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ミッション73 仲間内で相談しちゃった・・・!



「ふっ・・・侵入者共め、さっそく我々の用意したトラップに引っ掛かったようだな!」


とある薄暗い部屋。その一番高い場所である人物が、笑みを浮かべながらフカフカな椅子に座ってふんぞり返っていた。

かの人物の姿を敢えて一言で言うのであれば、それは全体的にまん丸と言いたくなる程に丸い二頭身のモグラであった。

頭に緑色のベレー帽を被り、目元には黒いサングラスを掛けたそのモグラは、短い手足の先から伸びている黒みを帯びた長い爪をシャッシャッ・・・!と爪やすりで研ぎながら、目の前にある複数のモニターに視線を向けていた。

その中でも一際大きい中央モニターには戦闘員一号の全身に包帯を巻いているディーアルナ達の姿が映し出されていた。


「だが、我等の用意したトラップはアレだけではない・・・!―――お前達!次のトラップの発動準備を急げ!あの愚かな侵入者共をケチョンケチョンのギッタギタに泣かせてやるのだ!!」


『アイアイサー!隊長!』


バッ!と妙に短い腕を伸ばし、ピッとモニターに向けて長く黒い爪を伸ばすベレー帽を被ったモグラ。それに対して隊長と呼びながら返事をしたのは、似た様なまん丸な体型にサングラスを掛けたモグラ達であった。

部下と思われる彼等はベレー帽を被ったモグラがいる場所よりも下の位置で短い手足を頑張って伸ばしてビシッと敬礼をしていた。

その後で彼等はクルリと振り返ると、すぐ傍にあった椅子に座り、目の間にある様々な機器を操作し始めた。


「・・・いやぁ、それにしてもあのトラップ、上手く作動して良かったよなぁ」


「だなぁ。なんせ設置してから十年近くは経っているからなぁ」


カタカタやピポパポと機器を操作していた部下のモグラ達だったが、その一部では仲間内でヒソヒソと内緒話をし始めた。

話の内容は、先程戦闘員一号が引っ掛かったトラップに関してであった。


「一応定期的にメンテナンスはしていたけど、此処が拡張される度に間隔が空いちまっていたからなぁ。・・・最後にやったのって何時だったっけ?」


「確か一年くらい前だった筈じゃなかったか?」


「ああ、そうだったそうだった。確かそん時は動作確認だけ行って、部品交換とかはしなかったんだっけ?」


「そうそう。正直に言えば設置してから随分経っているし、一部のトラップは本当に何時壊れてもおかしくないくらいにガタが来ていたからそろそろ交換したいと思っていたんだが・・・」


「交換する為に必要な部品・・・というか、それを作る為の材料が無くて渋々諦めたんだったよな?」


「ああ、そうだ。特にあのモニターに映っていた巨大蜘蛛型ロボに使われている部品は色々な材料を使うからな。その部品を作る事にリソースを割くくらいなら他の事に回した方が良いと、製造されてから一度も部品交換出来ちゃいないし」


「そのせいか、見ていて分かるくらいにめっちゃ動きが遅かったしなぁ。ギギギッ・・・!と音も立てていたし。・・・アレ、本当だったら蜘蛛の巣型捕獲用トラップに引っ掛かった対象に向かって秒単位でスパッと動いてスパッと捕まえるんだろう?」


「ああ、キチンと整備されて万全の状態であればな。だけどアレの駆動部分の部品はほぼ錆びついていたからな。下手に早く動かそうとすれば自壊してもおかしくなかった。あれじゃあ、ハッキリ言って木偶の坊も同然だし、むしろあの露出度高い恰好をした女二人の攻撃を受けて、それを弾き返した事は奇跡と言ってもいいくらいだ」


