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ミッション77 クイズ番組に出演しちゃった・・・!? その2



「はーい。全員問題を間違えてしまったので、椅子の高さを上げさせていただきますねー!・・・ちなみに正解は〝ペットボトルは缶と違って粒子レベルで空気が中に入る為であり、微量の劣化が起こるから〝でしたー!」


「分かるかそんなもん!?」


オンパァーが口にした問題の答えに俺は思わずそう声を上げた。

いや、本当に分かんないから、そんな専門知識混じりの雑学なんて・・・!?

・・・と、そう内心でツッコミを入れている間に俺達の座っている椅子がヴィーンと上昇し、傾く。

ちなみにだが、、上がったのはゲストという立場に置かれている俺達だけでなく、キャストと呼ばれていたロボットたちもであった。彼等もまたオンパァーが出題した問題に間違った答えを出してしまったからだ。


「というか、なんであっちの連中まで問題を間違えてるんだ?お前が用意した連中だろう?」


言外に「コイツ等は答えを知っているんじゃないのか?」という質問をオンパァーにすると、かのロボットは「そんな筈ないでしょう」と首を横に振った。


「そんな既定路線や出来レース染みた面白みのない事を私がするわけないでしょう!・・・・・・いえまあ、確かに彼等には様々な情報データをインストールしてはいますが、それは飽く迄一般的な物のみ。それ以上は自分達で情報を収集する形式にしておりましたので、個々が持ちうる情報には偏りがあるのですよ」


「じゃあ、コイツ等が問題を間違えたのは、だれも問題に関係する情報を持っていなかったから、ってことか?」


「ええ、その通り。・・・なにより、私はそう言うのは好まないのです!こういうのは分からない事を分からないなりに頑張って答えようとする新鮮さが大事なのですよ!新鮮さが!!それが無くなるのはノーセンキュー!クソ食らえです!!」


ペッ、と地面に唾を吐くかのような動作をするオンパァー。

・・・いや、ロボットだから、結局そんな物は出てないけど。少なくともその様子から本心で言っている様に感じられた。

まあ、それはそれとして、俺達をこんな事に巻き込んだことに関しては許すつもりはないが。


「・・・・・・え~、それでは気を取り直して第二問へ行きたいと思います!―――問題!野球にはフォークボールという投球法がありますがその名前の由来は何?」


ピンポーン!


「はい、レッドボーラーさん!」


「答エハ”食器ノフォーク”・・・!」


そんなことを考えている俺を他所に二問目を出題するオンパァー。それに応えたのはレッドボーラーであり、かの全身赤色のロボットはボタンを押すとスパッと答えを口にした。


ピンポンピンポン!


「正解です!そう、答えは食器のフォーク。ボールを挟む時に、人差し指と中指で食器のフォークの様に突き刺す事からそう名付けられたそうです」


そしてそれは見事正解。レッドボーラーはグッとガッツポーズを取り、そしてそれと同時に俺達の椅子が上昇し、傾いていく。

傾斜がついてはきたが、一応角度的にはまだまだ大丈夫そうではある。・・・が、しかしあまり油断はできそうにない。

なにせ今俺達が座っているこの椅子は、材質的になのかそういう加工がされているからなのか、表面がとてもツルツルしているからだ。椅子の下の滑り台の方も似た様な感じである為、全身を使って踏ん張ろうとしても中々難しいだろう。力を込めた瞬間にツルッといきそうだ。

唯一手すりだけは滑り止めが効いているのでなんとか滑り落ちないでいるが、それはおそらく舞台が早々に終わってしまうのはつまらないという考えて、敢えてそう言う風にしてあるのだろう。

なんとなくあの紳士然としたロボットの愉快犯的な思考を察した俺は、内心で舌打ちをする。


「・・・それでは第三問!お年寄りがバスに乗って来ました。大きな荷物を重そうに持っています。・・・ですが、誰も席を譲りません。それは何故?」


ピンポーン!


