然であろう!なにせ、長年の悩みの種だったあの暴走ロボットがついに退治されたのだぞ!これが喜ばずにいられるか!!」
困惑気に隊長モグラに問い掛ける部下モグラAであったが、それに対する隊長モグラの反応はまさしく喜色満面と言える様なもの。自分達が作ったロボットであるオンパァーが倒されたことを悲しむどころか、むしろめっちゃ喜んでいた。
つまりはそれだけ頭を悩ませていたという事なのだろうが、しかしそんな隊長モグラの様子を見た部下モグラAは何とも言えない気分になってしまう。
「あの、隊長。喜んでいるところ申し訳ないのですが、この後はどうしますか?このままだとあの侵入者たちは此処に、俺達がいるこのモニタールームにまでやって来ると思うのですが・・・・・・」
「む・・・?どういうことだ?」
そんな対照的な様子を見せていた彼等の元へやって来たのは部下モグラEであった。
彼は頬に冷や汗を流しながら話を続ける。
「あの侵入者たちが入ったデッドスペースなのですが、実はあそこは、今自分達がいるこのモニタールームの手前にある部屋と繋がっておりまして・・・」
「モニタールームの手前の部屋というと・・・・・・確か、最終防衛ラインとして大量のトラップを仕込んでいた所だったよな?だが、そこに出るというのであれば、奴等は早晩その仕込まれたトラップの餌食になる筈だ。いったい何を心配しているのだ?」
「ええ、はい。本来であればその通りです。その通りなのですが、しかし正規ルートではなくデッドスペースを経由してやって来るというのが少々問題でして・・・・・・」
「・・・?」
「実は、あの部屋に仕掛けられたトラップの大半は動体センサー式でして、しかも正規ルートから入れる扉付近に集中してセットしてあるので・・・」
「ま、まさか・・・!?」
「はい、お察しの通り。侵入者達が出る場所は正規ルートの扉ではないので、仕掛けられているトラップの大半は作動しないものかと・・・」
部下モグラEのその報告に隊長モグラは思わず愕然とする。「え、なんで!?」といった感じに。
「な、何故だ、どうしてそうなったのだ!?」
「ひとえに、予算と資材不足のせいですね。本部からの支援が止まって以降、どうしてもそれらを切り詰める必要がありましたから。しょうがないですよ」
「ふぐぅっ・・・!?」
部下モグラEの言葉に痛い所を突かれたといった感じに身を捩じらせる隊長モグラ。
そう。実を言えば彼等は、所属している悪の組織からの支援を打ち切られてしまっている状態であった。
しかもある日唐突に、だ。
その理由や原因は隊長モグラ達にも分かっていなかった。当時は建設中だった地下秘密基地の存在がバレるわけにはいかなかったので、通信装置関係全般を禁止にしていたので余計にだ。・・・というか、当時はそもそもそういった物すらなかったので、どちらにしろ連絡なんて出来なかったのだが。
なので、当時の彼等は連絡役の仲間を介して本部と連絡を取っていたのだが、しかしその連絡役だった仲間も同じ頃に突然パッタリと来なくなってしまった。
一週間経っても連絡役の仲間が姿を見せない事に流石におかしいと思った彼等は、敢えて今まで禁止にしていた通信装置を使う事を決め、一から作って連絡を取ってみたのだが、しかし何度やっても本部と通信が繋がらなかった。
これは本格的におかしいと感じた隊長モグラ達は調査隊を編成して本部がある場所へ向かった。
・・・・・・向かったのだがしかし、彼等が辿り着いたその場所には何も無かった。無くなっていた。
自分達の記憶通りなら、その場所には確かに自分達が所属する悪の組織の本部があった筈なのだが、しかし彼等が辿り着いたその時には、その場所にはまっさらな大地しかなかった。本部と思われる建物なんて影も形も無くなっていたのだ。
その事を理解した隊長モグラ達は混乱し、困惑した。あるべき所にあるべき物が無かったのだから、それは当然だろう。
それから隊長モグラ達はいったい何が起きて本部が無くなってしまったのかと調査と話し合いを行い、二転三転、七転八倒、喧々諤々とした数日を過ごし、そしてある一つの結論に達した。
「もしかしたら本部は、何か不祥事が起こったが為に別の場所へ移されたのではないか?」と。
そう言う事であれば、本部が無くなった理由は納得が出来る。出来るのだがしかし、そうなるとある一つの疑問が必然的に出て来てしまう。
それすなわち、「何故自分達には、その事が伝えられなかったのか」である。
本部が移転するという事であれば、連絡役を通して自分達にも伝えられる筈だ。だというのに、それが一切無い。
「いったいどうしてなのか?」とそこから再び隊長モグラ達の間で二転三転、七転八倒、喧々諤々とした話し合いが行われたわけなのであるが、その果てに彼等は最終的にある結論に落ち着いた。
「・・・もしかして俺達、本部の連中から忘れられてしまったんじゃないか?」と。