「そうか・・・拠点防衛用のガードロボとしてはかなり優秀で、大量生産も容易な奴ではあったけど、ああなっちまうとなんだか悲しく思えてきちまうな・・・」


「ああ、そうだな・・・」


悲しそうに顔を俯かせ、サングラスに隠された目元を拭う部下モグラその一。

もう一人の部下モグラその二もその気持ちに共感する様に腕を組んでウンウンと頷いて、


「はい、そこぉ!今は作戦実行中だぞ!私語は慎めぇ!」


「「あ、アイアイサー!?」」


ベレー帽を被った隊長モグラの叱責が飛んできたので、大慌てで様々な機器の操作に集中するのであった。








「・・・さてと、それじゃあ今後の行動について皆に相談したいんだが・・・どうすればいいと思う?」


トラップに引っ掛かりまくり、最終的に黒焦げ状態となった戦闘員一号の治療を終えた俺達は、互いに向き合いながらこれからどうするかと頭を悩ませていた。

なにせ調査の為に入った横穴が実は人工的に作られた場所であり、しかも様々なトラップが仕掛けられていると判明したのだ。これ以上先に進むのであれば無策はマズイと思うのは当然だし、だからこそ一度仲間内で相談しようと思ったのだが、それに対して真っ先に応えたのは戦闘員二号であった。


「イッ・・・イイーイー。イーイーイー、イーイイ」(ふむ・・・現状での問題はこの場所に仕掛けられているトラップだろうな。先程作動した幾つかは幸いにも殺傷力のないタイプではあったが、しかしこれから先もそうだとは限らん)


「イッ、イイ?イーイイー?イーイー、イイイーイー?」(いやあの、二号?俺が引っ掛かったあのトラップって実は結構ヤバかったぞ?ボクシンググローブが飛んで来るのや、あの床が跳ね上がるのだって普通の人間だったら大怪我間違いなしなやつだからな?)


「イッ、イイーイーイー。イーイー、イイイー」(故に、この後も進むのであれば仕掛けられたトラップを解除していく必要があるだろうな。トラップの解除に関しては俺の方で可能だが、問題はどうやって仕掛けられたトラップを発見するかだ)


「イイィ?イーイー、イー」(ねぇ聞いてる?本当にヤバかったんだぞ、あれ)


「イイッ、イイイッ。イーイイー、イー。イッ、イイッ、イーイー」(此処に仕掛けられているトラップは、正直見慣れている筈の俺ですら気付けない程巧妙に隠されていて発見が難しい。一応ウチの組織にはトラップ探知機なんて物もあるにはあるが、生憎と今はそれを持って来ていない。あるとすれば各種銃火器と、幾つかの装備くらいなものだ。正直、こんなのじゃトラップを解除するのは厳しいな)


「イッ!イイイッ!?」(聞けよ!無視すんじゃねぇよこんちくしょう!?)


スラスラと現状の考察と、今後はどう行動するべきかを答えていく戦闘員二号。その姿は何と言うか、まるで幾つもの修羅場を潜って来た歴戦の兵士の様に俺には見えた。

そして、そんな二号に対して「無視すんな!?」とガーッ!と騒ぐ戦闘員一号。全身に包帯を巻かれた彼はブンブンと両手を振り回し、二号に向かって俺の話を聞けと言わんばかりにアピールしようとした。


「イッ。イー」(うるせぇ。少し黙ってろ)


ジャキッ、バキュンッ!


「イィッ!?」(アウチッ!?)


まあ、そのすぐ後に戦闘員二号の手に持つハンドガンから放たれた鉛玉を額に打ち込まれて物理的に黙らされたが。

というかマジで容赦ないな!?今躊躇なく弾を打ち込みやがったぞコイツ・・・!?そして一号は滅茶苦茶痛そうだ。額を押さえながら右に左にゴロゴロしてるし。

流石に体の殆どがサイボーグ化しているとは言っても、銃弾を食らうのはキツイらしい。それでも「痛い」で済ませられるのは凄いのだが。


「イッ・・・イーイー、イー。イイイーイー」(まったく・・・騒ぐくらいなら一つくらい解決策を考えろよ、一号。そんなんだから動物関連以外はバカだって言われるんだよ)


「イイッ!?イーイイッ!?イイッ!イーイー!」(なにおう!?バカとは何だバカとは!?俺はバカじゃねぇ!動物関連以外はアホなんだ!)


