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ミッション75 流れ着いちゃった・・・!?


ザッバアァァァンッ・・・!!ザパアァンッ・・・!!


「ゲホッ・・・!ゴホゴホッ・・・!み、皆、大丈夫か・・・?」


「ゲホッゴホッ・・・!な、なんとか大丈夫です、姐さん・・・・・・」


「イッイィ・・・!・・・・・・イ~、イイ~・・・」(ゴッホッ・・・!・・・・・・あ~、ヤバかった~・・・)


「ピポポ・・・!」(し、死ぬかと思った・・・!)


横穴の探索中に発動したトラップの対応をしている最中、突然流れて来た大量の水に押し流された俺達は、何処かの湖と思われる場所にいた。

いや、正確には地底湖と言うべきだろうか。最早横穴ではなく洞窟と言うべき規模の中にあるのでそう言うのが適切だろう。その岸辺に当たる場所にて、俺達はゲホゲホと咳き込んだ後に、スゥハァと深呼吸をしていた。

うん、本当にヤバかった・・・!溺れ死ぬかと思ったよ、マジで・・・!!


「ふぅ・・・しっかし、俺達はいったい何処に流されたんだ?」


「イイッ・・・イッ、イイイッ。イーイーイイー」(さあな・・・だが、地上近くではないのは間違いないだろう。俺に搭載されている深度メーターがまだ地下深くにいる事を示しているからな)


「え、お前達にそんな機能があったの!?知らなかった・・・」


「イッ、イイッ。イー、イーイー。・・・イッ、イイッイー」(まあ、俺達に搭載されているマップ機能の副産物の一つですからね。普段使う事はないし、知らなくても無理ないですって。・・・ちなみに、ディーアルナ様達のブレスレットにも同様の機能は付いてますよ)


「マジで?・・・うわ、本当だ」


戦闘員一号に言われて自分の腕に嵌めている変身ブレスレットを操作し、ホログラムモニターを出して確認してみれば、確かに彼の言う通りの機能が付いていた。ついでに言えば、他にも高度メーターや速度メーター、その他諸々の機能も付いているらしい。

・・・というか、いったいどんだけ機能を盛り込んでるんだこれ?


「・・・ピポッ、ピポポ?」(・・・えっと、何アレ?)


「・・・ん?どうした、なにか見つけたのか?」


そうやってピッピッ・・・!と変身ブレスレットから投映されたホログラムモニターを弄っていると、不意に戦闘員一号が声を上げた。

どうやら何かを発見したらしい。俺は自身の視線を彼が見ている方向へと向けた。


「・・・・・・・・・うん。何だアレ」


それを見た俺は心の底からそうとしか言えなかった。

何故ならば、まるでテレビとかで放送されるクイズ番組にでも出て来る様な舞台セットがそこにあったからだ。

・・・いや、本当に何でこんな所にこんな物が?


「ピポ・・・ピポポポ」(うわぁ・・・凄いな。まんまテレビで見た事ある様な舞台セットだよ、これ)


「イー・・・イーイーイー・・・イイッ、イーイイー」(ふむ・・・手すりに何かのボタンが付いた椅子が一、二、三・・・全部で八席あって、加えてその下には滑り台の様な物があるな)


「ピポポポポッ・・・・・・ピッポポ」(それだけじゃなく、椅子を滑り台ごと角度をつけながら持ち上げる機能も付いているみたいだけど・・・・・・なんかもうこれ、完全にクイズ番組の舞台セットそのままにしか見えないな)


何故か地底湖に存在していたその舞台セットの上に上がり、見て回っていく俺達。

その時、アルミィが何かを見つけ様な声を上げた。


「あっ、あそこを見てください、姐さん!あんな所に扉が!」


舞台セットの奥を指差すアルミィ。

彼女が指差したそこには両開きの大きな扉があった。


「イイイッ・・・・・・イイッ?イィイッ・・・イッ?イッ!イィッ!?」(どうやらここが出入口らしいな・・・・・・開けるぞ?よいしょっ・・・ん?フンッ!フンヌッ!?)


「・・・?どうしたんだい、二号?早く開けなって」


「イィィィッ・・・!!―――イイッ、イーイー!」(ヌオオオオッ・・・!!―――駄目だこの扉、全く動かねぇ!)