そう考えれば連絡が来なかった事にも納得できる。・・・できるのだがしかし、流石にそれは悲しすぎるし寂しすぎるだろうと、当時その結論に達した彼等は両手両膝を地面に突いて涙を流してしまった。
というか号泣した。全員で思いっきり。
それ以降彼等は、定期的に捜索隊を編成して本部の移転先を探した。本部の連中に「自分達の事を忘れて行っているよ!置いて行くなんて酷い!」と一言文句を言う為に。
ちなみに、同時進行で地下秘密基地の建設も続けていた。そんなの放っておいて探索に力を注いだ方が効率的じゃんと思うかもしれないが、もし本部の連中と連絡が取れた時に地下秘密基地の建設が進んでいない事が知られたら、絶対何かしらの文句を言って来ることが想像出来たからだ。・・・途中オンパァーの暴走とかの問題が起こったりもしたが。
ともあれ、そうした日々を繰り返した彼等であったが、ある日自分達の地下秘密基地に侵入者達がやって来たことに気付いた。
それがディーアルナ達だったというわけである。
「くっ・・・!ではいったいどうすればいいのだ・・・!どうすればアイツ等の進行を止められる!?」
バンッ!と自身の目の前にあるデスクを叩く隊長モグラ。その表情は悔しげに歪められていた。
「―――ふっ・・・どうやらお困りの様だな、隊長さんよぉ」
そんな時だ。彼の下に何者かの声が掛けられたのは。
「ん・・・?お、おお・・・!お前は兄貴、『兄貴モグラ』ではないか!」
隊長モグラが声が聞こえて来た方へと視線を向ければ、そこには外のへ通用口に寄り掛かっている人物が―――サングラスを掛け、防弾チョッキを着た、頬に十字傷が特徴的なモグラがいた。
彼の名は隊長モグラが呼んだように『兄貴モグラ』と言い、本部捜索隊の一人であり、数年前から定期的に地上に出ていた者の一人であった。
つい最近も、約三ヶ月前に地上へと本部捜索に出ていた彼であるが、どうやらそれから戻って来ていたらしい。その事に隊長モグラは嬉しそうな声を上げ、彼だけでなく部下モグラ達もまた「兄貴?」「兄貴だ!」「兄貴が帰って来た!」と嬉しげな声を上げながらざわめいていた。
「戻って来ていたのか!」
「ああ、つい先ほどな。・・・だが、どうやら厄介事の真っ最中だったらしいな。アンタのそんな焦った様な顔、久しぶりに見たぜ?」
ふっ・・・!とニヒルな笑みを浮かべる兄貴モグラ。
それに対して隊長モグラは苦虫を潰したような表情を浮かべる。
「ぬぅ・・・実はこの地下秘密基地に侵入して来た者達が思いの他やれる連中でな。対処に困っていたのだ」
「どうやらそうらしいな。・・・それで?今その侵入者達は何処にいるんだ?」
「今は地下秘密基地のデッドスペースを進んでいる最中で、もうすぐこのモニタールームの手前にある部屋へと出て来るところだが・・・」
「ああ、話は聞かせてもらっていた。仕掛けていたトラップの大半が動かないんだったな。・・・ふむ、奴等が出て来る位置は分かるか?」
「あ、それなら判明しています。地底湖部分にあったデッドスペースを通ってなので、この辺りから出て来るものかと」
兄貴モグラのその質問に答えたのは部下モグラEであった。
彼は近くのデスクに置いていたタブレット型PCを手に取ると、その画面に映し出された地下秘密基地の内部構造のデータを見せながら説明する。
「なるほど、ここか・・・・・・この場所なら、あそこから狙えるな」
部下モグラEの説明を聞いた兄貴モグラはフムフムと頷いた後で「よし」と頷いた。
「俺に任せてくれや、隊長さんよぉ。侵入者達はこの俺がなんとかしてやるぜ」
「おお・・・!そうか、お前が行ってくれるのか、兄貴モグラよ!」
ニヤリとした笑みを浮かべる兄貴モグラ。
そんな自信満々な様子の兄貴モグラを見た隊長モグラは「頼んだぞ!」と彼の肩に手を置き、加えて周りにいる部下モグラ達が「ア・ニ・キ!ア・ニ・キ!ア・ニ・キ!」と声援を送るのであった。
「よいしょっと・・・・・・ふぅ、ようやく明るい所に出て来れたぁ」
あの舞台セットがあった地底湖でレッドボーラーとミドリノハカセと別れた後、デッドスペースと呼ばれる真っ暗闇の広く長い空間の中を進んでいた俺達は、それからしばらくして広くて大きな部屋へと出た。
その部屋の内装はどことなくSF染みた造形をしていて、所々に走る七色に薄く輝くラインがそれをさらに強調していた。
「しっかし、俺達は今どの辺りにいるんだろうなぁ?」
「ピポポ。ピポパ?ピポポパポ」(ううん、ちょっと分からないですねぇ。俺達が通って来た道、確かデッドスペースと言いましたっけ?あの道は途中で曲がったり傾斜がついたり、時々蛇行してグルグルと円を描く感じにもなっていましたからねぇ」
「イーイーイイー、イイイー。イイッ、イーイー?」(深度メーターや高度メーターの数値を見るに幾らか上に上がって来たとは思うが、それでもまだまだ地上には遠いな。先程まで俺達がいた地底湖の位置から考えると、大体中間辺りってところじゃないか?)