「イッ、イイッ・・・!?」(コイツ、開き直りやがった・・・!?)


ふう・・・とハンドガンの銃口から立ち昇る煙を吹き消しながら呟く戦闘員二号。

その呟きが聞こえたのか、額に大きなタンコブをつくった戦闘員一号は、体を起こしながら「俺はバカじゃねぇ!!」と声を上げた。


「イッ、イイイッ!イーイーイー!」(というか、バカに動物関連のあれやこれやが出来るわけがないだろう!特に動画撮影と言う名のレーダーやカメラなんかを使った観測なんてな!!)


「イッ、イイッ・・・・・・イッ、イイイッ?イイー?」(いや、誰もそんな事は聞いてな・・・・・・ちょっと待て、レーダーって何だレーダーって?お前、そんなの持っていたのか?)


その最中、戦闘員二号が一号の口にしたレーダーと言う言葉が気になったのか、どういうことだ?と言いたげに声を掛けた。


「イッ?イイッ?イイーイー!イッイッイッ・・・!イイー・・・!」(おっ?なんだ、気になるのか?そんなに気になるってんなら教えてやろうじゃねぇか!ふっふっふっ・・・!コイツはなぁ・・・!)


「イーイーイー、イー」(いいからもったいぶらずにさっさと言え、このバカ)


ジャキッ、バキュンッ!


「イィッ!?イイッイー!?イー!?」(グハァッ!?ツッコミに弾ァ使うんじゃねぇよ!?痛ェだろうが!?)


含み笑いをしながらゆっくりとブレスレットに触れようとする戦闘員一号に対して、二号が「さっさと言えや」と言いたげにその額へ再び銃弾を撃ち込んだ。

いや本当に容赦ないな、二号・・・!?


「イッ、イイー、イー。イッ、イー」(たくっ、情緒とか詫び寂びってものをもっと尊重しろよな、二号。ほらよ、コイツがそのレーダーだ)


二つになったタンコブを擦りつつブレスレットの電子ストレージから取り出した戦闘員一号は、それを俺達の目の前にドンと置いた。


「・・・えっと、これがレーダー、なのか?なんだか俺には機械の腕にしか見えないんだけど・・・・・・?」


俺は目の前に置かれたそれを見て思わずそう言葉を零した。

そう。それはまさしく機械の腕と呼ぶべき代物であった。

全体的に赤くコーティングされたそれは、傍から見ても分かるくらいにメカメカしいデザインであり、とてもレーダー機器だとは思えない物であった。


「イーイイー。イイー・・・!」(それは起動してないからですよ。こうして電源を入れてやれば・・・!)


ガションッ、ガションガションッ・・・!


「わっ・・・!?変形した・・・!?」


「これのどこがレーダーなんだ?」と俺が首を傾げていると、戦闘員一号が「ちっちっちっ・・・!」と人差し指を立てて左右に振り、その後で機械の腕の手の甲部分に付いていたボタンをポチッと押すと、なんと驚くべき事に機械の腕が変形を始めたのだ。

肩辺りに付いていたアーマー部分が音を立ててスライドすると、前側の部分が外れて真っ直ぐ上に伸び、片面に水色の光を薄く放ちながらクルクルと回転をし出した。これはどうやらレーダーの発信と受信をするアンテナの役割を果たしているらしい。

続いて二の腕辺りに付いていた幾つかのパーツが分離すると、まるで某機動戦士なロボットのアニメに出て来る浮遊兵器の様に周囲に浮遊し始めた。よく見れば、その浮遊しているパーツの四隅には小さなカメラレンズが付いており、どうやらこれはドローンの様に操作して映像を記録する物の様だ。

そして最後が手首から肘までの部分だが、その上半分がクルリと回転するとキーパッドが表に現れ、その上にブォンとホログラムモニターが出現した。


「イッ!イイッイー!イーイーイイー!」(どうですか!これが俺が持っている動物観測用レーダーです!コイツはどんなに巧妙に隠れた動物も瞬時に捕捉可能な優れ物でしてねぇ!)


