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ミッション72 横穴の調査を開始しちゃった・・・!



「うーん・・・入口辺りが真っ暗だったから、中も当然真っ暗闇だと思っていたけど・・・意外と明るいな、此処」


横穴の中に足を踏み入れ、横道も曲がり角もない薄暗い一本道をテクテクと歩いていた俺達は、しばらくすると緑色の光が溢れる明るい場所に出た。

この緑色の光りの正体は何かと周囲へ視線を向けてみれば、壁や天井に緑色の苔が生えており、それが緑色に発光して横穴の内部を明るく照らしている様であった。

しかも意外に広く、高さもかなりある。大体半径四~五mといったところだろうか?まるで洞窟の様だ。


「イー、イイー。イーイー・・・イー・・・・・・」(多分、周りに生えているヒカリゴケだろうな。これが光源となっているから明るいんだろうが・・・それにしてもこれは・・・・・・)


「イッ。イイッ、イーイイー。イッイー」(ああ。こうも大量に、それも等間隔に生えているってのはちょっとおかしい。野生じゃありえない生え方だぞ)


「つまりそれって、誰かが等間隔になる様にこのヒカリゴケを用意したってことか?」


「イー・・・」(おそらくは・・・)


俺の疑問に前を歩いていた戦闘員一号と二号は若干首を傾げながらも頷き、その後で一号は歩きながら地面へと視線を向けた。


「イーイイー・・・イーイイッイー。イイッ。イーイー。・・・イイーイー、イイッ」(それにこの地面もちょっと気になるんだよなぁ・・・普通こういう洞窟みたいになっている所は道がデコボコと隆起しているもんなんだ。自然の物ならなおさらな。なのに此処はそれが少ない・・・まるで掘り進めた後に踏み固めたみたいな、そんな感じがするな)


「へぇ、そうなんだ・・・・・・って、うん?なんだあれ?・・・箱?」


戦闘員一号の話を聞いて、なるほどと頷いていた俺だったが、そこでふと前方に何かがある事に気付いた。

その見た目を一言で言うなら”四角い木箱”であった。どうやら複数枚の木板を張り合わせたり、重ねたりして作られた物の様だ。


「なんであんな所に木箱が・・・?」


「めっちゃ怪しいですね、あれ。どうします?調べますか、姐さん?」


人工物であるとはっきり分かる物がこんな所にあるだなんて明らかにおかしい。それを俺以外の全員も感じたようで、アルミィが代表して木箱を指差しながら俺に調べるかどうか聞いて来た。


「そうだな・・・何か手がかりになるかもしれないし、一応調べてみよう」


「イッ、イイッイー。イー!」(それじゃあ、俺が先行して調べてきますね。行ってきまーす!)


「ああ、気を付けてな!」


俺はアルミィの怪しいという言葉に内心で同意しつつ、一応調べてみる事に決め、そして俺のそのセリフを聞いた戦闘員一号が、自分に任せてくれと言いたげに木箱へと近づいて行った。

周囲の様子を確認しつつ、一歩一歩確実に歩みを進める戦闘員一号。そして木箱まで後十数歩という所まで近づいた時、突然彼の体がカクッと軽く傾き―――同時にカチリという音が響いた。


「・・・イッ?イイッ?イー・・・・・・」(・・・うん?なんだこれ?何で地面が・・・・・・)


違和感を感じた戦闘員一号が戸惑いを覚えて立ち止まり、自身の足下へと視線を向けてみれば、そこには右足を乗せている地面が軽く沈んでいる光景が目に入った。

その時だ。一号の真下の地面がパカッという感じに開いたのは。


「・・・ッ!?危ない!避けろ、一号!」


「イッ?イイッ、イー―――」(へ?危ないって、いったい何が―――)


その様子を後ろで見ていた俺は危機感を覚えて戦闘員一号に避ける様に指示を出した。

がしかし、彼は自身の足下で何が起こっているのか気付いていない様であり、不思議そうにこちらへと視線を向けた。


パシュッ!


「―――イ、イィーーーッ!?!?」(―――あ、アァーーーッ!?!?)


「い、一号ォォーーーッ!?」


その瞬間、空気が抜ける様な音が響くと同時に、細長い棒の様なモノが戦闘員一号の真下に空いた穴から飛び出し、ブスリッ・・・!と彼の尻の穴に突き刺さった。

どうやら地面の下から飛び出して来たのは竹棒であったらしい。その光景を目にした俺は思わず自分のお尻を「ヒィッ!?」と押さえてしまった。

ヤバい・・・!あれはヤバいって・・・!?


