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ミッション65 偶然の再会・・・!?



「まさか、こんな所で君とまた会えるとは思ってもみなかったよ」


「俺もです。お久しぶりです、御城さん。お元気でしたか?」


「ああ、もちろんだよ。君も元気そうでなによりだ」


ナンパから助けた女性が、まさか以前に出会い、話しもしたことがあった少女―――ディーナであった事に、御城は表面上こそ落ち着いてはいたものの、その内心では結構驚いていた。


「(いや本当に、こんな所で彼女と再会するとは思ってもみなかったな。確か初めて会った時は、無理矢理参加させられたヒーロー連合協会の会議の帰りだったっけか?)」


御城は目の前の少女と話しをしながら、彼女と初めて出会った時の事を思い出していた。

ディーナと名乗る少女に御城が初めて出会ったのは、出たくもなかった会議に参加させられたとある日の帰り道の事だった。

町中を歩いている最中に突如として聞こえてきた悲鳴。それを耳にした御城はその悲鳴の主を助けようと走り出して、路地裏の奥の周りをビルに囲まれた空き地にて、とある変態―――全ての女性の味方と自称し、女性が着用している下着の窃盗を主に行う怪人―――に迫られている彼女の姿を見つけたのだ。

それからなんやかんやあって変態怪人を追っ払った後、御城は道に迷っていた彼女を目的地である和菓子店まで案内したわけだが、その道中で交わした彼女との会話は今でも彼の記憶に残っている。


「(あの時の俺は親友の子供(あの子)の事を探し回って、でも見つけられなくて、だいぶ参っていたっけ)」


互いに切磋琢磨し、まるで兄弟の様に仲が良かった親友の死の後、突然行方を眩ました彼の子供。

その子供を見つけようとあちこちを探しまわり、もしかしたら悪の組織や秘密結社等の連中に拐われたのではないかと考えて、地元に存在していた奴等の本拠地を襲撃し、壊滅させたりもしたが、しかしその子を見つけ出すどころか、その手掛かりすら手に入れることができなかった。

その事に愕然(がくぜん)とし、子供一人満足に見つけ出すことが出来ないのかと自身の力不足を嘆き、蔑んでさえもいた。


「(でも、そんな時に彼女が言ってくれた言葉が、もう一度諦めずにあの子の事を見つけ出そうと、俺を立ち上がらせてくれた)」


御城は瞼を閉じ、ディーナと話しをした時の事を思い出す。


『きっと大丈夫ですよ。御城さん。その子の事を探し続けていれば、きっと見つけることが出来ますよ』


『・・・・・・えっ?』


『御城さんが潰した組織には、貴方が探している子に関する情報はなかったんでしょう?』


『・・・あ、ああ。その通りだ』


『ならばそれは、少なくともそこにその子はいなかった。もしくは関わりが無かったという事の証明になりませんか?』


『・・・・・・君は、何が言いたいんだい?』


『俺が言いたいことは簡単です。探している子がその組織とは何も関係が無かった事実を喜びましょうという事です。いなくなった理由については、今日話を聞いた俺には分かりません。ですがそんな俺でも、いくつかの予想は立てられます。引っ越したかもしれない。家出したのかもしれない。誘拐された可能性もあります。・・・それとも、もう死んでしまっているのかもしれない。御城さんが潰した裏の組織と言ったものもその可能性の一つです。・・・でも、貴方はその可能性を潰した。実際にその組織へ突入し、調査して、見つけだそうとした』


『だが、彼を見つけることは出来なかったんだぞ・・・!その手がかりすらだ・・・!それでどうして喜べと・・・!?』


『だからこそです』


『―――ッ!?』


『情報がなかったという事は、貴方が潰した地元の組織はその子に手を出していないという事。それだけでも無数にある可能性の幾つかは潰れます。そうして一つずつ考えられる可能性を失くしていけば、最終的にはその子の元に辿りつけると思いませんか?ほら、そう考えてみたらホッとしませんか?』