「うぇー・・・これだけ進んでもまだ半分かよ。此処を作った連中は、いったい何を考えてそんなに掘り進んだんだか・・・」
俺の独り言に続く様にして答えたのは戦闘員一号と二号、そしてアルミィであった。
三人は俺と同じように真っ暗闇の空間から部屋の中へと入って来ると、思い思いに体を伸ばしていた。
そのうち、アルミィが周りを見回し始めると困った様な、分からないと言いたげな表情を浮かべた。
「というか、此処はいったい何の部屋なんだ?壁には所々窪みやら穴が空いている様な所があるし。それにこの部屋全体に走っている七色に光るライン・・・これを見てると何かこう、変な気分になるんだけど」
「イーイーイイーイー?イイイーイーイー」(おそらくこの光っているのは『エネルギーライン』じゃないか?基地全体に様々なエネルギーを循環させる機構で、悪の組織の秘密基地とかには結構よくある物だぞ)
『エネルギーライン』とは、戦闘員二号が言ったように様々なエネルギーを建物全体に循環する機構だ。
実を言えば、俺達が所属する悪の組織アンビリバブルの秘密基地にもそれは存在しており、主に電力等がそのラインを通って送られる事が多い。
だが、ウチの秘密基地に流れているラインは緑や青、黄色といった感じに色が変わる事はあるが、此処の様に七色に光る事はない。つまり、それだけ此処に流れているエネルギーは種類が多いという事になるのだが、しかしアルミィの口にした変な気分という言葉が気になる。
実を言えば俺も似た様な感覚を覚えていたのだ。言葉にすると難しいのだが、なんとなくゾワゾワするというか、背筋が粟立つ様な、そんな感じだ。
その事を事情を知っているであろう戦闘員一号と二号に問い掛けると、彼等は少し考えた後にこう答えた。
「イーイーイー?イイーイー、イーイー、イイー。イーイイイー」(それはおそらく『Kエネルギー』が混じっているからじゃないか?『Kエネルギー』は怪人にとって元気の元というか、栄養源というか、そういった感じの物だからな。たぶん、『エネルギーライン』を通してディーアルナ様達にそれが送られているんだと思うぞ)
「ピポ・・・ピポポ。ピポポポパポピポ」(ただ、まあ・・・どうやらその純度はそう高くないようですね。七色に光っているのも他に流れているエネルギーと混じっているからでしょうし、おそらくそのせいで波長やら質やらが微妙に変質してしまっているのでしょう)
「えっと・・・つまり、例えるなら”好みじゃない食べ物を食べている”といった感じなのか?」
「イッ。イーイイー」(そうだな。大体そんな感じで合っていると思うぞ)
俺の出した例えに大体合っているという感じに頷いて見せる戦闘員一号と二号。
しかし、原因が分かったからといってこの変な感覚が無くなるわけではないので、正直言って俺としてはこの場所にあまり長居はしたくなかった。
「ううぅ・・・!?やっぱりやだなぁ、この感覚・・・!姐さん、早く此処から別の所に行きませんか・・・?」
そしてそれは、同じ感覚を覚えていたアルミィも同様だったのだろう。彼女はこの部屋から早く出たい一心でなのか、若干顔を俯かせながら部屋の中央に向かって歩みを進める。
「・・・・・・ん?」
その時だ。アルミィがふと何かに気付いたように声を上げたのは。
アルミィは俯かせていた顔を上げると、彼女から見て左斜め上辺りに顔を向けた。
「何だ、今の光りは?いったい何が光って―――」
遠くのものを良く見ようとしてか目を細めるアルミィ。
その瞬間、彼女の視線の先で何かが一瞬キラリと光った。
バチュンッ・・・!!
「―――たわらばっ!?」
「アルミィィィーーーッ!!?」
次の瞬間、アルミィの頭は何かに弾かれるようにして仰け反り、そのまま床に背中から倒れた。
その光景を目にした俺は思わず驚きの声を上げ、急いでアルミィの下へと走った。
「ちょ、アルミィ!おい、大丈夫か、アルミィ!!」
「きゅう・・・・・・」
倒れたアルミィの体を抱き起しながら様子を見て見れば、彼女は目を回しながら気絶していた。
何処か怪我をしていないかと全身を見回してみれば、額に大きなタンコブが出来ていたので、おそらくそこに何かが当たったが為に彼女は気絶してしまったのだろう。
いったい何が彼女の額に当たったのだろうか?そう思いながら辺りを見回していると、ふと自身の横合いからカンカンカンといった感じの音が聞こえて来たのに気付いた。
音が聞こえて来た方へと視線を向けてみれば、そこには前頭部分がグシャリという感じに潰れた一発の銃弾が落ちていた。
形状は潰れてしまっているので分からないが、その長さから推察するにおそらくスナイパーライフルなどで使われるライフル弾の類だろう。
そしてそれを目にした俺は理解した。おそらくアルミィの額に当たったのは、あの一発の銃弾だったのだろう、と。
・・・というか改めて思うけど、銃弾食らって負った怪我がタンコブだけって、いったいどんだけ頑丈なんだよ怪人の体は。いや、本当に凄いという言葉しか浮かんで来ないんだけど。
あと、こんなのがあるってことは、たぶん彼女を狙った狙撃主がこの部屋のどこかにいるってことじゃ・・・・・・
「イッ、イイーッ!!」(伏せろ、ディーアルナ様っ!!)