「そ、そうなんだ。・・・でも、何で腕の形をしているんだ?」


「イーイー・・・!」(それはですねぇ・・・!)


「イッ!イイッ!イーイー、イー!」(ああそうか・・・!『アームズ』か!そう言えばそいつがあったな、俺達には!)


「うわっ!?びっくりした・・・!?」


どうして腕の形をしているのかを戦闘員一号に聞こうとしたその時、突然二号が「そう言えば!」と言いたげに声を上げた。


「イーイーイイー・・・!―――イッ、イイッ。イーイー」(これなら仕掛けられたトラップも何とかなるかもしれん・・・!―――よし一号、ちょっとこっちに来い。アレをやるぞ、アレを)


「イッ?イイーイー?」(アレ?アレっていったい何だよ?)


「イッ・・・イイッ。―――イー」(ふっ・・・そんなのは決まっているだろう。―――改造だよ)


「イイッ・・・イッ!イイッ!?イーイー!?」(改造って・・・はっ!まさかアレってアレの事なのか!?そうなのか、二号!?)


ギュピーンッ・・・!とアイマスクの下に隠された目を光らせる戦闘員二号。彼のその目とセリフを耳にした戦闘員一号は、彼が何を言わんとしているのかを理解した様にハッとした。


「イッイー。イイイッ。―――イー。イイッ、イー」(ああ、そうだ。この状況を打破するためにはアレをやるしかないだろう。―――というわけだ。頼んだぞ、一号)


「イッ?イー?・・・イッ、イッ!?」(え?何でそこで俺?・・・って、まさか!?)


「イッ・・・イイッ。イー、イイー」(ふっ・・・察しが良いじゃないか。そうだ、アレはお前にやってもらおうと思ってな)


「クックックッ・・・!」と、ニヤリという擬音が聞こえそうな感じの笑い声を上げる戦闘員二号。

それに対して一号は、嫌々と物凄く嫌そうに首を横に振った。


「イ、イイッ!?イッ、イイイィィーーーッ!?イッ、イーイーイイイー!」(い、嫌だ!?アレは、アレだけは絶対に嫌だぁぁーーーッ!?というか、そんなことを言うなら俺じゃなくて言い出しっぺの二号がやればいいじゃん!)


「イーイー・・・イイッイー?」(そうしても良いんだが・・・お前、トラップの解除が出来るのか?)


「・・・・・・イイー」(・・・・・・・・・出来ません)


「イッ。イイッ、イー」(決まりだな。ほら行くぞ、一号)


ムンズと戦闘員一号の襟首を掴み。どこかに引き摺って行こうとする戦闘員二号。

それに対して一号は目尻に涙を浮かばせながらちょっと待ってほしいと訴えた。


「イ、イィィイィィィーーーッ!?イッ・・・!イイイッ・・・!イッ、イイー・・・!?」(い、いぃぃやぁぁぁーーーッ!?せめて・・・!せめて心の準備をさせて・・・!!お願い、ちょっとだけでも・・・!?)


「・・・イー。イイッ?」(・・・仕方がないなぁ。ちょっとだけだぞ?)