どこか見覚えのある真剣な、しかしどこか見ている人を安心させるような表情。それを浮かべていた彼女が語った内容は、言ってしまえば物事の捉え方を反対にしてみようといったモノだった。

だが、当時の御城にとってその考え方は、まさに青天の霹靂とも呼べるものであった。


「(あの言葉があったからこそ、俺は諦めるという選択肢を選ぶ事を止めた。もう一度あの子の事を探しだそうと、そう思える事が出来たんだ)」


そう考えれば彼女のおかげと言えなくもない、と内心で独り言ちる御城。

ついでに言えば、その時にディーナが浮かべていた表情―――微笑んだ顔や心配そうに覗き込んでくる顔―――も思い出して無意識の内に頬を赤く染めたりもしていたのだが、当の本人は気付いていなかったり。


「・・・?えっと、どうしたんですか?」


「い、いや、なんでもない、なんでも。・・・それはそうと、君はどうして此処に?友達と遊びにでも来たのかい?」


急に黙り込んでしまった御城を心配してか、声を掛けてくるディーナ。

それに対して御城はなんでもないと首を横に振り、それからどうしてこの海水浴場に来たのか?とディーナに問いかけてみた。


「いえ、仕事です。実はこの海水浴場の端にある店に手伝いを頼まれまして、今そこで同僚達と一緒に働いているんです」


「仕事・・・というと、アルバイトなのかい?」


「うーん、ちょっと違うかと。今俺が働いている所に来た依頼を受けて、という形なので、どちらかと言えば派遣社員の方が立場としては近いかなと思います」


「そうなのか・・・って、ん?」


ディーナの答えを聞いた御城は、そこでおや?と首を傾げた。


「ちょっと待ってくれ。今働いていると言わなかったか?君、多分高校生くらいだよな?まさか、学校には通っていないのかい?」


そう、御城が気になった所はそこだった。

彼女の見た目は大体十代後半から二十歳くらい。普通に考えたら高校か、もしくは大学や専門学校等に通っているであろう年頃だ。

そんな娘がこんな真っ昼間から働いているという事は一体どういう事かと、御城は不思議に思っていたのだ。


「ええ、まあ。ちょっと家庭の事情で学校に通う事が難しくて・・・・・・というか、男から女になっちゃったからなんて言えるわけないし、そもそも俺はまだ高校に通える歳でもないし」


「・・・?今なにか、最後の方でボソッと言わなかったかい?」


「いいえ、何も?」


そして御城のその疑問に、学校に通っていないのは家庭の事情によるものだ、と答えるディーナ。

その後で愚痴の様な言葉をボソリと溢したりもしており、それを耳敏く拾った御城が問い掛けてみると、彼女は満面の笑みを浮かべながら、「此処には人が沢山いますから、そちらの声が聞こえたんじゃないですか?」と、すっとぼけてみせた。