「ッ!?」
怪我らしい怪我がタンコブだけで済んでいるという状況に思わず感心しつつ安堵を覚えていた俺であったが、そこで戦闘員二号の叫び声が響いた。
反射的にアルミィを抱えながら伏せた瞬間、何かが俺の頭があった所を勢いよく通り過ぎて行った。
その後でチュンッ!という音が聞こえて来たので、おそらく今通って行った物の正体はアルミィに当たった物と同じライフル弾だったのだと思われる。
というか、あっぶな!?マジでギリギリだったよ、今の!?
「イイッ!イー、イーイイー!」(こっちだ!急げ、ディーアルナ様!)
「お、おうっ!?」
「こっちだ、こっち!」とこちらに叫ぶ戦闘員二号。彼がいるのは先程俺達がこの部屋に入る時に通った通路であり、そこで彼は戦闘員一号と共に手を振っていた。
俺はその指示に従い、気絶しているアルミィを抱え上げながら彼の元へと走るのだが、しかしその最中にも俺達目掛けてヒュンヒュンチュンチュンと銃弾が音を立てながら連続で放たれていた。
って、うおっ!?うおぉぉっ・・・!?ヤバいヤバいヤバい当たる当たる当たっ・・・!?ノオォォォ!?掠った!今、チッって掠ったぁぁ!?
「と、到着ゥゥッ・・・!!も、もう、此処まで来れば大丈夫だよな・・・!」
その後、なんとか銃弾を―――掠りはしたが―――一発も受けることなく戦闘員一号と二号がいる通路へと辿り着いた俺は、抱きかかえていたアルミィを床に下ろして「ゼェゼェ・・・!?」と肩で息をしていた。
「ピポ、ピポポ!ピポパポ。ピポポポポ。ピポパポピポ!」(お帰りなさい、ディーアルナ様!ええ、大丈夫ですとも。なにせ此処はあの部屋にいると思われる狙撃主からは死角に当たる場所です。なので、銃弾が飛んで来ることはまずないですよ!)
そんな俺に大丈夫だと声を掛けて来たのは戦闘員一号であった。
彼は「此処まで来ればもう大丈夫だ!」と言いたげに、疲労で思わず通路の壁に寄り掛かる様に座り込んでしまった俺に向けて、右手でグッと親指を立てて見せた。
「ピポ、ピポポポパポ―――」(とりあえず今は、此処であの部屋に潜んでいると思われる狙撃主を如何にかする作戦を―――)
チュンッチュンッチュンッ・・・ガギョッ!!
「ピポホォォォーーーッ!?」(考へぶふぅぅぅーーーっ!?)
「ぎ、ギャアァァァーッ!?一号ォォ!?」
そして俺達を狙った狙撃主を如何にかする方法を考えようと言おうとした戦闘員一号であったが、次の瞬間突如横合いから飛んで来た銃弾が彼の右頬に減り込んだ。
その威力は、例えるとしたらまるでプロボクサーの右ストレートの様であり、それを食らった彼は物凄い勢いで吹き飛び、ズザザァァーッ・・・!と地面を滑って行った。
「だ、大丈夫か、一号!」
「イッ、イイー!」(動くな、ディーアルナ様!)
「おぉうっ・・・!?」
チュンッチュンッ・・・ヒュォンッ!!
地面に転がり、ピクピクしている戦闘員一号を心配して思わず駆け寄ろうとした俺だったが、その時戦闘員二号から「動くな!」と叫ばれた。
それを耳にして反射的に立ち止まった瞬間、俺の目の前を銃弾と思しき物が高速で通り過ぎて行った。
「う、うえぇっ!?弾ッ!?弾、何で!?この通路は死角じゃなかったのか!?」
「イッ、イイイッ。イーイーイー。イイイッ」(いや、死角なのは間違いない。おそらく今のは跳弾で飛ばしてきた物だろう。どうやら相手の狙撃主はそこそこの腕前の持ち主の様だな)
飛んで来るとは思ってもみなかった銃弾が飛んで来たことに慌てふためく俺であったが、それとは対照的に戦闘員二号は「フッ・・・、おもしろい」と言いたげな感じで顎に手を当てながら呟いていた。
「ちょっ、面白がっている場合か、二号!つまりそれって、此処に居ても銃弾に当たるってことだろう!?なら、急いで此処から離れないと・・・!」
「イッ、イイー。イーイー。イイイッ」(いや、ディーアルナ様。今は下手に動かない方がいい。この状況で動けば相手の思うツボだ)
「はあっ!?」
何故かニヒルな笑みを浮かべている様な反応をしている戦闘員二号に急いで此処から離れようと提案する俺だったが、しかしそれに対して彼は、今は動かない方がいいと言ってきた。
・・・いや、何で!?
