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ミッション7 戦闘をしちゃった!?

2021年10月20日に文章の一部変更をしました。



「・・・・・・・・・」


 広い駐車場の中で五人組のヒーロー達と睨み合いしていた俺は、スッ・・・と静かに構えを取った。

半身となって腰を落とし、足を前後に軽く開く。さらに両手の指を軽く開いて片手を前に伸ばし、もう片方の手を胸元近くに寄せる。

 この構えは、俺が父さんから教わった護身術の構えの一つであった。

 わざとゆるく開かれた両手は状況に応じて殴り、掴み、払うことが出来るように、両足を前後に開いて半身となった姿勢は前後左右に瞬時に動けるように、という構想で練られたものだと父さんは言っていた。

 実際、中学一年生の頃にちょっとした事情で高校生五十人とケンカを行うことになった時に、父親から教わったこの構えと護身術の技の数々は大活躍し、見事全員をノックアウトしてみせたという実績があった。

少なくとも、戦いという状況下の中でこれほど信頼も信用も出来るものはないと常日頃からそう思っていた俺は、護身術を教えてくれた父さんには感謝の念を抱いていた。

 ・・・まあ、教わった当時は、まさか悪の組織の活動の為に使うことになるとは想像すらもしていなかったが。


「・・・ッ!?うぉおおお!くらえぇ!【ライオンパンチ】!!」


 睨み合いに焦れてしまったのか、それとも俺が構えを取ったのを見て先手を取られる前に動こうと考えたのか、最初に攻撃して来たのはヒーロー側であった。

 真正面から飛び掛かり、殴りかかってくるライオンレッド。しかし、その拳が俺に当たることはなかった。


「・・・フッ!」


「おぉわあああああ!?」


 俺が殴りかかって来たライオンレッドの拳を掴み、その飛び掛かってくる勢いのまま後ろに投げ飛ばしたからだ。


「観念して、とっ掴まれやぁあああ!【イーグルキィック】!」


「ハッ!」


「ゲボォッ!?」


 続いて、まるでどこぞのヤクザのような喋り方で上空からの強襲蹴りをしてくるイーグルイエロー。それを紙一重で躱した俺は、突き上げの掌底をカウンターの要領でイーグルイエローの腹部に放ち、そのまま放り捨てるように地面に投げる。


「ぬぅおおおおおっ!!突撃あるのみ!この思い、受け取ってほしいだべぇ!【バッファロータックルゥ】!」


「よっ!そぉりゃっ!」


「グヘッ!?オ、ゴォオオオオ・・・!?」


 そこへ横合いからの体当たりを仕掛けてくるバッファローグリーン。さすがにこの巨体から繰り出される質量攻撃は対処の仕様がない筈だと思ったのだろう。実際、体格的には向こうの方が倍近く大きく、攻撃面積も広い為、左右に躱すのは難しい。

 だが、対処法がないわけではない。バッファローグリーンの頭上を跳び箱を跳ぶ時の要領で跳び、その際に頭頂部辺りにあった角を掴んで空中前転。そこから変則的な一本背負いで、彼を地面に叩き付けた。


「むむ!?思ったより、中々やりますね。・・・・・・ですが、これならどうですか?【シャークトルネード】!」


 今度はシャークブルーが地面の上を滑るように超高速で接近してきた。俺の周囲を渦巻くように移動するその動きは、あまりの速さに残像すら見える程だ。


「知り合いからは、さながら分身の術だとも言われたことのあるこの技、捌けるのものなら捌いてみなさい!」


 そのまま俺に向けて連続攻撃を放つシャークブルー。鋭く尖った爪の付いた両手を上下に交わし、攻撃する際に接近して俺の体を挟み込もうとするかのような動きは、さながら鮫の咢の様であり、一発でも食らえば一溜りもないと思える様な技だ。


「シャァアアアッ!!」


「フッ、ハァッ!!」


「ガボォッ!?ば、バカな・・・!?」


 しかし、攻略できない技ではない。その攻撃を紙一重で躱した後に、隙だらけとなった腹部に膝蹴りを叩き込む。


「俺は海の中で本物の鮫と戦ったことがある。アイツ等はこんなに温い攻撃はしなかったぞ」


「そ、それは手厳しい・・・・・・グハッ!?」


 そして膝蹴りを食らって動きが止まったシャークブルーに向けて追撃の回し蹴りを放ち、その体を吹き飛ばした。


「グッ・・・!?まさか、俺以外の全員がやられてしまうなんてな。だが、俺を他の奴と同じだと思うなよ!このウルフソードで・・・・・・」


「セリフが長い。後ウザい!」


「理不尽ッ・・・・・・!?」


 最後の一人となったウルフブラックが腰に下げた剣を抜こうとしていたが、その前に俺が急接近して剣の柄を押さえ込んでからスパンッ!と強烈なビンタを食らわせてやり、それを受けたウルフブラックはギュルギュルと何度も体を高速横回転させてからドサリと地面に倒れた。