「なんだって?よし、今度はアタシも一緒にやってやるよ!」


「ピポ!」(俺も手伝うぜ!)


戦闘員二号と共に両開きの大きな扉を開こうとする戦闘員一号とアルミィ。

「フングググッ・・・!?」と言った感じに力いっぱい扉を押したり引っ張ったり、縦や横にスライドさせようとする三人であったが、しかし扉は全く小揺るぎもしない。まるで(かんぬき)か何かでも掛けられているかの様だ。


「か、固ッ・・・!ものすっごく固いよこの扉ァッ・・・!?」


「ピポ・・・!?ピポポポポポ・・・!ピポパポ・・・!!」(嘘だろう・・・!?重機を持ち上げる事が出来るくらいの力がある筈の俺達でも、うんともすんとも動かす事が出来ないなんて・・・!どんだけガッチリ閉まってんだよ・・・!!)


それから十数分、扉を開けようと格闘していた三人であったが、しかし結局開けることは出来ず、三人ともその扉の前で両手両膝を着いて、ゼェゼェ・・・!?と荒い呼吸を繰り返していた。

・・・いや、戦闘員一号だけは脚部がキャタピラとなっているので俯いた体勢ではあったが。


「大丈夫か?ほら水だ。とりあえずこれを飲んで、一息入れながらこの扉を開ける方法を考えよう」


「あ、ありがとうございます、姐さん・・・!ああ・・・!疲れた体に姐さんの愛情が染み渡る・・・!―――頂きます!ングッ・・・ングッ・・・ングッ・・・!」


「愛情って・・・いやまあ、心配はしたけどさ」


俺は疲れ果てた様子の三人に水が入ったペットボトルを渡していき、それを受け取った三人はゴクゴクと水を飲む。

まあ、アルミィはなんか頬を赤く染めながらうっとりとしていたのには、なんだかなぁと思ったけど。

それから、戦闘員一号の飲み方にはちょっと驚いた。なにせ、口に当たる部分には銃口の様な物が付いているのだ。

なのでどうやって飲むのかと思っていたら、鼻と口に当たる部分の間がパカッと前にスライドしてそこに水を注ぎ、そのままゴクゴクと水を飲む音が聞こえて来た。

・・・えっ、そうやって飲むの!?


パッパラァァン!!


「・・・ッ!?ブッフゥッ・・・!?」


「・・・!?な、何この音!?」


その時何処からともなく唐突に軽快な音が鳴り響いた。

いったい何処からと周囲を見回せば、舞台セットの中心部分の床がスライドしていく様子が目に入った。

そして、床が完全に開ききると、そこから何者かが競り上がる様にして姿を現した。


「ようこそ、当舞台にお越しくださいました、お客様方。ワタクシはこの舞台の司会を務めております、『オンパァー』と申します。以後、お見知りおきを」


そこにいたのは左手にラッパを、右手にタンバリンを持ち、シルクハットとタキシードを身に纏った紳士然としたロボットであった。








「ええい!あの侵入者共が何処に行ったのか、まだ特定できんのか!」


「もう少しお待ちを。今アイツ等が流されていった先を調べています。もう少ししたら・・・っ!見つけました!・・・って、ここは」


「本当か!?・・・で、侵入者共はいったい何処にいるんだ?」


「・・・えぇっと、それが・・・どうやらD―17区にある地底湖にいるみたいなんですが・・・・・・」


「そうか、そこに奴等は―――って、なに?D―17区の地底湖、だと?ちょっと待て、確かあそこには・・・・・・」


「はい。あそこには以前我々が作り、そして失敗作として放棄した例のロボットがいる場所です。・・・まあ正確には放棄と言う名の隔離なのですが・・・・・・」


「あ、その話はオイラも知ってる。担当部署が違ったから話を聞いただけだけれど、確か暴走を繰り返して制御不能になったから、なんだっけ?」


「うむ。あのロボットは我々が作ったが故にスペック上はかなり優秀だった。だが、何がどうなったのか分からんが論理面のシステムが妙な誤作動を起こしてな。稼働し始めは問題なかったのだが、一週間もすると何に影響を受けたのか、妙にテレビのクイズ番組とかでやっている様な事をし始め、しまいには我々にも多大な被害を与え始めた。そしてその三日後には当時の開発スタッフを全滅させたのだ」