「イイイッ、イーイーイー。イイッ。・・・イッ。イイイーイイーイーイー」(さっきの跳弾だが、おそらく大雑把にここら辺にいるだろうという当たりをつけて放たれたもんだ。狙って撃たれたもんじゃねぇ。・・・という事はだ。相手は今、俺達がこの通路のどの位置にいるのか正確に把握しちゃいねぇってことになる)
何処からか取り出した煙草を口に咥え、ライターで火を点けた後に「プハァ~・・・」と吸った煙を吐き出す戦闘員二号。
・・・なんだろう。なんか雰囲気がこう、ハードボイルドっぽく感じるのは気のせいだろうか?
「いや、それは当たり前なんじゃないのか?だって俺達は今、相手からすれば見えない位置にいるんだぞ?」
そんな妙な雰囲気を纏う戦闘員二号に対して内心で首を傾げながらそう言う俺だったが、彼はそれに首を横に振る事で答えた。
「イッ、イイッ。イーイー。イイイーイーイー。・・・イーイイー。イーイーイー」(確かに、普通ならそうだろうな。だが、超一流の狙撃主であれば違う。そういった連中は空間認識能力―――物の位置や方向、姿勢、大きさ、形状、間隔といったものをすばやく正確に把握し、認識する能力がかなり高くてな。獲物の急所を的確に且つ正確に撃ち抜いちまう。・・・その中でも跳弾を用いる奴ってのはそういった能力がズバ抜けて高くてな。例え獲物が見えなかったとしても風の動きや物が何かに当たった時に出る反射音、他にも様々な要因でもって位置を把握するんだ)
「えっと・・・そう、なのか?・・・ってことは、まさか今俺達を狙っている狙撃主はその超一流の―――」
「イッ、イイッ、イーイー」(いや、なんか思い至ったところ悪いが、今俺達を狙っている奴はそれほどの腕を持つ奴じゃない)
「―――狙撃主・・・って違うの!?」
戦闘員二号の話を聞いて、自分達の事を狙っているのは超一流の狙撃主なんじゃないかと口に出そうとした俺であったが、それは片手を横に振る当の戦闘員二号によって否定された。
「イイッ。イーイーイイー、イイイー。・・・イッ、イイッ。イイー・・・イッ、イイッ、イーイイー」(ああ、違う。本来そういった手段を用いる奴は、本人の能力もそうだが、大体が経験則で獲物の位置を割り出すんだ。・・・だが、今俺達を狙っている奴はそうじゃない。言葉にすると難しいんだが・・・そうだな、敢えて言うなら、まるで自身の能力以上の技を放っている、みたいな感じだろうか)
「えっと・・・どうしてそう思えるんだ?」
「イイーイーイイー。イッ、イイー、イーイー」(そう思った理由は先程一号に当たった弾丸だ。アレはおそらくだが、元々はディーアルナ様、アンタを狙って放たれた物だと思う)
「へっ?俺を?でも、あの弾は一号に・・・・・・」
「イッ、イイッ。イーイイーイー?」(ああ、当たった。だが、アイツのいた位置の手前には元々誰がいた?)
「誰って、それはもちろん俺・・・・・・あっ!」
戦闘員二号に言われて自分達のいた位置を思い出そうと頭の中で思い浮かべていた俺は、そこである事に気付いて声を上げた。
そう。戦闘員一号が立っていた位置が、俺が座り込む前に立っていた場所のその延長線上であったということ事に。
「イッ、イイー。イーイー。イイッイーイイーイー。イッ、イイイッ。イーイーイー。イイー・・・・・・」(そう、ディーアルナ様。アンタがいたんだ。俺達を狙っている狙撃主はおそらくこの通路に逃げ込んだアンタを狙って銃弾を撃ったんだ。だが、結局その弾は一号に当たった。撃った奴が本当に超一流の狙撃主であればありえない”誤射”だ。という事はつまり・・・・・・)
「あの部屋にいる狙撃主が通路に隠れている俺達を狙えているのには何かカラクリがある・・・ってことか?」
「イッ。イッ、イイー」(ああ。その通りだ、ディーアルナ様)
あの大きく広い部屋の何処かに潜んでいる狙撃主が、何かしらの方法でもって俺達を狙っているんだろうとそう答えれば、戦闘員二号は正解だと言いたげに頷いた。
「イイッ、イーイーイー。イイイッ。・・・イッ。イイッ、イーイイーイー」(これは俺の推測だが、相手はカメラやセンサー等を狙撃の補助に使っている可能性がある。おそらくそれで俺達の動きを把握しているんだろう。・・・それともう一つ。これも推測なんだが、たぶん銃の方も何らかの機械的な補助が取り付けられている可能性がある)
「・・・ん?カメラやセンサーは分かるけど、銃にもって・・・どうしてそう思ったんだ?」
「イイーイー。イーイーイイイー」(跳弾した弾の弾道だよ。あんな風に一切の狂いなく最短コースで獲物に当たる弾を放つなんてのは普通は無理だからな)
「えっと、それならさっきから話に出ていた超一流の狙撃主なんかはどうなんだ?たぶん、そいつ等なら出来るんじゃないのか?」
「イッ、イイッ。イイイッ、イーイイー。イーイー」(いや、そいつ等の場合はもっと無理だ。なにせそういう連中ってのは、自分の撃ち方に何かしらの遊びや癖を取り入れてやがるからな。少なくとも最短コースを通るなんてことはまずない)
「そ、そうなんだ・・・」
「イッ。イーイーイイーイー」(ああ、そうだ。まあ、だからこそ俺達を狙っている相手がそういう輩じゃないってんなら、付け入る隙はある)
煙草を吸い、煙を吐き出した後でそう言う戦闘員二号。
その後で彼は、どこかニヤリとした笑みを浮かべているような声音で俺に話し掛けて来た。
「―――イッ、イイー。イイイーイーイイー、イー?」(―――そこでだ、ディーアルナ様。実はアンタにこの状況を突破する為にしてもらいたい事があるんだが、頼んでもいいだろうか?)