 そしてアニマルレンジャーの最後の一人が倒れてシーンと場が静まり返った後、俺は思わずといった感じに一言呟いた。


「・・・・・・・・・え、弱ッ!?」


 それがアニマルレンジャーと戦闘を行った俺の感想であった。カウンター染みた攻撃が大半であったとはいえ、まさか一撃食らっただけでダウンするとは思っていなかったからだ。

 五対一という絶対苦戦すると思っていた戦闘が、実際に戦ってみたら殆ど一発KO。なんというか、本当にヒーローなのかと疑ってしまうレベルの弱さであった。


「・・・・・・よ、弱いとは、言ってくれるじゃねえか・・・!」


「・・・あ、起き上がった」


俺の弱い発言が癪に触ったりしたのか、一番最初に地面に倒れたライオンレッドが立ち上がってきた。


「まったく、本当にいい一撃でしたよ・・・」


「本当だぜ。技を食らった時に一瞬、あまりの衝撃に骨が逝かれたかと思ったぜ・・・!」


「す、すごい攻撃だったべぇ。思わず魂が震えただよ・・・!」


「グゥッ・・・!?今度こそ、我がウルフソードの剣技を見せてくれよう・・・・・・!」


更には他のアニマルレンジャー達も立ち上がってきた。


「こ、今度はそう簡単にやられはしないぜ・・・!俺達の本当の本気を見せてやる・・・!!」


「・・・・・・そうは言うけどお前等、全員足が生まれたての小鹿のようにプルプルしているじゃないか」


「「「「「ウッ・・・!?」」」」」


 俺がそういうと、アニマルレンジャー達は痛い所を突かれたという感じに呻いた。

 そう。俺の指摘通り、彼等は何とか立ち上がる事こそできたものの、しかしその両足は今にも崩れ落ちてしまいかねない程ガクガクプルプルと震えていたのだ。

 どうやら思いの他、彼等が負ったダメージは相当なモノだった様だ。


「あともう一つ気になっている事があるんだけど・・・なんでお前等、全員顔周りが真っ赤になってんの?それって血か?」


 それに加え、何故かアニマルレンジャー達全員のマスクの前面部分が真っ赤な血の色に染まっていた。唯一顔面に直接ビンタを食らわせたウルフブラックであればまだ理解できる。だがそれが全員ともなると、どうにも不思議に思えてならない。


「こ、これは・・・その、だな・・・・・・」


「まあ、不思議に思うのも当然だと思われるので、正直にお答えしましょう」


 俺の問い掛けに対して何やら言い難そうに口籠るライオンレッド。そんな彼に代わる様に答えようと前に出たのはシャークブルーであった。


「あ、バカ!?言うんじゃねぇ!!」


「やめろ!?」という感じに彼シャークブルーを止めようとするライオンレッドであったが、しかし未だにプルプルと震えている両足では思う様に前へと進む事ができず、彼を止めることが出来なかった。


「我々は全員あなたの自己主張の激しいそれに見とれてしまったのですよ」


「自己主張の激しい、それ・・・・・・?」


「ええ、そうです。とっても自己主張の激しい―――そのおっぱいに!!」


「・・・・・・・・・はっ!?」


 最初は何の事だと首を傾げていた俺であったが、ズビシッ!と俺の胸辺りを差す指と唐突な性的カミングアウトに思わず頭が真っ白になった

 はっ?おっぱい?なんで?


