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ミッション58 決着!怪人ドッジボール・・・!



それからの俺達は、泥沼の戦いと言える程の激闘を繰り広げた。


「このっ!」


「ふん・・・!甘いわ小娘ェ!」


怪人ドッジボールを始めてからニ十分の間、俺達は自分達が持っている力―――能力とか、筋肉とか、武器とか―――を用いながらの投球?を繰り返していた。


「食らいなっ!」


「効かん効かんわぁ!」


「「イイーッ!」」(ぶっ飛べーっ!!)


「何のぉー!」


「ウゥオオォォォーーーッ!!」


「フンヌラバッ・・・!」


触れれば感電する静電気が迸るアルミィの球。戦闘員達二人掛かりで行うバズーカ砲を用いたバズーカ投球。山田による岩をも砕きそうな投球。

一発一発が強力な一撃。普通の人間が食らえば気絶は間違いないし、最悪救急搬送だ。

だが『筋肉愛好団』のマッスル達は、それら全てを己の筋肉によって受け切って見せた。

アルミィの静電気が迸る球はウナギマスクが、戦闘員達によるバズーカ投球は一度自らの胸筋で受けて上空へと跳ね上げた後に飛び上がってキャッチする事で対応していた。

そして最後の山田の投球に関してだが、その威力は如何に屈強な筋肉を持つマッスル達であっても受け切れない程に強かったらしい。

ボールをキャッチする事に成功しても、地面を擦りながら後ろへと吹き飛ばされる光景が良く見られていた。


「ブルアアアァァァーーーッ!!」


「ヌグゥゥッ・・・!」


「ハッ・・・!」


「ナイスだ!」


「お疲れ!」


なのでその対策として、マッスル達は山田の投げたボールを受け止めた後、胸に抱えながら体を回転させ、自身の背後や隣にいる仲間にパスをするという事を数度続ける事で威力を減退させ、いなしてみせた。


「(・・・というか、そうでもしないと受け止めきれない山田のボールって)」


一般人である筈の山田が投げるボールが怪人を打倒出来るのだと言う事実に内心で戦慄しつつ、顎先に滴る汗を拭う。

その後も投げて投げ返されての一進一退の攻防が続いたが、しかし未だ決着は着かないまま。


「くっ・・・!意外と粘るではないか!こうなったら最後の手段だ!―――総員、鶴翼の陣の体勢を取れ!」


『応ッ!』


それに業を煮やしたのか、牛丼マスクはボールを片手に持ちながら自身の仲間達に号令を出した。


「見よ!これが我等の、最強の技を放つためのフォーメーションだ・・・!―――ジンギスカンマスクゥ!」


「任せてください、牛丼マスクさん!―――フンッ!」


バシンッ!


牛丼マスクの指示の下、V字の様な陣形を取るマッスル達。

そして一番端にいるマッスル―――ジンギスカンマスクがポージングを取り、己の筋肉の力でボールを射出する。

その射出先は俺達―――ではなく向かい側にいる自分の仲間であった。


「頼んだぞ、アリゲーターマスク!」


バンッ!


「おうよ!でぇいっ!―――白熊マスク!」


ドンッ!


「ナイスパス!そして流れる様に・・・!―――ウナギマスク!」


ドバンッ!


「オッケイ!はぁっ・・・!―――最後の執りだ、牛丼マスク!」


ドゴンッ!


「応!任せろぉ!―――とおぅっ!!」


自身に向かって飛んできたボールを、己の筋肉でもって跳ね返していくマッスル達。

そしてパスが続いた後、最後にウナギマスクが上空へと向けてボールを打ち上げた。

そしてそれを追って、牛丼マスクが天井のバリアに当たるスレスレの高度にまで飛び上がる。


「うおおおっ!食らえ必殺ぅ!【マキシマムマッスルバスター】ァァーーーッ!!」


ドバシュゥゥゥーーーッ!!!


胸を張り、胸筋の力によって撃ち出される渾身の一球。

回転し、周囲の空気を巻き込み、まるで小さな台風となったそれは、凄まじいとしか言えない程の速度と威力で、俺達に向かって直進してきた。


「イイイィィーーーッ!?」(なんか凄いの来たぁぁーーー!?)


「フンヌゥゥゥッ・・・!!」


「イィッ・・・!イイッ、イー!?」(凄っげ・・・!受け止めやがったぞ、コイツ!?)