「はい、ニャンクルナイサーさん!」


そうこうしているうちに次の問題が出題され、それにいち早く答えたのはアルミィであった。

彼女は勢いよくボタンを押すと口早に答えを言う。


「だからアタシはそんな名前じゃ・・・!ええい・・・!答えは”ガラが悪い人間が乗っていて譲ろうとしなかったから”・・・!!」


ブッブー!


「残念違います。間違えたので、貴女の椅子を上げちゃいますね」


「くっ・・・!?」


が、不正解。彼女の椅子は無情にもヴィーンと上昇し、傾いていった。


ピンポーン!


「はい、シャーク・ザ・ファットさん!」


「答エハ”誰モ乗ッテイナカッタカラ”ダ!」


ピンポンピンポン!


「正解です!そう、そもそも誰もバスに乗っていなければ、譲るも何もないですからね」


彼女の次に答えたのはシャーク・ザ・ファットであった。

しかもその答えは正解であり、俺達の椅子がさらに上昇する。

ちなみに、問題の答えを聞いたアルミィは「そっち・・・!?」と驚愕の声を漏らしていた。


「続いて第四問!アフリカ大陸のサバンナに生息している猫科動物で有名な動物は―――」


ピンポーン!


「はい、ブラックグローリーさん!」


「ピポポ・・・!ピポ・・・!」(動物関係の問題なら俺の得意分野だ!答えは”ライオン”だ・・・!)


次の出題されようとしていた問題に答えたのは戦闘員一号であった。

彼はボタンを押すと右手の指を伸ばしてビシッとオンパァーに突き付けた。


ブッブー!


「ピポ・・・!?」(何故に・・・!?)


「・・・アフリカ大陸のサバンナに生息している猫科動物で有名なのはライオンですが、他に生息しているであろう猫科動物の名前を一つ挙げてください」


「ピポポ!?」(まさかの引っ掛け問題!?)


ヴィーンと音を立てながら上昇する椅子。それに乗りながら、戦闘員一号は愕然とした感じのツッコミを入れた。

それに対して俺は内心で、「・・・いや、今のは引っ掛け問題と言うより、最後まで問題を聞かずにに答えた事による自業自得のそれだと思うんだけど」と思ったりしたが。


ピンポーン!


「はい、メガネノハカセさん!」


「答エハ”チーター”デス」


ピンポンピンポン!


「正解です!サバンナには多種多様な動物が生息していますが、その内ネコ科動物は問題に出されたライオンや先程答えられたチーターの他にもサーベルというのも生息しています」


彼に続いて答えを言ったのはメガネノハカセであった。

戦闘員一号にフフン・・・!と見下すような視線を向ける緑色のロボット。それを目にした戦闘員一号は悔しそうに拳を握るのだが、しかし何時までもそうしている余裕を彼は持つことが出来なかった。


「う、うぐぐぐぐっ・・・!!」


なにせ、自身が乗っている椅子が上昇して更に傾いた際に、彼の体が徐々に椅子の上を滑り始め、今にも滑り落ちてしまいそうな状態になっていたからだ。

なんとか椅子の手すりに捕まりながら頑張って踏ん張っている戦闘員一号であったが、その腕はもう限界だと言いたげにプルプルしている。


「ピ、ピポポ・・・!?」(も、もう無理そう・・・!?)


「が、頑張れ一号・・・!踏ん張るんだ・・・!!」


「ピ、ピポ、ピポポ・・・!ピポポパポピポ、ピポッポポポ・・・!」(ディ、ディーアルナ様、お願いがあります・・・!もし俺が死んだら、秘密基地の俺の部屋に置いてある数々の動物コレクションを、生ける花代わりに俺の墓に添えといてください・・・!!)


「やめて!この状況でそんな今際の際みたいなセリフ言うのは本当にやめて!?マジでそうなっちゃいそうだから!!」


プルプルと手すりに捕まった状態のまま突然遺言みたいなセリフを言い出した戦闘員一号にそうツッコミを入れる俺。

諦めるな、一号・・・!諦めたらそこで試合終了だぞ・・・!!