「イ・・・イイッ・・・イ・・・イイッ、イィィ・・・!?」(お・・・おがっ・・・り・・・おし、りがぁぁ・・・!?)


「だ、大丈夫か、一号!?生きてるか!?」


「イ・・・イイィ・・・イイイィィィ・・・・・・!?」(お・・・おおぉ・・・おおおぉぉぉ・・・・・・!?)


「どうやらダメそうですね。めっちゃビクンビクンしてますよ、アイツ」


戦闘員一号は突き刺さった衝撃に一瞬直立不動になると、そのままバタリと前のめりに倒れた。

お尻を高く上げた体勢のまま俯せとなって倒れている戦闘員一号に俺は声を掛けるが、しかし聞こえていないのか彼は呻き声を上げるだけでまともな返事をしない。

そんな一号の姿を見たアルミィは「うわぁ・・・」という感じの声を零し、同じく見ていた戦闘員二号は、周囲へと視線を向けつつ俺達に注意を促してきた。


「イーイイー、イー・・・イイッ。イーイーイー」(あるかもしれないと思っていたが、まさか本当にトラップがあるとはな・・・気を付けろよ二人共。おそらく仕掛けられているのはアレだけじゃないぞ)


「き、気を付けろと言われても・・・!というか、あれ!一号はどうすんだよ!?流石にあのままにしておくわけにはいかないだろ!?」


「イッ。イイッイーイー。イイイーイー、イー」(分かっている。だが、何処にトラップがあるか分からない現状では迂闊に近づけん。周囲の安全を確認するまで少し待っていてくれ、ディーアルナ様)


「で、でも・・・!」


「ふっ・・・!ここはアタシに任せしといてください、姐さん!速攻でアイツを助けて見せますよ!」


どうすればいいんだ!?と俺が頭を抱えていた時、ふとアルミィが自分に任せてくれと言い出した。

彼女は立てた親指で自分を指差すと、次の瞬間には戦闘員一号に向けて全速力で駆け出した。


「イイッ!?イーイー!?イー!?」(あ、おい待て!?まだ周囲の安全が確保出来ていない!?トラップの餌食になるぞ!)


「大丈夫大丈夫!どんだけトラップがあろうが、アタシの足の速さなら発動する前に走り抜けられる!」


シュパパパパッ!とまさに電光石火の如き高速の速さで地面を駆けていくアルミィ。

幸い彼女が通ったルートにはトラップが無かったのか、問題なく戦闘員一号の下へと辿り着いた。


「大丈夫かい、一号?今コイツを抜いてやるからね・・・・・・フンッ!」


「イ、イイイッ・・・!?―――イィッ!?」(う、うごごごごっ・・・!?―――ふぎっ!?)


アルミィは戦闘員一号に声を掛けながら尻の穴に突き刺さっていた竹棒を掴むと、勢いよく引き抜いた。

ちなみにその勢いが強すぎたせいか、竹棒が引き抜かれた瞬間戦闘員一号は変な声を出しながら一際ビックン!と体を震わせていた。


「ほら。立てるかい、一号?」


「イ、イィィ・・・イイッ、イーイー・・・ッ!?」(お、おぉぉ・・・あ、ありがとう、これなら何とか・・・ッ!?)


アルミィに支えられながら立ち上がる戦闘員一号。

だがその時、彼は何かに気付いた様に息を飲んだ。

一号が視線を向けていた先は先程彼が調べようとしていた木箱であった。


「イッ!?―――イイィッ!?」(危ねぇ!?―――ウボアァッ!?)


「い、一号ォ!?」


何か嫌な予感でも覚えたのだろう。戦闘員一号が両手でアルミィの体を押し飛ばし、その瞬間木箱の側面がギギィッ・・・!と音を立てながらパカッと開くと、そこから約二mくらいの大きさのボクシンググローブが飛び出して来た。

っていうか、何あの大きさ!?でっか!マジででっかぁ!?


「イッ!?イイッ・・・!」(グッ!?こなくそっ・・・!)