上空から勢いよく迫り来るボール。

それを俺達のコートの最前列にいた山田が受け止める。

だが・・・・・・


「ヌ、ウゥッ・・・!?」


ズザザザザザッ・・・!!


「うにゃっ!?おいおいおい・・・!なんか、山田の体がどんどん後ろに下がって来てるぞ・・・!」


「ヤバい・・・!全員コートの端へ避け・・・!」


「ウオォォォッ・・・!?」


『!?』


ボールを受け止め切れず、勢いに押されて後ろへと吹き飛ぶ山田の体。

彼の背後にいた俺達は吹き飛んで来る山田の体を回避しようと、コートの端へそれぞれ跳ぼうとした。

だが、実際に躱す事が出来たのは俺だけであり、他の面々―――アルミィや戦闘員一号と二号は巻き込まれる様に山田の体とぶつかって吹き飛んで行った。


「くそっ!?みんな無事か!?」


「イ、イイッ、イッ・・・!―――イィッ」(ぶ、無事じゃない、です・・・!―――グフッ)


「イー、イイー・・・!イイッ、イー・・・!―――イッ」(ダメージ量、限界値を超過・・・!強制スリープモードに入る、ぜ・・・!―――ガクッ)


「ご、ごめんなさい、姐さん・・・!アタシも、もう、ダメ・・・!―――あふっ」


「ピピィー!戦闘員一号選手、二号選手、そしてアルミィ選手の三名アウトォ!」


「ちょっ、三人とも~!?」


バタリとコートの上に倒れ伏し、気絶する三人。

その姿を見た俺は、思わず悲鳴を上げてしまった。


『これは凄い!たった一発で三人の選手が倒されてしまったワン!』


『直撃したら唯じゃすまないのは見ていて分かっていたが、まさか余波だけでも怪人や戦闘員達を倒せるとは・・・!』


『一般人である私は絶対に受けたくありませんねぇ。あんなの受けたら、まず間違いなく死にますね』


実況席にて実況を行うブレーバー達。

その顔は驚きの色に染まっていた。


「クハハハハハッ!これでそちらは残り二人だけとなったわけだな!」


「くっ・・・!―――って、二人?」


高笑いを上げる牛丼マスク。

その笑い声を聞いた俺は悔しげに歯を食いしばったが、その後に続いたセリフを聞いて思わず首を傾げた。


「そういえば、一人だけアウト判定がされていなかったけど。まさか・・・―――」


「フシューッ・・・!」


「うおっ・・・!?ア、アンタか・・・!無事だったのか・・・!」


「・・・ッ!」


俺の後ろからボールを片手にぬうっと姿を現す山田。

体の各所に掠り傷は付いていたが、声を掛けると問題ないと言いたげに親指を立てて見せた。


「ヌウゥゥォォオオオーーーッ!!」


そしてそのすぐ後に雄叫びを上げながら牛丼マスク達に向かってボールを投げた。


「グブァッ!?」


「白熊マスクーーーッ!?」


山田の手から放たれたボールは空を切り裂きながら突き進み、牛丼マスクの左側にいた白熊マスクにヒットした。


「ピピィー!白熊マスク選手、アウトォ!」


『おおーとぉっ!ここで白熊選手が討ち取られたぁぁ!』


『今の一撃を受けておいて、まだああも動けるとは驚きだな。あのタフさ。是非ともヒーローに勧誘したいな』


「ちぃっ!まさか俺達の【マキシマムマッスルバスター】を食らっておきながら、ここまでの威力の球を出せるとは・・・!?だが流石に二発目までは防ぎきれんだろう!お前達、残った面子でフォーメーションを組むぞ!」


『応ッ!』


牛丼マスクはコートの上を転がるボールを拾いつつ、仲間達と共にフォーメーションを組む。

その陣形は、先程の【マキシマムマッスルバスター】と呼ばれる技を放った時のそれと同じモノであった。

再び己の筋肉の力によってボールを射出し、仲間内でパスをしていく牛丼マスク達。

そして先程と同じように上空へとボールを打ち上げると、牛丼マスクがそれを追って跳び上がった。


「食らえやぁぁぁーーー!!【マキシマムマッスルバスター】ァァッ!!」


ドンッ!ドバンッ!ドゴンッ!ドッバンッ・・・!!!