ニンマリ、と何かを誤魔化そうとしているのがありありと分かるその笑顔。

その程度の誤魔化しなんて、ヒーローとしての活動歴の長い御城からすれば容易く見抜く事ができ、まず誤魔化されるわけがない稚拙(ちせつ)とも言えるものであった。

―――何時もの彼であれば、だが。


「・・・ッ!?」


「(ヤバい・・・!前から思っていたが、やっぱりこの子めっちゃ可愛いんだけど・・・!?)」


だがしかし、今の御城にとってそれは難しいことであった。

何故ならば、御城はディーナが浮かべて見せたその笑顔に思わず見惚れてしまっていたからであった。

元々、ディーナの容姿は十人中十人が美人だと断言できるものであると御城は思っていた。その笑顔ともなれば、大半の男を魅了できそうだとも。

そして、その予想は当たっていた。

彼女が浮かべた笑顔を見た途端、御城は自らの心臓にズキューン!バキューン!!と銃弾のような何かが突き刺さる感覚を覚え、頬が赤く染まる。

彼女の体からふわりと漂って来る甘さを感じる匂いも相まって、心臓がバクバクと脈打つ感覚も覚え始めた。

視界も徐々に狭まり、周囲の景色が消えて彼女の姿だけしか目に入らなくなっていく。

この笑顔をもっと見たいと、むしろ彼女を自分だけのものにしたいと、そういった衝動すら次第に抱き始めていた御城は、彼女へ向けて自身の手を伸ばそうとして、


「・・・?えっと、御城さん?」


「―――はっ!?」


自身の名を呼ぶディーナの声を耳にして正気に戻った。


「そ、そうか・・・?まあ、そういう事なら仕方がないか・・・!はは、ははははははっ・・・!」


「(い、いやいやいや・・・!今何をしようとした・・・!何をしようとしたんだ俺ェ・・・!?)」


目の前には不思議そうに首を傾げているディーナの姿。それを目にしながら御城は、彼女へと伸ばそうとしていた手を流れる様に且つ急いで引き戻し、後頭部へと添えて先程の動きを誤魔化す様に笑い声を上げた。

内心で自身が取ろうとしていた行動を思い返して、自分自身驚きながら。


「(相手は子供だぞ!未成年だぞ!?手を出したらモロ犯罪じゃねぇかっ・・・!?)」


あのまま正気に戻らず、手を完全に伸ばしきっていたらどうなっていたか。

断言できる。絶対少年誌とかでは乗せられないようなことをしていたことだろう。

あの時、彼女の笑顔を見た途端に湧き上がった衝動。あれはもう完全に情欲とか性欲とかのそれだった。

彼女に触れたいだなんてまだ生易しい。頭の天辺から足先に至るまで、その全身を味わい尽くしたいとすら思っていた。

もちろん御城はそんな自分の考えはおかしいと感じて、湧き上がって来ていた衝動を抑えようとした。しかし、彼女の笑顔を見続けている内に押さえ込もうとしていた感情の弁が徐々に緩んでいき、加えて元々湧き上がっていた衝動が何かに突き動かされる様に(あお)られ、(たか)ぶっていくような感覚も覚え、制御不能の状態に陥りかけていた。

そんな状況の中で、自身が手を出そうとしていたディーナに声を掛けられたことで正気に戻れたというのは、ある意味皮肉が効いていると言えた。


「(幸いだと言えるのは、ディーナさんに俺がしようとしていたことを気付かれなかった事だろうか。もし彼女が知ったら、間違いなく軽蔑の視線を向けてくるだろうなぁ・・・)」


汚物でも見るかのような視線を自身に向けながら罵倒してくるディーナの姿を想像した御城は、自身の心臓に彼女の笑顔を見た時は違う感覚を―――具体的にはドスッ!ザシュッ!バスっ!と槍の様な何かが突き刺さった後にドカン!と鈍器のようなもので粉々に壊されるような感覚を―――覚えて、心の中で滅茶苦茶落ち込んだ。


「(ま、まあ、こんな良い子がそんなことを言うわけないよね・・・!ほら、今もなんか可愛らしく首を傾げているし・・・・・・って、やめて!その目を向けるのやめて!?せっかく押さえ込んだのがまた出て来ちゃいそうになるから!?)」


心配そうに御城の事を見つめてくる無垢なる瞳。

ディーナのその目を見た御城は、一度は収まった筈の衝動が再び鎌首をもたげる様な感覚と、加えてヒーローである自分が抱いてはいけないような暗い気持ちが滲み出てくるような感覚を覚え始めていた。

スポイトでポツポツと少しずつ足されて行く様に強くなっていく衝動と感情。それらを感じていた御城は、もしこれが続くのであれば、自分自身どんな行動に出てしまうのか分かった物ではないと危惧した。


「(こ、このままじゃマズイ・・・!?何か、何かで意識を逸らさないと・・・!?)」


胸の内から徐々に湧き上がってくるそれらを、何か他の事で意識を切り替え、逸らす事で如何にか鎮めようと御城は考え、そこで先程のディーナと男達とのやり取りを思いだした。