「ピポポ・・・・・・―――ピポッ」(そ、そんなこと言われても・・・・・・―――あっ)


ツルッ。


『あっ』


「ピポポポポポポポッ!?!?」(あ、アアアァァァァーーーッ!?!?)


「い、一号ォォーーーッ!?」


俺の励ましに困った様な返事を返そうとした戦闘員一号は、その際にもう一度踏ん張り直そうとしてか脚部のキャタピラをバック走させようとしたのだが、その瞬間ツルッとキャタピラが椅子の上で滑った。

そのまま仰向けの体勢となって滑り台の上に落ちた戦闘員一号は勢いよく滑り落ちて行き、そのままスーパーデンキウナギが大量に詰まったプールへとシュートイン。その瞬間、自分達の縄張りに入って来た異物を感知してか、スーパーデンキウナギ達が一斉に放電を開始。強力な電撃がプールに入った戦闘員一号へと放たれた。


「ビボボボボボボッ・・・!?!?―――ビボッ」(アバババババババッ・・・!?!?―――あふんっ)


「い、一号ォォーーーッ!?」


その後、戦闘員一号は、スーパーデンキウナギのプールからポイッと放り出され、ベシャッと舞台床に落ちた。

その体は全身が黒焦げ状態となっており、至る所からバチバチと静電気が迸っていた。・・・が、どうやら生きてはいるらしかった。「アガガガガ・・・・・・!」と言葉にならない苦悶の声を零していたし。


「ほう・・・!私の用意したスーパーデンキウナギの電撃を受けてまだ息があるとは、素晴らしい体をお持ちですねぇ。・・・よろしい。貴方様には今回の舞台が終わった後も、私の舞台のレギュラーキャストとして起用いたしましょう。嬉しいでしょう?嬉しいですよね?」


「ビボボボボ・・・!ビポ、ピ、ボ・・・!!」(アガガガガ・・・!そ、そんなの、嬉しく、ねぇ・・・!!)


最初、そんな風に床の上に倒れ伏す戦闘員一号の姿を目にして驚いたような反応を見せていたオンパァーであったが、そのすぐ後で今後自身が開くであろう舞台のキャストとして使おうといった事を口にし始めた。

それに対して戦闘員一号は嬉しくないと抗議の声を上げはするのだが、その体は電撃によって痺れている為か全く動けてはいなかった。

・・・・・・いやまあ、ビクンビクンとはしていたけど。


「では、貴方様はこちらへどうぞ。そこにいては邪魔になってしまいますからね」


「ビピピピピ・・・・・・!?」(あ、あ~~~・・・・・・!?)


そしてオンパァーは体が痺れて動けない戦闘員一号の体を持ち上げると、司会席の横に置いてある大きな籠へとポイッと入れた。おそらくだが、失格者となった者はその籠の中へと入れる事になっているのだろう。

その中へと入れられた戦闘員一号の姿は、まるでおもちゃ箱に適当に入れられた人形の様に俺には見えてしまった。

いや、敗者の扱い雑ぅ・・・・・・。


「それでは、気を取り直して次の問題と行きましょうか!―――第五問!今では一つの料理として有名となっているオムライスですが、この料理が生まれたのは何処の国でしょう?」


「(この問題・・・!答えを俺は知っている!間に合え!!)」


籠の中に入った戦闘員一号を尻目に次の問題を出題するオンパァー。

その出された問題が自分が答える事が出来るものだと思った俺は、急いでボタンを押そうと手を伸ばし―――


ピンポーン!