牛丼マスクの鍛え抜かれた胸筋の力によって射出されるボール。

人数が一人減ってはいるものの、放たれたボールの勢いと威力は先程の一撃と然程変わりのないモノだった。


「(くっそ・・・!あんなの食らったら一溜りもないぞ・・・!?どうする・・・!どうする・・・!?)」


今再び小さな台風となって迫り来るボールの姿を目にした俺は、頬を引き攣らせ、内心で悪態を吐いた。


「(防ぐのは論外だ。俺の力では受け止めきれない・・・!回避も難しい。端に寄ったとしても、ボールの周囲を吹き荒れる風の余波で吹き飛ばされ、バリアやコートの床に叩きつけられるのが目に見えている・・・!加えてその後で、勢いよく飛ぶボールは勢いと威力そのままにバリアに反射されて戻って来るだろうし、角度によっては俺達に当たってもおかしくはない・・・!これは詰んだ、か・・・!?)」


焦りの感情が心中を走り、それが表情へと現れた時、俺の前に鍛え抜かれた男の背中が現れた。


「・・・ッ!」


ザッという足音を立てながら俺の目の前で仁王立ちとなった山田は、こちらに振り向くとニィッ!という笑みを浮かべた。


「(コイツ、どうしてこの局面で笑えるんだ・・・?何か考えでもあるのか・・・?)」


その顔を見て何かあると察した俺は、彼の意図に沿う様にその背後へと体を隠した。


「フンッ・・・!」


己の視界の端で自身の背後に俺が隠れたのを見届けた彼は、前を向き、どっしりと腰を据えて構えた。


「グ、オオオォォォッ・・・!!」


物凄い勢いで迫り来るボール。その球を山田は両手で包み込む様に掴み、


「―――フンヌッ!」


そして勢いを流す様に自身の頭上へと放り投げた。


「そう言う事か・・・!」


上空へと放り投げられ、天井のバリアに当たって反射するボール。

それを目にした俺は、彼が何をしたかったのかを察して空中へ跳び上がった。


「ヒュッ・・・!」


真下に向かって落ちるボールを視界に納めつつ、左の掌に右の拳を当て、両腕を右腰に添える様に引く。

黄色状のエネルギーが纏われていく右拳。

それを俺は、丁度目の前にボールが落ちて来た瞬間を狙って前へと突き出した。


「【轟波龍砲撃(ごうはりゅうほうげき)】・・・!吹き飛べぇぇぇっ!!」


「ヌッ!?ヌウウウゥゥゥッ・・・!」


渦を巻き、龍の咢の形となったそれが、ボールを銜えて牛丼マスク達へ向かって飛んで行く。

その勢いは牛丼マスク達が放った【マキシマムマッスルバスター】に勝るとも劣らないモノ。

その一撃を牛丼マスクは両手で受け止め、掴みはしたが、しかしその勢いまでは抑える事が出来ず、彼の体を後ろへとドンドン押されていき、


「牛丼マスクを助けるぞ!」


「彼の背中を押せぇぇーッ!」


『ウオォォォーーーッ!!』


その姿を見た他のマッスル達が、彼の背後へと集い、その背中を支え、力添えしていく。

だが・・・・・・、


「む、ムグアアァァァーーーッ!?」


『グハアアァァァーーーッ!?』


突き進もうとするボールの勢いに押し切られた彼等の体は吹き飛ばされ、宙を舞った。


「グフッ・・・!・・・・・・ば、バカな・・・!俺が、俺達がこんな所で・・・!―――ガクッ」


一定時間空中を待った後、ドシャリと落ちる牛丼マスク達。

彼等はコートの床の上に倒れ伏した後、何とか体を起こそうとはしていたが、しかしそこで体力が尽きてしまったのか、ガクリと気絶してしまった。


「ピピィー!牛丼マスク選手、アウトォ!それからそのメンバー全員の気絶も確認されました!よってこのゲームは、ナマハゲ丸選手率いる『ステージ劇団』チームの勝利です!」


その場に鳴り響くホイッスルの音

司会のお姉さんが鳴らしたそれを耳にしたブレーバーは、実況席にてマイクを片手に声を上げた。


『き、決まったぁぁーっ!!激しい戦いを制したのは『ステージ劇団』チームだぁぁ!』


『いやぁ、まさかあそこまで追いつめられた状況から大逆転するとは。全く予想していませんでしたねぇ、プラスマンさん』


『そうだな、オーナーさん。ここまで燃える様な熱い展開は久しぶりだった。久しぶりに良いモノを見させてもらったぜ!』


興奮気味に実況席で語るブレーバー達。

彼等のセリフを耳にした観客席にいた者達もまた、歓声を上げるのであった






次回は7/5に投稿予定です。

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