「頼み?ああ、良いぞ。俺が出来る事なら何でもしてやる!」
戦闘員二号の頼みがあるという言葉を聞いた俺は、頷きつつグッと拳を握って見せる。
「イッ、イイー。イッイイー」(じゃあ、ディーアルナ様。アンタ、囮になってくれや)
「・・・・・・へっ?」
そんな俺の姿を見た戦闘員二号は「そうかそうか」と満足そうに頷きながら、そう言ってポンと俺の肩を軽く叩いた。
閑話:その頃のメドラディは・・・
・・・ザッ・・・ザザザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・・・・!
「よし、着いた!一度下ろすぞ、ドッグツー」
「は、はい。分かりました、ドッグワン」
「おい・・・!おい、大丈夫か、お前達!しっかりしろ、目を覚ませ!」
ガクガクガクッ、パシパシパシッ・・・!
「・・・う、うぅぅ・・・・・・ど、ドッグワン・・・?」
「起きたか、ドッグナイン・・・!体に異常はないか?動く事ができるか?」
「う、ぐぅぅ・・・!な、なんとか・・・」
「そうか・・・なら、ある程度動ける様になったら他の者達を起こせ!私も起こしていく!・・・・・・全員で此処から脱出するぞ。分かったか!」
「くっ・・・!りょ、了解、ドッグワン。―――ああ、そうだ。そう言えば、ドッグワン。その前にアンタに見てもらいたい物があるんだが・・・・・・」
「・・・ん?そんなものは後で確認する。今はコイツ等を起こす事に集中しろ!」
「まあ、そう言うなって。見てくれれば分かるから、さ・・・!!」
ヒュンッ!ベチャッ!!
「フグゥッ!?くっ、ドッグナイン、いったい何を・・・!クソッ、何だこれは・・・!?ヘルメットが何かに覆われて、前が見えな・・・クソッ!?」
グッ・・・!ブンッ!・・・ガンガンガン!!・・・ウゴゴゴゴゴッ。
「クッ・・・スライムだと・・・!?こんな物が張り付いていたのか!・・・というか、いきなり何をする、ドッグナイン!なんでコイツを持って・・・いや、どうして私に投げた!」
「・・・なんで、どうして、だって?そんなの、もうとっくに分かっているんじゃないのか、ドッグワン?」
「クッ・・・!まさか洗脳でもされたというのか・・・!?」
「イグザクトリィ・・・!まさにその通りだよ、ドッグワン・・・!メドラディ様によって投与された『洗脳薬』。それにより薬漬けとなった俺は、今やあの方の奴隷なのだぁ!」
「なん・・・だと・・・・・・!?」
「・・・いや、待って。違うな。うん、なんか違う。今の言い方はちょっとニュアンスがおかしかった。・・・・・・コホン。訂正する。今の俺はそう、あの方からご褒美を貰えることを切に願う一匹の獣。自分に付けられていたコードネームを引用して名付けたその名は―――”愛の奴隷犬”だ!!」
「いや、言い直しても変わってないからな!?意味は同じだからな、それぇ!?」
「フフ、フフフ、フフフフフフ・・・!」
「キモッ!その笑い方気持ち悪ッ!?クソッ・・・!まさか私の部下が洗脳されているなんて・・・!―――いや待て、まさか・・・!?」
「フフフ・・・どうやら気付いたようだな、ドッグワン。そう、あの方の愛の奴隷犬となったのは俺だけではない!ここにいる全員が、今やそうなのだぁ!!」
ズルッ・・・ズルズルズルッ・・・・・・!