グローブの下には大きなバネが取り付けられており、その組み合わせを見るとまるでビックリ箱の様な感じだが、しかしその威力はとてもそんな物では済まされない。

飛び出して来たボクシンググローブによって全身を殴り飛ばされた形となった戦闘員一号は、一瞬痛みに体を身悶えさせていたが、しかしすぐさまクルクルと体を回転させるとなんとか地面に着地する事に成功していた。


カチリッ


「・・・イィ!?」(・・・うぇ!?)


しかしその瞬間、彼の足下から先程も耳にしたカチリという音が鳴り響いた。

それがトラップの作動音だという事を先程の一件から理解していた戦闘員一号はすぐさまその場から逃げ出そうとしたのだが、しかしその行動に移る前に彼が立っていた地面の一部が浮き上がり、物凄い勢いでビヨヨ~ン!といった感じに跳びあがった。


「イイイィィーーーッ!?」(ぬああぁぁーーーッ・・・!?)


「い、一号ォォーッ!?」


地面の下にはボクシンググローブと同じようにバネが付いており、おそらくはそれによって跳び上がったのだろう。戦闘員一号の体はグルングルンと体を回転させながら吹き飛んで行く。


「イイィィィーーーッ・・・!―――イ・・・?」(ああぁぁぁーーーッ・・・!―――あ・・・?)


戦闘員一号は何とか体勢を立て直そうと体を動かしてはいたが、しかし回転の仕方があまりにも不規則であった為か、中々整える事が出来ないでいた。

そして、いったい何処まで飛ばされるのかと思っていたその時―――彼の体は唐突に止まった。

だが、それは壁に当たったからでも地面に着地したからでもない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「イイッ?イッ?イー、イイー?・・・イッ、イイッ!?」(な、何だこれ?糸か?もしかして、これに引っ掛かって止まったのか?・・・と言うか、何か体が動かないんだけど!?)


空中で某最後の物語的なゲームに出てくるサボテン型モンスターがする様な体勢で固まっている戦闘員一号。

見た感じでは体を動かそうとはしている様だが、しかし身じろぎするのが精いっぱいであるらしい。その体勢のまま縦に横にとビヨンビヨンしていた。


「おーい!大丈夫か、一号ォー!」


「イ、イイー!イーイー!」(い、一応大丈夫でーす!体が動かせないけどぉー!)


一応声を掛けてみれば元気そうな声が返ってきた。

彼が無事である事に俺は安心した。どうやら戦闘員一号の体が空中で止まったままでいるのは、先程彼が口にした空中に張られていた糸らしき物が関係しているらしい。

一号の体にくっ付いているその糸を取り払ってしまえば彼を地面に降ろす事は出来るだろうと思っていたのだが、しかしそこで俺達はその方法に頭を悩ませた。

何故なら戦闘員一号が止まっている位置は天井スレスレのかなり高い所であったからだ。

手を伸ばしたところで全く届きそうになく、どうすれば彼を助けられるのか良い方法が思いつかなかった俺は、傍にいた戦闘員二号と丁度近くに戻って来ていたアルミィに相談してみた。


「それで、一号を助ける方法を思いついた人はいる?」


「はい、姐さん!このマジックアームを使うのはどうですか?」


最初に案を出したのはアルミィであった。彼女は変身ブレスレットの電子ストレージからマジックアーム ―――人一人余裕で掴める特大サイズ―――を取り出した。


「コイツで一号の体をガシッと掴んで下ろすんです!」


そう言いながらマジックアームをガッシャンガッシャンさせるアルミィ。

彼女の案を聞いた俺は最初は悪くないと思ったが、しかしそこで一つの疑問が浮かんだ。


「・・・なあ、アルミィ。そのマジックアームって伸ばせるのか?」


「え?・・・・・・あっ・・・」


そう。アルミィが取り出したマジックアームは確かに特大サイズなのであるのだが、しかしその長さはどう見ても戦闘員一号がいる所までは届きそうにない。ジョイント部分に伸びる機能でもあれば良かったのだが、残念ながら彼女が持っているマジックアームにはそんな機能は無かった。


「イッ。イーイイー」(次は俺だな。俺はこいつを使って見ようかと思う)


「えっと・・・何それ?」


戦闘員二号がブレスレットの電子ストレージから取り出したのは、虫取り網―――当然これも人一人掬えるくらいの特大サイズであった。


「イイイーイー、イー?」(コイツで一号の奴を掬い取るつもりなんだが、どうだ?)