「はい!シャーク・ザ・ファットさん」


「くっ・・・!?」


―――たのだが、それよりも先にシャーク・ザ・ファットがボタンを押してしまった。


「フッ・・・!コノ問題ノ答エハ簡単ダ・・・!答エハ、ダkjヒmcdjh・・・!」


「ん・・・?」


俺は自信満々なシャーク・ザ・ファットの様子を目にして、また椅子が上がってしまうのかと思わず歯噛みしていたのだが、いざかの青いロボットが答えを口にしようとしたその瞬間、何故かその言葉は突如として意味不明なものへと変わった。

いったいどうしたんだと思ってそちらへ視線を向けてみるば、そこには体の関節から黒い煙を上げ始めたシャーク・ザ・ファットの姿があった。


「な、なんだ?何が起こったんだ」


「―――ちっ・・・!動作不良ですか!・・・・・・まあ、作られてからもう十年以上は経っていますからね。精密部品とかはもう錆びついてガタが来始めていましたし、ある意味当然と言えば当然ですが・・・・・・」


黒煙を上げるかのロボットの姿を目にして思わず困惑してしまった俺であったが、それとは反対に司会席にいたオンパァーが冷静に、まるで苦虫でも潰したかの様な声音で吐き捨てた。


「・・・しかし、もうまともに動かない不良品となってしまったのであれば仕方がありません。処分すると致しましょう。―――ポチッとな」


そう言いながら懐からリモコンの様な物を取り出したオンパァーは、そのリモコンに付いていた赤いボタンをポチッと押した。


シュゴゴゴゴゴゴッ・・・!!ゴォォオオオオオーーーッ!!!


その瞬間、シャーク・ザ・ファットの座っていた椅子の下から大量の煙が出始め、続いて炎が点火。

そして次の数秒後にはまるでロケットの様に勢いよく炎を噴射しながら―――空を飛んだ。

・・・・・・空を飛んだ!?


「fデャダvxrgfkぁdサオpmkl;!?」


バチバチバチッッ・・・!チュドォォォオオオンッ!!!


シャーク・ザ・ファットを乗せたまま空を飛ぶ椅子。

その最中、かのロボットが座っている椅子の至る所から幾つもの静電気が放たれ始めたその次の瞬間―――大きな音を立てて爆発した。

・・・・・・爆発したぁ!?


「ちょっ、なんで爆発・・・!?え、何?この椅子、飛んだら爆発すんの!?何で!?」


「仕様です。出題された問題にふざけた回答をした者に行う、謂わばお仕置きの様なものですね」


「お仕置きで爆破されんの!?というか、あのロボットはアンタの仲間だったんじゃないのか!?」


「いいえ、違います。彼はこの舞台の為に私が用意したキャスト。舞台を滞りなく進行させ、盛り上げる事がアレに課せられた役目です。・・・ですが、それが壊れ、満足に役目を果たせなくなったのであれば、それはゴミです。もう必要ありません。ゴミはキチンと片づけなければ邪魔にしかなりません。―――そうでしょう?」


そう話すオンパァーの声音は、まるでニチャリとした粘着質的な感じを覚え、またシルクハットの下から覗かせるそのツインアイは、ドロドロと何かを煮詰めた様な感じに濁っている様に俺には見えた。


「―――はい。それじゃあ、シャーク・ザ・ファットさんが途中脱落となってしまったので、誰か他の方、今出題されている問題に答えてくださいね」


ピンポーン!


「はい!ボロットラビットさん!」


思わずドン引きし、何も言えなくなってしまった俺を他所に、オンパァーが誰か問題に答えてくれないかと言い始める。

そして、それに応える様にボタンを押したのは、俺から見て一番左端の椅子に座っている紫色の色合いを主軸にどことなくカラフルな色合いの布が縫い合わされたウサギの着ぐるみを着た人物―――ボロットラビットであった。

かの着ぐるみはボタンを押した後、ゆっくりと腕を組んで、


「・・・・・・・・・」


「・・・あの、ボロットラビットさん?」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・その、ですね。黙ってないで答えを言って欲しいのですが・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・いや、何か言ってくださいよ!?」


それからずっと何も言わずに、ただただジーッとオンパァーの事を見つめていた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ムック」


「答えを言えと言っているでしょうが!?もういい!お前も爆発しろやコラァッ!?」


何時まで経っても何も言わないボロットラビットに次第に痺れを切らしたのだろう。オンパァーは怒声を上げながら再びリモコンを取り出すと、そのボタンをポチッと押した。


シュゴゴゴゴゴゴッ・・・!!ゴォォオオオオオーーーッ!!!