「う、うぼあぁぁぁ・・・メドラディ様の為にぃぃ・・・・・・!」
「お、おっおっおっおぉぉぉっ・・・!ドッグワンを、捕まえるぅぅ・・・仲間を、増やすぅぅ・・・!」
「こっちへ来いよぉぉ・・・こっちへ来いよぉぉ・・・一緒にコイツで気持ち良くなろうぜぇぇ・・・?」
うおぉぉぉっ・・・!うおぉぉぉっ・・・!!
「くっ・・・!お前達、そこまで堕ちて・・・!?」
「ちなみに、俺達を愛の奴隷犬にした『洗脳薬』ですが、お値段はこちら。今なら一九八〇円!一九八〇円の大特価でのご提供をさせていただきます。今ならおまけして、このお肌がスベスベになるクリームもお付けします。お買い求めの方は、此方の電話番号までお問い合わせください」
「いや、何でテレビでやってるような通販ショップのノリでそんな物を紹介してんだ!?というか、お前そんなキャラじゃなかっただろう!?真面目一辺倒なキャラだった筈だろう!?」
「ふっ・・・そんなの―――取り繕っていたからに決まっているだろう。なにせ俺は常日頃から通販ショップで紹介されている品を見かけては買い漁る、生粋の通販マニアだからな!」
「な・・・なにぃ・・・!?」
「俺も俺も!こう見えて廃ゲーマーなんだぜ!休みの日にはゲーム大会にも参加してたぜ!」
「俺も実はロリコンでさ。暇があれば密かに幼女ウォッチングをしてました。ああ、勿論手なんか出しちゃいないさ。それは紳士淑女同盟少女の部の掟に反しているからな。本当に見ているだけだぜ」
「その、正直に告白しますが、実は俺、ドッグワンとツーの二人を夜のオカズにした事があります。・・・だって、だって、アンタ等みたいな見た目美女美少女に欲情するなっていうのは、男としてちょっと無理があったもん!!特に訓練が終わった後のドックワン!共有スペースの部屋の中でシャワーを浴びた後の薄着姿でいた時なんかはマジでヤバかったし!襲わない様にめっちゃ我慢してたしぃ!!」
「ああ、それなぁ・・・俺も思ってたわぁ。俺ら男ぞ?時には狼になるんだぞ?だってのに、一切変わらないその警戒心の無さには本当に脱帽だったわ。・・・まあ、同姓であるドッグツーが誘導とかフォローとかしてくれたり、俺らもこっそり物陰で昂ぶっていたもんを沈めたりしてたからギリギリ問題になる事はなかったけどさ。・・・・・・というか、何でこんな今まで秘密にしてた事をぶっちゃけているんだろうな、俺ら。・・・薬の影響か?」
「たぶんそうじゃね?なんかこう、解放感と言うか、頭の中に掛かってたモヤモヤとした霧が晴れた様な、そんな感じがするし。・・・あれだな、例えるとしたら某救世主が主人公の某世紀末世界に出て来る荒くれ者達が言っている様な”ヒャッハー!”みたいな感じだ」
「お、それ上手い例えだな。そうか、”ヒャッハー”か。確かに今の俺達はそんな気分だな。・・・・・・どれ、皆でちょっと言ってみるか?いくぞ?せーのっ!」
『ヒャッハー!!』
「―――うぅぅっ・・・!聞きたくなかった、部下のそんな話なんて・・・!?」
―――ドッカアアァァァーーーンッ!!!
「くっ・・・!?今度は何だ!?って、『叢雲三式』だと!?まさか、やられたのか・・・!?」
「おおっと、隙あり!」
「この状況で余所見をしちゃいかんだろう、ドッグワン」
ガシッ!ガシッガシッガシッ!
「し、しまった・・・!?離せ、お前達!ひゃっ!?こら、何処を触っている!?」
「そりゃもちろん、ドッグワンの尻ですが、何か?いやぁ、前々からこの安産型のお尻を触ってみたかったんだよなぁ」
「開き直るな!?くそっ・・・!こうなったら、ドッグツー、お前だけでも逃げ延びて・・・!」
「ほぅら、ドッグツー、『洗脳薬』だぞぉ~。それも原液百%だ。たんまりと飲めよぉ~?そぉれ、イッキ、イッキ、イッキ!」
「ガバゴボゴボゴボ・・・!?」
「ドッグツゥゥゥーーーッ!!?」
ゴッキュ、ゴッキュ、ゴッキュ・・・!