ブンブンと特大サイズの虫取り網を振り回す戦闘員二号は「どうだ、いい案だろう」と言いたげに胸を張るのだが、しかしそれに対して俺はアルミィにも言った言葉を口にした。


「えーと・・・二号。アルミィに言ったのと同じことを言うようで悪いんだけどさ。―――届くのか、それ?」


「イッ?・・・・・・イッ・・・」(むっ?・・・・・・あっ・・・)


そう。こちらも確かに特大サイズではあるのだが、しかしやっぱり戦闘員一号の所まで届く程の長さはない。そして伸びる機能も当然 (と言うべきかは微妙だが)付いていなかった。


「「・・・・・・・・・」」


「やっぱり問題は高さか・・・一号のいる所まで届く何かがあればいいんだけど・・・・・・」


ズーン、とそれぞれ特大サイズのマジックアームと虫取り網を抱えながら落ち込むアルミィと戦闘員二号。

その二人の様子を横目で見ながら、さてどうやって一号を助けようかと俺が頭を悩ませた。


「うーん・・・せめて一号にくっ付いている糸を如何にかすれば、一号を下ろせるかもしれないけど・・・・・・いや待て、糸?」


糸という言葉を口にした俺は、そこでおや?と首を傾げた。

なんというか、一号が陥っている現状の光景にどことなく既視感を覚えたからだ。


「(空中で止まって動けない一号・・・張り巡らされた細い糸・・・そしてそれがくっ付いてくるという・・・・・・なんかそれって、まるで蜘蛛の巣みたいだな)」


・・・・・・ん?蜘蛛の巣?


「・・・・・・まさか」


「いやいやいや、そんなまさか、ありえない」と首を横に振って、今頭の中で考えた事を否定する。

そう、ありえないのだ。人間大の大きさの獲物を捕らえることが出来る蜘蛛の巣を張れる存在なんて、普通居る筈がない。

・・・というか居てほしくない。そんなのがいると分かったら、興味よりも断然嫌悪感の方が勝る。


「まあ、流石にそんなのいるわけが―――」


―――キシャァァアアアッ・・・!


「イイィィィーーーッ!?」(ギャアァァァーーーッ!?)


「あったーーーッ!?」


だがしかし、現実は非常であった。

何かの生物の声が聞こえたと思ったら、その後に響き渡る様な戦闘員一号の悲鳴が聞こえて来たので、何事かとそちらへと視線を向ければ、そこにはゆっくりと一号の下へ近寄ろうとする巨大蜘蛛の姿があった。

というか何あの大きさ!?デカい!マジでデカい!?三メートルは軽く超えているぞあの蜘蛛!?


「イー!イイー!イーイーイー!イイッイー!」(イヤー!ヤメテー!来ーなーいーでー!俺は美味しくないからー!)


涙声になりながら全力で身じろぎする戦闘員一号であったが、しかしビヨンビヨンと揺れるだけで全く動けていない。

むしろそれによって余計に糸が絡まってしまい、傍から見たら簀巻きの様な状態となってしまっていた。


「待ってろ、一号!今助けに行くぞ!食らえ【龍撃弾】!」


「アタシも行きます!【キャットサンダーボール】!」


そんな戦闘員一号を助けようと俺とアルミィは巨大蜘蛛に向けてそれぞれの技を放つ。

俺は右拳を引き絞る様に構えつつエネルギーを込め、それから突き出す様にしてエネルギー弾を放ち、アルミィは手と手の間に電撃の球体を作り出すと、投げる様にそれを放った。


―――キシャアァァァッ・・・!!


ガキンッ・・・!バチバチバシュンッ・・・!


「効いてない!?嘘だろ!?」


「アタシの電撃も効かないなんて・・・!?」


が、俺達の攻撃は巨大蜘蛛に当たった瞬間に弾かれて消滅してしまった。

それに驚きの声を上げた俺達だったが、しかしそうしている間にも巨大蜘蛛は一歩一歩確実に戦闘員一号へと近づいて行っていた。


「イイッ!イイッイー!」(ここは俺に任せておけ!食らえやオラァ!)


パシュンッ・・・!ドゴォォンッ!


そこへ戦闘員二号が俺達の前に飛び出して来た。

彼はブレスレットの電子ストレージからバズーカ砲を取り出すと、巨大蜘蛛に向けて構え、引き金を引いた。

バズーカ砲の砲口から発射された弾は放物線を描きながら巨大蜘蛛へと向かい、着弾した瞬間に爆発炎上した。


―――キシャァァァッ・・・!?