「全滅って、まさか・・・!?」


「いや、死んではいない。死んではいないのだが、全員が簡単には拭い去れないトラウマを負ってな。しばらくの間はベッドの上から起き上がれなくなってしまったのだよ」


「ちなみに俺はその一人だぜ。・・・あれは本当に地獄だったぜ。今でもたまに夢に見て飛び起きちまう程にな・・・!」


「ガクガクブルブル・・・!ニュルニュルが・・・ニュルニュルがぁ・・・!?」


「な、なんで隠していた俺の秘蔵の品をお前が知って・・・!あ、やめて・・・!お願い言わないで・・・!公衆の面前で暴露しないでぇ・・・!」


「やめろ・・・!飛ばすな!飛ばさないでくださいぃぃ・・・!?花火は・・・・・・花火はイヤァァァーーーッ!?」


「うわぁ・・・めっちゃガクガク震えてるぅ・・・!?いったい何があったってんだ・・・!?」


「その答えは、あのモニターに映し出された映像を見れば、おのずと理解出来るだろうな、うん」








「いやぁ・・・ここにお客様が来るなんて、本当何時ぶりでしょうか。是非とも盛大に持て成させていただきたいですねぇ。唐突に私の舞台が打ち切りにされてしまったあの日から苦節数年。結構な時が流れましたが、腐らず諦めずに待ったかいがあったというもの。・・・そう。今日この時より、私の舞台は再び日の目を見る。ゲストととしてお迎えした貴女方と共に笑いと絶叫が響き渡るおもしろエンターテイメントを繰り広げ、そしてそれを目にするテレビの前のお茶の間の皆様を存分に楽しませていくのです!!ああ・・・見える、見えますよ・・・!テレビの前のお茶の間の皆様が我々の舞台を見て笑い転げ、両足をバタつかせる姿が・・・!」


俺達の前に現れた紳士然としたロボット―――オンパァーと名乗ったそいつは、左手に持つラッパをパッパー!と吹きながら右手に持つタンバリンをシャンシャンシャラシャラと振り鳴らす。

天を仰ぎながら独り言を呟くその様子は、陽気そうでありながら、しかしどこか感涙に打ち震えている様にも見えた。


「あ~・・・なにやら喜んでいる所悪いんだが、アンタは此処の管理ロボットか何かか?もしそうなら此処から出る方法を教えて欲しいんだ。特にあの扉を開ける方法とか教えてくれると助かるんだが・・・」


そのオンパァーに対し、俺は舞台セットの奥にある大きな両開きの両開きの開け方について問い掛けてみた。

普通の人間よりも遥かに力がある筈の悪の組織の怪人や戦闘員であるアルミィや一号二号でも開けられなかったのだ、であれば何かしらのギミックがある筈であり、それをこのロボットが知っているかもしれないと思ったからだ。


「―――なんですと?今あなた、何と言いましたか?此処を出ると、そう言いましたか?・・・・・・いけません。ええ、いけませんいけません。貴女方は十数年ぶりに私の舞台にお迎えする事が出来たゲストなのです。それを一度も共演させずに帰すなど、出来る筈がないでしょう。ええ、ええ、出来よう筈がありません・・・!」


だがしかし、その瞬間オンパァーの様子が激変した。

少しの間プルプルと体を震えさせると、バッ!ババッ!バババッ!と言った感じにポージングを取りながら首を傾げ、徐々に徐々にその声音を強いものへと変えていく。

というか、怖ッ・・・!?動きも相まって、まるで洋画ホラーとかで出て来そうなサイコパス的な奴みたいに見えるんだけど・・・!


「逃がしません。ええ、絶対に逃がしませんとも・・・!貴女方には絶対に私の舞台にゲストとして出演して頂きます!―――特別拘束用マジックアーム、カッモ~ン!」


パチン、と指を鳴らすロボット。その瞬間天井の岩壁の所々がパカッと開き、そこから巨大なマジックアームが伸びて来て、俺の体をガッシリと掴んだ。


「ちょっ、何これ!?」


捕まった俺の体は宙に持ち上げられた。一応両足をバタつかせたりして抵抗しても見たのだが、しかし巨大なマジックアームはビクともしない。

・・・いや、マジで全然ビクともしないんですけど。腕に力を入れてアーム部分を押し広げようとしてもいるんだけど、全くピクリともしないんですけど!?ホント何なのこれぇ!?