「この野郎!言いやがった!!」


「このバカブルーめ!そこは紳士として黙っておくべき所だろうが・・・!」


「お、おっふ、おっふ・・・・・・!?」


 口々にシャークブルーへ文句を言う他のアニマルレンジャー達。尚、約一名は自身が見た光景を思い出したからなのか、再びプシャァッ!と勢いよくマスク越しに鼻血を噴出していた。


「綺麗な形で整えられ、瑞々しさが感じられる程の張りのあるおっぱい!男として、目を奪われないと断言できようか?いや、出来はしない!体を軽く揺らしただけでタユンと揺れ、激しく動けばバルンバルンと大きく躍動するそれは、男の夢であり、一つの桃源郷なのです!!」


「こ、攻撃する時に、それに目が離せなくなって、そこに集中するあまり、動きも単調になって・・・・・・!」


「グリーン!?お前もか・・・!」


 唐突に始まった演説の様な何か。語っている本人達は何やら崇高な使命感的なニュアンスで語ってはいたが、しかしその内容は完全に変態的なそれであった。


「―――ヒッ!?」


 彼等の話を聞き、それがどういったモノなのかを理解した瞬間、俺は自分の胸を両手で隠そうとする動きをした。

 思わず反射的に行ったその行動は、自分でも驚くくらいに元男であったとは思えない反応速度であった。


「き、気持ち悪っ・・・!お前等全員、やっぱりヒーローの仮面を被った性犯罪者だったんだな・・・・・・!」


「うぉおい!ちょっと待てぇ!?誰が性犯罪者だ!?というか、頼むから俺達をこいつと一緒の扱いにしないでくれぇ!?」


「来るんじゃねぇ!この変態共が!」


 生理的嫌悪感から後退る俺に、「待ってぇ!勘違いしないで!?」とライオンレッドは手を伸ばす。

 流石に性犯罪者扱いは嫌だったらしい。


「イ~イ~!」(ディーアルナ様~!)


「・・・・・・ん?」


 そんな予想すらしていなかった唐突な貞操の危機を感じていた俺は、ふと工場の方から聞き覚えのある声が聞こえてくることに気付いた。


「イー!イーイイー!」(ディーアルナ様ー!お仕事完了しましたよー!)


 それは工場施設内で取り換え作業を行っていた筈の戦闘員三号の声であった。どうやら作業が終わったことを伝える為に俺を探していたようだ。


「そ、そうか、助かった・・・!さあ帰ろう!早く帰ろう!今すぐ帰ろう!」


「イッ・・・?イー、イイー、イー?」(へ・・・?えっと、どうしたんですか、ディーアルナ様?)


 急いでこの場から立ち去ろうと、戦闘員三号の腕を引っ張って走り出そうとする俺だったが、しかしそこで背後から待ったの声が掛けられた。


「待てっ!そう簡単に逃がすと思っているのか!・・・というか、本当に待って!せめて性犯罪者呼びだけは改めさせて!お願いだから!!」


 ライオンレッドは声を張り上げ、立ち去ろうとする俺達を引き留めようとする。特にセリフの後半は必死に懇願している様な感じであった。


「イッ、イイーッ!?イー・・・・・・イッ、イッ?イイー?」(あっ、ヒーロー!?なんでこんなところに・・・・・・というか、あれ?既にボロボロ?)


「・・・・・・チッ!?」


「舌打ちやめてぇ!?本当にやめてくださいお願いしますぅ!?」


 戦闘員三号がアニマルレンジャー達に気付いたことに、俺は苛立ち交じりの舌打ちをする。同時に嫌悪感丸出しの蔑むような視線を向けてやれば、アニマルレンジャー達はそれだけでノックアウト寸前の状態となった。

 肉体的にも精神的にもボロボロとなった彼等にとってそれは結構きつかったのだろう。目尻の端から涙をちょちょ切れさせていた。


「おお、なんという冷たい視線!?体の芯からゾクゾクしますね!?」


・・・・・・訂正。妙に頬を染めている一名を除いたアニマルレンジャー達がノックアウト寸前の状態であった。

 いやホント、なんでアンタそんなに嬉しそうなの・・・?


「くっ・・・・・・!?止まらないというのであれば、仕方がない!こいつをぶっ放すと言えば、流石に立ち止まるだろう!?」


 「来い!アニマルバズーカ!」とライオンレッドが声を上げた瞬間、上空から筒状の何かが飛んできた。そしてそれはアニマルレンジャー達の元へ到着すると地面と水平の状態になって変形を開始した。


「レフトセット、OK!」


「ライトセット、OK!」


「「バックセット、OK」」


「アンダーセット、OK!・・・セッティング・オールコンプリート!」


 外郭部分のいくつかのパーツがせり上がるように動きだしていき、砲台のような形になっていく筒状の物体。そこへ次々に集まって行くアニマルレンジャー達。

 事前に決められていたのか、イエローとグリーンが砲台の両脇に、ブラックとブルーが後ろに、レッドが砲台の下から持ち上げるように、と言った感じに彼らは変形したそれを囲む様にそれぞれの配置に着いた。