「凄い!効いているぞ!これなら・・・!」


「イイィィィーーーッ!!イーイーイーーーーッ!!イイッ!イーイイーーーッ!!」(ギャアァァァーーーッ!!熱い熱い熱いーーーッ!!燃える!燃えてしまうーーーッ!!)


「・・・って、一号も巻き添え食らってるぅぅーーーッ!?」


全身を炎に包まれて悶えている巨大蜘蛛の姿に、これなら倒せるんじゃないかと思った俺だったが、しかしその傍で戦闘員一号の体も炎に包まれているのを目にして驚きの声を上げた。

燃えてる!?一号めっちゃ燃えてるんですけどぉー!?


「ちょっ、二号!なんか一号も一緒に燃えちゃってるんだけど!?」


「イッ、イーイー。イイッ。イーイイー。イッ」(そりゃ、ナパーム弾をぶっ放したからな。なに、問題ないさ。あの程度なら俺達は死にはしない。精々黒焦げになる程度だ)


「いやそれ、十分に問題だと思うだけど・・・!?」


問題ないと手を横に振る戦闘員二号に、えぇ・・・!?と俺はドン引きした。


「イイッ、イイッイー、イー。イイッ」(それはそうと、そこから移動した方が良いと思うぞ、ディーアルナ様。落ちて来るから)


「へっ?落ちて来るって・・・まさか!?―――のわぁぁぁっ!?」


戦闘員二号の落ちて来ると言う言葉を聞いて頭上へと視線を向けた俺は、此方に向かって落ちて来る巨大蜘蛛と戦闘員一号の姿を目にして、急いでその場から跳び避けた。


―――キ、キシシ・・・・・・


「イ、イイ・・・イイイッ・・・・・・!?」(あ、あが・・・あががががっ・・・・・・!?)


ズシンッ・・・!と言う音を立てながら地面に落ちる巨大蜘蛛。全身黒焦げの状態で足を丸めながらひっくり返ったまま身じろぎ一つしない。

そして、その横に同じく黒焦げの状態で地面に落ちて来た戦闘員一号が倒れており、指に付いている煤で「犯人は二号・・・」というダイイングメッセージっぽいのを書いていた。


「・・・ええっと、大丈夫か、一号?」


「イ、イイッ・・・イーイー・・・!―――イッ!」(こ、これが、大丈夫に見える、なら・・・が、眼科にでも行ってくだ、さ・・・い・・・!―――ガクッ!)


戦闘員一号の状態を目にしてちょっと引きつつ声を掛けてみれば、一号は最後の力を振り絞ってかその言葉を言い残して気絶してしまった。








閑話:その頃のメドラディは・・・


「・・・んで、だ。俺達の間で使われている合言葉を知っているお嬢さん。アンタは俺に何を用意してほしいんだい?」


「あらあら、話が早くて助かるわぁ。―――それじゃあ、これに書かれてある物を用意してほしいのだけれど、よろしいかしらぁ?」


スッ。


「あん?このメモに書かれた物を、か?どれどれ・・・・・・ん?んん?・・・え、マジで?マジでこんなのが欲しいのか?」


「ええ。出来るだけ早く・・・そうねぇ、明日までに揃えてくれれば、かなりありがたいわぁ」


「いやまあ、コイツに書かれてある(ブツ)は一応ウチの在庫にあるから、明日と言わず今用意できるけどさぁ・・・・・・御嬢さん、アンタいったい何をする気なんだよ?」


「あらあら、それを貴方が聞くのかしらぁ?主にヨーロッパ辺りで様々な品物を裏で売りさばく密売業をしている貴方が?―――ねぇ、死の商人『西のシャチ(オーヴェストオルカ)』さん?」


「ホンット何処でその名前を聞いたのやら・・・そっちも気になるが、それよりもお嬢さんの目的の方が気になっちまってなぁ。普段なら俺も取引相手が何をやるかなんて気にすることはないんだが、お嬢さんが用意してほしいって言う(ブツ)(ブツ)だからな、こんな(モン)を使って何をしようとしてんだ、アンタ?」


「あらあら、別に大したことをするつもりはないわぁ。―――ただ、バカなことをしようとしている低能な人達にちょぉっとお仕置きをするだけよぉ?」


フフッ、フフフッ、ウフフフフフッ・・・!






次回は3/15に投稿予定です。

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