「あ、姐さーん!このぉっ!姐さんを放しやが・・・あっ!?」


そんな俺を助けようと空中に跳び上がったアルミィであったが、しかしその瞬間を狙われていたのだろう。横合いから高速で接近してきた別の巨大マジックアームに掬い上げられる様に捕獲された。

ああ・・・!?マジックアームに拘束されながら、まるで陸に上がってピチピチ跳ねる魚みたいな動きをしている・・・!?


「イッ・・・!?イイイッ!イイッ、イー・・・!イッ・・・イッ、イイィィーーーッ!?」(ちっ・・・!?こうなったら迎撃するしかないな!待っていろよ、二人共・・・!今助けに・・・って、何時の間にぃぬおおぉぉぉーーーッ!?」


「ピッ!ピピピッ!?ピポ・・・ピ、ピピ!?ピポポポポポッ!?」(二号ォッ!クソッ、まさか二号まで捕まるなんて!?どうすれば・・・って、あれぇ!?俺も気付いたら捕まってたアアァァァーーーッ!?)


俺達が捕まる姿を目にした戦闘員二号が、俺達の事を助けようとブレスレットの電子ストレージからマシンガンを取り出して両手に装備した。・・・のだがその瞬間、気付けば彼の両手首と両足首は四つの小型マジックアームに捕まっており、そのまま勢いよく持ち上げられ、ビヨンビヨンとまるでバンジージャンプとかで見る様な動きで振り回されていた。

加えて、戦闘員一号もそんな二号の姿を目にしてどうすればと迷っている内に地面から生える様に現れたマジックアームに脚部のキャタピラを拘束され、そのまま引き摺られるように何処ぞへ引っ張られていった。


「さあさあ、それではこれより長きに渡って中断されていたこの舞台を、新たなゲストをお招きして再開するとしましょうか!」


頭に被ったシルクハットのつばを左の親指と人差し指で摘まみながらクルリと一回りし、、ビシッと右腕とその人差し指を真っ直ぐ伸ばすポーズを決めるオンパァー。

そのカメラアイの奥には、狂気が混じった欲に濡れた炎が垣間見えていた。








閑話:その頃のメドラディは・・・


ザッ・・・ザザッ・・・ザッザッ・・・!


「ハァ・・・ハァ・・・ドッグワンよりドッグツー、スリー、フォーへ・・・・・・全員無事か?」


「フゥ・・・こちらドッグツー。腕に怪我を負っていますが掠り傷です。問題ありません」


「・・・ハァ・・・ハァ・・・こちらドッグスリー。な、なんとか・・・!というか、何なんだよアレ!?あの緑色の半透明の奴は何!?何なの!?」


「ハァ~・・・こちらドッグフォー。あの見た目と質感・・・まるでゲームとかにモンスターとして出て来るスライムの様だったな。・・・ああ、あと俺も大丈夫です」


「確かに・・・しかもあれは対象であるお嬢様の指示を聞いている様に見えたな」


「だが、彼女はお金持ちのお嬢様という点以外ただの一般人の筈だろう?そんな彼女があんな化け物を従えることなんて出来るのか?」


「分からん。分からんがしかし、可能性は無くはない。・・・おそらくだが、協会と敵対している勢力が助力しているのではないだろうか?」


「敵対している勢力って・・・まさか悪の組織とか秘密結社とかか?」


「だとしても、ただのお金持ちのお嬢様がいったい何時、何処でそいつ等と知り合ったってんだよ?」


「上層部からの情報では、対象は過去に悪の組織に所属し、『怪人更生法』によって現在は更生している怪人達が開いた店を転々としながら働いていたらしい。おそらくだが、そこで何らかの伝手を得た可能性がある」


「つまりは、元悪の組織に所属していた怪人達の横の繋がりによって、ってことかよ?ちっ・・・!これだからあの穴だらけの法律は・・・!」


「落ち着けドッグフォー。お前が『怪人更生法』の事を気に入っていない事は知っているが、今この場ではそれを考えるな」


「そうだぜ、ドッグフォー。ドッグワンの言う通りだ。今はこの廃病院から脱出する事を考えようぜ」


「クッ・・・・・・!?」


ザザッ・・・ザザザッ・・・ザザッ・・・!