「こいつの名前は『アニマルバズーカ』!こいつから発射された砲弾は着弾した場所を中心にして周囲三十メートルを爆発四散させる威力がある!こいつをぶっ放されてでっかい花火を作りたくなかったら動くんじゃねぇぞ!」


「・・・・・・イッ?イイィ・・・?イッ、イー?」(・・・・・・え?えぇ・・・?あれ、本当にヒーローなの?)


 俺達に向けてアニマルバズーカを構えるライオンレッド。脅迫染みたそれは、もはやヒーローという体裁を成してはいなかった。最早彼等の行っている所業はそこらの破落戸(ゴロツキ)のそれと大差のないモノであり、戦闘員三号ですら思わずそう呟きながら首を傾げてしまう程だった。


「さあ、どうする!?」



「イー。イイッ、イーイイー、イーイーイー!」(ディーアルナ様。周囲三十メートルって言ったら、僕達が取り換え作業を行った工場も範囲内の収まっていますよ!)


「・・・マジで?」


「イッ。イイー、イーイー、イッイイー」(うん。もしあれが工場に放たれでもしたら、僕達の任務も失敗だけど、あの工場で働いている人たちも働く場所を失くして困ることになります)


 しかし、その足は戦闘員の三号から発っせられた言葉によって不本意ながら立ち止まざるを得なかった。

 工場という場所がなくなれば、そこで働いていた人達はどうなるのだろうか?少なくとも何千人という規模の人間が路頭に迷う可能性は高いだろう。戦闘員三号の説明を聞いてついそんな想像をしてしまった俺は、苦虫を噛んだ表情を浮かべながらチッと舌打ちをした。


「おい、何を話しているんだお前等!もうちょっと俺達が分かる言葉を話してほしいんだけど!」


 俺の背後にある工場を木端微塵に出来る威力のあるアニマルバズーカという武器の引き金をあのバカ共が持っているというのが気にいらないが、しかしここは我慢すべき場面だと俺は自分に言い聞かせて振り返る。


「お、おぉし!そうだ。そうやって素直に言う通りに動けばいいんだよ」


 俺が振り向いたことで自分達の言う事を聞く気になったと彼等は理解したらしい。その後で彼等は、俺に自分達の下へ来る様に言ってきた。


「そうそう、ゆっくりとこっちに来るんだ。いい子だなぁ・・・・・・って、なんでそんなに凄い渋面になってんの!?そんなに嫌なの!?それからそこの全身タイツ野郎!何そのプラカード!一体何処から出したの?・・・・・・え?プラカードの内容を見ろ?”変態は変態の星へとお帰りくださいませ。”・・・って、誰が変態か!?」


 慎重にゆっくりと、でも嫌そうな顔は忘れずに彼らの元へと俺は近づいていく。

 ―――その最中、バッファローグリーンが突然大きなクシャミをした。


「・・・ハッ・・・・・・ハッ・・・・・・ハクショオォォオオイ!!」


「ぉぉぉおおおおっ・・・・・・!?」


 カチッ!


「・・・・・・カチッ?」


 バッファローグリーンのクシャミに驚いたライオンレッドが体を飛び上がらせた瞬間、キュィィイイイン、ドッゴンッ!とアニマルバズーカからエネルギー型の砲弾が発射された。