「イッ、イイー。・・・イーイイー・・・・・・」(あ、ありがとう、二号。・・・まずは気持ちを落ち着かせるために深呼吸を・・・・・・)


その訴えを聞いて、やれやれと溜め息を吐く戦闘員二号。

そんな彼に一号はお礼を言いつつ、自身の気持ちを落ち着かせようと一度深呼吸をしようとして、


「イッ。イイッ」(はい待った。じゃあ行くぞ)


「イィッ!?イ、イ、イイイッ!?」(早ッ!?え、ちょっ、まだ十秒も経ってないんですけど!?)


待ったから行くぞ、と言う戦闘員二号の言葉に思わずツッコミを入れていた。

「ちょおぉぉい!?」と叫んでいる様子から、本当に驚いているのが傍から見ても分かった。


「イーイイー。イイイッ!」(ちょっとだけと言っただろう。つべこべ言わずさっさと来い!)


「イッ・・・!イ・・・イイイィィーーー・・・!?」(そんな・・・!?あ・・・アアアァァァーーー・・・!?)


しかし戦闘員二号は聞く耳持たんと言いたげに再び一号の襟首を掴むと、ズルズルと引き摺りながら来た道を戻って行くのであった。








閑話:その頃のメドラディは・・・


ザザザッ、ザッザッ・・・!


「こちらドッグワン。目標施設の近くに到達した。これよりツー、スリー、フォーと共に侵入を開始する。そちらはどうか?」


『こちらドッグファイブ。こっちの部隊も配置に着いた。何時でも入れるぜ。・・・でだ、ドッグナイン。本当に対象はこの中に入って行ったのか?此処、使われなくなって十何年も経った廃病院だぜ?』


『こちらドッグナイン。間違いない。確かに対象はこの建物に入って行った。イレブン、トゥエルブがしっかりと確認している』


『そうかい。にしたって、対象はいったい何の用でこんな所に来たんだろうなぁ?』


『こちらドッグセブン。さあな。考えられるとすればあれじゃないか?廃墟となった場所を見て回る趣味があるとか。そういう愛好家もいるって聞いた事があるぜ』


『こちらドッグテン。まあ、相手はお金持ちのお嬢様だ。奇特な趣味を持っていてもおかしくないだろうさ』


『違いねぇ・・・!』


『ハハハハハハッ!』


『・・・しっかし協会所属の特殊部隊の俺達が、なんで金持ちのお嬢様のケツを追っかけなきゃいけないんだろうな?しかも、自分から出て行った家出娘だぜ?頼むなら俺達にじゃなくて警察とかにしとけよな』


『こちらドッグイレブン。それなんだがよぉ、実は最近ちょっとキナ臭い噂を耳にしたんだが、多分それが関係してるんじゃねぇかって、俺は思ってるんだよ』


『こちらドッグシックス。何だよその噂って?』


『なんでも、俺達のターゲットであるそのお嬢様が協会が抱える秘密を知っちまったらしくてな?その秘密を色んな所に言い触らされる前に口封じしようって、そういう噂さ』


『こちらドッグトゥエルブ。秘密って何だよ?』


『さあ?そこまでは噂話には出てなかったが・・・ただ、こうしてそのお嬢様を捕まえる為に俺達が派遣されたって事は、多分マジ話なんじゃねぇか?』


『こちらドッグエイト。・・・かもしれんな』


「・・・・・・諸君。おしゃべりはそこまでだ。そろそろ作戦を開始するぞ。事前に話していた通り、ドッグワンである私を含めたツー、スリー、フォーは正面入り口から、ファイブからエイトまでは裏口から侵入しろ。ナインからトゥエルブまではそれぞれ近くの建物や高台にて、狙撃によるサポートだ。・・・準備は良いか?行くぞ!」


『了解!』


ダダダダダダッ・・・!ザザッ・・・!


「こちらドッグワン。目標の廃病院に侵入した。これより対象の捜索に入る。」


『こちらドッグファイブ。裏口からの侵入に成功。事前に決められた作戦通り、まずは屋上を目指します』


「了解した。対象を見つけ次第連絡を寄越せ。すぐに応援に向かう」


『了解』


ザッ、ザッザッ・・・!