『こちらドッグテンからドッグワンへ。よう、無事かい?』


「こちらドッグワン。なんとかな。だが、未だに予断を許さない状況だ。そちらはどうだ?退路の確保は出来たか?」


『あ~・・・それについてなんだが、良いニュースと悪いニュースがある。・・・どちらを先に聞きたい?』


「む?・・・では良い知らせの方から頼む」


『了解。まずドッグワンから指示が下された後、俺とドッグイレブンは合流して現在廃病院の入口にて待機中。少なくとも三階からここまでの安全は確保しているぜ』


「そうか。それで、悪いニュースの方はなんだ?」


『それなんだが・・・すまん、退路の確保に失敗した』


「なに・・・?どういうことだ?」


『俺とイレブンが廃病院の入口に着いた後、少しして緑色に半透明の粘性体―――言ってしまえばスライムの様な何かが三体現れて入口前を包囲しちまった』


「嘘だろ・・・!そっちにも出たのかよ!?クソッ・・・!?


『こちらドッグイレブン。そっちにもと言うことは、まさか・・・?』


「ああ・・・私達の方にも現れた。数は一体だけだったが、大きさはかなりのモノでな。通路を埋め尽くさんばかりの大きさだった。そちらの報告を聞く限りでは、おそらくそいつが親玉なのだろうな」


『マジかよ・・・!?』


「ドッグワンからドッグテン、イレブンへ。入口を包囲しているその複数の障害を排除する事は可能か?」


『こちらドッグテン。難しいな・・・一応、何度かアイツ等に銃弾を撃ち込んだり、手榴弾を投げて爆破してみたりもしたんだが、まるで効果が無い。あの半透明な体を抉ってもバラバラにしてもすぐに元通りになりやがる』


「では、体を再生している最中に突破する事は出来るか?」


『こちらドッグイレブン。悪いがそれも難しい。あのスライムみたいな化け物共は再生能力も厄介だが、体がバラバラになった後の方がそれ以上に厄介だ』


「・・・?それは、どういうことだ?」


「・・・・・・あ!まさか・・・飛び散った体の欠片がそれぞれ自立行動を取っている、みたいな感じだったりするのか?」


『正解だ、ドッグスリー。その通り。バラバラになったアイツ等の体欠片は、飛び散った後でそれぞれ勝手に動き始めてな。危うく取り囲まれそうになった。全身に集られた時にはもうダメかと思ったぜ・・・!』


『まあ動きを見るに、どうやら飛び散った体を元に戻すことを優先にしている様だったから、その時は振り払う事で何とかする事が出来たが・・・ハッキリ言うが、ありゃ全員突破するのは無理だ。おそらく何人かが途中でとっ捕まっちまうだろうな』


「そうか・・・なら、ドッグファイブ達が侵入する時に使った裏口から脱出するとしよう。ドッグスリーとフォーは先行してそこへ向かい、脱出路を確保しろ。ドッグテンとイレブンは我々が一階に下りるまでそのまま現状を維持。建物内にそのスライム共を入れるな」


『了解!』


「・・・・・・それで、ドッグワン。私達はどうする?」


「決まっているだろう。我々がすべきことは対象の足止めだ。簡易的でも良いからトラップを仕掛けつつ一階に向かうぞ」


「了解。・・・・・・やれやれ、今日は本当に厄日ですねぇ―――っと・・・!」


カシャンッ・・・!


「どうした、ドッグツー?」


「いえ、何でもありません、ドッグワン。先程の対象の襲撃によって壊れかけになってしまった通信機が引っ掛けていた耳から落ちてしまっただけです。正直もう使い物にならなくなっていたのでこのまま捨てて行きます」


「そうか。わかった。・・・だが通信が出来ないと連携が取り辛い。予備の通信機を耳に着けておけ。―――行くぞ・・・!」


「了解!」


ダダダダダッ・・・!ダダダダダダダダダダッ・・・!


・・・・・・・・・ザッ・・・ザザザッ・・・!


『クス・・・クスクスクス・・・!あらあら、本当に往生際の悪い人達ねぇ?いい加減、諦めた方が苦しまずに済むと言うのに・・・・・・いいわぁ、そちらがその気なら私も最後まで付き合ってあげる。そして、その後は・・・クスクス・・・クスクスクス・・・!』


ザザザッ・・・ザザザザザザッ・・・ザーザーッ・・・・・・!―――ブツッ・・・!






次回は4/15に投稿予定です。

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