「(あ、そうだ・・・!確か彼女は何処かに向かおうと急いでいたんだったな・・・!)」


「そ、そういえば、彼等にナンパされていた時に何やら急いでいたようだったけど、何処に向かおうとしていたんだい?」


「え?・・・・・・あ、あぁっ!?そうだった!買い物を頼まれていたんだった!」


何処へ急いでいたのかとディーナに問いかける御城。彼の指摘を受けたディーナは、思い出したと言わんばかりに目を見開き、声を上げた。

その表情は「やっべぇ!?」とでも言いたげなそれであり、額には汗を浮かばせ、瞳を左右に揺らしていた。

そんな、「思いっきり焦っています・・・!」と言っているようなその表情を正面から目にした御城は、内心で「よっしゃ・・・!」と安堵した。

先程まで湧き上がりかけていた衝動が、彼女の表情の変化を目にした途端に治まって行くのを感じたからだ。

どうやら自身の選択は正解だったらしい、と御城は自分で自分の事を褒めた。


「す、すみません!俺、ちょっと仕事で買い物を頼まれてまして・・・!店の在庫がなくなる前に食材を買って戻らないと・・・!」


「今年は例年以上にお客が来ているみたいなんで・・・!」とディーナは言うと、クルッと回れ右をして走り出そうとする。

その様子は切羽詰まっている様にも御城には見えた。


「ふむ・・・そんなに大変ならば、俺も手伝おうか?」


「・・・・・・へっ?」


そんなディーナの様子を見た御城は、だからというかなんというか、つい彼女に向けて声を掛けてしまった。

その言葉を耳にしたディーナは驚きの声を上げながら、一歩踏み出そうとしていた足を立ち止まらせて振り返った。


「流石に大量の荷物をたった一人で運ぶと言うのは大変そうだし、それに一人よりも二人の方が運べる量もその分増すだろう?」


「えっと、俺としては凄くありがたいですけど、良いんですか・・・?」


「ああ。何せ俺は今、今日一日をどう過ごそうかと悩んでいてさ。君の仕事を手伝うのもいい時間つぶしになる」


「いやでも、此処(海水浴場)に来たってことは遊びに来たんですよね?それなのに俺の手伝いで遊ぶ時間を潰すのはどうかと・・・・・・」


「あ~・・・その事なんだけど、実は俺が此処に来たのって友人に誘われたからなんだ。だけどその友人が突然急用が入ったとかでいなくなってしまってね、一人で泳ぐのもなんだし、いっそのことホテルで休もうかと思っていた所だったんだよ」


「だから、そこのところは気にすることはないよ」と御城はディーナに言う。

実際御城のその言葉に嘘はない。

ディーナの様な女の子が大量の荷物を一人で運ぶのが大変そうだと思ったのは本当だし、友人であるラッセルが突然いなくなって暇していたのも本当だ。

だが、それ以外にも彼女を手伝おうとする理由が御城にはあった。


「(君の事を襲おうとした罪滅ぼしもしたいし、なんて言えるわけもないけど)」


それはディーナへの贖罪の為だ。

無意識にとは言え、自身が衝動に任せて目の前の少女を襲おうとしたというのは、ヒーローとしての立場からすればアウトだと御城は思っていた。

例えそれが未遂であったとしても、だ。

このままではディーナの顔を見る度に自身が彼女を襲おうとした時の事を思い出して、罪悪感から居た堪れない気持ちになって彼女の顔を見る事が難しくなるかもしれないとも御城は考えていた。

というか実際に今も彼女の顔をまともに見る事が出来ずに、微妙に視線を脇に逸らしているし。

内心で「もし断られたとしても構わない。その時は別の方法を考えて実行するだけだ」とも考えていた御城であったが、しかしそれはディーナが御城に向けてペコリと頭を下げる事で考える必要が無くなった。