『こちらドッグナイン。目的地に到達した。テン、イレブン、トゥエルブも配置に着いた。何時でもサポート出来るぜ』


「了解した。お前達はそのまま監視を続け、何かあったら報告せよ」


『了解。・・・って、ん?』


「・・・?どうした、ドッグナイン?」


『いや、今なんか視界の端で動いたような・・・・・・』


『ニャ~!』


「・・・猫の鳴き声?」


『こちらドッグナイン。大丈夫だ、問題ない。ただの野良猫だった。どうやら俺のいる廃墟は野良猫の溜まり場になっていたらしい。今も二、三匹が俺の横で寝転んでる』


「こちらドッグスリー。いいなぁ。俺もそっちに行きたいなぁ」


『ああ、そう言えばお前は大の猫好きだったっけか。・・・どうだ、羨ましいだろう?』


「・・・問題がないのであればいい。とにかく何かあれば報告せよ」


『了解』


ダダダダダダッ・・・!ザザザッ・・・!


「こちらドッグワン。一階の調査が終わったが、対象はまだ見つかっていない。これより二階の調査に入る。・・・お前達の方はどうだ、見つかったか?」


『こちらドッグファイブ。屋上から順に降りて行っているが、未だ対象は発見できず。空振ってるぜ』


『こちらドッグシックス。ファイブと共に今七階の捜索をしていますが、こちらも・・・』


『こちらドッグセブン。同じく』


『こちらドッグエイト。俺の方もまだ見つかっては・・・・・・ん?』


「・・・どうした、ドッグエイト?」


『いや、なんか俺が入った個室の床に緑色の液体がばら撒かれているんだが、何だこれ?』


『こちらドッグテン。この廃病院で使われていた薬品かなんかじゃないのか?それが何かの拍子に床に零れたとか』


『ああ、なんかそれっぽいな。床に薬品瓶だと思われる物が転がっているし』


『・・・こちらドッグトゥエルブ。エイトにちょっと聞きたいんだが、その瓶の状態はどんな感じだ?』


『どんな感じって言われても、ただの瓶だぜ?張り付いているラベルにも水酸化ナトリウム液ってハッキリ読めるし』


『・・・待て、ドッグエイト。それはちょっとおかしい。この廃病院は潰れてから十数年は経っているし、それに事前の調査で人が滅多に入らない場所である事も分かっている。そんな場所でラベルがハッキリ読める薬品瓶が転がっているなんて事、あるわけがない』


『こちらドッグイレブン。俺も同意見だ。おそらく対象が零して言った物かもしれん。十分に気を付けろよ』


『こちらドッグエイト。了解。十分に気を付けて・・・・・・ブツッ』


「・・・?こちらドッグワン。どうしたドッグエイト。何があった?」


『・・・・・・・・・』


「ドッグエイト。ドッグエイト?・・・ドッグファイブからセブンへ。ドッグエイトの返事がない。彼がいる場所へ向かい、何が起こったか確認せよ」


『こちらドッグファイブ。了解。シックス、セブン、着いてこい!』


『了解!』


「ドッグワンよりドッグナインからトゥエルブへ。そちらからドッグエイトのいる位置は見えるか?」


『こちらドッグテン。悪い、俺がいる場所は完全に反対方向だから見えない。ナインとイレブンとトゥエルブは?』


『こちらドッグイレブン。すまない。俺の方もちょっと無理だ』


『こちらドッグトゥエルブ。同じく。・・・というか、多分位置的にはドッグナインがいる場所の方が見えるんじゃないか?ドッグナイン、そっちは何か見えるか?』


・・・ザッ・・・・ザザザッ・・・・・・!


『ドッグナイン?おい、ドッグナインってば!』


ザザッ・・・ザッザッ・・・!


「ちっ・・・!ナインもか・・・!」


ザッ、ザザザッ・・・!