「プハッ・・・!・・・あへ、あへへへへ・・・・・・!」
「あ、ああ・・・ドッグツーまで・・・!?」
「あらあら、どうやら勝敗は決したようねぇ?というかアナタ、確かドッグワンだったかしら?まさか、こぉんな美人さんだったなんて・・・着ている服に凹凸が見られなかったからヘルメットを外すまで分からなかったわぁ」
「・・・ッ!?高梨悠里・・・!くっ、貴様・・・!目的はなんだ!私達をどうするつもりだ!?」
「ふふ・・・私がアナタ達をどうするか?それは、今のこの状況を見れば分かる事じゃないかしらぁ?」
「やはり、薬で洗脳して操り人形にでもするつもりか・・・!―――ふんっ、だがこんな事をしてタダで済むと思っているのか?私達が消息を絶てば、協会本部は本腰を入れてお前を如何にかしようとするぞ!」
「ええ、そんなことは分かっているわぁ。アナタ達がヒーロー連合協会では裏方を務める特殊部隊であり、その存在を秘匿されているとはいえ、必要な人員であることに変わりはない。そんな人物達が消えたら、不審に思い、より警戒するのは当然ね。・・・・・・でも、そうならなかったら?」
「な、なに・・・?それはいったいどういう・・・ハッ!ま、まさか・・・!?」
「ええ、そうよぉ。洗脳し、私の配下となったアナタ達を協会本部へと返せば、”私を発見して抗戦するも対象は悪の組織の協力を得ていたらしく、力及ばず撤退した”という様な表向きの体裁を装う事ができる。そうなったら・・・まあ、多少の警戒はするでしょうけど・・・・・・」
「それでも私達が消息を絶ってしまった場合に比べたらその警戒度は当然下がる・・・!対象の情報を多少なりとも持ち帰ったのなら、尚更に・・・!くそっ、そうか、それが狙いだったのか貴様!協会本部にある程度の警戒心を与え、不用意に手を出すとリスクになると感じさせることで動きを鈍らせるのが貴様の目的か・・・!その為に、自分の所在をワザと私達にバラしたのか・・・!?」
「それだけじゃないわぁ。洗脳したアナタ達を経由してヒーロー連合協会の情報を手に入れる。それもまた私の目的の一つよ。・・・あの人に、序列一位だったあのヒーローに関する隠された真実。それを知る為にはどうしても協会本部を調べないといけない。・・・けれど、悪の組織に所属し、怪人となった今の私では潜入する事は難しい。だからこそ、協会本部に問題なく出入りできるアナタ達の様な存在を、私は手駒に欲しいと思っていたのよぉ」
「くそっ・・・!くそくそくそっ・・・!!そんな事、させるものかぁ!!こうなれば、あの装置を起動させるしかない・・・!すまない、皆。申し訳ないが、私と共にその命を燃やしてくれ!!」
「あらあら、いったい何をするつもりなのかしら?」
「―――自爆装置、起動!」
「あら・・・?」
「一緒に地獄へ行ってもらうぞ、高梨悠里ィィーーーッ!!」
キュゥン、キュゥン、キュゥン、キュウゥゥゥンッ!!―――シュゥゥゥ・・・・・・!
「な、なに・・・?バカな・・・!?何故だ、何故自爆装置が起動しない・・・!?」
「ウゴウゴウゴ・・・!」
ジュウゥゥゥッ・・・!
「・・・ん?な、なにぃぃっ!?背中に張り付いたスライムが自爆装置を溶かしてってるぅぅーーーッ!?何時の間に・・・って、ちょっ、やめろ!溶かすな!溶かすんじゃない!・・・って、嘘ッ!?服まで溶けてきた・・・!?」
「あらあら・・・まったくもう、冷や冷やさせないでほしいわねぇ。そんな悪い子にはお仕置きをしなくちゃいけないわねぇ?―――というわけで、じゃん」
スチャッ。
「そ、それは・・・!?」
「うふふ・・・ええ、もう察していると思うけど、コレは『洗脳薬』よぉ。しかも通常版のそれを改良に改良を重ねて効果を激増しさせた〝ver2.0〝。・・・コレを飲んでアナタは正気を保てるかしらぁ?」
「くそっ・・・!やめろ、そんな物を近づけるな・・・!私を辱しめるつもりか!ドッグセブンが持っていた薄い本みたいに!薄い本みたいにぃ!」
「ちょっ・・・!なんで俺がそんな本を持ってるの知ってんの、ドッグワン!?アレは簡単に見つからない様に部屋の奥に仕舞っていた筈・・・!?」
「あ、スマン。それ見せちまったの俺だ。いやぁ、実は一人で読んで楽しもうとしていたところを偶然見られちまってさぁ」
「お前の仕業か、ドッグシックスゥゥ!?」
「あらあら、別にエッチな事をするつもりはないのだけれど・・・・・・精々軽ぅくあっぱらぱーになるだけよ?」
「それはそれで嫌なんだが!?も、もういっそ殺せぇ~!!」
「そんな事するわけないじゃない。もう、往生際の悪い子ねぇ。―――えいっ」
「ガボォッ!?」
ガボッ!?ガボボボボッ!?ガボホォーーーッ!!?
ザッ・・・ザザザッ・・・ザザザザザッ・・・ザーッ、ザーッ・・・!―――ブツッ!
次回の投稿予定ですが、すみません、まだ執筆作業中で何時投稿できるかは現時点では断言できません。個人的には早ければ6月末に投稿できればなと思いますが、最悪来月まで掛かるかもしれません。
読者の皆様には申し訳ないと思いますが、広い心でお待ちいただけると嬉しく思います。
それではまた。