その次の瞬間には、ボロットラビットの座っている椅子の真下からシャーク・ザ・ファットの時と同じように大量の煙と炎が噴出し―――空を飛んだ


「・・・・・・!」


「―――え?」


ある程度の距離を飛び、バチバチと椅子が静電気を放出し始めて今にも爆発しそうになったその時、何故かボロットラビットは俺の方へと視線を向けた。

そして組んでいた腕を解くと、右腕を持ち上げてビシッと敬礼をした。

それを見た俺は思わず驚いた。呆然とすらした。

だってそれは、〝左胸を右腕で二回叩いた後に斜め上に腕を伸ばす〝という敬礼の仕方は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であったからだ。


―――チュドォォォオオオンッ!!!


何故その敬礼の仕方を知っているのか?と、そう俺はボロットラビットに向けて口を開こうとしたがしかし、それを声として出す前にボロットラビットが座っていた椅子が爆発。かの着ぐるみの姿も爆炎の中に消えてしまった。

その光景を目にした俺は無意識のうちに伸ばしかけていた腕を戻す。

話を聞けなかった事は非常に残念に思うし、後ろ髪が引かれる思いではあったが、しかし現状ではそれを気にしている余裕はなかった。

それ以上に気になることがあったからだ。


「ヒャハハハハハハハッ!!まったく、壊れて使い物にならなくなったオンボロめがっ!場の雰囲気を盛り下げる様な事をするんじゃねぇよっ!!」


先程椅子ごと爆発したボロットラビットに向けてビシッと指を差すオンパァー。興奮しているせいだろうか、その口調は先程までと違って荒く、その笑い方はまるで悪役のそれだ。

身に着けている紳士服を着崩し、頭に被っていたシルクハットを手に持って振りまわしている様を見れば余計にそう思う。

うん。めっちゃ悪い顔してるな、コイツ。ロボットフェイスだから表情が変わることはないんだけど、何となく分かる。・・・なにあれ怖い。めっさ怖い。

ハッキリ言ってドン引きする程に狂気的な変貌振りだと、見ていた俺は思った。


「ちなみに、先程の問題の答えは”日本”だ!オムライス発祥の店は実はたくさんあるが、その生み出された理由の一つが、胃腸が弱いのにオムレツが好きなお客がオムレツとご飯を別々に頼むのを見て、可哀想だと思った店主が一つの更にして出したのが始まりだと言われているぜぇ!!」


続けてオンパァーは「ヒィーハァー!!」と声を上げながら俺達に向けて指を差して、見下し、馬鹿にするような視線も向けて来た。

しかし舞台の司会者としての矜持なのか、先程の問題の答えについては口調が荒いままに懇切丁寧に解説してはいたが。


「―――失礼。興奮のあまり、少々口調が荒々しくなってしまいました。皆様にはお見苦しい所をお見せして申しわけありませんでした。」


その後オンパァーは取り繕う様にそう言うとキュッと身だしなみを整え、シルクハットを被り直した。

・・・というか、あの豹変ぶりが少々?流石にそれは無理があると思うんだが。


「えー・・・それでは気を取り直して、次の問題に行きたいと思います。・・・皆様、よろしいですね?―――それでは、問題!」


そんな俺の引き気味な内心を他所に、オンパァーは俺達の事を見回すと次の問題を出題するのであった。








閑話:その頃のメドラディは・・・


ザザザッ・・・ザザッ・・・・・・!


「こちらドッグワン。ドッグツーと共に合流地点に到着した。ドッグテン、イレブン。そちらは今どこにいいる?」


「こちらドッグテン。イレブンも一緒に今到着したぜ。・・・それで、話に出ていた連絡通路ってのは何処にあるんだ?」


「ああ。あそこだ。あそこを通れば第二病棟に行ける」


「了解した。それじゃあ、さっそく行こう、か・・・!?」


ズドドドドドッ・・・・・・!!