 それが着弾すると予測される場所は、皮肉にも俺が守ろうとしていた工場であった。


「ちょ、まっ、あああーっ!?」


「―――ッ!?」


 その時、俺が反射的にとった行動は逃げるでも隠れるでもなく、砲弾を受け止めるというものであった。


「・・・うぐぅっ!?」


 自分の体と同じくらいの大きさの爛々と輝く球状の砲弾の前に飛び出した俺は、両手を前に伸ばして飛んで来るその砲弾を受け止める。

 その瞬間、ドゴォンッ!という物凄い衝撃を俺を襲った。


「う、受け止めたぁ!?嘘ぉ!?なんで爆発しないの!?」


「わ、分からん・・・!?あの砲弾は何かに当たった時点で爆発するようになっているはずなんだが・・・・・・いったい何をどうしたら受け止めるなんて事ができるんだ!?」


アニマルレンジャー達の方でも俺が砲弾を受け止めた様子は見えていた様だが、しかしその光景が現実離れしたモノとして理解できなかったのだろう。物凄く混乱していた。


「う、うぐぐぐぅっ・・・!?」


 そして何とか砲弾を受け止めることに成功した俺だったが、その実かなり切羽詰まっていた。


「う、ぐぅっ!?・・・・・・ど、どうしよう、これ。上空に打ち上げようと思ったけど、予想していたよりも、勢いと圧力が物凄くて動かせない・・・・・・!」


 砲弾を受け止める事には成功したは良いものの、しかしそれ以上どうすることもできず、砲弾の勢いに押されるまま、ズザザザザッ!!と地面を擦りながら後退させられていた。


「くそっ!こんなもの、どうすれば・・・・・・!?」


 何か妙案がないかと俺は頭をフル回転させて―――そして父親から教わった護身術の技の一つを思い出した。

 ただし、その技は物凄く荒唐無稽と呼べるようなモノであり、一応練習こそしてはいたが最後まで習得する事ができなくてその存在そのものを今の今まですっかり忘れていた技であった。


「モノは、試しだ・・・!?【超圧縮掌】!うぉ、ぉぉぉおおおお!!」


 受け止めていた砲弾を両手で包み込むように、押しつぶすようにして力を込める。

 その途端、突如爛々と輝いていたエネルギー型の砲弾は徐々に収束を始めていき、そして最終的には俺の掌に納まるサイズにまで縮んだ。


「・・・意外と、やれば出来るもんだな。父さん、この技バカにしてごめん」


 まさか本当に出来るとは思っていなかった俺は、両の掌に納まったエネルギー型の砲弾を見つつ、内心では自分で自分のやった事に心底驚いていた。

 うん。マジで出来るとは思ってなかった・・・!


「「「「「・・・うそぉ・・・・・・!?」」」」」


 だが、一番驚いていたのはその光景を見ることとなったアニマルレンジャー達であったのだろう。自分達の最強の一撃が受け止められ、更には掌サイズに納まるくらいに縮んでしまったエネルギー型の砲弾を目にした彼等は、開いた口が塞がらないという感じの雰囲気を思いっきり出していた。


「さてと、それじゃあこれをどうするかだが・・・・・・やっぱり元の持ち主の元に返すのが筋だよなぁ!!」


 掌サイズに収まったエネルギー型の砲弾を見て、アニマルレンジャー達の方を見た俺は、ニヤリッ・・・!ととっても悪そうな笑みを浮かべながらアニマルレンジャー達の下へと物凄い勢いで駆け出した。


「・・・・・・え?は?」


「お、おい・・・!おいおいおい・・・!?それ持ったままこっち来るんじゃねぇよ!?」


「ちょ、ちょちょちょっと待て!待ってくださいお願いします!」


「誰が待つか!!」


 彼等の目の前にまで近づいた俺は、まず最初にアニマルバズーカの第二射を撃たせて堪るかとそれに力強い蹴りを放って上空へと蹴り飛ばした。


「まだまだぁっ!!」


「ガバァッ!?」


「ギビィッ!?」


「グブゥッ!?」


「ゲベェッ!?」


「ゴボォッ!?」


 続いて砲弾を持っていない方の手で握った拳と両足を振るい、次々にアニマルレンジャー達を上空へと打ち上げていく。


「こ・ん・ど・は・お前らが、花火になりやがれぇーッ!!」


 そして最後に、手に持っていたエネルギー型の砲弾を上空にいる彼等に向けて投げ飛ばし、押さえ込んでいた力を解放する。


ヒュゥゥゥウウウン、キュィィィイイン!!―――ドッカァァァアアアーーーンッ!!!


「「「「「ギャァァァアアアアアアーーーッ!?」」」」」


「イーイイー!」(たーまやー!)


 そうして投げ飛ばされたエネルギー型の砲弾は収束されていた状態から一瞬で元々の大きさへと戻り、そしてアニマルバズーカに接触した瞬間、近くにいたアニマルレンジャー達をも巻き込んで特大の爆発と言う花火を花開かせるのであった。






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[一言] 構えですが、殴るだけでも手は開いておきます。インパクト(対象にぶつかる直前)の瞬間に握るのがセオリーです。まぁ、一応それが基本ってだけなんでお好きに書いてください
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