『こちらドッグファイブ。ドッグエイトが調べていた場所に到着した。・・・だがドッグエイトの姿が何処にもない。個室内には誰もいない!クソッ!アイツは何処に行ったんだ!?』


「こちらドッグワン。落ち着け、イラつくんじゃない。どこかに手がかりがないか探すんだ」


『こちらドッグシックス。ドッグエイトの持っていたアサルトライフルが床に転がっているのを発見!』


「こちらドッグワン。アサルトライフルだけか?何処に落ちていた?」


『それが・・・』


『―――第三手術室前、ですよ?』


『なっ!?何時の間、にぃ・・・!?』


ガンッ!・・・ザッ、ザザッ・・・!


『あらあら、良い反応をしますわねぇ。流石は協会所属の特殊部隊。反応速度は普通の人を超えているわぁ』


『グッ・・・!?クソッ!一体何者・・・って、お、お前は・・・!?』


『うふふっ・・・デーストローイ!』


『ぎ、ギャアアアァァァーーーッ!?』


ザザザッ・・・ブツッ!


「おい!おい、ドッグシックス!一体何があったんだ、おい!!・・・クッ、総員警戒せよ!何者かが我々に攻撃を仕掛けて来ているぞ!」


『こちらドッグファイブ!これよりセブンと共にシックスが向かった第三手術室へ向かいます!』


「分かった。我々もすぐにそちらへ向かう。無理はするなよ!」


『了解!』


「よし、私達もドッグファイブたちがいる七階へ向かうぞ!」


「「「了解!」」」


・・・ザッ・・・ザザザッ・・・・・・


「・・・ん?」


『こちらドッグファイブ!対象を発見!繰り返す。対象を発見!だが、これは・・・!』


『う、嘘だろ・・・!?何なんだよ、これはぁ!?』


「こちらドッグワン。どうした、何があった!」


『た、対象の背後に巨大な何かが、何かが・・・!?』


『こ、こいつはいったい何なんだ・・・!?緑色の半透明の何かが、まるで呼吸でもするかの様に流動的に動いて・・・・・・まさか、生き物なのかコイツは!?』


『あらあら、新しいお客様がいらっしゃったみたいねぇ。なら、先程の人達と同じように歓迎してあげましょうか。ねぇ、グリーンちゃん?』


『ウゴゴゴゴゴッ・・・!』


『さ、先程の人達、だとぉ・・・!?』


『ど、ドッグファイブ、あれを見ろ!シックスとエイトがあの怪物の中に・・・!』


『な、なに!?ほ、本当だ・・・!プカプカと漂っていやがる・・・!?く、くそ、二人を解放しやがれ!!』


『あらあら・・・せっかくいらっしゃったお客様をキチンともてなさずに返すなんて、そんな失礼な事は私には出来ませんわぁ』


『ふ、ふざけた事を言ってんじゃ・・・!?』


『・・・ですので、そこにいらっしゃるお二方。貴方達の事もしっかりと〝おもてなし〝させていだたきますわね?―――グリーンちゃん!!』


『ウゴゴゴゴゴッ・・・!!』


『なっ・・・!?う、うわあああぁぁぁーーーッ!?』


『く、来るな・・・!来るな来るな来るなぁぁッ!?ヌルヌルが、ヌルヌルが迫って・・・!?あ、アアァァァーーーッ!?』


ガガガガガガッ!バキュンバキュンッ!ドガァンッ!!・・・・・・ザッ、ザザッ・・・!


『うふふ・・・二名様ごあんな~い』


『ウゴゴッ・・・!』


ザザッ・・・ザザザッ・・・!


「・・・ど、ドッグワン」


「・・・い、いったい、何が起こっているんだ?」


ザッ・・・ザザッ・・・ザザザザザッ・・・!―――ブツッ・・・!






次回は3/22に投稿予定です。

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