「ウゴゴゴゴゴッ・・・!」


「チィッ・・・!?もうここまで追って来たのか!」


「全員走れ!急いで第二病棟へ向かうぞ!!」


「了解!おら、食らいやがれ!最後のスタングレネードだ!」


ヒュッ・・・!カッ!!


「ウゴゴッ・・・!?」


「よし、今だ!行くぞ!」


ダダダダダダッ・・・!!


「ルートクリア!トラップもない!走れ走れ走れ!!」


「階段、ルートクリア!」


「一階フロア、ルート・・・ッ!エネミー発見!数、一!フロア中央!」


「チィッ・・・!やっぱり待ち伏せしてやがったか!ドッグワン、ドッグツー。二人共、先に行け!」


「ドッグテン、何を・・・!?」


「此処で足止め食らって全滅するわけにはいかねえだろうが。俺達の任務は、報告に戻るまでが任務だろう?」


「ふざけるな!私に、まだ生きている部下を見捨てて行けと言うのか!?」


「・・・ドッグワン」


「ドッグツー・・・!お前からも・・・!」


「・・・ドッグテン。やれるんですね?」


「ドッグツー!?」


「ああ、問題ねぇ。俺に任せとけ。アンタはドッグワンを連れて先に脱出してくれや」


「何を・・・何を言っている、お前達・・・!」


「ドッグワン。我々が受けた任務は対象の捕獲。それが出来なければ抹殺する事です。・・・しかし、現状でそれは不可能となりました。他ならぬその対象によって。・・・であれば、我々が次に取るべき行動は、この事を上層部に伝える事。その為には何としても我々は此処から脱出する必要があります。―――誰か一人だけでも」


「だが・・・だが・・・!!」


「ドッグワン。今ここで我々が全滅すれば、これまでの部下達の犠牲が全て犬死となります。そうしない為にも、今は・・・!」


「安心しろよ、ドッグワン。俺がするのは飽く迄時間稼ぎだ。最後まで戦うわけじゃねぇ。お前等が先に逃げた後に、俺も後から逃げるからよ」


「くっ・・・!しかし・・・!!」


「ドッグワン!」


「・・・ッ!・・・・・・分かった。武運を祈る、ドッグテン。―――絶対に生きて戻ってこいよ」


「・・・了解した。そっちも無事に逃げ切ってくれよ?」


ダダダダダダダッ・・・・・・!


「・・・さてと、それじゃあ足止め役を頑張るとしますか。年長者は辛ぇなぁ・・・!」


「―――なぁにが年長者だよ。二十五の俺と一歳しか違わないくせに」


「うおっ!?ドッグイレブン!?何でお前、まだここに居るんだ!?一緒に行ったんじゃなかったのかよ!?」


「はあ・・・行くわけないだろうが。中央フロアのアイツに、今も上階から降りてこようとしている追手。そいつ等を相手に一人で足止め?無理無理。アンタ一人だけじゃ一分も時間を稼げやしないって」


「あんだぁ?喧嘩売ってんのか?あぁ?」


「ああ、そうだよ。喧嘩売ってんだよ。いい加減、あの時の勝負の決着をつけたかったしな!」


「あん?勝負って、もしかしてあれか?結局ドッグワンに有耶無耶にされたあの?・・・まだ根に持っていやがったのかよ・・・・・・」


「当たり前だ!あんな終わり方で納得して堪るか!」


「たくっ・・・しつこい男は嫌われるぜ?・・・っで?勝負方法は何にするんだよ?」


「はっ・・・!決まっているだろう!どっちが早くコイツ等を倒せるかだ!」


「乗った!行くぜ、ドッグイレブン!」


「速攻でやられてくれるなよ、ドッグテン!ウオオオォォォーーーッ!!」


ジャキッ!ズガガッ!ズガガガガガガガガガッ!!!


ザザッ・・・ザザザザザッ・・・・・・!―――ブツッ!





今回のストック分は此処まで。現在続きを執筆中です。

次回投稿はまだ未定です。ある程度ストックが出来たら投稿再会します。

多分早くて来月始めくらいになると思います。

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