「えっと、それじゃあよろしくお願いします。・・・正直一人だと結構厳しいかなぁと思っていたので」


「あ、ああ・・・!」


「えへへ」と軽く笑みを浮かべるディーナ。

それを目にして、内心で例の衝動が再び湧き上がってくる感覚を覚えてその頬を再び赤く染まらせる御城。

しかしその後で、一度深呼吸をして自身の気持ちを落ち着かせた彼は、目の前の少女に向けて「任せてくれ」と頷いたのであった。








あの後、海水浴場の近くにあったスーパーに向かった俺と御城さんは、そこで頼まれていた食材を沢山買いまくった。


「すみません。ナンパから助けてもらったばかりか、買い物まで手伝っていただいて」


その両手に大量の食材が入ったビニール袋を持っていた俺は、スーパーの入口から出た際に御城さんにお礼を言った。

それに対して俺と同じく両手に大量の食材が入ったビニール袋を持った御城さんは、問題ないと言いたげに笑みを浮かべた。


「構わないよ。手伝う前も言ったけど、友人に誘われて来たものの、その当の友人が急用が出来たとかでいなくなってしまったから、暇していたしね」


「いい暇つぶしになったよ」と言いながら浮かべる御城さんのその笑顔は、まさしくイケメンスマイルと評してもいいそれだ。

整った顔立ちから放たれるその笑顔は、滅茶苦茶女性受けしそうだなと内心で思いつつ、同時に俺は安堵の息を吐いていた。


「(・・・いやもう本当に助かった。頼まれていた食材の量が量だったから、とても俺一人じゃ持ちきれなかったし、何度か往復する必要があるとも考えていたから、正直御城さんが手伝ってくれて本当に助かった)」


こんな炎天下の中で大量の荷物を抱えながら長距離を往復するのは、怪人と化して耐久性が増したこの体でも流石に堪える。

なにせ暑さ寒さに対する耐性は常人のままなのだ。下手をすれば熱中症になって倒れてもおかしくはない。

故に御城さんに対して心の中で感謝の念を抱いていた俺であったが、しかしそれはそれとして、実は先程から彼に関して気になっていた事があった。


「(ただ・・・なんだか御城さんの様子が気になるんだよなぁ・・・。何というかこの人、どうも疲れていると言うか、どこか草臥(くたび)れている様にも見えるんだよなぁ・・・)」


被っている帽子の影に隠されてはいたが、良く見ればその顔色は若干血の気が引いて青白い。サングラスに隠されている目の方もよく見れば、目の下に濃いクマが出来ているのも見える。とても元気だとは思えない様相だ。


「(この人の就いている職業がヒーローだという事は以前話をした時に知ってはいたけれど、こんなに疲弊しているのを見ると、ヒーロー業って相当大変なんだろうなぁ・・・)」


悪の組織で働いている都合上これまで何人ものヒーローに出会ってきたが、しかし彼ほどに疲れている人を見たことがない。

先程顔色を赤くしていたのも疲れから来るものだったのだろうか?と、思わず彼に向けて心配気な視線を送ってしまった。


『キャアアァァァーーーッ!?』


『ワァアアアァァァーーーッ!?』


「・・・ん?」


「何だ・・・?」


そんな時、何処からともなく甲高い悲鳴が聞こえて来た。

悲鳴が聞こえて来たのは海水浴場の方からだったようで、そちらへと視線を向けてみれば、そこでは多くの人々が逃げ惑う姿が目に入った。


「一体何が・・・?」


「あっ、もしかして原因はあれじゃないか!?」


彼等は一体何から逃げているのだろうかと首を傾げていた俺だったが、そこで御城さんが原因となるモノを見つけたようで「あそこ!」とある方向を指差してみせた。

御城さんが指差した先にいたのは、半透明且つ半円状の傘の様な体を持ち、その体の下には同じく半透明の細長い棒のような触手が複数付いた物体だった。





次回投稿は10/15を予定しております。

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